自衛隊ニュース

ゲッキーのイラスト

サンバおてもやんを踊ってみた!

<西部方面音楽隊>

 陸上自衛隊西部方面音楽隊(隊長・志賀亨2陸佐=健軍)は、「第45回火の国まつり」の開催に合わせ、8月7日、YouTubeにより動画を配信した=写真。

 熊本県で毎年開催される火の国まつりは、昭和53年から今年で44回の歴史を持っているが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により中止となった。

 隊長の志賀2佐は、「火の国まつりは中止になったが、せめて動画で熊本を元気にしたいと思い、西方音隊員の『演奏』だけではなく『踊り』も取り入れて編集した」と思いを語った。


首都圏直下地震を想定した大量傷者受入訓練

<中央病院>

 自衛隊中央病院(病院長・福島功二陸将=三宿)は7月9日、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い昨年度は実施できなかった大量傷者受入訓練を2年ぶりに行った。

 本年度は「各種事態対処能力の向上」及び「関係部外医療機関との連携強化」を目的とし、首都直下地震発災24時間後を想定した訓練を実施した。

 訓練は、大量傷者来院時の対処能力向上のため災害医療の基本コンセプトであるCSCATTT(「指揮・統制」「安全」「情報伝達」「評価」「トリアージ・治療・搬送」)の実行性向上、DCS(ダメージコントロール手術)適応傷者に対する救急室と手術室の連携要領を確認・実行するための演練を実施した。また、日本DMATを受入れて航空搬送病棟を運営し、SCU(航空搬送拠点臨時医療施設)に準じた運用の実効性向上を図るとともに、搬送先の入間SCU(基地)において航空搬送中に急変した患者を今年3月開院した自衛隊入間病院へ搬送し救命率の向上を図った。

 当日は週初めの天気と打って変わって快晴の下、東京消防庁、日本DMAT、の部外関係機関及び陸上総隊、東部方面隊、自衛隊衛生学校、自衛隊入間病院の部内関係機関の参加により実効性向上に繋がる訓練ができた。

 首都直下地震の発生確率は30年以内に約70%と予想されており、引き続き本訓練の目的である「各種事態対処能力の向上」に努めていく。

ノーサイド

北原巖男

一丸となって

 数十年に一度とも言われる難局を突破するため、岸田首相は8月10日、第2次岸田改造内閣を発足させました。

 防衛大臣には、2008年~2009年の麻生内閣でも防衛大臣を務められたステーツマン浜田靖一衆議院議員が就任。前防衛大臣の際には、内局・各幕をはじめ自衛隊員の皆さんとの強い信頼関係・絆を構築される中で、北朝鮮の弾道ミサイル発射に際して初の弾道ミサイル等破壊措置命令の発出やソマリア沖・アデン湾における海賊対処のため護衛艦やP-3Cの派遣開始等を実施されました。併せて、国連スーダン派遣団(UNMIS)への自衛官の派遣や日豪2+2、クリントン米国務長官との会談、グスマン東ティモール首相との会談、日中防衛首脳会談、日韓防衛相会談、日米防衛相会談、そして初の日米韓防衛相会談等に精力的に取り組んで来られました。

 (浜田防衛大臣は、2002年5月に誕生したアジアで一番新しい東ティモールにとって、国づくりは即ち人づくりであるとして、グスマン首相との会談で、防衛大学校における東ティモール留学生の受け入れを決断されました。これを受けて、今日までに女性軍人1名を含む15名の若手軍人が防衛大学校を卒業し、国軍で活躍しています。また、浜田防衛大臣に対し、グスマン首相は、自衛隊こそが民主主義国家東ティモール国軍が目指す姿だと述べています)

 岸田首相は同日の記者会見で、重点的に取り組んで行く課題の "第1" として、次のとおり表明しています。(2022・8・10首相官邸HP 筆者抜粋)

 「第1に、この国の安全と安心を守るための体制を強化いたします。年末に向けた最重要課題の一つが防衛力の抜本的強化です。必要となる防衛力の内容の検討、そのための予算規模の把握、財源の確保を一体的かつ強力に進めていきます。そのため、防衛政務次官、防衛庁副長官、そして防衛大臣を歴任し、更に自民党国防部会長や衆議院安全保障委員長も経験し、正に我が国の安全保障、防衛政策を熟知する浜田靖一(やすかず)氏に防衛大臣への再登板をお願いし、強いリーダーシップを発揮していただきます」

 そして同日招集された初閣議で決定された「内閣総理大臣談話」及び「基本方針」には、それぞれ次のような内容が盛り込まれています。(同首相官邸HP 筆者抜粋)

 〇内閣総理大臣談話

 「日米同盟を基軸とし、「自由で開かれたインド太平洋」の強力な推進など、同盟国・同士国との関係強化や、一段と厳しさを増す我が国の安全保障環境に対応するため、新たな国家安全保障戦略等の策定と防衛力の抜本的強化など、我が国を守り抜く外交・安全保障を進めます」

 〇基本方針

 「「力」により現実が決まるという状況を断固として拒否し、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を守り抜き、ロシアによるウクライナ侵略により終わりを告げたポスト冷戦期の次の時代の国際秩序を作り上げるために貢献していく。

 そのために、日米同盟を基軸とし、「自由で開かれたインド太平洋」を強力に推進するなど、同盟国・同志国との関係強化や、大国間の競争から距離を置こうとする国々との関係強化などに取り組む。

 ・・・一段と厳しさを増す我が国の安全保障環境に対応するため、新たな国家安全保障戦略等の検討を加速し、防衛力を抜本的に強化する」

 これらの方針の下、10日夜、浜田防衛大臣は就任記者会見に臨み、「防衛大臣として、約25万人の自衛隊員とともに、国民皆様方の負託に応えるため、わが国と世界の平和と安定のために全力を尽くしてまいります」とその決意を表明されました。更に記者団の質問に対し、「現下の安全保障環境に対応できるように、必要な事業をしっかりと積み上げ、防衛力を5年以内に抜本的に強化して行く」「新たな国家安全保障戦略を策定する中で、あらゆる選択肢を排除せず、具体的な、かつ、現実的に議論をして防衛力の抜本的強化に必要となるものの裏付けとなる予算をしっかり確保して行きたい」「財源のあり方について、政府として検討」「台湾をめぐる情勢は、わが国の安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとって重要。引き続き、動向を注視」「南西諸島における防衛体制を目に見える形で強化してまいりたい」「日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせた時、辺野古移設が唯一の解決策」「特に沖縄を始めとする地域の皆様方の声をできるだけしっかりと把握することによって、その深堀をしながら、これからも対話を続け、それを真摯に捉えて、対応していく。その姿勢が極めて重要」等の応答をされています。

 そして8月12日の全隊員に対して行った浜田防衛大臣着任訓示。

 浜田防衛大臣は、今回の防衛大臣就任に当たり、これから隊員と共に取り組むべき優先的な課題として、(1)わが国自身の防衛体制の強化(2)日米同盟の強化(3)各国との安全保障協力の強化、の3点につき所見を表明。最後に次のように述べて訓示を締めくくりました。

 「私は、岸前大臣からいただいたバトンをしっかり引き継いで、どんな困難に際しても、臆することなく大臣として防衛省・自衛隊を牽引し、粉骨砕身職務を全うして行く所存です。安全保障の最後の砦としての重責を胸に、諸君も、私とともに、一丸となって任務に励んでいただきたいと思います。隊員諸君の精励恪勤(せいれいかっきん)に期待し、私の訓示といたします」

 ロシアのウクライナ侵略、中国、台湾、北朝鮮等、安全保障環境は益々厳しさを増し、各領域における軍事技術は飛躍的に進歩を続けています。また全国的に大規模な自然災害も生起しています。更に、膨らむ財政赤字、加速する少子化に伴う人口減少といった大変難しい問題も山積です。

 こうした中にあって、浜田防衛大臣を先頭に防衛省・自衛隊の皆さんが、常に国民と共に在る国民の自衛隊・行動する自衛隊として、士気高くこの難局に取り組まれ、以て国民の負託に応えて行くことを祈念し力いっぱいのエールを送ります。


北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事

紙面一覧
紙面一覧
close