自衛隊ニュース

2カ国国防相と会談
イスラエル
8月30日、浜田靖一防衛大臣は防衛省においてベンジャミン・ガンツ・イスラエル副首相兼国防大臣と会談を行った。イスラエルとは2012年2月以来の防衛相会談となった。会談後には、約10年ぶりに改訂した「防衛交流に関する覚書」に両大臣は署名した。
浜田大臣は冒頭、「中東地域の平和と安定は、我が国の平和と安定にも繋がるものであり、貴国はあらためて、重要な国です」と述べ、ガンツ大臣も「世界的なパンデミックやヨーロッパでの戦争の余波を見ても、安全保障はパートナー間の緊密な協力が必要です」と応じた。会談では地域情勢や二国間防衛協力について意見交換が行われ、今後も両国間の防衛協力を引き続き強化していくことで一致した。
覚書の署名を終え、浜田大臣は「本日の署名を契機として、イスラエルとの防衛協力・交流を一層追及したい」と述べ、ガンツ大臣は「(国交樹立から)70年にわたる素晴らしい関係を、戦略的なレベルにまで高めることになった」と述べた。
インド(2+2)
9月8日は国交樹立70周年を迎えたインド共和国のラージナート・シン国防大臣と防衛省で会談した。
両大臣は初となる日印戦闘機共同訓練の早期実施に向けて調整が進んでいることを歓迎。防衛装備・技術協力について両国で連携していくことで一致した。
また2年連続で開催されている日米印豪共同訓練「マラバール」等防衛協力・交流が活発化しており「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けて多国間の取組を共に推進することで一致した。
また両大臣はインド太平洋地域の平和と安定のため「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の強化に向け、引き続き防衛協力・交流を活発に進めていくことで一致した。
同日午後からは都内で林外務大臣、浜田防衛大臣、シン国防大臣、ジャイシャンカル外務大臣と第2回日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)を開催、共同声明を発出した。初の日印戦闘機共同訓練、統合幕僚監部とインドの統合国防参謀本部間の統合幕僚協議の立ち上げ等、防衛協力・交流の進展と防衛装備・技術分野の将来的な協力に向けて一致した。
令和4年度遠洋練習航海
司令官が大臣に帰国報告
実習幹部に対する初級幹部育成と訪問国との友好親善の増進を目的とする令和4年度遠洋練習航海に派遣されていた練習艦「かしま」と「しまかぜ」が、約4カ月にわたる世界1周の長旅を終えて、8月22日に無事に帰国を果たした。同日、海上自衛隊横須賀基地では小野田紀美防衛大臣政務官らが出席して帰国行事が行われた。実習幹部は凛々しく引き締まった表情で式に臨み、出迎えた多くの家族等はその成長した姿に目を細めた。
また26日には練習艦隊司令官の小牟田秀覚海将補が防衛省を訪れ浜田防衛大臣に帰国報告を行った。浜田大臣は「長旅ご苦労様でした」と労いの言葉をかけた。
今年度で66回目となる遠洋練習航海には、第72期一般幹部候補生課程修了者約160名を含む約530名を派遣。4月24日に横須賀基地の逸見海岸を出港し、西回りでスリランカ、ジブチ、パナマ、アメリカのパールハーバー等7カ国9寄港地を訪問した(総航程は約4万8600km)。6月22日には「かしま」がタワーブリッジを通過してロンドンに入港。昨年の英海軍空母「クイーン・エリザベス」を中核とする英国空母打撃群による日本寄港の返礼と意味づけられ、日英同盟120周年の節目に、新たな防衛協力関係を象徴するものとなった。なお、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、一昨年と昨年は前期・後期の2部制だったため、121日間にわたる長期航海は3年ぶりであった。
自衛隊高級課程合同入校式
「極めて重要な時期に入校」
8月30日、目黒地区に所在する統合幕僚学校(学校長・二川達也海将)、陸上自衛隊教育訓練研究本部(本部長・廣惠次郎陸将)、海上自衛隊幹部学校(学校長・真殿知彦海将)、航空自衛隊幹部学校(学校長・影浦誠樹空将)は、自衛隊高級課程合同入校式を執り行った。
今期は、全国から1佐・2佐46名(陸自17名、海自13名、空自16名)と、インドから留学生1名(海軍大佐)が入校した。47名の学生は、まず各自衛隊高級課程において、上級指揮官・幕僚として必要な専門知識や技能を修得。その後統幕学校の「統合高級課程」に進み、陸海空の垣根を越えて統合運用に関する広範な知識や技能を総合的に修得する。卒業式は来年7月28日の予定だ。
学生長の三浦宏幸1海佐が入校の申告を行った後、各学校等を代表して二川統幕学校長が式辞を述べた。二川学校長は、「多様な経歴を持つ学生同士、自己に足らざるものを積極的に吸収し合い、Thinkプラスα、既成概念にとらわれず、柔軟な思考を持って課程に臨み、幅広い視野とバランス感覚を兼ね備えた人材に成長してもらいたい」と激励した。
続く統合幕僚長訓示(鈴木統幕副長代読)では、今期学生が「厳しい安全保障環境と戦略3文書が改定される極めて重要な時期に入校する」と述べ、「我々の使命を果たすことができるのかを常に考え、識能の修得に努めよ」、「常に国家、統合運用、部隊・隊員の視点で考察せよ」、「先入観や既成概念に囚われず、理論的な思考を身につけよ」の3点を要望した。
学生たちは統幕長訓示でもあったように「卒業後直ちに各施策推進のための原動力となる」べく、約1年間、軍種や国境を越えた仲間たちと共に研鑽に励む。
化学兵器禁止機関(OPCW)に陸上自衛官を派遣 延べ8人目
9月12日から約3年間、化学兵器禁止機関(Organisation for the Prohibition of Chemical Weapons=OPCW)技術事務局査察局査察官として派遣される南福太郎2陸佐は、9月5日、井野俊郎防衛副大臣に対して出国報告を行った。
井野副大臣は「本派遣で知見を広げて、我が国の防衛に活用して頂けることを期待します。頑張って下さい」と激励した。
OPCWは1997年に発効した化学兵器禁止条約(CWC)の定める検証措置等を行うことを目的に同年オランダのハーグに設立された機関。南2佐は締約国が実施する化学兵器廃棄状況の査察を担当する予定。なお、防衛省から同機関へはこれまでに化学防護の専門家である陸上自衛官を派遣している。1997年に秋山陸将補(当時)が査察局長として派遣されたのを最初に今回で延べ8人目。また査察官としては清野1陸尉(当時)が2013年8月から2016年8月に派遣されて以来、6年ぶり5人目となる。
第12後方支援隊長兼新町駐屯地司令着任行事
第12後方支援隊は8月1日、新町駐屯地において第12代第12後方支援隊長兼ねて第36代新町駐屯地司令として指揮を執る二見光俊1等陸佐の着任行事を実施した。
午前7時40分、駐屯地に初登庁した二見隊長は、後支隊の各幕僚に迎えられ、引き続き駐屯各部隊長等の幹部挨拶を受けた。
その後、駐屯地営庭にて第12旅団長の坂本雄一陸将補による経歴などの紹介を受けたのち着任式を挙行した。
二見隊長は巡閲において各部隊の威風堂々とした姿を確認し、着任の辞で要望事項として「情熱」「一日一笑」を掲げるとともに「旅団各部隊をはじめとする被支援部隊のみならず国民や地域からも信頼される部隊・隊員となるよう、みんなと共に歩んでいくことを誓う」と述べた。
また駐屯地司令として「地域との一体化」「規律の維持」を要望した。
午後からは各部隊の状況報告を受け部隊の現状を確認するとともに、翌日、初度巡視を実施し、勤務隊舎、営内者の生活環境、各施設等を確認するとともに、多くの隊員に直接声をかけ駐屯地の状況を把握した。
今後12後方支援隊及び新町駐屯地は二見1佐を核心として、新たな体制で任務に邁進していく。