自衛隊ニュース

ゲッキーのイラスト

御遺志を受け継ぐ

令和3年度自衛隊殉職隊員追悼式
新たに18柱を顕彰

 11月20日、防衛省A棟講堂において「令和3年度自衛隊殉職隊員追悼式」がしめやかに執り行われた。

 昨年度に引続き、新型コロナウイルス感染症対策のため、歴代防衛大臣等の来賓を取りやめ規模を縮小して実施した。参列者は内閣総理大臣、新遺族、殉職後10年目及び20年目等の遺族、防衛大臣、副大臣、政務官などの現職で、約100名だった。

 自衛隊殉職隊員追悼式は、任務遂行中に不幸にして職に殉じた隊員を追悼するため、防衛大臣の主催により昭和32年から実施している。今年度は新たに、陸自12柱、海自3柱、空自2柱、防衛医大1柱、計18柱が顕彰された。これにより警察予備隊以降、令和3年度までの顕彰者数は、陸自1086柱、海自470柱、空自432柱、機関31柱、計2019柱となった。

 岸田文雄内閣総理大臣は「その尊い犠牲を無にすることなく、御遺志を受け継いでまいります。国民の命と平和な暮らしを、断固として守り抜き、世界の平和と安定に貢献するため、全力を尽くすことを堅く誓います」と追悼の辞を述べた。

NATO本部に自衛官派遣
岸防衛大臣に出国報告

 11月18日、北大西洋条約機構(NATO)本部(ベルギー・ブリュッセル)に派遣される冨永麻美3陸佐(陸幕防衛協力課)が、岸信夫防衛大臣に対して出国報告を行った。平成30年5月改定の「日本-NATO国別パートナーシップ協力計画」の一環として行われるもので、NATO本部への防衛省職員の派遣は今回で4人目となる。

 冨永3陸佐は、軍事幕僚部・協調的安全保障局に国際機関/NGO協力幕僚として勤務し、NATOと国連・アフリカ連合・NGO等の機関との政策の調整、各種計画の立案、実行に関する業務を行う。

 冨永3陸佐は2018年6月から約1年間、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)第10次司令部要員としての海外勤務経験がある。「日本人の勤勉さが世界でも通用することがわかったので、今回もそういったものを出していきたい」と抱負を述べた。岸大臣は「今回で4代目になりますが、これまでの良い面を受け継ぎながら、新たなチャレンジのつもりでがんばってほしい」と激励した。冨永3陸佐は11月24日に出国、派遣期間は約2年間を予定している。

航空集団60周年
エレファントウォーク
海上自衛隊

 この上ない秋晴れの11月3日、海上自衛隊航空集団(司令官・二川達也海将)は厚木基地において、「航空集団60周年記念行事(エレファントウォーク)」を実施した。航空集団として行うエレファントウォークは今回が初めてで、厚木基地所在の部隊以外にも、第21航空群(館山)、第31航空群(岩国)、第111航空隊(岩国)の航空機が参加し、航空集団に所属する全機種が一堂に介した。威風堂々たる地上滑走を披露したのは、先頭からXSH-60L(試験段階の機体のため「X」が冠されている)、SH-60J、SH-60K、UH-60J、MCH-101、U-36A、LC-90、P-3C、UP-3C、EP-3C、OP-3、UP-3D、P-1、US-2、C-130Rの全15機種(回転翼機7機、固定翼機8機)と米海軍の固定翼機P-8A。大木大和市長、古塩綾瀬市長ら来賓と見学に訪れた関係者や募集対象者は、滅多に見ることのできない光景をその目に焼き付けていた。(20・21面に関連記事)

NATO軍事委員長とテレビ会談

山崎統幕長

 10月21日、統合幕僚長・山崎幸二陸将は、北大西洋条約機構(NATO)軍事委員長ロブ・バウアー海軍大将とテレビ会談を行った。バウアー大将は、NATOの最高意思決定機関である「北大西洋理事会」を軍事面から補佐する「軍事委員会」のトップ。両者は、インド太平洋地域における認識を共有し、現在のグローバルな安全保障上の課題について議論した。また、今後の日-NATO間の防衛協力・交流、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の実現のため、日-NATOの協力関係を強化していくことについて議論した。

 自衛隊とNATOとの間では、NATO国防大学への自衛官留学、NATOサイバー防衛協力センター(CCDCOE)へ防衛省職員の派遣、NATO本部諮問・指揮統制幕僚部への女性自衛官の派遣、ソマリア沖アデン湾海賊対処共同訓練等、防衛交流・協力が活発に行われている。

令和3年度初級・上級施設特技練成及び検定

第14施設群

 第14施設群(群長・上林勝敏1陸佐=上富良野)は、9月6日から10日までの間、上富良野駐屯地基本訓練場及びかなやま湖(南富良野町)において「令和3年度初級・上級施設特技練成及び検定」を実施した。中級陸曹としての指揮・指導能力等の向上及び施設手として必要な知識・技能を向上させる目的で28名の隊員が受検した。開始にあたり担任官である第396施設中隊長吉川1尉は要望事項として(1)編成上の役割を果たせ(2)与えられた限りある時間の中で貪欲に学び吸収せよ(3)安全管理と健康管理を要望した。

 漕舟及び渡河(軽門橋の構築)は、かなやま湖で実施した。7日に副群長、8日に群長が現地指導を行った。8日の検定は風が強く水流が速い状況に苦戦する隊員もいたが、前日に暗くなるまで練成し練度を向上させてた成果を発揮し全員が所定の漕力をもって漕ぎ切ることができた。9日及び10日に基礎訓練場で行われた連結、地雷、破壊、築城も早朝から夜間まで練成を繰り返した。時より雨が降り、連結では横材から足が滑りそうになる時もあったが、教官、助教の熱心な指導で着実に練度を向上させた。その結果、全ての課目で受検者28名全員が合格することができた。第14施設群は今後もあらゆる任務を完遂できるよう引き続き練度を向上させていく。

医官・看護官以外の隊員の活動

自衛隊大規模接種センター

 防衛省・自衛隊は、令和3年4月27日の菅総理及び岸防衛大臣からの指示に基づき5月24日から「自衛隊 大規模接種センター」の設置・運営を行なっている。そこで接種をした人達は「流れがスムーズで迷う暇もなかった」など好意的な感想がほとんである。医官や看護官の活躍ももちろん、センターを運営する本部要員、物資管理や隊員の食事の準備等をする管理要員、案内誘導等を管理する支援要員、そして多くの民間の方の協力・連携で運営されている。9月20日から26日の間のワクチン接種回数は、東京で61,371回、大阪で30,361回になる。スタッフ一人ひとりが感染対策を徹底し、ミーティングや確実な引き継ぎで「接種者の方々に安心頂けるようOne Teamで取り組む」としている。







在日米軍新司令官
岸防衛大臣を表敬

 9月9日、岸信夫防衛大臣は、在日米軍の新司令官リッキーN・ラップ空軍中将の表敬を受けた。ラップ司令官は8月27日、横田基地で行われた交代式において在日米軍司令官兼第5空軍司令官に就任したばかり。

 岸大臣は就任への祝意を述べるとともに、嘉手納基地での勤務経験(第18航空団副司令官)があるラップ司令官を「日本に詳しい方が、着任されたことは大変心強い」と歓迎した。そして前任のシュナイダー司令官と同様「信頼感に基づいた関係を、ラップ司令官との間でも早急に確立させていきたい」と述べた。ラップ司令官は謝意を述べるとともに「これまでの在日米軍司令官達が作ってきた日本との信頼関係を、しっかりと引き継いで仕事に取組んでいきたい」と抱負を述べた。

 ラップ司令官は、C-130、C-17等において4800時間以上の飛行時間を持つ最上級操縦士で、イラクの自由作戦等にも参加。前職は空軍ワシントン地区隊司令官及び第320遠征航空団司令官。

住宅倉庫から砲弾回収

<第5後方支援隊第2整備中隊 第2普通科直接支援小隊>

 第5後方支援隊第2整備中隊第2普通科直接支援小隊(小隊長・保科龍也2陸尉=美幌)は、8月3日に大空町東藻琴村で発見された不発弾回収にて出動した。

 3日午後4時頃、東藻琴村の女性から住宅の倉庫に砲弾のような物を発見したと警察に通報があった。その後、警察から第5旅団に不発弾回収要請があり、美幌駐屯地に所在する第5後方支援隊第2整備中隊第2普通科直接支援小隊の小隊長・保科龍也2尉他1名の計2名が回収のため午後6時40分頃に出動、現場に到着した保科小隊長達は砲弾のような物を確認した後、速やかに安全が確保されるまで住人を倉庫付近から避難させ砲弾の種類、爆発する恐れはないか等の調査を実施。調査の結果、長さ約60cm、直径約15cmほどで旧日本軍が使用した三八式十五糎榴弾砲(弾薬九二式榴弾)と識別し、炸薬が抜けている可能性があったため破裂する危険性はないと判断した。その後倉庫から砲弾を回収し、保科小隊長達は駐屯地に帰隊した。

 砲弾を見つけた女性は、義理の父が軍人で砲手を努めていて戦時中、記念に贈られたものではないかと話していた。

令和3年度 師団集合教育レンジャー

<第3普通科連隊>
新たに26名のレンジャー隊員が誕生

 第3普通科連隊(連隊長・山崎潤1陸佐=名寄)は、7月23日、名寄駐屯地において「令和3年度師団集合教育レンジャー」の行動訓練帰還式を実施した。

 本教育は、レンジャー学生に対し、主として遊撃行動により、困難な状況を克服して任務を完遂する能力及び精神力を付与することを目的として行われ、第2師団内の各部隊から選抜された29名の隊員が参加した。

 約3カ月に亘る部隊レンジャー養成訓練の終盤に行われる連続状況下での行動訓練を終えた26名の隊員を各部隊長や名寄駐屯地の隊員、隊員の家族等が出迎え、無事の帰還を祝福した。

 帰還式では、戦闘隊長(八木3陸曹)による任務終了報告が行われた後、担任官(山崎1陸佐)から帰還した隊員達一人一人に光り輝くレンジャーき章が授与された。

 担任官訓示において担任官は「胸にかけられたレンジャーき章を見よ。私はこの世で一番、レンジャーき章が恰好いいと思っている。良くやった。ご苦労さん。これからレンジャー隊員として、そのき章に恥じぬよう、精いっぱい励んでいくことを期待する。最後に、新しいレンジャー隊員及び指導部のみんな、ありがとう」と新たに誕生したレンジャー隊員達の勇姿を確認しつつ、激励の言葉を述べた。

 帰還を信じて待ち続けた家族からレンジャー隊員へ花束が手渡され、労いの言葉を受けると、苦難を乗り越えた喜びを噛みしめながら涙する学生の姿も見られた。

 全ての任務を終え、戦闘隊長は「本当に厳しく過酷な訓練でしたが、この苦難を乗り越え、全ての任務を完遂し、無事に帰還できたのは、共に歩んできた仲間達、そして部隊や家族の支えのおかげであり、本当に感謝しています。これからはレンジャー隊員として今まで以上に部隊へ貢献できるよう、日々、精進していきます」と本教育での思いや感謝の気持ちを述べるとともに、凛々しい表情で今後の抱負を語った。

 晴れてレンジャー隊員となった隊員達は、教育で培った不撓不屈の精神を胸に刻み、更なる部隊の精強化のため、力強く邁進していく。

ブルーインパルス 展示飛行 !

 7月23日オリンピック開会式当日、航空自衛隊のブルーインパルスが飛行し華を添えた。

 飛行経路は発表されていたため、ベストショットを求めて、多くの人が動いていた。そしてブルーインパルスが見えてくると…「おぉ??」「カッコいい!」「来た来た!」「マジやばい!」「感動!」etc。

 ブルーインパルスが所属する松島基地の第11飛行隊長は、「無事に任務を達成でき、大きな充実感に包まれている。皆様に少しでも空を見ていただく時間をプレゼントできればという思いで飛行した。ご声援ありがとうございました」「選手の方々におかれましては、これまでの準備に費やされた過程に敬意を表するとともに、試合において最高のパフォーマンスを発揮できるよう祈念いたします」などとインタビューに答えた。

がんばれ!体育学校選手

東京2020オリンピック競技大会
約8、500名の支援団で大会運営に協力

 東京2020オリンピック競技大会が7月23日に開幕する。自衛隊体育学校(学校長・豊田真陸将補=朝霞)では16名の所属選手が出場を決めている(取材当日時点)。6月28日には、代表合宿等で欠席した3名を除く出場予定選手13名が防衛省を訪れ、岸信夫防衛大臣に申告を実施した。

 選手を代表して松本崇志1陸尉(射撃ライフル50m3姿勢)が「私たちはこれまで多くの人に支えられてきました。その方々への感謝の気持ちを忘れず、自衛官アスリートらしく正々堂々と戦ってメダルを獲得してきます。皆様の応援よろしくお願いします」と決意を表明した。

 岸大臣は「皆さんの努力は人一倍のものだったと思いますが、周りでサポートしてくれた方々、監督やコーチ、スタッフの皆さんの力なくては為しえませんでした。チーム一丸となって試合に臨んでください。防衛省・自衛隊をあげて皆さんをしっかりサポートします。がんばってください」とエールを送った。

【東京2020オリンピック競技大会出場予定選手】

■近代五種

 岩本勝平3陸曹(男子)

 島津玲奈3陸曹(女子)

■フェンシング

 山田勝3陸尉(エペ)

■競歩

 勝木隼人3陸尉(50km)

■柔道

 ●田尚里2陸尉(女子78kg級)

■ラグビー

 梶木真凜3陸曹

(女子7人制)

■射撃

 山田聡子3陸曹

(ピストル10m、25m、男女ミックス)

 松本崇志1陸尉

(ライフル50m3姿勢)

■レスリング

 乙黒圭祐3陸尉

(フリー74kg級)

 乙黒拓斗2陸曹

(フリー65kg級)

■ボクシング

 並木月海3陸曹

(女子51kg級)

 成松大介1陸尉

(男子63kg級)

 森脇唯人3陸曹

(男子75kg級)

■カヌー

 藤嶋大規2陸曹

(スプリントカヤック4人乗り)

 松下桃太郎3陸曹

(スプリントカヤック1人乗り)

■水泳

 高橋航太郎2海曹

(男子水泳4×200mリレー)

【東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会における防衛省・自衛隊の取り組み】

 防衛省・自衛隊は、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」からの依頼に基づき、式典等大会運営への協力を行う。具体的には、陸海空自衛隊員で約8500名の支援団(担任‥東部方面総監)を編成し、以下の内容で協力する。

●式典における国旗等掲揚

●射撃競技会場(朝霞訓練場)での医療サービス

●自転車競技会場(伊豆)での救急搬送

●セーリング競技での海上救護(※横須賀地方総監が担任)

●自転車ロードレースでの会場内外整理

●アーチェリー競技、射撃競技及び近代五種競技での運営協力

教育訓練の総仕上げ!

自候生が戦闘訓練総合で奮闘
<第6普通科連隊>

 第6普通科連隊自衛官候生教育隊(教育隊長・國方昇一2陸佐=美幌)は、6月8日、自衛官になるための基礎を学んでいる自衛官候補生(以下「自候生」という。)32名に対し、美幌訓練場で戦闘訓練総合を実施した。

 本訓練は、自候生に対し、軽易な陣地に対する集結地から目標奪取までの一連の行動における、小銃手としての基本的な各個戦闘動作の練度を評価・判定することを目的に「相互躍進要領」、「ほふく要領」、「目標の発見、識別」、の3点の主要演練項目で訓練が行われた。

 8日、午前8時から教育訓練の総仕上げともいえる戦闘訓練総合が開始され、自候生達は攻撃発起から目標奪取までの一連の攻撃行動を実施、突撃発起前には、ほふく前進で土まみれになりながら果敢に行動して攻撃目標を奪取し、戦闘訓練総合が終了した。

 訓練を無事に乗り切った自候生は、今後の自衛官としての大きな自信を得ることとなった。

令和3年度団射撃競技会で第105施設器材隊が2連覇!!

<第3施設団>

 第3施設団(団長・浅賀政宏陸将補=南恵庭)は、4月17日から18日の2日間、部隊の射撃能力を効果的に向上させるとともに、団結の強化及び士気の高揚を図ることを目的として、「令和3年度団射撃競技会」を実施した。

 競技種目は基本射撃とし、全隊員の射撃能力の向上を図るため、部隊長指定及び抽選形式により選手を抽出し、群・器材隊対抗の部は4個部隊、中隊等対抗の部は20個中隊で競い合った。競技会期間は生憎の天候であったが、各部隊は部隊の名誉を懸けそれぞれの思いを弾先に込め、日頃の練成成果を最大限に発揮した。

 結果については、群・器材隊対抗の部は第105施設器材隊が2連覇を達成するとともに、中隊等対抗の部においては第301坑道中隊が20個中隊の頂点の座についた。


令和3年度 富士総合火力演習

学生等約3300名が「本物」感じる

 今年で63回目を数える「富士総合火力演習」が、今年も静岡県裾野市・御殿場市・小山町に跨る東富士演習場で5月22日に実施された。昭和36年に学生教育の一環として「富士学校の学生に対し、各種火器の効果と火力戦闘の様相を認識させる」(当時の目的)ために始まった「総合展示演習」(当時の呼称)。そして昭和41年に「国民への陸上自衛隊の理解を得る」(当時の目的)ために始めた一般公開。去年に続きコロナ禍のため今年も一般公開は実施できなかったが、隊員に装着したウェアラブルカメラや空撮用ドローンなどによるライブ配信は、「スタンドから見るのとは違う楽しみ方が出来る」と評判は上々だ。また、重要な場面等を効果的に撮影・放映することにより教育効果も増大だという。

 演習構成は、昼間前段で各種火器・火砲等の特性を踏まえた射撃を実施し、後段は国土防衛戦における陸上自衛隊の戦闘要領を展示。夜間前段は、夜間における火器・火砲等の特性・効果を踏まえた射撃を実施、後段は夜間における敵の進行阻止の要領を展示した。

 学生等約3300名が約3100名の演習部隊により実施された「各種学校等の学生に対し、普通科・野戦特科・機甲科の火力戦闘等、陸上作戦の様相を認識させ学生教育の資とする」(現在の目的)ための教育演習を見学した。ライブ配信などは、「領域横断的な防衛力の骨幹としての陸上自衛隊の役割について、国内外へ広く情報発信し、陸上自衛隊に対する更なる理解と信頼を獲得する」という現在の「一般公開」の役目も兼ねている。

 今年の「実弾を用いた最大の火力演習『総火演』」に初登場したのは、水陸機動団に配備されている汎用軽機動車(通称バギー)だ。また、久里浜駐屯地からは電子戦システム(NEWS)を、神町駐屯地からは無人偵察機(UAV)を初めて持ち込まれた。

 いつもとは違う観客席の作りだが、演習の目的は変わらない。「本物を見せる」ことに重点を置いた教育演習で様々なことを感じた学生たちのこれからが楽しみだ。

山崎統幕長によるハワイ訪問

日米同盟の深化・国際秩序の維持に向けて

 山崎幸二統合幕僚長は、4月30日(日本時間5月1日)に挙行された米インド太平洋軍司令官交代式に出席するためハワイを訪問した。

 現地滞在中、山崎統幕長は新旧インド太平洋軍司令官やミリー米統合参謀本部議長とも会談し、厳しい安全保障環境について認識を共有するとともに、今後の日米共同での対処力・抑止力の向上に向けて緊密に連携することで合意した。

 また、4月29日(日本時間30日)、山崎統幕長は、ミリー米統合参謀本部議長、元仁哲(ウォン・インチョル)韓国合同参謀本部議長と3者による会談を実施し、互いの安全保障に関する諸課題について話し合い、多国間協力を強化するため、日米韓3か国による協力が重要であり、共に取り組んでいくことで合意した。


第15旅団隷下部隊活動中

県民の安心・安全のため任務に邁進

伊江島で約6年ぶりの不発弾処理を実施

 第101不発弾処理隊(隊長・佐藤景一2陸佐=那覇)は、4月6日、伊江島補助飛行場(米軍敷地内)において不発弾の爆破処分を行った。伊江島での不発弾処理は、平成26年以来約6年ぶりの実施であり、米国製5インチ艦砲弾等48発を「導火線点火による爆破処分」により行った。

 今回、点火手として爆破処分に参加した、第101不発弾処理隊の河原3陸曹は、「点火手として何度か爆破処分に参加していますが、伊江島での爆破は初めてでした。しかし、場所は違えど実施する内容・作業手順は変わらないため、いつも通り淡々と実施することができました」と述べた。

 佐藤真第15旅団長は、現地に進出し、「対策本部と処理現場との連携状況」、「起爆準備状況」、「点火及び爆破の状況」を視察するとともに対策本部長である伊江村村長と意見交換を行った。


新型コロナ陽性者の緊急患者空輸を実施

 4月14日、第15旅団第15ヘリコプター隊(隊長・後村幸治1陸佐=那覇)は、沖縄県からの要請を受け、宮古空港から那覇基地へ新型コロナウイルス陽性者の緊急患者空輸を行った。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、離陸前に第15ヘリコプター隊の整備員による機内の養生作業を行うとともに、現地に向かう機長、副操縦手及びクルーチーフは、防護服を着用し、感染防止策を徹底し、任務を遂行した。

 第15旅団は、引き続き関係機関等と緊密に連携し、県民の皆様の安心・安全のため任務に邁進していく。


令和3年度防衛省入省式

「がむしゃらに職務に邁進したい」

 新年度を迎えた4月1日、穏やかな春風が吹く市ヶ谷台では「令和3年度防衛省入省式」が行われ、将来の防衛省・自衛隊を担う事務官等53名が新たな一歩を踏み出した。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、昨年と同様に市ヶ谷における全機関合同の入省式を中止し、本省採用者のみが参加する式となった。本省以外の採用者は、それぞれ全国の部隊や機関等約150カ所で入省式をとり行った。

 密を防ぐため、間隔を空けて座る新規採用者たち。緊張の面持ちで式の開始を待っていたが、代表の岩本華苗事務官(防衛政策局)が辞令の交付を受けた後、堂々と服務の宣誓を行うと、新規採用者たちは自覚の芽生えと共に、表情も凛々しく変化していったように見えた。

 昨年同様に大臣訓示はビデオメッセージに。大型スクリーンに映し出された岸信夫防衛大臣は「国防という道を選んだ皆さんに対しあらためて敬意を表したい」と歓迎した上で、「国民の信頼を大事にしてください」「既存の枠にとらわれることなく新しいことに挑戦してください」「健康を大事にしてください」等と要望し、今後の活躍を期待した。

 式後、新規採用者2名が報道陣のインタビューに答えた。竹中凛太郎事務官(装備庁装備政策部)は「防衛省・自衛隊の進化や変革の原動力となることを目指して日々自己研さんに励み職責を全うしていきたい」と述べ、畑中我海事務官(統幕首席参事官付)は「初心を忘れず我が国の安全をお守りするという覚悟と矜持を持ってがむしゃらに職務に邁進していきたい」と述べた。

F-4戦闘機「ファントム」ラストフライト

 3月17日、航空自衛隊岐阜基地で、1971年に導入された初号機を始め3機によるF-4戦闘機のラストフライトが行われた。飛行前点検では我が子を触るように優しく機体に触れ、確認をしていた。30分ほどのフライトを終えた機体から降りたパイロットは、愛おしそうに「ファントム最高!」「お疲れ様でした!」などと労いながらお酒を掛け、思いを伝えていた。約半世紀に渡り防空を担い、また研究開発を支えてきたファントムの歴史に幕が降りた。

STOP!感染拡大(COVID-19)

〈自衛隊中央病院〉

 3月4日から始まった、医療従事者に対する新型コロナウイルスのワクチン優先接種。自衛隊では8日に初めて中央病院(病院長・福島功二=三宿)で行われ、病院長、副院長、呼吸器科医長、臨床薬剤課長および看護師長の5名が接種を受けた。

 中央病院は、2月16日にワクチンを保管するための超低温冷凍庫(ディープフリーザー)を設置する「基本型接種施設」に指定され、東京都およびワクチン製造元である米ファイザー社のweb説明会、病院内での担当者会同等を経て同月26日に態勢を完了させた。

 福島病院長は記者会見で「針が入ったときにチクッとしたが、その後はほとんど痛みを感じなかった」と振り返った。副作用については「ある程度出るということは、医療従事者であれば了解していると思う」とし、「しっかりと準備をした上で接種をしたい」と述べた。また、「昨年1月のクルーズ船の乗客をはじめ、多くの新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れ、地域の皆様と共に戦ってきた。医療従事者への優先接種によって(クラスター等の)今後はリスクを下げて対応できるため、医療機関にとって非常に大きな意義がある」と見解を示した。

 翌9日からは職員への接種が本格的に始まり、今後はワクチンが到着次第、全国の自衛隊病院や部隊で勤務する約1万4000人の医療従事者に対しても、接種が進められる見通しだ。

〈防衛医科大学校〉

 3月10日、埼玉県所沢市所在の防衛医科大学校(学校長・四ノ宮成祥)学生部(部長・福森秀樹1陸佐)は、発熱学生の新型コロナウィルス対応(OP AMEBIE)として新たに作った検体室の除幕式を行なった。建物は物置を職員が手作りで改造し、看板も学生による手作りである。作成理由としては、(1)インフルエンザとコロナウィルスの検体摂取は方法が一緒であるが、複数のコロナウィルス陽性者の発生を予想しており、インフルエンザとコロナウィルスの患者を早期に仕分ける必要がある(2)学生が大勢いるところで検体を行えない(2)インフルエンザのみの検体時は使用できた病院の保健管理室を使用できないなどがあげられる。

 防衛医科大学校学生部は、以前より「感染症対処マニュアル」を作成しており日々改良を進めていた。しかし、今年になり実際にコロナ陽性者が無症状者も含め後をたたず、更なる陽性者の複数発生を見込み、陽性者らの初動の各個対応から組織的な対応への移行が必要と判断。陽性者隔離施設・濃厚接触者隔離施設・陽性者隔離解除時の洗浄施設、隔離解除者の私物殺菌区画を実際に設置訓練をし、陽性者や濃厚接触者の複数発生に備えた。また、ハード面だけでなく、ストレス等も専門アドバイザーによる生活支援を実施した。下級生の陽性率が高いのは感染による意識の違いと判断し、4学年が1学年に対して教育をすることも盛り込んだ。その上での今回の検体室作成である。除幕式で福森部長は「マニュアルを作って下さった桂田先生と相談しながら検体室の場所を探し、命名し、医学科軍司真紀新5学年に看板を書いてもらった。頻繁に使わないことを祈りながら、感染対策に万全を期していきたい」と述べた。

 学生を大切にする一端をここでも垣間見ることができた。

山林火災への消火活動

<第12ヘリコプター隊>

 2月21日に栃木県足利市において発生した、山林火災の空中消火に係る災害派遣要請が、22日、栃木県知事から陸上自衛隊第12特科隊長(藤本倫徳1陸佐=宇都宮)に対してあった。そのため陸上自衛隊第12ヘリコプター隊(相馬原)のCH-47×2機が消火活動として散水を実施している。それに並行し、第12特科隊から3名が足利市役所に連絡員として派遣されている(24日19時現在 写真は第12旅団 Twitterより)。

陸上自衛隊 情報学校新庁舎落成式

 2月1日、富士駐屯地に所在する情報学校(学校長・楠見晋一陸将補)の新庁舎落成式が富士学校長 高田祐一陸将始めとした来賓を招き行われた。

 情報学校は、昭和29年9月に設立された調査学校と平成13年に設立された小平学校の情報教育と語学教育等の流れを汲み、平成22年に誕生した情報科職種の学校として、平成30年3月に富士駐屯地に新編された。当初は、富士学校本部庁舎より富士山に近い場所に作られたプレハブの仮庁舎だった。しかし各種の制約を知恵と努力で克服しながら、学生教育・調査・研究業務等に邁進し、初代青木義昌学校長の下、令和2年3月に陸幕長より第2級賞状を授与された。

 式典で楠見学校長は、「従来の戦闘力要素は、火力・機動力・防護力と言われてきたが、現在はこれに情報力が加わり、他の要素に先駆けて力を発揮しなければならない。陸上自衛隊の情報力を高めるのが情報学校の役割である」「校風である『智・魂・技』を体現し『情報力』を真の戦闘力にするため『熱意』『創意』『誠意』を持って各種校務に取り組んでほしい」などと訓示を述べた。

対馬警備隊

 対馬警備隊(隊長・山口勝1陸佐)は令和3年の訓練を1月12日開始した。

 対馬警備隊の訓練始めは、豊臣秀吉の朝鮮出兵時に築城された清水山城跡(標高206m)に登頂し御来光に対して一年の任務完遂と安全を祈願することが恒例行事となっている。各部隊は所要の準備を整え0530駐屯地を出発した。

 清水山城跡に登頂するには市街地から直上するコースが一般的だが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からマスクを着用し市街地を避けた迂回経路の林道沿いルートが選定された。

 各部隊は日の出前の暗闇の中、足元を確認しつつ途中からは前夜の雪が残る道を最安全で前進し、夜明け前に登頂を完了した。

 午前7時29分が日の出だったが、水平線上に雲があり御来光は約10分後となった。雲を越えて現れた御来光に対し各人が「任務完遂と安全」そして、各々の願いを込めて祈った。

 太陽が昇り、隊長からの年頭の訓示に移り「今年は丑年である。ゆっくりで良いので、一歩一歩確実に積み重ねていこう」と訓示した。その後、最先任上級曹長の歴史教育、3曹昇任者各人の誓いの言葉と一般幹部候補生選抜試験合格者の紹介が実施され下山した。

 対馬警備隊は新年を迎え「国境防衛と警備」の任務完遂を誓った。

令和2年度警務隊鑑識競技会

6年ぶりの実施 優勝は北部方面警務隊


令和2年度警務隊鑑識競技会

6年ぶりの実施 優勝は北部方面警務隊

 「自衛隊の中の警察」と言われる「警務隊」。警務隊に所属する警務官および警務官補は、刑事訴訟法で規定された「特別司法警察職員」であり、警察官ではないが、警察と同等の権限を与えられたスペシャリストだ。自衛隊内で起きた犯罪に対して、捜査・検挙を行える唯一の部隊。陸上自衛隊の秩序・規律の維持を保つために被疑者の取調べ、鑑識活動、逮捕術等の専門知識や技能を高める練成を日々行っている。そのうちのひとつ「鑑識活動」の技量を5個方面警務隊の代表者(1チームは選手5名と補欠1名で構成)で競う「令和2年度警務隊鑑識競技会」が、12月16日と17日に防衛省市ヶ谷体育館で6年ぶりに行われた。

 競技は、とある部隊長室で迷彩服姿の不審者の逃走が目撃された直後に、システム防護隊からその部隊長のノートパソコンよりマルウェアのアラート検知がされたという想定でスタート。パーテーションで仕切られた5つの事件現場の中で、各チームが同時進行で2時間にわたり犯人検挙のため緻密な捜査を行った。競技項目は「現場指揮」「指紋」「足跡」「写真」「パソコン押収手続き」。採取された指紋や足跡の石膏等は警察の協力のもと、正確さ等が評価・判定された。目的は共通だが、指紋採取方法等アプローチはそれぞれ違う。各チームが実践的な方法で鑑識活動を実施した。

 厳正な審査の結果、優勝は北部方面警務隊が、次いで東部方面警務隊が準優勝に輝いた。北部方面警務隊で実況見分主任を務めた横道潤2陸尉は、勝因について「これまでの実務や訓練を通じての隊員個々の識能の蓄積とチームワーク」だと喜びを語った。

 競技会統裁官の警務隊長・梅田将(すすむ)陸将補は競技会後、「現場鑑識活動は、事件の解決、真相究明のため、極めて重要であり、今回の競技会に向けて切磋琢磨して向上した識能に満足することなく、現場において、さらに普及、発展させ続けることを期待する」と訓示した。


部隊の秩序維持は俺達が守る

 警務科職種に就くには小平学校での教育が必要であり、隊員は職種転換して警務隊に所属している。優勝した北方警務隊の高橋寿行陸曹長も平成15年に普通科から職種転換した。「犯罪捜査、高官警護や防犯活動等、様々な経験を積ませてもらい、非常にやりがいを感じている」と語る。警察も舌を巻くという地道な作業で「必検挙」を目指す警務隊。今後も部内の秩序維持のために任務にまい進していく。

内閣総理大臣特別賞状表彰式

中央病院等5コ部隊の功績を讃える

 12月17日、総理大臣官邸において「令和2年度自衛隊記念日に際する内閣総理大臣特別賞状表彰式」が行われた。この賞は、地道に活動し顕著な功績を挙げながら、必ずしもそれが広く知られていない部隊等を表彰するもの。菅総理は「今後も国民を守るため、そして我が国を守り抜くために、任務に推奨されることを大いに期待します」とその功績を讃えた。栄えある受賞部隊は左記のとおり。

◆自衛隊中央病院(病院長・上部泰秀)長年にわたる自衛隊員への医療提供、新型コロナウイルス感染症対応や官邸医療支援への貢献等による功績

◆陸上自衛隊中央輸送隊(隊長・黒田耕太郎1陸佐)長年にわたる自衛隊の輸送業務や新型コロナウイルス感染症対応等による功績)

◆海上自衛隊硫黄島航空基地隊(司令・袴田重征1海佐)長年にわたる硫黄島の基地機能の維持等による功績)

◆海上自衛隊硫黄島航空分遣隊(隊長・伊藤岳仁2海佐)長年にわたる硫黄島周辺における急患輸送等による功績

◆航空自衛隊硫黄島基地隊(司令・中澤武志1空佐)長年にわたる硫黄島における戦闘機の訓練支援等による功績

※役職等は当時のもの