自衛隊では民生協力活動の一環で、南極地域観測に対する支援を行っている。昨年11月から今年4月まで第52次隊を支援した海自砕氷艦「しらせ」が持ち帰った"南極の氷"が各地の小学校や中学校に寄贈され、子どもたちを喜ばせた。自衛隊への理解促進を図るため南極についての講義を行うなど、地本では積極的に支援を行った。
和歌山地本
和歌山地本橋本地域事務所(所長・岩下善信陸曹長)は5月10日、橋本市立恋野小学校で、南極の氷の授業を行った。
はじめに、所長から南極に関するクイズや、「南極の氷がやってきた」というテーマで子供たちに、分かりやすく、非常に興味をわかすような授業を行った。子供たちからは、「なぜ南極に調査に行くのですか?」や「しらせが南極に行くのにどれくらいかかるのですか」などたくさんの質問があった。
授業の後は、お待ちかねの「南極の氷」を直接触れる体験学習を行った。冷凍庫で作った氷と南極の氷が横に並べられ、氷の違いを感じたり、水の入ったビーカーに南極の氷を入れて溶ける音を体験した。南極の氷に閉じ込められた気泡がはじける音を聞いた子供からは、「炭酸ジュースをグラスに注いだ時のような音がした」と目を輝かせた。また、直接氷を頬や耳につけて感動している子供がたくさん見られた。
同校の校長は「この小学生の中から、将来一人でも南極に行く子が出れば非常にうれしい」と感想を述べた。
和歌山地本は、「今後も子供たちに夢を与えられるように、様々なことをやっていきたい」と話している。
滋賀地本
滋賀地本(本部長・甲斐田幸輝1陸佐)は5月6日、海自砕氷艦「しらせ」の運用士・西田健悟2海尉による甲賀市立甲南中部小学校への「南極の氷」贈呈を支援した。
これは同校の卒業生である西田2海尉から「ぜひ母校へ氷を贈呈したい」との申し出があり、同校が快諾して実現したもの。当初は氷の送付だけの予定だったが、ちょうど5年生が社会の授業で世界の大陸について学習中ということで、「せっかくの機会なので、児童たちに南極についての話も聞かせてほしい」と同校から要望があり、ゲストティーチャーとして1時間の授業を担当した。
当日、西田2尉が教室に入ると、普段あまり目にする機会のない海上自衛隊の制服姿に、5年生児童25人の歓声が沸き起こり興味津々で西田2尉に注目した。画像を交え南極や氷について説明を受けた後、積極的に手を挙げて質問したり、実際に「氷」の感触を楽しんだ。児童たちは順番に「氷」に触れ、「すごい!初めて触った」など感激した様子で話し、それぞれ目を輝かせて氷の感触を確かめ合った。
また、授業終了後は、南極の氷を同校玄関前に展示し、下校する他学年の児童も体感することができた。同校の校長は「今後の社会の授業の教材として活用させていただきます」と述べた。西田2尉は「学校でこのような授業をさせていただいたのは初めてで難しかったですが、勉強になりました」と感想を語った。
滋賀地本では、自衛隊の活動を一層理解してもらうために今後もより良い広報活動を実施していくとしている。
島根地本
島根地本(本部長・森茂敏1陸佐)は5月11日、安来市立伯田中学校1年生と教員60人に対する総合学習「南極の氷」学習会を実施した。この学習会は環境学習の一環として実現した。
学習会のはじめに島根地本広報室長が、海自砕氷艦「しらせ」の活動、南極の地理、歴史、気候、生息する生物などについて写真や図を用いて説明した。
説明後、南極の氷と石に触れる時間が設けられ、実物の氷を前にした生徒たちは驚くとともに氷を興味深く観察していた。また、南極の氷は当時の大気を多く含んでいることを知ってもらうため、氷を水に浮かべての観察も行われた。生徒は溶ける時に発する気泡の音を聞き、「家の氷はこんな音はしないよ!」「冷たくて気持ちいい」と目を輝かせて南極気分を味わっていた。
学習会の様子は生徒だけでなく校長をはじめとする教員も多く授業に参加しており、島根地本広報では「海上自衛隊の活動の一端を広報できた」としている。 |