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自衛隊ニュース   945号 (2016年12月15日発行7面)
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現地指揮所開設等訓練
〈空自・西部航空方面隊〉
 11月5日、西部航空方面隊(司令官・山田真史空将)は、平成28年度緊急消防援助隊九州ブロック合同訓練に参加し、民間空港での災害派遣時の初動を想定した現地指揮所開設等訓練を北九州空港(福岡県北九州市)にて実施した。
 主な訓練内容は、現地指揮所開設訓練・通信施設連接訓練・地上誘導員練成訓練だった。また、航空自衛隊輸送機Cー130Hに福岡市消防局所有の救助工作車を積載し、北九州空港から長崎空港まで輸送した。
 この訓練により災害時における初動対応能力の向上を図ることができた。

グローバルセキュリティセンター発足記念シンポジウム開催
〈防衛大学校〉
 防衛大学校は、平成28年11月14日、記念講堂において、グローバルセキュリティセンター発足記念シンポジウムを開催した。國分良成防衛大学校長による開式の辞の後、武田康裕グローバルセキュリティセンター長がグローバルセキュリティセンターの状況活動について報告を行った。続いて、コロンビア大学政治学部名誉教授ジェラルド・カーチス氏による「アメリカ大統領選挙と今後の日米関係」と題した基調講演では、時宜に適したテーマということもあり、学生との活発な質疑応答が行われた。
 その後、「危機管理-予知・予防か、事後対処か-」を共通議題とする専門家によるパネルディスカッションが行われ、防衛医科大学校防衛医学研究センター加來浩器教授は「熊本地震における感染症拡散」、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科土屋大洋教授は「サイバーテロと国際政治」、防衛大学校システム工学群建設環境工学科別府万寿博教授は「自然災害の大規模化と研究の動向」、防衛大学校人文社会科学群国際関係学科 宮坂直史教授は「ホームグロウンテロと日本」、防衛大学校幹事岸川公彦陸将は「熊本地震への自衛隊派遣を振り返る」についてそれぞれ報告し、シンポジウムは成功裏に終わった。

航空事故再発防止策の一環としての「安全講話」
〈航空支援集団飛行点検隊〉
 航空自衛隊飛行点検隊(隊司令・吉廣敏幸1空佐=入間)は、11月17日、入間基地において、飛行点検隊隊員約70名及び基地所在部隊隊員約110名の計約180名を前に、飛行安全に関わる部外専門家による「安全講話」を実施した。本講話は、去る4月6日に鹿児島県鹿屋航空基地の北方山中において発生したU-125飛行点検機航空事故の再発防止策の一環として実施したもの。
 隊員の安全意識の更なる高揚と安全管理に関わる考え方などについて、ヒューマン・ファクターズの専門家である日本ヒューマン・ファクター研究所 取締役副所長・教育開発研究室長の塚原利夫氏を講師として迎え、「安全管理の失敗学と成功学〜ヒューマン・ファクターの視点から」と題して、講師の経験談も踏まえ約2時間の熱い講話を受けた。
 講師は、25歳という若さで日本最年少機長として発令され、国内線国際線機長・教官、テストパイロットなどを務め、1979年30歳の時、羽田空港にてYSー11型機による片脚緊急着陸に成功し乗員・乗客全員無事という貴重な経験を持ち、その体験談も含め話され、その熱意ある情熱的な語りと説得力ある話術で聴講者全員を虜にし、大盛況であった。
 YSー11型機による片脚緊急着陸時の実ビデオ映像も含め、人間の特性、危機管理とレジリエンス等、事故を起こさせない風土と文化などについて、失敗例と成功例を挙げながら、興味深い内容を「失敗学から成功学へ」「守りの安全から攻めの安全へ」と、切々と講話された。
 講話を実施するに当たっては、飛行点検機YS-11型機の見学を行ったところ、講師の搭乗した当時の面影が強く残っており、非常に感慨深いと感想を述べられた。また講話後に実施した隊司令以下主要幹部との意見交換会においても、親睦を深めるとともに、講師の体験に基づく飛行安全について更に熱弁を振るわれた。
 飛行点検隊は、このような悲しく痛ましい事故は二度と起こさないという誓いを新たにした。

輝くダイヤの徽章
第83期幹部レンジャー帰還式
〈富士学校〉
 富士学校(学校長・徳田秀久陸将)は、11月16日、第83期幹部レンジャーの帰還式を行った。
 約3ヶ月間に渡る過酷な訓練に挑んだ26名のレンジャー学生たちは、最も厳しいと言われる最終想定を乗り越え駐屯地に帰還。音楽隊の演奏の下、大勢の隊員たちの拍手に迎えられた後、学生長の石沢2尉(51普連)が松崎レンジャー班長に対し声高らかに帰還報告をした。引き続き、家族らが見守る中、訓練実施担任官の普通科部長・末吉洋明陸将補から一人一人にレンジャー徽章が授与され、憧れの徽章を手にした学生たちの中には任務完遂の達成感と安ど感から感極まって涙ぐむ者も見られた。
 末吉普通科部長は訓示の中で、レンジャー徽章の中央にあるダイヤモンドは天然の鉱石の中で最も固い『石』であることについて言及した後、「国家防衛の『意志』を体現するのは最も困難な任務を期待される諸官らである。『自分の能力の向上は国の抑止力の一翼となる』という重責を深く認識して、今後も自己の修錬に努めよ」と述べ、学生達を激励した。
 行事終了後は食堂において慰労会が開かれ、学生たちは陰から支えてくれた家族や部隊の同僚たちとの久々の再会を喜び合った。「本当にきつい毎日でしたが、子供の写真を見て3ヶ月間頑張りました」「この教育に参加させてくれた部隊の方々や家族に本当に感謝しています」と笑顔で語る学生たちを、遠く北海道や九州からも駆け付けた家族らは「痩せててびっくりしましたが無事に帰って来てくれて嬉しいです」と目を細めて見つめていた。
 今学生たちの胸元で金色に光輝くレンジャー徽章は、自らを極限まで高め困難を乗り越えたレンジャー隊員としてだけでなく、レンジャー教官として認められた証である。今後はそれぞれの部隊においてレンジャー隊員の育成を担い、陸上自衛隊の更なる強靭化に貢献していくことだろう。

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