東日本大震災の発生に伴い3月16日、予備自衛官等の災害等招集が閣議決定され、北澤防衛大臣は災害招集命令を発令した。これを受けて各地方協力本部では、被災者の民生支援のため即応予備自衛官と予備自衛官に災害等招集命令書を交付した。予備自衛官らが実際の任務に招集されるのは、予備自等の制度が始まってから初めて。招集期間は約2週間で、主に給水や食事の提供などの被災者の生活支援を行う。
札幌地本
札幌地本(本部長・阿部知己1陸佐)は即応予備自衛官及び予備自衛官(医療)に対して、災害等招集命令書及び災害招集命令書を交付した。 札幌地本管内の即応予備自衛官、予備自衛官の中には「是非派遣に加わって貢献したい」と連絡を入れる人も多く、招集訓練参加時や長年の部隊での教育訓練によって培われた高い意識がうかがわれた。
毎年、招集等命令書の交付(使送)訓練を実施している札幌地本は、命令受領後、「迅速かつ確実」「即自・予備自隊員の命にかかわる命令書」を旨とした訓練どおりの手順で速やかに招集命令書や必要書類などを封入し、3月23日午前5時に使送担当者に命令を下達、使送担当者が滝川から静内にわたる各地を走った。この日、使送者から招集命令書を受け取った即応予備自衛官のうち浦臼町の金澤大輔即応予備士長は、「被災された方々のために頑張りたい。体力にも自信があるので即応予備自衛官の任務を全うしたい」と強く語った。
また、札幌市在住の川元勝則即応予備2曹はメディアの取材に対し、「選ばれたのは会社の代表として、また即応予備自衛官として大変名誉なことです。被災者のために力になりたい」と決意を新たにした。
予備自衛官(医療)の木田智子予備2曹は「被災地へ行って活動したい思いはあります。今回は自衛隊札幌病院での勤務ですが、それも予備自衛官として大事な仕事なのでしっかり務めたい」と抱負を述べた。
山形地本
山形地本(本部長・小泉秀充事務官)は3月17日、即応予備自衛官17名に対し災害等招集命令書を、予備自衛官(語学)1名に対し災害招集命令書を、それぞれ自宅または企業等を訪問し直接本人に手渡した。招集された即応予備自衛官及び予備自衛官には、家族の同意を得て万全の体制で出頭できるよう求めた。
招集日を翌日にひかえた同22日、即応予備自衛官6名と予備自衛官1名が神町駐屯地に集合し、それぞれの招集部隊等に向け出発した。
今回、予備自衛官(語学)として派遣される阿部美奈子3陸曹は「被災者のために精一杯頑張りたい。組織の中の一員であるという自覚を持ち、着実に落ち着いて任務遂行にあたりたい」と決意を語った。
また、即応予備自衛官の災害派遣にあたっては、企業等の理解と協力が不可欠であることから、小泉本部長はホームページ上で「今回ご協力頂いた企業には、災害等招集に対する深いご理解とご協力を賜り厚く御礼します」と感謝の意を表した。
帯広地本
帯広地本(本部長・城戸正志1陸佐)は3月23日、第7特科連隊所属の即応予備自衛官2名に対し、災害等招集命令書を交付した。命令書は即応予備自衛官が勤務しているそれぞれの企業において、帯広地本道東地域援護センター長から手渡された。
今回の招集に応じた羽賀照樹即応予備3曹は、「ニュースで被災地の大変な状況を見て、少しでも被災者の役に立ちたいと思い、命令を待っていた。与えられる任務は大変だが、被災者のことを思えば全然辛くない」と意気込みを語った。
また、羽賀即応予備3曹が勤務する河井ローダー建設(株)の横山宣昭社長は、「自衛隊に彼を預けることに不安はありません。会社を代表し、活躍してきてほしい」とエールを送った。
岡山地本
岡山地本(本部長・吉永幸男1陸佐)は3月18日、即応予備自衛官の矢野2曹に対し勤務先の浅野産業(株)で災害等招集の命令書を交付した。岡山県からは女性2名を含む23名が招集された。
矢野2曹は、「仕事から帰宅しテレビに映し出される被災地の状況を見て、行かなければと思った」と語った。家族も矢野2曹の気持ちを聞き、「行ってあげて」と送り出す決意をしたという。
吉永本部長は招集命令書を手渡した際、「温かい支援を心がけ、活躍してきてほしい」と訓示し、矢野2曹は「苦しんでいる人に笑顔を与えられるよう頑張りたい」と決意を述べた。
香川地本
香川地本(本部長・萩庭賢了1陸佐)は3月17日、即応予備自衛官15名に対して災害等招集命令書を交付した。交付を受けた朝比奈即応予備3陸曹は、「今まさに即応予備自衛官の力が必要とされている時だ。自らの持てる力を最大限発揮し、被災者の生活再建のために尽力したい」と派遣に臨む決意を新たにした。
招集された15名は、同23日午前8時までに全員が善通寺駐屯地に出頭を完了し、健康診断を受けた。次いで戦闘用靴等個人の装備品や資材の準備に取り掛かるとともに被災地に関するブリーフィングを受けて派遣に備えた。
派遣部隊は大津駐屯地での編成完結式を終えたあと、同25日早朝に被災地に向けて出発、27日から石巻市、女川町一帯で給水、給食、物資輸送などの生活支援に当たった。
岩手地本
岩手地本(本部長・高橋竣哉1陸佐)では3月22日、即応予備自衛官30名が生活支援活動要員として、岩手駐屯地に出頭し第38普通科連隊が駐屯している八戸駐屯地に向け出発した。翌23日、船岡駐屯地及び多賀城駐屯地で編成完結した。
米軍との通訳要員として菅原尚予備3陸曹が東北方面総監部(仙台)へ出発した。菅原予備3陸曹は「米軍と自衛隊の架け橋となって被災者のために頑張りたい」と取材に答えた。 |