自衛隊ニュース

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「感謝」を演技に込めて

パプアニューギニア軍軍楽隊が初参加


 2015年に始まったパプアニューギニア(以降PNG)軍軍楽隊育成のための能力構築支援事業。そもそも軍楽隊自体が存在しない、ドレミを吹けない隊員もいる、そんなゼロからの立ち上げだった。陸自中央音楽隊の隊員とPNGの隊員が何度も両国を往来して訓練を繰り返し、2018年にホスト国として迎えたAPEC首脳会議の夕食会では、各国首脳の前で演奏ができるまでの成長を見せた。そして2022年、育ての親とも言える日本での初演奏。3年ぶりの「自衛隊音楽まつり」という大舞台で「感謝」を込めて「ふるさと」等精一杯に演技した。音楽を通じてできた両国の絆。それはフォーメーションで披露した「友」に集約されているようだった。その日一番の温かい拍手を背中に浴びて退場する彼らの姿を、教育にあたった隊員達も万感の思いで見送っただろう。

 PNG軍軍楽隊長のボローガ・ロバート・イアンバ中尉がコメントを寄せてくれた。

 ーー初参加を終えて。

 「今回の演技を通じて、自分達の国にも軍楽隊があることを日本の皆様に広くお伝えしたかった。そして、中音へ感謝の気持ちを伝えたかった」

 ーー自衛隊音楽隊の印象は。

 「素晴らしい。動きと音がよく揃っていてそれが演技に大きな効果をもたらしている。また、お互いの競争心がより良い演技を生み出していた」

 ーー教育について。

 「技術はもちろんだが、訓練を通じて多くの事を学んだ。大変効果的で技術面も精神面も成長できた。今後の訓練にも生かしていきたい」

 ーー今後の抱負は。

 「音楽まつりに初参加できてより多くのことを学べた。この経験を通じてさらに成長していきたい」

WITH ゲストバンド

 今年度はお馴染みの「在日米陸軍軍楽隊」と「米海兵隊第3海兵機動展開部隊音楽隊」や、自衛隊がその創設・育成に携わった初出場「パプアニューギニア軍軍楽隊」、外交関係樹立70周年を記念して「パキスタン陸軍軍楽隊」が参加、3年ぶりに開催の「自衛隊音楽まつり」に彩りを加えた。

機略縦横(47)

第13旅団最先任上級曹長 准陸尉 祇園龍司


「百万一心」

 第13旅団の精神的支柱である百万一心とは、「百」の一画を省いて「一日」、「万」の字を書き崩して「一力」とすることで、縦書きで「一日一力一心」と読めるように書かれており、「日を同じうし、力を同じうし、心を同じうして事にあたる。」ということから、国人が皆で力を合わせれば、何事も成し得ることを意味しています。これは、郷土の名将毛利元就公が残された一致団結の大切さを訴えた教えとされています。

 私は、今後あらゆる事態に対応する第13旅団の隊員に対する教えであると思っています。

 例えば、訓練や勤務を通じ、苦しい状況下におかれた時、各人が、やるべきことをやり、力を結集して、集団で乗り越えようとする気持ちが団結心を養う一つの要素であると考えています。そのため現場に足を運び、隊員をよく見て、知り、声をかけ、心情を把握して、正しく指導し、理解させる努力を続けていかなくてはならないと思っています。

 最後に、「百万一心」の教えを肝に命じ、厳しい任務に耐えることができる隊員の育成に尽力していきたいと思います。

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