自衛隊ニュース
機略縦横(71)
護衛艦隊先任伍長 海曹長 佐々木英徳
部隊(集団)で任務を遂行、完遂するための大きな要素に「士気」の高揚は必須であり、先任伍長として、そのマネジメントに尽力しなければなりません。
士気は、個人の感情により上がったり下がったりするのは当たり前であり、職場(艦内)態勢を構築するうえで、安定的に保ち続けさせることが必要であると考えます。個人の気分や訓練の難易度、予定の変更、長期行動などによりモチベーションの上昇・下降、すなわちピークtoピークが大きいほど任務遂行に大きく影響が出ます。
モチベーションをマネジメントするにあたり、隊員に対し、より多くのコミュニケーションをとり、任務内容(目標)を明確に伝え、士気が下がったときの要因を特定し、職責を正しく評価して、成果を褒め、職場と生活にメリハリのある環境を整え、意見や言葉を尊重・肯定(心理的安全性の構築)するとともに、何よりも私自身が前向きに取り組みながら楽しむ姿を見せることです。
以上のことを自己の職責のひとつとして心掛けております。
第27回インド太平洋海軍大学セミナー
<海上自衛隊幹部学校>
過去最多22カ国が参加
海上自衛隊幹部学校(学校長・江川宏海将=目黒)は、2月13日から17日まで目黒地区大講堂や関東周辺で「第27回インド太平洋海軍大学セミナー」を開催した。1998年から開催されているもので、インド太平洋諸国における海軍大学の大佐級の教官等が一堂に会して、テーマに沿った意見交換や文化研修を通じて相互理解を深めた。今回は日本、アメリカ、イタリア、インド、インドネシア、イギリス、オーストラリア、カナダ、シンガポール、タイ、韓国、中国、チリ、ニュージーランド、フィリピン、フランス、ベトナム、ペルー、マレーシアと初参加となるカンボジア、トンガ、フィジーの過去最多となる22カ国が参加した。
参加者は、「平和で安定し、繁栄したインド太平洋に向けて、法の支配に基づく国際秩序の維持」を主題に、「『治安』『環境』に関連した海洋安全保障における脅威と海軍の取り組み」、「各国・地域との連携・協力と海軍の役割」について議論を交わした。期間中は慶應大学の土屋教授による基調講演や横須賀基地研修に加え、明治神宮や浅草等の名所を訪ねて日本の文化にも触れる機会を設けた。
江川学校長は開会式で本セミナーを通じて「対話を通じ皆が互いに学び合えること」、「その学びのプロセスによって、より良い協力ができること」、「協力することが最終的に地域の安全保障に役立つこと」の3つを期待すると述べ、「参加者相互の交流が、自由で開かれたインド太平洋の維持に資する海軍間協力を進展させ、ひいては共存共栄の国際社会の一助になることを祈念します」と挨拶した。