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岸大臣、シャングリラ会合に出席
各国防衛担当閣僚と精力的に会談
岸信夫防衛大臣は6月10日から12日にかけてシンガポールを訪れ、英国国際戦略研究所が主催する「IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)」に出席した。アジア太平洋地域の防衛担当閣僚や専門家が一堂に介し安全保障上の課題を議論する国際会議で、新型コロナの影響で3年ぶりの開催となった。岸大臣は参加各国の担当閣僚と精力的に会談を行い、スピーチでは「ルールに基づく国際秩序を守る諸国の連携は強固である」と強調した。
岸大臣は、6月11日にアメリカ・オーストラリア、アメリカ・韓国とそれぞれ3カ国間会談を、カナダ、シンガポールとそれぞれ2カ国間会談を行った。翌12日は中国、オーストラリア、ニュージーランド、フィジーとそれぞれ2カ国間会談を行い、防衛協力の強化、交流の推進を各国担当閣僚と確認した。
日米豪防衛相会談
今回で10回目となる日米豪防衛相会談では共同声明を発出。ロシアによるウクライナ侵略、東シナ海・南シナ海・台湾といった地域情勢および北朝鮮問題等について認識を一致させるとともに、東南アジア諸国連合(ASEAN)の重要性も再確認した。その上で3カ国間演習の増加、相互運用性の向上、先進技術及び戦略能力に関する協力の拡大、欧州や同志国と包摂的パートナーシップを構築し同盟国とインド太平洋への関与を深化させること等を確認した。
翌12日にはリチャード・マールズ豪州国防大臣(兼副首相)と2国間会談を実施した。さらに15日には帰国途中のマールズ大臣が訪日し、異例とも言える短い間隔で日豪防衛相会談を行った。
マールズ大臣は「複雑な国際環境下で、日本はオーストラリアにとって抜本的に重要な存在」と述べ、インド太平洋地域における「特別な戦略的パートナー」としての関係の重要性を強調した。
日中防衛相会談
12日は魏鳳和中国国防部長と日中防衛相会談を行った。岸大臣はウクライナ情勢について、安保理常任理事国の中国が責任ある役割を果たすことを求めた。加えて先月から日本周辺で継続している中露による戦略爆撃機の長時間共同飛行について改めて重大な懸念を伝達した。また、尖閣諸島を含む東シナ情勢、台湾情勢および南シナ海問題についても言及し、自制や中国側が国際社会の懸念に真摯に耳を傾けるように求めた。岸大臣は「日中関係は懸念があるからこそ率直な意思疎通を図ることが必要だ」という旨を伝え、双方で対話や交流を推進していくことで一致した。
大臣がスピーチ
岸大臣は11日の第2セッション「多極化する地域における地政学的競争への対処」においてスピーチを実施。「ロシアによるウクライナ侵略が示すインド太平洋地域への含意と、インド太平洋地域における地政学的競争に対処するための日本の取組」について説明を行った。スピーチではウクライナ侵略への教訓を踏まえ、インド太平洋地域においても「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)ビジョン実現の取組みが「ルールに基づく国際秩序の維持・強化に大きく貢献するものです」と主張。そして「ルールに基づく国際秩序を守る諸国は、それぞれの防衛力を強化するとともに、各国が強固に連帯していくことを戦略的に発信していくべきです。そうすることで、ルールを無視する主体に対し、ルールに基づく国際秩序を力によって変えることは不可能であると、強く認識させていかなければなりません。ルールに基づく国際秩序を守る諸国の連帯は強固であるということを、見誤るべきではない。このことを、強調しておきたいと思います」とメッセージを発した。