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916号 (2015年10月1日発行) |
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「平成27年9月 関東・東北豪雨」で災害派遣
危険を顧みず濁流へ
ヘリで700名以上救助
夜を徹し孤立者の元へ
ボートで1300名以上救助 |
9月9日から11日にかけ、台風18号と台風17号の二つの台風により積乱雲が繰り返し作られる「線状降水帯」が多数発生したことが原因で、関東と東北で記録的な豪雨が降り注いだ。
この豪雨では、河川の堤防決壊による住宅地への越水等のため、栃木、茨城、宮城で計8人が死亡、約50名が負傷、家屋の全壊や床上・床下浸水を含む住宅被害が約17000件発生、茨城県常総市の三坂町等は鬼怒川の決壊により夥しい数の家屋が水に流される等、特に大きな被害が出た。
防衛省・自衛隊に対しては、茨城県では10日9時5分に県知事から施設学校長へ常総市・結城市における孤立者の救助、ボートによる避難支援及び土嚢による水防活動に係る災害派遣要請(後日、給水支援、入浴支援、防疫活動に係る追加要請)、宮城県では11日2時30分に県知事から第6師団長へ大和町における孤立者の救助に係る災害派遣要請(同日5時頃には大崎市における孤立者救助に係る追加要請)、栃木県では11日9時に県知事から第12特科隊長へ日光市における孤立者の救助に係る災害派遣要請があった。
押し寄せる濁流が街を襲った茨城県常総市では、建物の屋上や電柱等に緊急避難し九死に一生を得た孤立者を一分一秒でも早く救助するため、10日昼前から夕刻にかけ、海空からは、救難救助のエキスパートを含む海自第21航空群、海自第51航空隊、空自百里救難隊、空自浜松救難隊、陸自からは第1飛行隊、第12ヘリコプター隊、東部方面航空隊、航空学校、第1ヘリコプター団が出動。日頃の厳しい訓練等で培われた高度な技術を存分に発揮して、自らの危険も顧みず、崇高な使命感と冷静沈着な判断のもと、19日までに合計723名もの尊い人命を救った。
陸上でも、10〜12日にかけ24時間態勢で腰の高さまで水に漬かりながらの孤立者救助、避難支援が続けられ、第12旅団隷下各部隊が派遣された栃木県、第6師団隷下部隊や東北方面航空隊が派遣された宮城県では、浸水地帯一帯に取り残された被災者を救助。11日には孤立地域が解消し、同日夜に両県知事から撤収要請が出た。茨城県では19日夜に撤収要請が出るまでに、13日以降は警察、消防と協同で、河川・田畑に捜索棒を突き刺しての地道な一斉捜索を含む人命救助及び行方不明者捜索等を継続した。その間、施設学校が行方不明者1名、第1師団隷下の施設科部隊・普通科部隊等、中央即応集団隷下の第1空挺団がボートにより19日までに計1292名を救助した。加えて、被災者支援やライフライン復旧のため追加の派遣要請を受け、12日からは常総市内5ヵ所で第1後方支援連隊、第1特殊武器防護隊が給水支援、15〜19日にかけては同市内の保育所3箇所でグラウンドの消毒を同じく両隊が、14〜19日には水海道駅南児童公園で第1後方支援連隊が入浴支援を実施。14〜16日には水防活動として、鬼怒川沿いの道路と八間堀川護岸での土嚢積みを各施設科部隊が担った。
このたびの「平成27年9月関東・東北豪雨」における防衛省・自衛隊の派遣規模は次のとおり。各県知事の災害派遣要請に先んじて所在部隊や地本が各地方自治体等へ派遣したLO(連絡幹部)関連も含む(防衛省は派遣要請前の10日3時30分には防衛省災害対策連絡室=7時10分には防衛省災害対策室に改組=を設置した)。
【茨城】人員(現地活動従事者)延べ約7535名、車両延べ約2150両、ボート延べ約180隻、航空機延べ105機、その他=LO人員延べ約235名、LO車両延べ約85両【宮城】人員約190名、車両40両、航空機7機、ボート37隻、その他=LO人員25名、LO車両14両【栃木】人員約70名、車両15両、航空機5機、バイク6台、その他=LO人員2名、LO車両1両 |
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