上対馬警備所は、4月16日に保健行軍を実施した。今回の保健行軍は、かつて国防の最前線であった対馬、いまでも砲台跡が残存する棹崎公園で実施した。国境の最前線、日本の最北西端で韓国釜山市まで45キロの位置である。ここ棹崎公園は西海の怒涛に切り立つ断崖絶壁の岩肌がまさに壮観であり、また気象条件さえ整えば釜山市の街並みも視認することができる。
近隣にはツシマヤマネコ等絶滅のおそれのある対馬の野生生物の保護や研究調査を行っている対馬野生生物保護センターがあり、ツシマヤマネコを実際に飼育しているところを見ることができた。
棹崎公園到着後に対馬野生生物保護センターにツシマヤマネコ等絶滅のおそれのある動植物の説明をうけ、いま勤務している対馬の環境を理解し、自然を守ることの重要性を認識した。
駐車場より砲台跡までの坂を登りつつ棹崎公園内の環境美化活動を実施し、対馬の環境保護にみんなで協力し心地よい汗をかいた。
砲台跡は、昭和11年に築かれ、約2年の歳月をかけ昭和13年に完成した。45口径キャノン砲4門の砲台で、法座、弾薬庫、観測所、兵舎などが残されている。激動の昭和を象徴する戦争遺跡に触れ、当時の苦労を垣間見ることができた。
対馬にて任務につくことの重要性を実際に見て、触れて十分に感じることができた。現在は砲台跡の一角に棹崎灯台が設置され、対馬海峡を運航する船舶の安全航行に貢献している。
帰隊の時間が迫る頃、棹崎公園一帯の木々に向かい春風が吹き、春の到来を感じさせていた。 |