自衛隊ニュース

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WPNS SELWG 2023

海曹士が主体で開催 過去最多19カ国が参加

 12月5日から7日の間、西太平洋海軍シンポジウム上級下士官会同2023(WPNS SELWG 2023‥Western Pacific Naval Symposium Senior Enlisted Leaders Working Group)が都内のホテル等で開催され、過去最多となる19か国約30名(日本を含む)の上級下士官がグループ討議や部隊研修および文化研修等を通じて交流を深め、各国との協力・信頼を醸成した。


先任伍長制度創設20周年事業


 本会同は、西太平洋地域の各国海軍の上級下士官が一堂に介する場として、2007年、ニュージーランド海軍の提唱で「WPNS上級下士官シンポジウム」として始まった。2010年のWPNS本会議で正式に設置が決定されると、2012年に名称が今の「WPNS上級下士官会同」となった。毎年1回、WPNS加盟国が持ち回りで開催し、新型コロナウイルス感染症の影響で4年ぶりの対面開催となった本年度は、海上自衛隊先任伍長制度創設20周年記念事業として、日本が2009年以来14年ぶりに主催した。


海曹士主体で初めての国際会議


 この日を迎えるまでには相当な熱意と周到な準備を要した。昨年12月に海幕総務課に「海上自衛隊先任伍長制度創設20周年事業準備室」が編成され、全国から集った選りすぐりの海曹8名を室長の末永茂和海曹長が率いた。海曹士が主体となり、大規模な国際会議を企画・運営することは今回が初めてのことだけに、その

プレッシャーは大きかった。

海自全体で指定されている先任伍長は約300名。そ

のうち約60名が当日参加し、

総合司会や討議のファシリテーター等を務めた。警備・受付・案内・通訳等全国から

支援要員も集まり、曹士が一

致団結してこの日に臨んだ。


次世代に向けたリーダーシップ


 本会同のメインテーマは「次世代に向けたリーダーシップ」。海上自衛隊先任伍長の東和仁海曹長は開会式で「SELWGの在り方について改めて考え、新たな考え方や取組を知り、組織をブラッシュアップすることで、より良い形で次世代へと受け継ぐ機会としたい」と挨拶した。初日は海自による発表とリーダーシップについてのグループ討議、6日はフィリピンと英国による発表、慶應大学教授の特別講演が行われた。午後からは横須賀基地に移動し、最新鋭多機能護衛艦(FFM)「くまの」を研修。続いて第2術科学校(田浦)では海自唯一の庁内託児所「このはな園」を見学して園児たちと交流した。最終日の7日は浅草を巡り日本文化への理解を深めた。

 初めて海曹士が主体で開催し、海自の存在感を各国に示す事ができた国際会議を若い世代はどう感じるだろうか。この事業の成功により、先任伍長制度が将来を担う次世代隊員の道しるべとなることを願ってやまない。

 ※参加国は以下のとおり

 アメリカ、インド、インドネシア、イギリス、オーストラリア、カナダ、カンボジア、シンガポール、韓国、チリ、ニュージーランド、フランス、フィジー、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ペルー、マレーシア(線は初参加)

航空観閲式 入間で

岸田首相が訓示
隊員働き称える

 11月11日、入間基地において自衛隊最高指揮官の岸田文雄内閣総理大臣が出席のもと「令和5年度航空観閲式」が開催された。岸田首相は、観閲部隊を巡閲したのち、約800名を前にして訓示を述べた。その後C2輸送機やF15戦闘機等の装備品を視察した。なお前回の令和2年度同様、展示飛行は行われなかった。

 訓示において岸田首相は、中東イスラエルからの邦人等退避について触れ、「隊員たちはプロフェッショナルの仕事をし、国民の期待と信頼に応えてくれた。これは、輸送機を運航した隊員だけではなく、情報収集から飛行計画、機体の整備や警備、現地での調整などに当たった全ての隊員たちがワン・チームとなって成し遂げた成果で、諸君の働きを高く賞したい」と称えた。


防衛力を抜本的に強化


 また、我が国周辺に目をやると戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中にあるとし、「我が国を守り抜くための防衛力を積み上げ、必要な予算水準を確保して、防衛力を抜本的に強化する」と強調し、スタンド・オフ・ミサイルの速やかな整備や、初の日英伊による次期戦闘機国際共同開発を進めると述べた。さらに「情報収集・監視・通信など、宇宙空間の利用は戦略的に極めて重要」とし、「自衛隊の宇宙作戦能力についても強化し、令和9年度までに航空自衛隊を航空宇宙自衛隊とする」と表明した。

 最後に「国民は、隊員諸君に、国民の命と平和な暮らし、日本の領土・領海・領空を断固として守り抜くことを期待し、日本の繁栄と未来を諸君の双肩に託している。国民の期待に応え、託された使命を全うすべく、各員が勇往邁進し、一層奮励努力されんことを切に希望する」と隊員たちを激励した。

日米施設部隊が共同訓練

 空自北部航空方面隊と米空軍第35戦闘航空団は10月19、26日の2日間、三沢基地で日米施設部隊共同訓練を実施した。

 訓練は各種事態発生時における対処能力向上及び連携の強化を図ることを目的として、米空軍第35戦闘航空団所属の第35施設中隊と共に、平成29年から毎年実施している。

 滑走路被害復旧訓練では、第3航空団及び北部航空施設隊から24名が参加。米軍被害復旧訓練場に敷設されているコンクリートを滑走路と想定し、実際に重機等で破砕した上で元の状態に復旧した。

 建造物火災対処訓練では第2航空団、第3航空団、北部高射群から18名が参加。米軍消防実火訓練場において、火災した建造物に人が取り残された状況を想定し、互いに連携しながら消火活動及び要救助者の救助を行った。

 いずれの訓練も事前のミーティングで連携要領について綿密に情報共有を行い、活動中も英語やジェスチャーを用いて積極的にコミュニケーションを図ることで安全かつ円滑に終了。現場レベルにおける強固な日米協力体制を確認することができた。

化学学校66周年

 化学学校(化学学校長兼大宮駐屯地司令・榑林寿弘陸将補)は、10月14日及び15日、化学学校創立66周年記念行事を挙行した。

 14日は歴代学校長懇親会食を行い、化学学校の取り組みに関する意見交換を行い、今後の化学学校の更なる発展のための有意義な時間を共にした。

 15日は、記念式典、感謝状贈呈式及び記念行事昼食会を行い、記念式典では、化学学校長・榑林陸将補が式辞で「化学学校就中(なかんずく)化学科職種として自信と誇りをもって、この難局を乗り越えていこう」と述べ、使命の自覚と士気の高揚を図った。

 感謝状贈呈式では、平素より化学学校に対してご協力頂いている方に対し、感謝の意を直接お伝えできた。記念行事昼食会では、平素からお世話になっている多くの来賓の方と交流を図った。あいにくの雨の中の開催であったが、終盤には日が差し込み、心晴れやかな一日となった。

 化学学校は引き続き、国民及び地域の期待に応えられるよう、日々邁進していく。

まさに防衛省・自衛隊の応援団

事務次官 増田和夫

 防衛事務次官の増田和夫です。「防衛ホーム」の創刊50周年につきまして、心よりお祝い申し上げます。

 防衛ホーム新聞社の皆様におかれましては、50周年の長きにわたり、防衛省・自衛隊の活動について、紙面にて紹介いただいているのみならず、近年は「自衛隊応援まつり」を開催し、防衛省・自衛隊についての発信をしていただいております。まさに、防衛省・自衛隊の応援団であり、心からの敬意を表するとともに、感謝申し上げます。

 今般の防衛力の抜本的強化はこれまでにない大きな取組です。その実現のためには、厳しい安全保障環境や自衛隊の現状、今後整備していく防衛力の内容について、国民の皆様に御理解いただくことは大変重要であると考えており、防衛ホーム新聞社の皆様におかれましては、今後とも様々な御支援を賜れますと幸いです。

 最後になりますが、防衛ホーム新聞社の今後一層の御発展と、読者の皆様の御健勝と御多幸をお祈りいたしまして、私の祝辞とさせていただきます。


新政務三役が始動

副大臣に宮澤氏

政務官に三宅氏と松本氏が就任

 宮澤博行防衛副大臣兼内閣府副大臣

 昭和50年1月静岡県出身。東大卒。衆議院比例東海ブロック選出、当選4回。磐田市議会議員を経て防衛大臣政務官などを歴任。


 三宅伸吾防衛大臣政務官兼内閣府大臣政務官

 昭和36年11月香川県出身。東大院卒。参議院香川選挙区、当選2回。日本経済新聞編集委員を経て参議院外交防衛委員長など歴任。


 松本尚防衛大臣政務官

 昭和37年6月石川県出身。金沢大卒。衆議院千葉13区選出、当選1回。日本医科大特任教授。日本でのドクターヘリによる病院前救急診療の第一人者。

「しらせ」は男性救助

津軽海峡で

 海自の砕氷艦「しらせ」は9月6日、青森・竜飛岬北約5・5キロの津軽海峡で男性1人を救助した。

 同日午前8時ごろ、海上保安庁から男性1人が乗ったカヤックの遭難の情報が提供された。8時41分、男性を救助、午前9時50分、海保巡視艇「ひばかぜ」に引き渡した。「しらせ」は令和5年度総合訓練を行っていた。

 海保によると、カヤックで津軽海峡を横断中、潮流の影響で陸に戻れなくなり、救助要請があった。

第11回災害対処連絡会 第2施設団

さらに信頼される駐屯地へ

 第2施設団(団長・黒羽明将補)は7月4日、船岡駐屯地において、第11回災害対処連絡会を開催した。

 本連絡会は、宮城県仙南地区における自治体、関係機関等の皆様と自衛隊との関係の強化充実を目的として、年に一度、陸上自衛隊第2施設団が船岡駐屯地において開催しているもの。東日本大震災の翌年となる平成24年度から始まった本連絡会は、今年で11回目を迎えた。今年も、国交省、環境省、県、市町村、警察、消防、隊友会、家族会等多くの関係者が一堂に会することができ、大変有意義な会となった。

 近年、台風、豪雨等に伴う災害が頻発、激甚化している中、ニュースや天気予報、災害情報の提供もかなり変化している。

 このような中で、自衛隊は、国民の生命と財産を守るべく、従前の現地における「待ち受け型」の対応ではなく、「提案型」の支援を継続的に実施しなければならない。また、災害初期段階においては、自治体からの要請やニーズを積極的に収集すべく、空振りを厭わず迅速な初動活動が必要と認識をしている。

 本連絡会では、自衛隊、関係機関からの情報発信及び装備品展示を行った。特に、今年度から新たに自治体等に加え警察・消防の方からの情報発信や自治体との懇談時間を設定するとともに、相互理解の観点からも国土交通省東北地方整備局(TEC-FORCE)による情報発信及び装備品展示の協力を得て、より一層充実した連絡会を開催することができた。

 第2施設団(船岡駐屯地)は、風水害や台風シーズンの到来を前に関係者との顔の見える関係の構築及び能力の相互理解に努め、隊区内自治体・関係部外機関等との連携強化を図り、更なる災害対処態勢の強化を推進していく。

空自、仏航空宇宙軍と共同訓練

新田原等で日仏協力強化図る

 7月26日から28日まで、航空自衛隊はフランス航空宇宙軍(以下「仏空軍」)と国内で初めて共同訓練を実施した。フランスからは戦闘機「ラファール」、空中給油・輸送機「A330MRTT」、輸送機「A400M」が来日し、新田原基地で第5航空団所属の戦闘機「F15」等と共に戦術技量の向上や相互理解の促進を図った。本訓練は、欧州諸国のインド太平洋地域への関与を促進し「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の実現に向けて意義深いものとなった。

 また、今回の訓練に合わせ、仏空軍参謀長のミル大将が来日し、内倉航空幕僚長と会談を行った。両トップは、日仏両国が地域やグローバルな課題に対応するため、安全保障上の問題認識を共有し、FOIPの実現に積極的に関与することで一致した。

 (写真は特に記載がないものは第5航空団提供)

陸空部隊が災害派遣

福岡、佐賀で土砂崩れ 秋田では断水

 梅雨前線の影響による記録的大雨が7月10日朝から九州北部を襲い、福岡、佐賀両県2市の土砂崩れが発生した現場で、陸空各部隊が人命救助の災害派遣活動に当たった。秋田県では、同14日からの大雨に伴う土砂災害の影響で1市2町で配水管破損による断水等が発生し、給水支援などに全力を尽くした。


西方混成団、西方特連

芦屋、築城など救助へ


 7月10日午後2時4分と同午後10時半、陸自第4師団長(福岡)に対し、福岡県久留米市内と佐賀県唐津市内の土砂崩れ現場での人命救助の災派が要請された。

 久留米市の現場では、陸自の西部方面混成団(久留米)、第4高射特科大隊(同)、第5施設団(小郡)の約60人が活動。西部方面航空隊(高遊原)と第4飛行隊(目達原)のUH1ヘリ各1機が映像伝送、航空偵察に当たった。西方混成団と第4偵察戦闘大隊(福岡)は、現地で情報収集した。

 唐津市の現場では、陸自の西部方面特科連隊(久留米)、第4施設大隊(大村)と空自芦屋、築城両基地の隊員約250人が活動。4偵大が情報収集を行った。

 久留米市の現場は10日午後5時56分、唐津市の現場は14日午後1時50分、それぞれ撤収が要請され、活動を終えた。


21普連、33警戒隊など

給水、廃棄物撤去全力


 7月14日からの大雨に伴う土砂災害の影響で、秋田県の八峰町の約1200世帯、男鹿市の約4千世帯、五城目町の約3千世帯で断水等が発生。16日朝から翌17日朝にかけて陸自第21普通科連隊(秋田)に対し、給水支援の災派が要請された。

 21普連と第9化学防護隊(青森)、空自33警戒隊(加茂)の隊員らが1トン水トレーラなどで給水支援を行った。男鹿市は19日午後8時、八峰町は22日同5時、五城目町は24日同7時に撤収要請を受けた。16日から24日まで隊員延べ約330人が活動し、延べ約385トンを給水した。

 一方、16日午後1時には、秋田市内の患者緊急輸送支援の災派が要請された。21普連の隊員約40人が中通総合病院の入院患者16人を搬送し、同日午後4時半、活動を終えた。

 また、秋田市で広範囲の浸水被害に伴う災害廃棄物の衛生上の問題が生起し7月21日午後1時、21普連長へ撤去支援の災派が要請された。

 自治体等と共に共同オペレーション「ALL FOR AKITA」(日中は自治体とボランティアが集積を行い夜間、自衛隊が集積場から一次仮置場までの輸送を行う)を実施。21普連と第357施設中隊(秋田)の隊員延べ約290人が作業に当たり、延べ約466トンを撤去している(25日現在)。

陸上自衛隊、各国と共同訓練

カーン・クエスト、サザン・ジャッカルーを実施

令和5年度も陸上自衛隊は、米軍を含む各国との共同訓練が目白押しだ。


【カーン・クエスト23】

 6月19日から7月2日の間、陸上自衛隊はモンゴルで実施された国連平和維持活動(PKO)に係る訓練としては世界最大級となる多国間訓練「カーン・クエスト23」に参加した。モンゴルと米国が共催する本訓練には日本を含む21カ国が参加、PKO派遣の能力向上、ノウハウの獲得と共に、参加国との相互理解の促進・信頼関係の強化を図った。日本からは陸上総隊司令官の竹本竜司陸将を担任官として、総隊司令部、隷下の中央即応連隊、国際活動教育隊、北部方面隊から第11普通科連隊が参加した。

 指揮所訓練では多国籍の国連現地司令部が編成され、他国の幕僚と共に連携してPKOの任務遂行に係る幕僚活動を演練した。また実働訓練においても多国籍で編成された指導部による指導を受けた参加部隊が、PKOに係る多様な教訓をもとに、車列警護、国連指定施設警護・検問、文民保護等を演練した。


【サザン・ジャッカルー23】

 6月22日からは豪州で米豪との実動訓練「サザン・ジャッカルー23」を行い、対ゲリラ・コマンドウ対処に係る作戦遂行能力や米豪軍との相互運用性の向上を図った。

 日本からは東北方面総監の梶原直樹陸将を担任官として第44普通科連隊、東北方面特科連隊が参加。米海兵隊からは第1海兵機動展開部隊、豪軍からは第7旅団が参加した。

 今年は豪軍が保有する交戦用訓練装置を使用した対抗演習に陸自として初めて参加し、重要施設等の防護、攻撃・防御に係る行動を演練した。また豪州の広大な訓練環境を活かし、豪軍第7旅団が統制する実弾射撃訓練に参加して迫撃砲を含む各種地形に応じた射撃を演練した。

 陸自は直近でも7月10日から米海兵隊と共に国内で「レゾリュート・ドラゴン23前段指揮所演習」が始まり、7月20日からは豪州で米豪軍等との実動訓練「タリンスマンセイバー23」を控える。今後も米のみならず、二国間、多国間での訓練を通じて相互運用性の向上、信頼関係強化を図っていく狙いだ。

優秀地本等を表彰

第1級賞状に鹿児島・埼玉・香川

 6月20日・21日に、ホテルグランドヒル市ヶ谷で「令和5年度全国地本長会議」が実施された。全国の地方協力本部を指揮・監督する陸幕長の訓示、施策説明や意見交換等が行われ、一堂に介した地本長等は募集・援護等の目標達成に向けた強い意志を共有した。

 また、会議に先立ち同所で「募集業務」「就職援護業務」「予備自衛官等管理業務」等、業務全般に対して優秀な成績を収めた地本や広報官等を讃える「優秀地本等表彰」が行われた。なお第1級賞状の表彰式は、20日に副大臣室で行われた。

 受賞地本等は以下のとおり。

【第1級賞状】

 鹿児島、埼玉、香川


【第2級賞状】

 函館、岩手、秋田、群馬、神奈川、新潟、福井、愛知、大阪、奈良、島根、高知、福岡、宮崎


【陸幕長褒章】

(カッコ内は功績)

 山形(援護業務)、栃木(募集業務)、東京(予備自衛官等業務)、山梨(予備自衛官等業務)、岐阜(募集業務)、沖縄(予備自衛官等業務)


【優秀広報官表彰 第2級賞詞】

武藤 健1陸曹(函館)、

加藤 勉空曹長(岩手)、

安田智明1陸曹(秋田)、

堀越正紀1陸曹(群馬)、

太田和仁1空曹(埼玉)、

柚木裕貴2陸曹(神奈川)、

頭師健一1陸曹(新潟)、

中村貴史2陸曹(福井)、

増井弘明陸曹長(愛知)、

隈元幹治2陸曹(大阪)、

和田安弘1陸曹(奈良)、

櫻井正人陸曹長(島根)、

杉原高雄陸曹長(香川)、

弘瀬 新1陸曹(高知)、

松岡暁子2陸曹(福岡)、

越智大介2空曹(宮崎)、

田野敦子1海曹(鹿児島)


【優秀広報官表彰 陸上幕僚長褒章】

武田光俊陸曹長(札幌)、

高津戸努陸曹長(旭川)、

桜井直樹1陸曹(帯広)、

市橋陽子2空曹(青森)、

相原千夏2陸曹(宮城)、

菅野 翔2陸曹(山形)、

山根芳之2陸曹(福島)、

中島昌克2陸曹(栃木)、

米田 崇2空曹(千葉)、

藤田雄介1陸曹(東京)、

浅利仁士1陸曹(山梨)、

木戸一臣2陸曹(長野)、大越秀平2陸曹(富山)、中嶋雄太2海曹(石川)、渡邉直樹准陸尉(岐阜)、外園清香1陸曹(三重)、井本万穂美2陸曹(滋賀)、

瀬戸悠一2陸曹(京都)、

一刀康寛1海曹(兵庫)、

川本隆志2陸曹(和歌山)、

川場亮太1空曹(鳥取)、

梶谷博則陸曹長(岡山)、

竹岡睦裕2陸曹(広島)、

橋本興仁2陸曹(山口)、

今村成志准空尉(徳島)、

瀧岡晃治2陸曹(愛媛)、

中野貴昭1陸曹(長崎)、

三池政則1陸曹(熊本)


【隊員自主募集優秀部隊等表彰(第2級賞状)】

▽師・旅団の部

第13旅団、第13特科隊、第13音楽隊

▽直轄部隊の部

第2施設団、中央音楽隊、小倉駐屯地業務隊

富士総合火力演習 勇壮に諸職種協同で完遂

SNSでライブ配信


 「防衛るのは『陸上』だけではない」ーー。陸自の国内最大の実弾演習「令和5年度富士総合火力演習」が5月27日、静岡県の東富士演習場で行われた。迫力ある訓練の様子はSNSでライブ配信された。


島しょ防衛のシナリオの下3400人参加


 演習は昭和36年に学生教育の一環として開始され、今年で65回目。41年から一般公開され、毎年多くの来場者を魅了してきたが、本来の目的の教育訓練に注力するため今年から一般公開は中止された。

 演習規模は、人員が富士学校、陸上総隊、各方面隊、各学校等からの統裁部含め約3400人(演習部隊は約2500人)。装備品のうち戦車・装甲車は68両、各種火砲は71門。

 昼間演習と夜間演習がいずれも前段と後段に分けて実施された。昼間演習前段では、陸自が誇る各種火器等が披露された。

 極超音速誘導弾や12式地対艦誘導弾(12SSM)能力向上型といった敵火力等の脅威圏外から正確・長距離の打撃が可能な「スタント・オフ・アセット」を整備していく方針も伝えられた。

 「無人アセット防衛能力」も紹介され、小型飛行機の形状の突入型と、マルチコプタータイプの爆弾投下型の2種の小型攻撃用UAVによる攻撃が展示された。


 昼間演習後段では、海空自機も加わって「島しょ部における領域横断作戦に係る諸職種協同による戦闘行動」のシナリオに基づいた一連の戦闘要領が迫力ある実弾射撃とともに、展示された。

 状況は航空機、警戒監視部隊による情報収集で始まった。海自P1哨戒機が会場上空に進入、先遣部隊を乗せ、陸自のUH1ヘリと総火演初登場の新鋭機UH2ヘリが飛来した。

 ネットワーク電子戦システム(NEWS)も活用し、侵攻状況を察知。会場右約3千メートル奥の目標「三段山」を海岸と見立て、上陸を図る敵水陸両用戦車に16式機動戦闘車(MCV)小隊が射撃を行った。

 防御戦闘への移行の命令が下達されると、部隊は内陸部に侵攻しようとする敵の阻止に全力を傾注した。

 反撃のための要点奪回を目指し水陸両用・空挺作戦が展開され、空挺部隊が空自C2輸送機から降下、水陸機動部隊が水陸両用車(AAV)で前進した。

 機動師団主力が反撃の火ぶたを切った。74式、90式両戦車小隊などが攻撃準備、突撃支援の各射撃を実施。10式戦車小隊やMCV小隊などが続き、戦果を拡張して状況を終えた

航空自衛隊准曹士先任交代式

第8代に高着准尉が着任

 5月23日、第8代航空自衛隊准曹士先任に高着弘康准空尉が着任した。本省講堂で行われた交代式には内倉浩昭航空幕僚長を執行者として、空幕各部長等が立会のもと、統幕・陸・海自最先任、在日米軍第5空軍最先任、編合部隊等准曹士先任等が参列した。

 准曹士先任が平成20年に制度化されてから今年が15周年の節目の年。交代式では内倉空幕長が「航空自衛隊の根幹をなす准曹士隊員のひとりひとりが、健全に明朗闊達にそれぞれの役割を果たせるよう服務指導の充


7代甲斐准尉は統幕最先任に


 交代式に先立ち、離任する第7代の甲斐修准空尉に対する表彰式が行われた。令和元年12月に着任した甲斐准尉はその3年5カ月の在任期間の大半がコロナ禍で行動制限等を余儀なくされる中、オンラインツール等を駆使し、各部隊等准曹士先任との意思疎通を図る体制を確立した。またSNSを活用した情報発信を始め、米空軍最先任はじめとするインド太平洋地域の空軍種における下士官との相互理解・信頼醸成の深化に努めた。

 訓示において内倉空幕長は甲斐准尉をして「まさに人の痛みがわかる先任」と評し、6月には統合幕僚監部最先任に着任する甲斐准尉に対し「空幕での経験を活かし難しい状況に置かれても、持ち前の明るさやきめ細やかさで克服し、吉田統幕長と共に力強くけん引していってほしい」と餞の言葉を贈った。


総隊時代にも内倉空将を補佐


 甲斐准尉が指定解除申告および識別章の返納をした後、新たに着任した高着准尉が指定申告を行った。内倉空幕長は、直接高着准尉に識別章を取り付け、その左胸を「頼むぞ」とばかりに数回強く叩いて、新航空自

衛隊准曹士先任を鼓舞した。

 高着准尉は前職が航空総隊准曹士先任で、内倉空幕長は同隊司令官在任時に「様々な局面で助けてもらった」と振り返り、「次は航空自衛隊の准曹士先任として、全体を俯瞰しつつ各部隊が抱える不安や悩み等に向き合いその解決策を共に模索していきましょう」と激励した。


【第8代航空自衛隊准曹士先任 高着弘康准尉】


 平成元年入隊、平成28年西部防空管制群准曹士先任、令和元年西部航空警戒管制団准曹士先任、令和3年航空総隊准曹士先任、令和5年現職。福岡県出身。職種は警戒管制。


 式典後、在日米軍兼第5航空群司令官からの感謝状が甲斐准尉に伝達された。


第7回日仏「2+2」

防衛協力・交流の深化で一致

 5月9日、浜田靖一防衛大臣は外務省において林芳正外務大臣、カトリーヌ・コロンナ・仏欧州・外務相、セバスチャン・ルコルニュ・仏軍事相と共に第7回日仏外務・防衛閣僚会合(以下「2+2」)をテレビ会議方式で開催した。同国との「2+2」は昨年1月以来となる。4閣僚は両国間の防衛協力・交流および防衛装備・技術協力を深化させることで一致した。また4月にフランスが支援した北東アフリカ・スーダンからの邦人退避について浜田・林両閣僚からあらためて謝意が伝えられた。

 浜田大臣は、日仏間の防衛協力・交流が進展していることを歓迎し「あらゆる地域で力による一方的な現状変更を引き起こさないためにも、EU加盟国としてはインド太平洋地域に唯一常続的な軍事プレゼンスを有するフランスとの連帯が一層必要だ」と発言した。会合後には共同声明が発出され、その中には自衛隊とフランス軍が円滑に共同訓練等を行える枠組みについて議論を加速させること等が盛り込まれた。

在スーダン邦人を国外に退避

C2で45名をジブチに輸送

 4月15日、アフリカ北東部のスーダン共和国で、スーダン国軍と準軍事組織「即応支援部隊」が衝突。情勢悪化を鑑み、19日に外務大臣から、同国に滞在する邦人等の輸送準備要請を受けた浜田防衛大臣は、派遣海賊対処行動部隊の拠点がある近隣のジブチ共和国に空自輸送機を待機させる命令を発した。同日、自衛隊は先遣隊の連絡調整員5名をジブチに向け派遣。航空支援集団司令官を指揮官として約370名からなる「在スーダン共和国邦人輸送統合任務部隊」が編成され、21日午後にはC130輸送機1機が小牧基地からジブチへと出発した。後を追うようにC2輸送機とKC767空中給油・輸送機も22日までに順次出発、23日未明までに3機全てがジブチに到着した。

 24日、ジブチを出発したC2でスーダン東部のポートスーダンから在留邦人と配偶者やその子ども合計45名をジブチに退避させた。フランスや国際赤十字の協力でジブチやエチオピアに退避した13名を合わせ、25日までに首都ハルツームからの退避を希望していた大使館員を含む58名全ての在留邦人の退避が完了した。スーダン南部国境付近には、国外退避を希望している邦人1名が在留しており、政府は引き続き支援を行うとしている(4月25日時点)。

石垣駐屯地で記念行事

「諸君は国の宝」浜田大臣

八重山警備隊など参加し


 4月2日、沖縄県石垣島に所在する陸上自衛隊石垣駐屯地(司令・井上雄一朗1陸佐=兼八重山警備隊長)で記念行事が行われた。駐屯地では3月16日に八重山警備隊の編成完結式が行われていたが、駐屯地に所在する部隊を部内外の招待者に披露し、石垣島民の一員として石垣市民の理解と信頼を深めると共に、部隊の団結の強化及び士気高揚のために改めて記念式典を行った。八重山警備隊、第303地対艦ミサイル中隊、第348高射中隊、石垣駐屯地業務隊等が参加した。


島民の一員として

獅子舞イタシキバラも

隊旗授与力強く

 

 まずは、新しい駐屯地儀仗広場で浜田靖一防衛大臣に対する栄誉礼から始まった。次いで、行われた隊旗授与式では、浜田大臣から井上司令に八重山警備隊旗が力強く手渡された。その後、駐屯地看板除幕式、記念植樹と続いて記念行事は終了した。

 南西地域の空白地域を解消するため、与那国島、奄美大島、宮古島に続いて石垣島に部隊が配備された。井上司令は「駐屯地開設は我々が先島諸島にしっかりと構え、備えることにより抑止となり対処能力を構築させるという意味で意義が高い」「自衛隊がどういうものかも地域の方に理解していただけるようにしていきたい。また、全国から集まった隊員が島民となるので、島や島民を守る自衛隊でありながらも、八重山を理解し地域に溶け込んでいきたい」と力の漲った覚悟を感じられる決意を表明した。

 浜田大臣は「南西地域の強化は我が国を守り抜く決意の現れであり、隙のない防衛体制は精鋭である諸君の方にかかっている。諸君は国の宝である、頑張ってください」等と訓示した。

新統・陸・空各幕僚長が着任

 新旧の統合、陸上、航空各幕僚長の離着任関連行事が3月30日、東京都新宿区の防衛省で行われ、第7代統合幕僚長に吉田圭秀陸将(前陸上幕僚長)、第39代陸上幕僚長に森下泰臣陸将(前東部方面総監)、第37代航空幕僚長に内倉浩昭空将(前航空総隊司令官)が新たに着任した。山崎幸二前統合幕僚長、井筒俊司前航空幕僚長は多くの隊員、職員に見送られ省を後にした。

(2面に3幕僚長をはじめ各部隊指揮官のプロフィールを掲載)


吉田統合幕僚長

諸官の先頭に三つの融合アプローチで


 吉田統幕長は着任の辞で、ロシアによるウクライナへの軍事侵略を挙げ、「ウクライナと同様の深刻な事態がインド太平洋地域、なかんずく我が国周辺で生起する可能性が排除できないという深刻な危機感を諸官全員と共有したい」と認識を示した。

 そうした情勢への対処のために、「国家防衛戦略」で示された我が国への侵攻を阻止・排除する防衛力の抜本的強化に、「最大限寄与する統合運用体制の確立」を目標に掲げ、その目標達成のために、「戦略レベルと作戦レベルの融合」、「防衛力整備と防衛力運用の融合」、「統合・日米共同・多国間連携・省庁間協力の融合」の三つの融合アプローチが必要と述べた。

 さらに、目標と三つの融合アプローチを進めていくために「統合的な運用構想の具現」、「実効性ある常設の統合司令部の創設」、「計画策定と統合共同演習による検証」の三つの事業を重点的に実施していく方針を語った。

 最後に「我が国の安全を担保し国民の負託に応えうる統合防衛力の創造のため、いかなる時も諸官の先頭に立ち、持てる力を全て尽くして職責を全うすることを誓う」と決意を述べるとともに、統合幕僚監部の隊員へ「誇りと矜持を持ち、一人一人が主体的にはつらつと職務に邁進することを期待する」と求めた。


森下陸上幕僚長

「克己」で挑戦せよ


 着任の辞で森下陸幕長は、周辺国の脅威による「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境」の下、「望ましい安全保障環境の創出に寄与し、将来にわたり我が国の安全を担保し、国民の負託に応えなければならない」と表明。

 歴代陸上幕僚長の「強靭な陸上自衛隊の創造」を統率方針として引き継ぎ、「諸先輩方々が営々と築かれた伝統を継承しつつ、緊張感を持って陸上防衛力の急速な整備と戦力化に全力を傾注する」と語った。

 また、隊員たちに「克己」を要望。「己自身の弱さが最大の敵となることを常に認識しなければならない。いかなる事態に対しても即応して任務を完遂しうるよう、強い意志と執念を持って、挑戦し続けてもらいたい」と求めた。

 最後に「国民の生命、財産と我が国の領土を断固として守り抜くため、常に陣頭に立ち全身全霊を捧げる覚悟で職務に邁進することを誓う」と率先する決意を示した。


内倉航空幕僚長

三つの「C」の実践を


 内倉空幕長は着任の辞で、防衛3文書が示す「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境」を前職の航空総隊司令官としての約2年半の勤務で日々実感していたと語った。

 こうした安全保障環境を踏まえ、「航空及び宇宙に関する防衛力の抜本的強化を戦略や計画にのっとって、よりスピード感をもって具現化していかなければならない。日米同盟の抑止力・対処力のさらなる向上はもちろんのこと、同志国等との連携強化を一層推し進めていくことが急務」と表明。

 そのために三つの「C」、「Capability」(能力)、「Connectivity」(つなぐ)、「Challenge」(挑戦)を実践することを求めた。

 さらに、「率先して学びを続け、一人でも多くの隊員に一言でも多くの言葉を語りかけ心をつなぎ、果敢に挑戦を続け、三つの『C』を実践することで職責を全うすることを誓う」と決意を述べた。

教育訓練研究本部がセミナー

「将来の陸自のAI利用の方向性」テーマに

民生技術の募集も


 教育訓練研究本部(本部長・廣惠次郎陸将=目黒)は2月22日、陸上自衛隊の将来の戦い方や部隊実験に関する事項を広く企業に知らせ、各企業から技術提供を受ける基礎作りを目的として、教育訓練研究本部セミナーを目黒駐屯地にて開催した。

 冒頭、廣惠本部長がセミナー開催のあいさつを実施するとともに、改めて教育訓練研究本部の役割等についてパンフレット等を使用して紹介したのち、陸上自衛隊の将来の戦い方や令和5年度部隊実験に関する説明及び将来作戦構想に資する技術情報の募集を行った。

 セミナーの後段では、「将来の陸自のAI利用の方向性」をテーマにパネルディスカッションを実施。陸自きってのAIスペシャリストである高木耕一郎1陸佐(ハドソン研究所)、青木圭1陸佐(防衛装備庁)、川岸卓司3陸佐(開発集団)をパネリストとし、菊池裕紀1陸佐(教育訓練研究本部研究部)をモデレーターとして、各国でのAI導入の取り組み状況や、AIの陸自実装における技術的可能性と課題等について紹介を行ったのち、議論を交わした。併せて各企業の関心事項について質疑応答を行い、産官の連携を一層密にした。

 なお各企業からの技術情報の提供受けについては、教育訓練研究本部ホームページ(http://www.mod.go.jp/gsdf/tercom/index.html)において行っている。

 引き続き教育訓練研究本部は、陸上自衛隊における教育、研究開発、教訓・訓練評価業務の中核組織として、長期的な戦略情勢や科学技術の動向を見据えながら、日米共同、統合及び陸上戦闘に関するコンセプト、ドクトリンを開発するとともに、教育・訓練を革新し、将来にわたる陸上防衛力の充実に寄与していく。


サポート必須


 パネルディスカッションでは、「将来の陸自のAI利用の方向性」を議題にAI(artificial-intelligence=人工知能)がもたらす可能性などについて、4人が議論を交わした。

 オンライン参加したハドソン研究所研究員の高木耕一郎1陸佐は、「人工知能を巡る米中の戦い」について発表。「人工知能の軍事利用を巡る4つの論点」として、(1)情報処理能力の向上(2)無人兵器の利用(3)迅速な意思決定(4)「認知戦」への利用ーーを挙げ、特に(2)~(4)での米中の差異について述べた。

 このうち、(2)無人兵器の利用については、致死型を含む兵器について中国は完全な「自律化」、「スウォーム攻撃」に注目しており、米国も従来のAI利用上の倫理面の強調から、軍事的な必要性に基づき兵器の自律化を促進する旨の姿勢変換について令和5年1月下旬に米国防総省が発表したガイドラインを根拠に指摘した。

 「人工知能を巡る戦いと半導体規制」について、米国の半導体規制が中国の軍事力増強(智能化)に影響を与える可能性があるものの長期的な展望は不透明とも結論付けた。

 また、「戦勝を獲得するにあたり、技術そのものが最新である必要はない」とも強調。技術で劣りながら勝利した欧州の過去の戦いの例を挙げ、「技術のみに注目することは適切ではなく、革新的な戦い方の創造を総合的に行う」必要性を強調した。

 防衛装備庁プロジェクト管理部の装備技術官、青木圭1陸佐は「人工知能(AI)の陸自装備への実装に係る一考察」と題し発表。

 将来の陸上防衛力整備に係るキーワード(遠方早期、自律分散など3項目)、並びにウクライナ侵攻を受けたトレンド予想から、「不確実な複雑系での同時制御」の必要性を説明。

 陸上戦闘では機能、能力の異なる多種多数のアセット(装備品など)の行動を同時に決定・提示していくことが必要で、「相当に不確実、複雑な状況下で同時に多種多数のアセットを適切に制御していくのは人手では不可能であり、AIのサポートが必須」と語った。

 ディスカッションでは、参加者を交えAI導入の方向性、導入分野、人材育成等の幅広い分野について討議が行われ、特に高い専門的知見を有する青木1佐及び川岸3佐からAI分野の最新動向を捉えた現実的な解決策が提示された。


絆回復に全力

本部長


 廣惠教育訓練研究本部長は閉会あいさつで、「本日は陸上自衛隊の戦力化プロセス、将来の戦い方を紹介し、また、部隊実験で使い、将来、陸上自衛隊で使えるであろう民生技術のご提案もお願いした。ぜひともご協力をいただきたい。現役自衛官が企業の皆様の前でライブでパネルディスカッションを行ったのは、おそらく史上初めてではないか。ぜひご意見も賜りたい。コロナ禍の3年間で自衛官と企業の皆様との絆が希薄になったことが一番残念。失われたものを回復すべく努力を続けてまいりたい」と述べた。

トルコ共和国国際緊急援助空輸隊

現地に医療資機材届ける

 2月6日に発生したトルコ南東部を震源とする大地震は、トルコとシリアで甚大な被害をもたらし、死者は4万6000人を超えた(2月20日時点)。

 防衛省・自衛隊は10日に2海佐1名と事務官1名を情報収集・連絡調整要員として現地に派遣した。また13日は浜田大臣の命を受け、トルコ共和国国際緊急援助空輸隊等を編組し、航空自衛隊B777特別輸送機が、現地で活動する医療チームに必要な機材等を輸送するため千歳基地を出発、途中積荷のため成田空港を経由してトルコへと飛び立った。

 14日、現地に到着、入院ベッド、手術台、麻酔器、人工呼吸器等の医療資機材や医療チーム隊員用の生活資機材を届け、17日に千歳基地へと帰国した。

ラオスに対する能力構築支援

風水害を想定したHA/DR(施設)分野で

 1月23日から2月3日まで、陸上自衛隊施設学校(学校長・圓林栄喜陸将補=勝田)等は、ラオス人民軍に対して、風水害を想定したHA/DR(人道支援・災害救援)の施設分野での能力構築支援を国内で実施した。

 水害等の自然災害が多いラオスには災害対応をできる部隊が無いため、対処能力の向上は喫緊の課題となっている。昨年10月には施設学校の教官が現地でセミナーを開催、今回は20名の同国軍隊員を招聘して座学や重機を使った実習を行った。うち士官4名は工事管理計画の作成も行った。

 座学や操縦錬成の後、1月30日からは総仕上げとして総合実習を開始。相馬原演習場で実際に使用されている「草捨て場」と「実線道」を水害で荒廃・破損した道路と想定し、ドーザーやグレーダ、ローラー等で整地して部隊等が一時的に通過できる応急的な土砂道の構築を行った。

 来日当初の練度確認では、土をまともにすくえない、重機がぎこちなく動く、といった状況だったが、ドーザーでクラウン(排水をしやすいように道路の中央を少し高くした状態)を作ったり、側溝も丁寧に仕上げる等、繊細な操作もできるようになり、目標の初級と中級レベル(陸自「特技」に換算)程度の技術を習得することができた。

 教官の竹内豊浩3佐(施設学校教育部)は「ラオスの隊員は、非常に勤勉で実直、伝えた事を素直に理解してくれた」と手応えを感じたようだ。引率者のファサワン中佐は「技術の向上は、経験豊かな教官のおかげ。帰国してこのような研修を広めたい」と述べ、ドーザーを操縦したウォンファチャン少尉は「操縦の基礎から応用まで学べた」と充実感を口にした。

 今後は同時並行の能力構築支援「捜索救助・衛生」ユニットとの連携要領についても演練していく予定だ。


国際貢献活動としての能力構築支援事業


 2012年から主に東南アジアを対象に行われている自衛隊独自の事業「能力構築支援」。国際貢献活動と言えば「国連平和維持活動(PKO)」を最初に思いつくかもしれないが、「能力構築支援」は既に計16カ国1機関に対して実施しており、その実績はPKO30年の歴史に決して引けをとらない。相手国の能力向上を支援することが国際平和・地域の安定に繋がり、また相手国や同じく支援を行う米国・豪国との友好関係構築にも寄与する当事業は、昨年末の防衛力整備計画によれば、今後は太平洋島嶼国にも拡充する方針だ。

美ら島レスキュー2022

県と一体で災害対処能力を向上

<15旅団>

 第15旅団(旅団長・井土川一友陸将補=那覇)は、1月12日、沖縄県との共催で「美ら島レスキュー2022(図上訓練)」を実施し、沖縄県庁、南部合同庁舎、那覇駐屯地等では図上訓練を、宮古島では実動訓練(救助訓練)を実施した。

 昨年9月の訓練同様に、今回も防災関係機関等を招致して沖縄県における大規模地震・津波に対する対処訓練を行い、県を主体とした自治体、防災関係機関等との連携の強化及び沖縄県と一体となった災害対処能力の向上を図った。

 また、本訓練には自衛隊及び関係機関等合わせて約600名が参加。県庁での会議には、県副知事をはじめ県庁職員等(各部長等)及び陸海空自衛隊が参加した。

 なお、那覇駐屯地での図上訓練(防災関係機関等との情報連携)には、米第3海兵遠征軍及びその他在沖米軍部隊もオブザーバーとして参加した。

 今後も第15旅団は、各自治体等と連携を図り、沖縄県民の皆様の安心・安全のため日々任務に邁進していく所存である。

省・自衛隊一丸で守り抜く

戦後最大の試練の時
体制整備迅速かつ着実に
浜田大臣 年頭の辞
諸君は国の宝

 防衛大臣の浜田靖一です。令和5年の年頭に当たり、全国の隊員諸君に新年のお慶びを申し上げます。

 また、日本中や世界各地で懸命に職責を果たす隊員諸君に対し、防衛大臣として、改めて心からの敬意と感謝を表します。

 今日は全国の隊員諸君に、私の想いを3点、お伝えします。

 まず、我が国を取り巻く安全保障環境です。

 昨年2月から続くロシアのウクライナ侵略は、国連安保理の常任理事国が、国際法を無視して主権国家を侵略し、核兵器による威嚇ともとれる言動を繰り返すという前代未聞といえる事態です。

 中国は、軍事力を広範かつ急速に強化し、力による一方的な現状変更やその試みを継続・強化しています。

 北朝鮮は、昨年、かつてない高い頻度で、かつ新たな態様でミサイル発射を繰り返しました。

 諸君におかれては、国際社会が今、戦後最大の試練の時を迎え、既存の秩序は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入していることを念頭におきながら、日々職務に邁進してください。

 次に、我が国の防衛体制の強化です。

 安全保障環境が厳しさを増す中で我が国を守り抜くため、昨年12月、新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画を閣議決定しました。

 本年からは、これらの方針を踏まえ、我が国を守り抜くため必要な体制を迅速かつ着実に整備していかなければなりません。引き続き、私が先頭に立って、これらの取組を進めていきます。

 最後は、各国との安全保障協力の強化です。

 我が国唯一の同盟国である米国とは、日米安全保障条約等に基づき、引き続き様々な分野での協力を進展させます。

 米国以外の諸外国、特に、基本的価値や安全保障上の利益を共有する多くの国々との二国間、多国間協力の強化も不可欠です。

 引き続き、「自由で開かれたインド太平洋」を踏まえ、基本的価値を共有する仲間と手を携え、秩序を変えようとするものに、一丸となって反対していきます。

 a我が国の安全保障は、諸君一人一人の努力の積み重ねの上に成り立っています。諸君は国の宝です。その誇りを胸に、本年も防衛省・自衛隊一丸となって、日本の平和と安定を守り抜いていきましょう。

千歳音楽まつり

第7音楽隊

3年ぶりの有観客 温かい拍手に元気もらう

 第7音楽隊(隊長・平林誠1陸尉=東千歳)及び第11普通科連隊(連隊長・二宮充史1陸佐=東千歳)は、12月17日に、千歳市文化センター大ホールにおいて、道央地区自衛隊協力会連合会が主催する令和4年度第32回千歳音楽まつりに参加した。

 第7音楽隊は、本演奏会に参加するにあたり、日々練成に励んできた隊員たちは、しなやかでありながら気迫溢れる演奏を披露し、会場にお越しいただいた皆様に感動と元気を与え、癒しのひと時をお届けすることが出来た。

 演奏終了後、第7音楽隊長は、「2年間の無観客開催を経てようやく生の演奏をお届けできた。お客様の温かい拍手は私たちが逆に元気をもらう。コロナ禍はまだ続くが、皆に明るさを届けられるよう今後も地域活性に貢献したい」と、前向きな気持ちを語った。

 また、第11普通科連隊の千歳機甲太鼓は、会場に響き渡る一糸乱れぬ律動と迫力ある太鼓技を披露した。

 3月の定期演奏会(北広島市)に向けて大きな成果を得た第7音楽隊は、地域の皆様に感動いただけるよう、演奏技術の更なる向上を目指し、練成に励む。