防衛省技術研究本部は11月13、14日の両日、創立60周年記念シンポジウムをグランドヒル市ヶ谷で開催した。 陸上、航空、艦艇の各装備研究所員らが防衛技術の研究開発について、また大学や民間企業の研究指導者、幹部らが防衛関連の先端技術について発表を行った。屋内外に設けた展示会場ではミニステージを設置し、研究成果の紹介、説明を行った。 初日、秋山義孝技本長が「研究開発の方向性に係る一考察」と題して基調講演。2日目には「将来技術との融合を目指して―新たな時代を拓く防衛技術の在り方を多面的に考える」をテーマに英国王立防衛安全保障研究所の秋元千秋アジア本部長ら4人のパネリストがディスカッションを行い、多くの聴衆を集めた。写真左=パネルディスカッションは満席(左から英国王立防衛安保研・秋元千明アジア本部長、ものつくり大学・神本武征名誉学長、三菱重工・西岡喬相談役、前技本長・佐々木達郎氏)、同中=陸上無人機技術の試作品、同右=先進個人装備システムを身につけた隊員らがデモンストレーション
砕氷艦「しらせ」(艦長・松田弘毅1海佐)の第54次南極地域観測協力の出国行事(執行者=横須賀地方総監・武居智久海将)が11月11日、東京港晴海埠頭で行われた。約1100人の家族、関係者が乗組員170名の海自隊員たちを見送った。 河野克俊海幕長は壮行の辞で「前回の行動においては昭和基地沖へ接岸できないという厳しい氷状での活動となった。孤立無援の条件下で無事に任務を遂行するためには、周到な準備、的確な情勢判断および緩急自在かつ柔軟な対応が必要であり、艦と航空機の能力を十分に発揮することに努めるとともに、困難な局面に際しても、最後まで忍耐強く最善を尽くしてもらいたい」と述べた。 松田艦長の粋な計らいで「しらせ」は11月11日午前11時11分出港した。総行動日数は151日、南極圏行動日数99日、総航程は約2万マイル。来年4月10日に帰国予定。写真左=「しらせ」の飛行甲板で松田艦長奄迴鞫g員を前に壮行の辞を述べる河野海幕長、同中=約1100人が盛大に見送り、同右=出港を見届ける河野海幕長奄迥C自幹部
来年度の自衛隊記念日の「プレ観閲式」となる東部方面隊創立記念パレード(53周年記念行事)が10月28日、陸自朝霞訓練場で行われた。 渡部悦和東部方面総監は式辞の中で隊員たちに対し「諸官一人一人が個人として自分自身の最後の砦なのだ。自らの心と体の健康を守れないで国を守ることはできない。諸官自身が自らを厳しく律し、有事に真に活躍できる隊員になれ。そして諸官は家庭における最後の砦となりなさい。家庭を守れないで国を守ることはできない。そして部隊において与えられたポジションにおいて最後の砦となりなさい。そして東部方面隊として練磨無限、訓練に訓練を重ね、日本の最後の砦となろうではないか」と檄を飛ばした。 1普連(練馬)、32普連(大宮)、女性自衛官教育隊(朝霞)などから人員約1350名、1施大隊(朝霞)、1戦大隊(駒門)などから車両約150両、さらに航空機25機が観閲部隊に参加。あいにくの天候にもかかわらず訪れた約3000人の市民を魅了した。写真左=巡閲する東部方面総監・渡部悦和陸将、同中と右=雨の中でも微動だにせず「精強自衛隊」の姿を示す隊員たち
ハイチ撤収支援隊の出国式が10月18日、朝霞駐屯地にある中央即応集団(司令官・日政広陸将)の司令部で行われた。 同支援隊は補給統制本部と関東補給処を基幹とした45名の隊員で編成。ハイチ派遣国際救援隊の一部として、装備品輸送の技術的指導・援助、民間業者の役務の監督などを行う。隊長の神成健一1陸佐(十条)は「最後、いままで救援隊が活動してきた成果を、さらに拡充するような仕事をしてきたい」と抱負を述べた。 日司令官は訓示で「撤収業務は複雑かつ広範多岐にわたる。現地情勢を的確に把握し、不測事態への対応を準備するなどオペレーションの中で最も困難で神経を使う任務となるであろう。我々CRF司令部は13時間の時差を排し、常に諸官と連携を密にして、最大限のバックアップ態勢を取る所存である。諸官はハイチ派遣国際救援隊最後の要員として、有終の美を飾るべく最後まで誇りを持って職務に専念してもらいたい。諸官の活躍を大いに期待している」と述べ、隊員たちを激励した。写真左=日司令官奄ゥら隊旗を授与される神成隊長、同右=隊員らに訓示する日司令官
10月15日、海上自衛隊幹部学校(学校長・福本出海将=目黒)で第2回西太平洋海軍シンポジウム次世代海軍士官短期交流プログラム(WPNS STEP)の開会式が行われた。WPNS STEPは、アジア・太平洋諸国19ヵ国から海軍士官(少佐、大尉)を迎え、部隊研修や講義により日本に関する理解を深め、また、研究会でのディスカッションにより海上自衛隊幹部学校指揮幕僚課程学生との交流も深める目的で10月13〜25日の期間で実施される。開式の辞(写真)で登壇した副校長・山本敏弘海将補は、フェイス・トゥ・フェイスで各国の若手士官が交流する意義を訴えた。【WPNS STEP参加国】オーストラリア、バーレーン、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、インド、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、オマーン、パキスタン、フィリピン、韓国、シンガポール、トルコ、アラブ首長国連邦、米国、ベトナム
平成24年度自衛隊記念日記念行事「2012自衛隊観艦式」が10月14日、観閲官の野田佳彦首相を迎え、海上自衛隊艦艇45隻・外国海軍艦艇3隻、航空機18機が参加して神奈川県沖の相模湾で実施された。野田首相とともに、森本防衛大臣、河野克俊海幕長ら防衛省・自衛隊の高級幹部、来賓、一般来場者が艦艇・航空機のパレードや訓練展示を見学した。野田首相は観閲艦「くらま」で観閲部隊を観閲後、飛行甲板で隊員を前に訓示。「部隊の力を磨き上げよ」「果敢に行動する勇気を」「信頼の絆を広げていくこと」の3点を要望した。また、前日の13日には記念行事の一環として殉職隊員追悼式、防衛大臣感謝状贈呈式が行われた。写真左 左から森本防衛大臣、野田首相、観艦式執行者・松下泰士自衛艦隊司令官写真中 「くらま」から見た受閲部隊写真右 代表者に感謝状を授与する野田首相
野田佳彦首相が10月1日に行った内閣改造に伴い、防衛副大臣に長島昭久衆議院議員、政務官に大野元裕参議院議員・宮島大典衆議員議員が就任した。長島副大臣、大野・宮島両政務官は4日に防衛省で着任式に臨んだ。写真左から 長島副大臣、大野政務官、宮島政務官
野田第3次改造内閣の発足に伴い10月3日、防衛省で交代する渡辺周副大臣、下条みつ大臣政務官、神風英男大臣政務官の離任式が行われた。それぞれ栄誉礼を受け巡閲の後、同省全職員が盛大に見送りを行った。写真左=渡辺周副大臣、同中=下条みつ大臣政務官、同右=神風英男大臣政務官
第10回「国民の自衛官」表彰式(協力・防衛省、協賛・日本防衛装備工業会、防衛懇話会、主催フジサンケイグループ)が10月1日、グランドヒル市ヶ谷で行われた。 表彰の対象は、任務の枠を越えて「国民に感動を与える行動をした自衛官」、及び、日常の行動を通じて「社会との絆を強めた自衛官」。防衛省からの推薦などで選出された。 防衛省・自衛隊からは森本敏防衛大臣代理で神風英男政務官、鎌田昭良官房長、磯部晃一統幕副長、君塚栄治陸幕長、河野克俊海幕長、片岡晴彦空幕長らが出席。 贈賞の後、受章者代表で陸自西方ヘリ隊の野小生孝幸1陸尉が歓びの言葉を述べ、陸自中音が祝賀演奏(指揮・蓑毛勝熊1陸尉)を行い式典に華を添えた。6曲演奏され最後の『故郷』では思わず涙する受章者の姿もあった。 受章者は以下の通り。 ▼陸自第12偵察隊=相馬原=栗原孝浩2陸曹(37歳)▼陸自第5音楽隊=帯広=佐藤春美陸曹長(55歳)▼陸自西部方面ヘリコプター隊=高遊原=野小生孝幸1陸尉(52歳)▼陸自第104不発弾処理隊=目達原=前田進陸曹長(45歳)▼元海自第1潜水隊群潜水艦救難艦「ちはや」=呉=佐田野久志元1海尉(53歳)▼海自第5護衛隊護衛艦「あけぼの」=佐世保=元艦長・澤口和彦元2海佐(54歳)ほか150名▼空自第1輸送航空隊第401飛行隊=小牧=今福公助准空尉(52歳)▼元空自航空救難団浜松救難隊=浜松=金子則雄元准空尉(54歳)▼空自航空救難団松島救難隊=松島=原和昭空曹長(43歳)▼〔特別賞〕陸自第119教育大隊=多賀城=有馬勝彦2陸曹(41歳)写真左=前列が受章者(後ろに家族)、同右=受章者代表で陸自西方ヘリ隊の野小生孝幸1陸尉が歓びの言葉を述べた
陸上自衛隊が主催する国際会議「アジア太平洋地域多国間協力プログラム」(MCAP)が9月25日から29日まで5日間にわたって、東京都内で開催された。この国際会議は「地域各国陸軍と意見交換や研修を行い人道支援、災害救助に活かす」ことなどが目的。米国、豪州、インドなど22ヵ国、陸自からは幕僚監部、中央即応集団、研究本部など、また赤十字国際委員会や「国境なき医師団」などが参加。陸幕防衛部国際防衛協力室長・笠松誠1陸佐が議長を務めた。 キーポイントは「東日本大震災を経験した陸自主催の会議」ということ。テーマは「大規模災害対処のための陸軍種としての平素の取り組み」。全体会議から始まり、東日本大震災を踏まえたMCAP 11回目にして初採用の「シナリオに基づく机上演習」、東京臨海広域防災公園での施設研修などが行われた。写真左から、開会式後に全員で記念撮影(前列中央は陸幕副長・番匠幸一郎陸将、同右端が議長の笠松誠1陸佐)、全体会議で意見発表するインドネシアのネフラ中佐、同中佐が国周辺の地震の記録を示し解説