自衛隊ニュース

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国際平和協力活動30年
ー自衛隊PKO派遣等を見るー(3)

17DGPE隊員4名が 陸幕長に対して帰国報告

 8月31日、第17次海賊派遣対処行動支援隊(17DGPE)の桑原和洋司令以下4名が部隊を代表し、吉田圭秀陸上幕僚長に対して帰国報告を実施した。

 17DGPEは、アフリカ北東部のソマリア沖アデン湾において航行の安全確保のため活動を行う派遣海賊対処行動部隊を支援する部隊。気温が50度を超えるジブチの活動拠点において警備や拠点の維持管理等を行った。

 第16次から続けて1年間勤務したHOA連絡官の遠藤充人1陸尉は「米国をはじめとした日本の友好国軍が、中国に取り込まれないように苦心しているのを目の当たりにして考えさせられました」と振り返った。

 吉田陸幕長は真っ黒に日焼けした隊員たちを頼もしそうに見つめ「ジブチとはもちろん、フランス軍、米軍をはじめとする多国籍の部隊との信頼関係をしっかり築いてくれたということ、これが最大の成果だ」と称えた。また「海上自衛隊とワンチームになって任務を達成したこと。これからのオペレーションは陸上自衛隊だけでやるようなものはない。まさに軍種の壁を超えて、ワンチームとなり国際安全保障環境の改善という大きな役割を果たした君たちを本当に誇りに思う」と労った。


UNTPP派遣隊員出国行事

<小郡>

 小郡駐屯地(司令・満井英昭1陸佐)は、7月28日、第5施設団及び西部方面後方支援隊から派遣される隊員14名の国連三角パートナーシップ・プログラム出国行事を行った。

 本派遣は、第5施設団を基幹とする各部隊から編成した26名の派遣教官団が、インドネシア(セントゥール)で、約1カ月半にわたりインドネシア軍等の工兵要員約20名に対し施設機械操作教育を実施するもの。

 ドーザ、バケットローダ及びローラ操縦手として必要な知識と技能を習得させるため、建設機械の構造機能に関する学科教育、建設機械による掘削、埋戻し、積み込み、転圧等の要領を教育する。

 また、8月1日に派遣隊員の見送りを行い、各派遣隊員は在小郡駐屯地隊員に盛大に見送られる中、福岡空港へ。空港では、出発前に家族とのひと時を過ごし=写真=、名残惜しさを残しつつも任務を全うするため福岡の地を後にした。


平和の翼「ブルーリング」

 2003年12月から2008年12月まで、自衛隊は様々な形でイラクにおける人道復興支援活動を実施した。2006年夏に陸上自衛隊が現地の活動を撤収した後も、航空自衛隊は国連等への空輸活動を行っていた。しかし、国内では陸自が撤収した際に全ての自衛隊がイラクから撤収したと思う人が大多数だった。

 そこで、空自の活動を再認識してもらう意味で、「Wing of Piece(平和の翼)」をキャッチフレーズとして腕にはめる「ブルーリング」を航空自衛隊が作成。防衛ホーム新聞社はその趣旨に賛同し部隊外に販売した。これは収益を得るためではなく、イラクの復興と空自隊員の無事を祈るのが趣旨だった。1個のブルーリングに20円の義援金を含めて販売し、イラクの子ども達に寄付をする事にした。4万3914人に購入していただき義援金は87万8280円となった。その義援金は、イラク大使館でルクマン・フェーリ イラク共和国特命全権大使に渡され「自衛隊がおこなってくれた支援は、復興活動だけでなく暖かい心も支援してくれた。これまで以上に日本が近くなった。本当にありがとう」と喜んでもらった。

防衛議員連盟等に実射研修・防衛講話

<湯布院駐屯地>


 湯布院駐屯地業務隊は、7月17日、西部方面特科連隊及び湯布院駐屯地広報室の協力を得て、日出生台演習場の所在する由布市・九重町・玖珠町の各防衛議員連盟及び大分県危機管理室に対し、野戦特科部隊(155mmりゅう弾砲FH-70)の実射研修及び防衛講話を実施した。

 この研修は、西日本唯一の大演習場である日出生台演習場を管理する湯布院駐屯地業務隊が、議員連盟等からの要請を受け、年々過密化する日出生台演習場の現状に理解を深めてもらいたいと実施したもの。

 実射研修では、まず発射から弾着までを一望できる上ガ原地区から、4個大隊計19門の火砲による同時弾着射撃、各個射、緊急火力集中等の様々な種類の射撃を見学。湯布院駐屯地広報室長村上1尉による各射撃要領の説明に、研修者からは質問が相次いだ。続いて、射撃陣地(堀原)に移動し、砲の近くで射撃の迫力を体感。間近で感じる空気振動と、砲手たちの一糸乱れぬ連携動作で次々と弾を装填する様子に感嘆の声が上がった。

 午後からは、由布市湯布院庁舎において、3市町防衛議員連盟に対し「我が国を取り巻く安全保障環境と日本・西部方面隊の防衛体制」について防衛講話を実施。最新のウクライナ情勢、自衛隊・西部方面隊の活動から日本の防衛における日出生台演習場の役割等について説明した。

 研修に参加した長谷川健策由布市議会議長は、「特科部隊の射撃を見学したが、見学するたびに国防に対する安心感を感じます。近年の国際情勢を見ると訓練の重要性、日出生台演習場での訓練の必要性についても、よく理解できた。これからも国民の生命と財産を守るため部隊の精強化に努めていただきたい」と話してくれた。

 湯布院駐屯地業務隊は、引き続き、隊一丸となって日出生台演習場の長期安定使用に努める所存である。

小平法務研究シンポジウム初開催

4日間で約470人が参加
<小平学校>


 陸上自衛隊小平学校(学校長・大野真陸将補)は、初回となる法務研究シンポジウムを7月19日から22日の間で実施した。

 昨今の情勢や戦いの趨勢で国際法をはじめとする様々な法令が陸自の活動に及ぼす影響等を把握する必要性から、部外の有識者による基調講演や部内外の参加者との意見交換を通じて得られる情報や知見を基に、小平学校、陸上自衛隊全体の研究に繋げて行くことを目的としてシンポジウムを開催した。

 研究を目的としたシンポジウムは小平学校として初の取り組みであり、沖縄県の名桜大学志田准教授によるハイブリット戦の基調講演を皮切りに、法律戦やサイバー戦などをテーマに分科会を構成して4日間にわたり開催。オンライン参加者を含め、延べ約470人が参加、多くの知識や情報が意見交換を通じて交わされ、今後の研究に活かす貴重な成果を獲得した。

 またこの間、東部方面総監部のオピニオンリーダーや駐屯地協力団体等の研修を通じて小平学校が実施する事業と校務の運営についても理解の促進を図った。

 22日の分科会の最後に担任官である法務教育部長の廣田1佐は、シンポジウムで得られた成果を今後の研究に反映すること、また法務に限らず幅広く様々なテーマを扱うシンポジウムとして拡大発展していくことを要望し、本シンポジウムを締めくくった。

雪月花

 武士は死ぬまで刀を離さないというが、メディアの仕事をされる諸先輩の生き方を永年にわたり見せていただいたが物を書く皆さんも生命の続く最後の最後までペンを離されない。政治評論家で夕刊フジの人気コラム「風雲永田町」を7000回にわたり連載していた鈴木棟一さんが8月初めに亡くなられた。同氏とは同い年の82歳で少年期の生活環境も似ているようだったので親近感を持ちながら直前まで読ませていただいており大変なショックだった。もう20年前になろうか本紙に「論陣」を毎号執筆していただいていた香原勝文さん、1970年代東京新聞の防衛庁キャップでスクープを連発し六本木に香原ありと言われた伝説の大記者であった。突然香原さんの来社を受けた。「もう書けないよ」と見せられたのが原稿用紙に丁寧に書き始めた文章、だが何を書いているのか判読は不可能、「読めないだろう、こんな調子だからごめんな」と言われた。一番人気のコラムだったから止められるのはいかにも惜しい、筆記しますからと言ったが「口述だと気持ちが入らない、最後まで書けたことと発表の場を作ってくれたことに感謝する」。数日後に壮烈な最期を迎えられた。98歳になった佐藤愛子さんは「婦人公論」に秋から連載を始めるそうだし五木寛之さんは90歳で日刊ゲンダイにまだまだ連載を続けるようだ、もう1万回を超えている。「生きている間は書く、書く間は生きている」遠藤誉さん81歳の意気込みである。他にも精力的に頑張られている方は大勢いらっしゃる。筆者もあと少し続けたいが。


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