自衛隊ニュース

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令和2年度航空観閲式

<航空自衛隊>

 11月28日、航空自衛隊入間基地において「令和2年度航空観閲式」が開催された。例年は、茨城県にある百里基地で開催されるが、今年は、新型コロナウイルス等の感染症拡大防止などのため、招待者もなくブルーインパルスや戦闘機をはじめとする展示飛行もないため、規模を大幅に縮小して入間基地で行われた。

 参加人数は入間基地所属隊員約2000名、入間基地以外の所属隊員約150名。T-4、CH-47J、RC-2、C-1,U-4、YS-11FC、U-680A、U-125を各1機。その他、ペトリオットPAC-3、MSE等が展示された。

 陸上自衛隊木更津駐屯地からEC225特別輸送ヘリで入間基地に到着した自衛隊最高指揮官である菅義偉内閣総理大臣は儀仗隊の栄誉礼を受けた後、隊員約800名の前を巡閲。「自衛隊の本来任務は我が国の防衛。弾道ミサイル防衛、領空侵犯への対処、日々の警戒監視など、どの任務にも大きな困難を伴う。任務達成のためには、常に、次に何が必要になるのか、一歩先を考える、そして、ベストを尽くす、このことが不可欠。指揮官のみならず、隊員一人一人がこの意識を持ち、目の前の小さなことを怠らず、我が国を守り、国民を守るために働き続けること」「国の存立を全うし、国民の生命と財産を守り抜くことは、政府の最も重要な責務。この崇高な任務を担う誇りを胸に、諸官が互いに切磋琢磨し、より一層鍛錬に励み、国民を守るために働くこと」などを期待すると訓示をした。

 その後、菅総理は基地内を視察。F-4のコックピットに座るなどし、隊員を激励した。

演習場秋季定期整備

<3普連>

鬼志別演習場 訓練基盤の充実図る

 第3普通科連隊(連隊長・山崎潤1陸佐=名寄)は、11月5日から11月13日までの間、鬼志別演習場において「令和2年度演習場秋季定期整備」を実施した。

 連隊は、方面隊の道場化の推進に寄与するとともに、作戦運用の実効性向上に資するため、訓練基盤の充実を重視した演習場整備を実施した。

 各中隊は、連隊長要望事項である「指揮の要訣を実践せよ」、「道場化を推進せよ」及び「各種管理を徹底せよ」の3点に基づき、指揮の要訣に基づく実員指揮、基本基礎の徹底、状況の変化に応じた整備及び安全管理を万全にし、訓練基盤の充実を図った。

 演習場整備開始6日目からは、降雪により気温が低下し、寒さを感じる中、隊員達は、泥だらけになりながらも自らの道場を自らがより良くするという気概をもって、全力で整備任務を遂行した。また、演習場整備に並行して各種訓練を行い、個人及び部隊としての作戦遂行能力を向上させた。

 演習場整備終盤には、副担任官(第2師団副師団長・垂水達雄陸将補)が現地指導に訪れ、整備状況を確認し、特に優秀であった7名の隊員が表彰を受けた。

 第3普通科連隊は、引き続き、訓練基盤の充実を図るとともに、任務の完遂に努めていく。

陸自V-22「オスプレイ」試験飛行(ホバリング)

 千葉県木更津駐屯地(司令・更谷光二)に暫定配備されているティルトローター機V-22オスプレイが、11月6日10分間、地上滑走から試験飛行(ホバリング)を行った。

 7月10日に米軍岩国基地から渡来して、これまで陸自が点検及び整備を行ってきた別名「日の丸オスプレイ」。

 木更津駐屯地所在の第1ヘリコプター団輸送航空隊所属。


155mm榴弾砲の威力と精度を体感

野戦特科の役割を改めて認識
<東富士演習場>

 富士総合火力演習でお馴染みの静岡県に所在する「東富士演習場」。野戦特科の主力である155mm榴弾砲FH-70の射撃訓練の音は、風に乗って御殿場・裾野市内や小山町にまで響いてくることもある。155mm榴弾砲FH-70だけではないが、「大きな音のする可能性のある訓練等予定」は、陸上自衛隊富士学校のHPから確認することができる。

 今回、155mm榴弾砲FH-70の発射地点及び着弾地点に行くことができた。これは近迫射撃の目的である155mm榴弾砲の威力と精度を体感し突撃による近迫限界を理解するための研修。榴弾砲の戦場での地位は米軍では「キングオブバトル」と呼ばれるほど。第1線部隊は、友軍の榴弾砲の飛翔音に鼓舞され「突撃」を敢行するという。

 発射地点から大型トラックで揺れること15分、四角いトーチカのようなゴツイ建物、「射弾下掩蔽部」に到着。奥行きは約6M、幅約40M、高さは約5Mで外壁は着弾した弾の破片や石などが跳ね返った時に開いた穴があちらこちらに見られる。

 射弾下掩蔽部の中から横長の防弾ガラス窓越しに着弾を見た。まずは戦車部隊先導の突入による空中破裂射撃、約200M先の黄色い風船が「だんちゃ~く今!」の声と同時に割れ、広範囲の敵に負傷を負わせることができたという想定。次に普通科単独突入による突撃支援射撃。約500M先の山を地上破裂射撃、大きな土煙がたち、敵の戦車を撃破したという想定。最後に歩兵隊の支援射撃を行い、突撃のタイミングを確認する着色発煙弾による最終弾が着弾、黄色い大きな煙が辺り一面に立ち込めた。

 射撃訓練が終了すると「射弾下掩蔽部」から、着弾地域へと斜面を登る。先程の弾着の破片が落ちている。触るとまだ暖かい。爆破された黄色い風船の残骸や以前に使用されたコンクリートの塊、ボロボロの布などが散乱していた。2M程の穴もボコボコ開いており、この様な穴に身を隠しながら歩兵隊が前進するのも先ほどの支援射撃の効果である。

 えげつない程の破片の飛び散り方を見て、弾着する可能性のある範囲や破片が到達する可能性のある範囲という近迫距離(我の射撃により友軍に危害を与えない為の隔離距離)を実感できた気がした。野戦特科の使命は、対地・対海上火力の骨幹として、火力戦闘により作戦部隊の任務達成に寄与すること。役割は、火力先頭による敵の撃破・撲滅そして近接戦闘部隊に対する協力等、再認識させられた。

海自印刷補給隊解隊行事

 海自印刷補給隊(司令・江口和弘2海佐)は、9月30日に解隊行事を執り行い、翌日から「海自東京業務隊業務第2部」として生まれ変わった。

 海自印刷補給隊は、昭和35年10月1日に発足、以来60年間に渡り業務計画、暗号諸表、信号書、規則類及び広報業務に欠かせないパンフレット等の印刷製本並びにそれらに係る海自全部隊への補給業務などを行ってきた。そして本年10月1日の改編後、同業務は海自東京業務隊に引き継がれる。

 解隊行事の司令訓示で、「我々がこれまで築いてきた輝かしい歴史と実績、そして培われた誇り高き伝統と技術を礎に、隊員一人一人が引き続き与えられた任務に全力でまい進することを要望し、さらに発展させることをここに誓う」と述べ、隊員一同、新部隊での新たなる決意を胸に誓った。そして最後に、総員で記念撮影を行い60年の長い歴史に幕を閉じた。

第14旅団戦闘団演習

第14旅団(旅団長・遠藤充陸将補=善通寺)は、8月24日から9月19日までの間、長崎県対馬市(前段)及び滋賀県あいば野演習場(後段)において第14旅団戦闘団演習を実施した。

 前段訓練では、陸・海・空のあらゆる手段を活用し迅速に対馬市への機動展開を完了した。その後、地元自治体等からの多大なる協力を得て各地域及び施設等を活用して各種訓練を実施して所望の成果を得ることが出来た。

 後段訓練では、あいば野演習場において、中部方面特科隊による火力戦闘(FH-70実射)を含め、各部隊が力を結集して、旅団全体としての練度向上に励むことが出来た。

菅内閣で岸信夫第21代防衛大臣が着任

 【岸大臣】昭和34年4月1日生れ。慶應義塾大学経済学部卒業後、住友商事株式会社に入社。平成16年に山口選挙区で参議院議員に初当選(平成24年に山口県第2選挙区で衆議院議員に鞍替え)。平成20年に福田改造内閣・麻生内閣で防衛大臣政務官、平成25年に第2次安倍内閣で外務副大臣、平成28年に第3次安倍第2次改造内閣で外務副大臣。令和2年9月現職。参議院議員当選2回、衆議院議員当選3回。趣味はスキー、テニス、釣り。61歳。


第5空軍最上級曹長へ空幕長から感謝状を贈呈

 丸茂前航空幕僚長は、7月30日市ヶ谷基地において31日付でその職を下番し、異動することとなった在日米空軍第5空軍最先任のブライアンP.クルゼルニック最上級曹長に対し、感謝状を贈呈した。

 これは、平成30年12月就任以来、1年8か月にわたる功績を讃えるものである。

 クルゼルニック最上級曹長は、三沢基地において実施された航空自衛隊と米空軍のF-35整備員によるメンテナンスデイ及び横田基地において実施された宇宙軍宇宙作戦コマンド最先任であるベンティベグナ最上級曹長を招いての航空自衛隊各准曹士先任を中心としたスペースシンポジウムを企画する等、下士官レベルにおける交流を図り日米同盟強化に尽力をした。

 当日は、航空幕僚副長代理による感謝状贈呈式に先立ち、航空自衛隊准曹士先任甲斐准尉主催による昼食会及び年初めに祈願したダルマの開眼式が併せて行われた。昼食会では、スカイビューレストラン提供による食事に舌鼓を打ち、航空自衛隊の編合部隊等准曹士先任を招いたホームパーティーなどの日本での思い出話で盛り上がり、終始和やかな時間を過ごすことができた。

 なお、開眼したダルマは、日本での思い出とともに、お持ち帰りいただいた。

 今後、クルゼルニック最上級曹長は、イリノイ州・スッコト空軍基地にある航空機動コマンド(Air Mobility Command)最先任に就任予定である。

 更なる御活躍を期待したい。

MFO司令部要員帰国

功績を讃え表彰

連絡調整部副部長、運用幹部として活躍


 7月28日、エジプト・シナイ半島で活動する多国籍部隊・監視団(MFO)に、司令部要員として派遣されていた桑原直人1陸佐と若杉貴史1陸尉(ともに陸上総隊司令部運用部付)が、防衛省で帰国報告を行った。

 MFOは国連PKOに代わって、1982年からエジプトとイスラエルとの間の停戦監視活動や両国間の信頼醸成促進を支援することで、日本が重視する中東の平和と安定に貢献する機関である。MFO側からの要請に応えるかたちで、昨年4月から陸上自衛官2名を派遣しており、桑原1陸佐と若杉1陸尉の両名は今年6月に新しく派遣された2名と業務の引継ぎを終え、7月中旬に帰国した。桑原1陸佐は連絡調整部副部長として、若杉1陸尉は連絡調整部運用幹部として、主にエジプトとイスラエルとの連絡調整や、領空通過・滑走路使用許可取得に係る調整、両国の軍事当局間の対話・信頼醸成の促進支援を行った。これらの功績を讃え、桑原1陸佐には河野防衛大臣より第1級賞詞が(岩田政務官伝達)、若杉1陸尉には湯浅陸幕長より第2級賞状がそれぞれ防衛功労章を添えて授与された。

護衛艦「たかなみ」帰国報告

派遣情報収集活動水上部隊

 7月13日、中東地域で初めての情報収集活動を行い、6月30日に帰国した、第1次派遣情報収集活動水上部隊(指揮官=第6護衛隊司令・稲葉洋介1海佐、護衛艦「たかなみ」要員約200名)の帰国報告が防衛省大臣室で行われた。

 中東地域における情報収集は、今年1月から航空部隊(P-3C哨戒機×2機)が、2月からは水上部隊(護衛艦1隻)が「中東地域の日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集強化」を目的に活動を実施中。1次隊の護衛艦「たかなみ」は2月2日に海上自衛隊横須賀基地を出航後、同月6日からオマーン湾・アラビア海北部などで約8000隻の船を確認する等の活動を遂行した。6月9日に第2次水上部隊の護衛艦「きりさめ」と任務を交代し、6月30日に約5カ月間の任務を終えて横須賀基地に帰港した。稲葉司令の「異常ありません」との報告を受け、河野太郎防衛大臣は「初めての情報収集活動を無事に終えることができて本当に良かったです」と労いの言葉をかけた。派遣情報収集活動は今年12月26日までを予定されている。

令和2年7月豪雨に係る災害派遣

2万人態勢で人命救助等活動

 停滞する梅雨前線は、九州各県や長野県、岐阜県を中心に甚大な被害をもたらした。7月3日から断続的に降り続ける記録的な大雨により、球磨川(熊本)や筑後川(大分)など1級河川が次々と氾濫。7月10日7時現在で死者65名、心肺停止1名、行方不明者16名の人的被害をもたらしているほか、約6000の棟の住宅被害やライフラインの被害も多数確認されている。政府は九州および長野県と岐阜県を「激甚災害」と「特定非常災害」に指定する方向で検討中だ(10日現在)。

 自衛隊は、7月4日午前5時36分に熊本県知事から第8師団長(北熊本)に対する災害派遣要請を受けると、直ちに同日1万人(のちに2万人)態勢をとって現地で人命救助活動を開始した。ヘリで降着できない球磨村の孤立した地区には、徒歩で荷物を担ぎ支援物資を届けた。現場に向かった隊員自身やその家族・知人の中にも被災者がいるだろう。また対策は万全だろうが、新型コロナウイルス感染の不安もあるだろう。そのような中でも、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる」自衛隊員。彼ら彼女らは、一人でも多くの人命を救い、被災者を支援するため、引き続き懸命な活動にあたっている。

【発災から7月8日までの活動状況】

 7月4日4時50分、熊本県及び鹿児島県において大雨特別警報が発令。球磨川において越水が発生。4日5時36分、熊本県知事から第8師団長(北熊本)に対し災害派遣要請。同日、1万人態勢をとり、現地において人命救助活動等を実施。5日18時30分、最大約200名の即応予備自衛官招集の大臣命令を発出。7日4時30分、福岡県知事から第4師団長(福岡)に対し災害派遣要請。7日10時30分、大分県知事から第4師団長(福岡)に対し災害派遣要請。8日、岐阜県及び長野県における豪雨に伴い、被害情報収集を実施。8日、現地において約4,100名・航空機29機(回転翼26機・固定翼3機)が人命救助等の活動を実施。


活動実績(7月8日24時まで) 統幕公表資料より


(1)人命救助活動等【救助者数(地上・航空合計):累計1,640名】

(1)地上部隊による救助等 第24普通科連隊(えびの)、第12普通科連隊(国分)、第42即応機動連隊(北熊本)、第43普通科連隊(都城)、第8施設大隊(川内)、第8後方支援連隊(北熊本)、西部方面混成団(久留米)、第5施設団(小郡)、西部方面特科連隊(北熊本)、第4高射特科大隊(久留米)、空自第9警戒隊(下甑)【救助者数(地上):累計919名】

(2)航空機による救助 陸自第8飛行隊(高遊原)、陸自西部方面航空隊(目達原)、陸自第4飛行隊(目達原)、海自第22航空群(鹿屋・大村)、空自芦屋救難隊(芦屋)、空自新田原救難隊(新田原)【救助者数(航空):累計721名】


(2)道路啓開【累計:約9.0km】

 第8施設大隊(川内)等が道路啓開を実施。


(3)物資等輸送【累計:約165t】

 西部方面ヘリ隊(目達原)、西部方面輸送隊(目達原)、第24普通科連隊(えびの)、第42即応機動連隊(北熊本)、第8後方支援連隊(北熊本)、西部方面特科連隊(北熊本)、西部方面後方支援隊(目達原)、海自第22航空群(大村)


(4)給水支援 【累計:約25t】

 第5地対艦ミサイル連隊(健軍)、第8後方支援連隊(北熊本)、第42即応機動連隊(北熊本)、西部方面特科隊(湯布院)、空自第9警戒隊(下甑島)


(5)配食支援【累計:約4,810食】

 第5地対艦ミサイル連隊(健軍)、西部方面特科隊(湯布院)


(6)入浴支援【累計:約480名】

 西部方面後方支援隊(目達原)、第8後方支援連隊(北熊本)


(7)被害情報収集等 地上部隊及び航空機(ヘリ映像伝送機等)により被害情報を収集

 陸自西部方面航空隊(目達原)、陸自第8飛行隊(高遊原)、空自芦屋救難隊(芦屋)、空自新田原救難隊(新田原)


(8)現地指揮所要員、同行支援等 第8師団等の各部隊により、現地指揮所活動、整備・衛生支援等を実施


(9)連絡員

 ○九州各県庁等を含む63自治体に対し約170名の連絡員を派出(7月7日最多時)

 ○防衛省から大臣官房審議官以下4名の調整チームを熊本県庁に派遣

重要防護施設を防護せよ

<2普連>
2中・補給・衛生・通信が訓練検閲

 第2普通科連隊(連隊長・古賀理都靖1陸佐=高田)は6月8日から11日までの間、高田駐屯地及び東富士演習場で「令和2年度第1次基礎となる部隊の訓練検閲(第2中隊、補給小隊、衛生小隊及び通信小隊)」を実施した。2中隊は「重要防護施設の防護に任ずる増強普通科中隊」として、各直轄小隊は「市街地における活動に任ずる直轄小隊」として検した。2普連が東富士演習場市街地訓練場で訓練検閲を実施するのは初となった。

 受閲各部隊は当初、高田駐屯地において隊容検査を行い、その後、統裁官は訓練開始にあたり「変化する状況に応ずる適切な状況判断」「基本・基礎の確行」「安全管理の徹底」の3点を要望した。

 訓練地域に進入した2中隊は重要防護施設を防護し、不審者・車、地域住民によるデモ活動等の対処を行い、また敵の武装工作員による同時多方向からの襲撃に対して火力を発揮し、襲撃を阻止した。さらに立て籠もりの連絡を受けるや、突入部隊の編成及び作戦指導を実施し、重要防護施設の職員を救出した。

 補給小隊は連隊段列において補給所を開設、2中隊車両26両に対する給油等、補給活動を行い、また段列地域のゲリラに対処した。衛生小隊は段列に救護所を開設、連隊と密接に連携して負傷者救護を、また新型コロナウイルスの疑いのある隊員を隔離して部外医療機関に後送した。通信小隊は無線・有線及びシステム回線を構成、連隊の通信を維持・運営した。

 受閲各部隊は各級指揮官の適切な指揮手順のもと、普段の練成成果を発揮して任務を完遂、今後の部隊活動の資を得ることができた。

医療従事者などに感謝と敬意の感謝飛行

航空自衛隊ブルーインパルス

 5月29日昼過ぎ、東京にいる多くの人々は空を見上げ、歓声を上げていた。歓声の先には、航空自衛隊のブルーインパルスの姿が見えた。ブルーインパルスが、新型コロナウイルスに対応している医療従事者などに感謝と敬意の感謝飛行を行ったのだ。埼玉県入間基地を離陸し上野からスカイツリー方面へそこから東京駅・東京タワー方面へ行き、川崎市中原区近辺から折り返して、世田谷・新宿などの上空というコースを2周した。宮城県松島基地のブルーインパルス6機がデルタやフェニックスなどのフォーメーションをしながら飛行、チェイス機(*)1機が追従し、「ブルーインパルスが7機?」とこちらも話題をさらっていた

 世田谷区三宿駐屯地内の自衛隊中央病院では、12時45分頃から沢山の医療従事者らが特別に開放された屋上に集まってきた。その数およそ300名。機体が見えてくると「キタキタ~」とスマホを向け、「ありがと~~」と大声を出し、新宿方向へ向かう機体にいつまでも手を振り続けていた。

 白いスモークが消えてもその場には、暖かい雰囲気が残っており「ブルーインパルス、初めて見たけど、凄い力を運んでくれるね、感動した」「言葉にできない温かい思いが身体中に広がってきたよ」「なんだかウルウルした」など、様々な思いを持って職場に戻って行った。

 ブルーインパルスが都内上空を飛行するのは1964年10月東京オリンピック、2014年5月旧国立競技場ファイナルイベントに続いて3回目。皆が空を見上げ、「がんばろう!」と一体感が生まれたブルーインパルスの感謝飛行だった。

*チェイス機とは、エマージェンシー機に追随する機、学生ソロに追随する教官機、新聞や雑誌に頼まれて撮影機として飛行する機とか主目的の機に対して追随する機のことで、今回は全般統制機として11飛行隊(ブルーインパルスの飛行隊)の操縦者が飛行安全確保等のため飛行。6月3日より公開された動画等も撮影。

陸自が新小銃・新拳銃を公開

 5月18日、陸上幕僚監部は、部隊使用の承認がおりた新小銃および新拳銃を報道陣に公開した。小銃は31年ぶり、拳銃は38年ぶりの更新となる。

 新小銃の名称は「20式5・56mm小銃」。現行の「89式5・56mm小銃」と同じく豊和工業が製造した国産小銃となる。まずは今年度中に3283丁を調達し、来年度から順次、水陸機動部隊、即応機動部隊、各方面隊の普通科部隊、教育部隊に配備する予定だ。89式よりも古い64式小銃(こちらも豊和工業製造)が今でも教育隊等では使用されているため、当分は3世代併用となるようだ。

 20式は頬・肩当てが可変式となったことに加え、銃身も伸縮できるようになり操作性が向上している。フォアグリップの取り回しも良くなった。サイズもコンパクトになり、全長は783mm~854mmで、最長でも固定式の89式の916mmよりも短い。また、島嶼防衛という観点から防錆性、耐水性が向上している。

 一方、新拳銃の名称は「9mm拳銃SFP9」。指揮官等が自衛用として使用する。まずは今年度中に323丁を調達し来年度から配備する。こちらはドイツのヘッケラー&コッホ社が製造するものだ。グリップの形状が3種類用意されており、掌の大きさに合わせたものを選ぶことができる。装弾数は現行の9発から15発に増えた。

コロナ対策は災害時にも活用できる!

<自衛隊中央病院>



◾️病院に入る前には、全員の検温。ここで37.5度以上の熱や体調不良を訴える来院者は専用通路で移動し、さらに詳しく検査をする。


◾️感染症患者が入院している8階西病棟では、入院区域をHOTゾーンで区切りゾーニングしており、限定した看護師しか入れない。


◾️看護師等の防護衣着脱は鏡を見ながら、頻繁に消毒をしながら手袋を変えて慎重に行われる。1日に数えきれないほどの手の消毒をするが、手荒れの心配はないという。マスクも隙間がないかチェック。



 自衛隊ならではの基本の徹底・任務継続の仕方・戦力回復等で、院内感染を防いでいる「自衛隊中央病院」。多くの患者を治療し感染を拡げないのはもちろん、後方支援も含め3384名(4月27日現在・増援含)のコロナに関わった自衛官が一人も感染していないのは「奇跡」と言えるだろう。

 東京都世田谷区三宿にある自衛隊中央病院は、最高レベルの第1種感染症指定医療機関であるため生物兵器テロ等が発生した際には最前線での対応を求められる。平成26年に西アフリカで流行したエボラ出血熱から防護服の着脱訓練や感染症患者受け入れ訓練等を始めている。そして、上部泰秀中央病院長は「院内スタッフの疲弊を防ぐため日々の体調を見るなど休養の取り方や精神的なケア、病棟等の再編成など環境作りにも配慮した」と述べる。


新型コロナウイルス市中感染拡大防止に関する災害派遣状況

●第11旅団等の隊員延べ約10名 道職員等約50名に対して教育を実施(4月17日~24日)

 第11旅団の隊員約10名 民間宿泊施設において陽性患者(無症状・軽症)に対する生活支援を実施(4月20日~24日)

●自衛隊仙台病院の医官及看護官等延べ約70名 仙台市で検体採取支援を実施(4月4日~6日)(4月13日~15日)

●第6師団の隊員約10名 自治体が実施する検体採取に必要な天幕の展張及維持管理支援を実施(4月20日~27日)

 第6師団の隊員約15名 宿泊施設における軽症・無症状患者に対する生活支援及福島県職員などに対する感染防護等に係る教育支援を実施(4月22日~28日)

●第1師団の隊員延べ約50名 民間宿泊施設において陽性患者(無症状・軽症)に対する生活支援、教育支援等を実施(4月14日~20日)

 第1師団の隊員2名 千葉県職員約10名に対して感染防止等についての教育を実施(4月14日)

 第1師団の隊員約10名 民間宿泊施設において陽性患者(無症状・軽症)に対する生活支援及県職員に対する教育支援を実施(4月20日~26日)

 第1師団の隊員延べ約60名 東横イン東京駅新大橋前において陽性患者(無症状・軽症)に対する生活支援を実施(4月7日~13日)

 第1師団の隊員約10名 神奈川県職員等約30名に対して教育を実施(4月19日)

 第1師団の隊員約10名 民間宿泊施設において陽性患者(無症状軽症)に対する生活支援を実施(4月20日~26日)

●第10師団の隊員約10名 石川県の自治体職員約30名に対して教育を実施(4月17日)

 第10師団の隊員延べ約30名 岐阜県職員及民間宿泊施設従業員約20名に対して教育を実施(4月16日~18日)

●中部方面総監部の隊員等5名 大阪拘置所職員約20名に対して教育を実施(4月8日)

 中部方面総監部の隊員等3名 大阪府職員及民間宿泊施設従業員等約50名に対して教育を実施(4月13日)

 中部方面総監部の隊員等3名 民間宿泊施設従業員等約10名に対して教育を実施(4月13日~19日)

●第3師団の隊員3名 大阪府職員及民間宿泊施設従業員等に対して教育を実施(4月16日)

 第3師団の隊員延べ約100名 民間宿泊施設において陽性患者(無症状・軽症)に対する生活支援を実施(4月13日~19日)

 第3師団の隊員7名 奈良県職員等に対して感染防護等の教育を実施(4月22日)

●第14旅団の隊員約10名 高知県職員等約10名に対して教育を実施(4月12日~16日)

 第14旅団の隊員延べ約40名 陽性患者(無症状・軽症)に対する生活支援を実施(4月12日~16日)

 第14旅団の隊員 香川県職員等に対して教育を実施(4月21日)

●第13旅団の隊員5名 岡山県職員5名に対して教育を実施(4月10日)

 第13旅団の隊員約10名 鳥取県内市町村職員約30名に対して教育を実施(4月17日)

●自衛隊福岡病院の医官及看護官等約10名 福岡県職員等約30名に対して教育を実施(4月10日)

●第4師団の隊員4名 福岡県職員等約10名に対して教育を実施(4月17日)

 第4師団の隊員2名 民間宿泊施設に宿泊する陽性患者(無症状・軽症)の病院から民間宿泊施設間の輸送を実施(4月20日~26日)

 第4師団の医官等約10名 長崎港停泊中の外国船籍におけるクラスター発生に伴う検体採取支援(PCR検査のための検体採取)(4月22日~)

●海上自衛隊第22航空群のUH-60J(隊員4名)長崎県壱岐空港から大村航空基地間、新型コロナウイルス感染患者1名を空輸


訓練評価支援隊編成完結

教育訓練研究本部

 教育訓練研究本部(本部長・田中重伸陸将)は3月26日、北千歳駐屯地において北部方面総監部幕僚長、陸上幕僚監部運用支援・訓練部長の陪列のもと、訓練評価支援隊(隊長・山下博二1陸佐)の新編行事(編成完結式及び看板除幕式等)を実施した。

 訓練評価支援隊は、全国から集められた約250名の隊員から編成され、諸職種協同等に必要な練度の向上に資するため、戦車部隊及び野戦特科部隊を含む諸職種協同の普通科連隊等に対し、実動対抗演習の場を設定し、指揮幕僚活動の定性的な評価支援を実施することを目的として設立された部隊であり、陸上自衛隊の精強化に寄与する組織となる。

 教育訓練研究本部長は、編成完結式の式辞において「隊員一人ひとりが訓練評価支援隊の創設者としての誇りと絆をもって、その職責を全うし、陸上自衛隊全般としての精強化に貢献する重要性」について述べるとともに、『輸攻墨守(しゅこうぼくしゅ)』という言葉を掲げ、「この意味するところは知恵を尽くして、万策を練って戦うことであり、双方の訓練部隊に『輸攻墨守』させるような場を提供し、この成果を至当に評価することを期待する」と激励をした。同隊は、本年度、6月には第1回目の運営が計画されており速やかに準備を開始する予定である。

松島の空にカラースモーク

航空自衛隊!ブルーインパルス!

 3月20日、航空自衛隊松島基地(司令・松尾洋介空将補)に東京オリンピック2020の聖火が、ギリシャのアテネから聖火特別機「東京2020号機」により運ばれ、強風の中到着した。その姿は「東日本大震災から10年目を迎える被災者の皆様の『復興に対する強い意志』と『明るい未来の姿』と重なり松島基地として非常に感慨深いものがあった」と松尾基地司令は述べている。

 航空中央音楽隊の演奏の中、記念セレモニーは開催された。聖火台に「復興の火」としての聖火が灯され、ブルーインパルスが五輪のマークを大空に描いた。そしてリーダーズ・ベネフィットを大空に上昇させて行った。今回のためにバックアップも含め、ブルーインパルスの機体は12機用意され、予行では12機による大迫力のリーダーズ・ベネフィットを展示飛行することができた。

 航空自衛隊には、組織委員会より(1)ブルーインパルスによる展示飛行(2)航空中央音楽隊による演奏(3)航空自衛隊松島基地の物品等の貸出及び貸出に必要な支援の協力依頼があり、「ここ松島基地も9年前に被災したが、聖火到着式という国家的な行事において航空自衛隊が協力を依頼され、松島基地でその協力ができるということは、大変名誉で誇りに思っています」と丸茂吉成航空幕僚長は事前訓練時に語っていた。また、震災直後ブルーインパルスの機体が航空自衛隊芦屋基地に置かれていた時期のことついて聞かれた丸茂空幕長は、「たまたまその時、築城基地司令をしていた。芦屋基地から訓練に来ていたブルーインパルスを見て、一刻も早く松島に戻り落ち着いた環境で飛行出来る様にと祈っていたが、それがオリンピック・パラリンピックで演技が出来るほどに松島基地などが復興したことに喜びを感じている」と語っていた。

 ブルーインパルスを見に来ていた地元の人は「何より嬉しい。五輪だけじゃなく5色のラインが空に伸びていくのを見て涙が出た」と笑顔を見せていた。

 東京オリンピック・パラリンピック2020は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて1年程度の延期が3月24日に決定されたが、「復興の火」は間違いなく航空自衛隊松島基地に到着した。そして、その火は、聖火リレーのスタート地点でもあり東日本大震災時に自衛隊等の災害派遣拠点となった「Jヴィレッジ」に保管されることになる。

陸上自衛隊サイバーセミナー2019

 2月26日、陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部が主催する「陸上自衛隊サイバーセミナー2019(GCS2019)」が、メルキュールホテル横須賀において開催された。

 防衛省・自衛隊が防衛大綱を踏まえてサイバー防衛能力の根本的強化に取組んでいる中、陸上自衛隊が米軍や関係企業等の有識者との意見交換によって、今後のサイバーに関する施策に反映させることが狙いだ。

 また、横須賀には陸自通信学校、防衛大学校、高等工科学校、米軍第7艦隊、海空自の施設等が所在するため、この地で本セミナーが開催された意義は大きいのだという。

 セミナーは2部構成によるパネルディスカッション形式で進行し(司会は、陸幕指揮通信システム・情報部長の廣惠次郎陸将補)、自衛隊・米軍の関係者約150名が聴講した。なお、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、一般聴講者の入場は自粛された。

 第1部のテーマは「サイバーにおける官民連携の在り方」。パネラーは川口誠1陸佐(陸自通信学校第2教育部長)、木村顕嗣1陸佐(陸幕指揮通信システム・情報部指揮通信システム課長)、トッド・ブードロー氏(米陸軍サイバー学校副校長)、スコット・ジャーカフ氏(AFCEA JAPAN副代表)、アラン・リン米空軍中佐(米空軍研究所航空宇宙研究開発アジア室国際プログラム将校兼副主任)が務めた。第2部は「領域横断の戦いにおけるサイバーの役割」をテーマに第1部から木村1陸佐、ブードロー氏が引き続き参加し、大塚慎太郎1陸佐(陸上総隊司令部運用部防衛課長)、ジョン・ブランチ米陸軍大佐(米陸軍サイバーコマンド)が加わった。

 廣惠陸将補は報道陣のインタビューに「サイバー分野において日米の協力は欠かせないもの。また民間の果たす役割も同様だ。今後は日米で演習を実施したり、人材育成でも協力していきたい。戦い方を合わせていく努力も必要だ」等と述べた。

令和元年度兵站フェア(後段)

<補給統制本部>
過去最多275社が参加、商品・技術を展示

 2月13日と14日、陸上自衛隊補給統制本部(本部長・山内大輔陸将=十条)は、「令和元年度兵站フェア 各種事態におけるロジスティクスの実効性向上~国防を担う企業の英知~(後段)」を十条駐屯地で開催した。

 「兵站フェア」は、兵站支援上の問題認識を官民で共有し、民間の技術や知見を活用することで、陸上自衛隊の兵站における実効性を向上させることを目的として、平成30年度から毎年開催されているもの。官側から提示されたニーズをもとに意見交換が行われる「前段」と、それを受けて企業が商品・技術を展示、提案する「後段」から構成される。過去のフェアでは、梱包容器、センサーによる位置探知・識別システム等が実際に導入されている。


【今年度から前・後段ともに十条駐屯地で開催、参加企業は過去最多】

 「兵站フェア」は、前身の「関東処フェア」として平成25年に関東補給処(霞ヶ浦駐屯地)でスタートした。当初は「業務の効率化及び安全性向上」を目的する関東補給処事業であったが、年々規模が拡大。それにともない平成30年度からは、テーマを陸自全体の「事態における兵站の諸課題解決の検討」に拡充し、補給統制本部事業に格上げされた。さらに今年度からは霞ヶ浦駐屯地で行われていた「後段」も十条駐屯地で開催されることとなった。「後段」には山崎統幕長をはじめ、竹本陸幕副長、5方面隊総監も来場し、本フェアの重要性を伺い知ることができる。

 参加企業は、前後段279社、後段275社で過去最高の参加数を記録した。ちなみに第1回は26社なので、約10倍の規模となっているから驚きだ。十条駐屯地は陸自の補給統制本部のみならず、海上自衛隊補給本部、航空自衛隊補給本部も所在する言わば「陸海空の後方補給の中枢」。海・空補給本部からも情報発信という形で参加できた意義は大きい。


【兵站上の幅広い分野を対象とした唯一のフェア】

 防衛関連で兵站分野にフォーカスした展示会は「兵站フェア」以外にはないという。対象とする分野は幅広く、中央(基地兵站)から第一線の野戦兵站までを網羅。島嶼防衛、大規模災害派遣、国際平和協力活動、サイバー・電磁波領域等あらゆる分野における兵站上のニーズに対して、企業側が展示やプレゼンテーションを行った。


【最新技術を展示】

 儀仗広場、路上、体育館、5つの大型テント等では各企業のブースが並び、多くの自衛官や関係者で賑わいを見せた。一例として、工具を使わずに多彩な機能が取り付け可能な小型多目的ロボット、レスキュードローン、時速70kmで走行し牽引車で最大250kgの積載が可能な電動バギー、現場で部品を作成できる3Dプリンター、高機能浄水器、コンテナの輸送と荷役の効率化が期待されるアームロール、無人化施行システムなどに注目が集まった。無人化施行システムでは、秋田県のショベルカーを遠隔操作で自在に動かすデモを体験できた。次世代通信インフラの5Gが普及すれば、さらに高度な遠隔システムが可能になるという。

 このように通信・ネットワーク技術の高度化を活用した展示も多く、タグを一括で読み取ることで在庫管理等を大幅に効率化できるRFID管理システム、RFIDを搭載した軽量大型コンテナ等は官民ともに採用実績がある。また、ゲーミングエンジンをベースに世界中のあらゆる場所を想定してバーチャルトレーニングができる総合訓練シミュレーションには、「自衛隊内でeスポーツ大会ができる」といった声も聞かれた。また東京五輪などで関心が高いテロ対策として、重機を使わずに一人でも設置ができる組立式防護壁等が展示されていた。


【兵站上の諸課題解決のため、各種提案を今後の兵站業務に反映させることが重要】

 関東補給処長時代に、「関東処フェア」を補給統制本部事業にする重要性を感じていたのが山内本部長だ。山内本部長は「令和元年度兵站フェアを終えて、「補給統制本部として十条駐屯地で初めてとなる兵站フェアであったが、過去最多となる企業275社、約2850名の企業関係者の参加を得るとともに、統合幕僚長をはじめ50名を超える将官を含め、約830名の部内者の視察、研修を受け、陸上自衛隊の兵站における各種課題に対し、様々な民間技術を活用した多くの提案を受ける極めて有効なフェアとなった。本フェアを通じ、兵站上の問題に官民共同で臨むことは、極めて意義があると認識しており、陸上自衛隊に兵站上の問題解決に結びつく有用な民間技術を知るよい機会になったものと思う。今後、陸上自衛隊の兵站中枢として、今回提示された各種提案を陸上自衛隊が抱える兵站上の諸課題解決のため兵站業務に反映させることが重要だと認識している」と総括した。

<出展企業一覧は4面・5面>

編隊航法訓練

(写真は紙面を御覧ください)


 航空自衛隊は2月4日、日本周辺空域で米軍との共同訓練を実施し、日米共同対処能力及び部隊の戦術技量の向上を図った。参加部隊は航空自衛隊から第2航空団(千歳)F-15×8機、第3航空団(三沢)F-2×5機、第6航空団(小松)F-15×8機、第7航空団(百里)F-4×4機、第8航空団(築城)F-2×8機、第9航空団(那覇)F-15×12機。米軍からはB-52×2機、F-16×6機。

豪州森林火災に関する国際緊急援助活動
C-130H2機が小牧基地を出発

 1月15日、オーストラリア連邦で昨年9月から発生している森林火災に関し、外務大臣臨時代理から国際緊急援助活動の実施に関して協議があった。これを受けて日米防衛相会談などのため不在をしている河野防衛大臣に変わり、武田防衛大臣臨時代理が国際緊急援助活動を命じた。航空自衛隊は16日、愛知県に所在する航空自衛隊小牧基地から第1輸送航空隊のC-130H輸送機2機を派遣し、現地時間16日午後に、シドニー郊外にあるリッチモンド空軍基地に到着した。準備が整い次第、消火・復旧活動等に関連する人員・物資の輸送を行った。

 C-130H輸送機と航空自衛官らは「Save Australia Fair 美しのオーストラリアを守ろう!」を合言葉に、エディンバラやアバロン空港へ及びキングスコートなどへ現地の消防士などの輸送を行っている。オーストラリアは非常に重要なパートナーでもあり、東日本大震災の際には、輸送機を派遣して支援してくれた恩もあり、太田将史1空佐以下70名が気温40度という真夏の豪州で活動している。

令和2年潜水はじめ

<海自第31航空群>

帝国海軍の時代から100周年・飛行艇

 山口県に所在する海上自衛隊第31航空群(司令・大西晢海将補=岩国)第71航空隊(司令・宮崎研三1海佐)は1月9日、令和2年の「潜水はじめ」を行った。岩国航空基地の第31航空群では救難飛行艇US-2を持つ第71航空隊の他、多用機EP-3とOP-3を持つ第81航空隊、多用機UP-3DとU-36Aを持つ第91航空隊の3つの航空隊が任務に就いている。(掃海・輸送機MCH-101を持つ第111航空隊は、岩国航空基地に所在しているが、第31航空群所属ではなく、海上自衛隊航空集団直轄部隊である。)

 岩国航空基地に隣接する岩国錦帯橋空港では、民間機が降りられない事態となった前日までの強風が嘘の様に収まり、幸先の良い年頭行事となった。潜水はじめに先駆けて、第71航空隊格納庫で、「だるま目入れ」と「鏡開き」が隊員お手製の大きな門松前で行われ、部隊は活気に溢れていた。

 波も穏やかな青空の下、まずは桟橋で宮崎司令が「今年も飛行艇部隊伝統のチームワークを継承しつつ一致団結して任務に臨んでいこう」等と示達をした。その後桟橋のお清めを終え出港。姫子島近辺で母船・救助ボート・ゾディアックボートによる姫子島お清めの後「潜水はじめ」として潜降・上昇・入水等の入水訓練、5人が三角形で泳ぐスノーケル泳法訓練を行なった。キラキラした海に約20キロのボンベを背負い潜る隊員、潜水士を運ぶ救難飛行艇US-2の運航に携わる隊員はじめ、現場以外でも支えている隊員たち。訓練前に第71航空隊格納庫に足を踏み入れた瞬間に感じた「部隊の一体感」を改めて思い出し、「困難な洋上救難の任務」というものを考えさせられた。

 帰港した後、ボートや船外機を水洗いし、令和2年の「潜水はじめ」は終了した。なお、洋上救難最後の砦である飛行艇の歴史は帝国海軍の時代から数えて今年で100周年の節目を迎える。

日米共同方面隊指揮所演習

<西部方面隊>

 陸上自衛隊西部方面隊(総監・本松敬史陸将)及び第40歩兵師団は、12月3日から西部方面管区において令和元年度日米共同方面隊指揮所演習(YSー77)に参加していた。

 本訓練の特色は、領域横断作戦の具体化に向けた取組であり、訓練では、西部方面隊と米陸軍第40歩兵師団が、それぞれの指揮系統に従い、共同して作戦を実施する場合における指揮幕僚活動を演練することであった。

 12月16日、訓練の全日程を終了し、健軍駐屯地において訓練終了式が行われた。訓練終了式では、本松総監は隊員へ「両部隊は、それぞれに与えられた任務を完遂し、所望の成果を収めるとともに、日米同盟をより強固なものにすることができた、今後も日米の更なる連携強化のため、諸官の奮闘努力を期待する」等と訓示をした。また、第40歩兵師団長イェーガー少将は、「将来の演習や実際の有事の際に使用できる能力を備え、対処する準備が整ったと確信した」と述べた上、「本松陸将及び西部方面隊の素晴らしい隊員達に感謝する」と締めくくった。