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部隊新改編 新しい歴史の一歩踏み出す

写真:小林政務官とWPS推進室室員〈陸幕WPS推進室〉


統合作戦司令部
 3月24日に陸海空自衛隊を一元的に指揮する常設の統合作戦司令部が発足した(4月1日号既報)。司令官・副司令官の下に幕僚長、司令官補佐官、6個の部・官で組織される。同月25日には中谷大臣の命を受け3県での山火事に係る災害派遣活動を指揮。また28日にミャンマー中部を震源とする大地震における被災者救援のため、4月7日に大臣の命を受け、翌8日に国際緊急援助隊として医療機材品等を現地に空輸した。

大湊地区隊
 3月24日、海上自衛隊大湊地方隊が改編、横須賀地方隊と統合し、大湊地区隊として新編された。同日行われた新編行事での近藤奈津枝総監の式辞全文は以下の通り。

 本日ここに、津島衆議院議員、青森県知事代理船盛危機管理総括監、山本むつ市長をはじめとする来賓各位のご臨席の下、金子防衛大臣政務官を迎え、大湊地区隊新編行事を挙行できますことは、隊員一同の慶びとするところであります。
 この度、統合運用体制の下、高い迅速性と活動量を求められる部隊運用を持続的に遂行可能な体制を構築するため、基幹部隊の体制の見直し等に着手し、北方から太平洋にかけての沿岸の警戒監視任務をより迅速かつ効率的に実施するため、大湊地方隊は横須賀地方隊隷下の大湊地区隊として新編されました。
 この改編により、大湊地区隊は、警戒監視等防衛警備の任務は減じるものの、これまでどおり、自衛艦隊等に対するロジスティクス支援、災害派遣及び地元自治体との連絡調整等任務を主体的に遂行していきます。
 体制がどのように変化しようとも、大湊地区隊は、引き続き、「北の護り」という責務と役割を担い、海軍、地方隊から連綿と受け継がれてきた、ここ大湊基地が「北の護りの要衝」であることに変わりありません。私たち隊員は、引き続き、強い使命感と責任感をもって地区隊の任務を果たしていく所存です。
 大湊地方隊に対し、むつ市をはじめとする地域の皆さま、各方面・関係各位から賜りましたご支援とご協力に厚く御礼申し上げますとともに、今後とも、大湊地区隊に対し、変わらぬご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

 大湊地区隊の隊員諸官、本日付け、近藤海将が大湊地区隊の指揮を執る。
 諸官とともに大湊地区隊のスタート地点に立っていることに感謝したい。諸官は、71年前、崇高な使命感と責任感を持って大湊地方隊を創設した隊員が見た景色と同じ景色を今見ている。この激動の時代にあって、大湊地方隊が築き上げてきた歴史と伝統の礎の上に、新たな歴史を作るという誇りをもって、日本の歴史と伝統、日本人の心、価値観、豊かなで美しい自然を将来の世代に伝え、つなげていく日本の国、その国民と国土を守るため、強い使命感をもって任務に当たってもらいたい。
 そして、大湊地方隊の時代と変わらず、ロジスティクス支援、災害派遣はもとより、「海上自衛隊はむつ市民にとっての家族である」と、温かく隊員を育んでくれるむつ市をはじめとするこの地域に根差した大湊地区隊として、地域への貢献、地域との連携の任務に当たってもらいたい。
 〝たたかいに勝つ〟ことができる大湊地区隊を創り上げるため、引き続き、諸官には、目的や本質を捉えて先行的かつ柔軟に「考え」、幅広く、深く解決策を「創造」し、迷うことなく「行動」に移し、「結果を出す」ことにこだわり続ける姿勢で職務に臨んでもらいたい。
 隊員一人一人が誇りと帰属意識に満ち、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって職務の完遂に務め、もって国民の負託に応える」ことのできる、精強誠実な日本一の「チーム大湊地区隊」、そして、日曜日の夜に〝明日、出勤するのが楽しみで仕方ない〟と思える「チーム大湊地区隊」をともに創り上げていこう。
 大湊地区隊出港用意!
 
  令和7年3月24日
  大湊地区総監 海将 近藤 奈津枝



陸幕WPS推進室
 4月1日、陸上幕僚監部防衛部防衛課内に、陸上自衛隊の各種活動に対するジェンダー視点導入の促進を図ることを目的としたWPS推進室(室長・與藤みゆき1陸佐以下4名)が新編された。WPSとは女性・平和・安全保障を表す英語の頭文字をとったもので、防衛省では、2023年8月に推進本部を設立、翌24年4月に推進計画を策定している。今回発足した陸自の推進室は、部隊等への巡回説明や、課程教育への取込み等を行うほか、段階的に各部隊等に専門部署を配置する等体制を整備し、全隊員への意識改革を図る。また、装備品等で女性隊員を考慮したサイズ拡充や仕様の変更を行う等、陸自の各種活動へのジェンダー視点の反映を推進する。
 4日、ホテルグランドヒル市ヶ谷で部内外の来賓を招いて新編行事が行われた。小林一大政務官は「WPS推進室は、陸上自衛隊のWPS体制を万全なものにするための要となる部署だ」と期待感を示した。森下陸上幕僚長は「国連安保理のWPS関連決議から25周年であり、陸幕のみならず内局にも専門部署が新編されるという大きな年であり、国際的にも国内的にもWPSの取り組みが活発化する」と述べた。


第8地対艦ミサイル連隊
 3月24日、湯布院駐屯地に第2特科団隷下の第8地対艦ミサイル連隊(連隊長・山田大作1陸佐)が新編された。3月30日の新編行事では本田太郎副大臣から山田連隊長に隊旗の授与が行われた。
 今回の新編により、防衛力整備計画で掲げたスタンド・オフ防衛能力を強化するための7個地対艦ミサイル連隊体制が完成した。将来的には、現在の12式地対艦誘導弾の能力向上型が配備されると見られる。湯布院以外の地対艦ミサイル連隊は、第1が北千歳、第2が美唄、第3が上富良野、第4が八戸、第5が健軍、第7が勝連に所在する。



航空医学安全研究隊

 3月24日、航空開発実験集団の直轄部隊として、航空医学安全研究隊が入間基地にて新編された。
 従来、航空医学実験隊が担当していた航空医学及び心理学に関する調査研究と、航空安全管理隊が担当していた航空事故防止に関する調査研究を一体として連携させ、相乗効果による機能強化を目的としている。
 同日に行われた新編行事では、国歌斉唱に続き、執行者である航空開発実験集団司令官(小島隆空将)から、航空医学安全研究隊司令(辻本由希子空将補)に指揮官旗が授与された=写真。
 小島空将は式辞において「不易流行をもって、お互い良い所を取り込み、相乗効果により新たな伝統を創造してほしい。考動力(考えて動く力)をもって、隊司令のもと、新たな時代の要求に応えてくれることを期待する」と述べ、航空幕僚長(内倉浩昭空将)から「航空自衛隊のニーズに応える部隊、多職種の存在を活かす部隊、プロフェッショナルとして挑戦を止めない部隊であることを期待するとともに、隊員諸官の大成を心から祈念する」との訓示を航空幕僚副長(小笠原空将)が代読した。
 本新編により、航空医学・航空事故防止に係る調査・研究の強化が期待される。








新指揮官が着任

写真:松永第9師団長


信頼に応える<9師団>

 第9師団は3月25日、第38代師団長として松永康則陸将が着任した。

 青森駐屯地に到着後、青森県殉職隊員のための慰霊碑に対して献花を行った松永師団長は、第5普通科連隊が編成した儀じょう隊による儀じょうを受けた。

 続いて行われた着任行事では、整列する隷下部隊の隊員に対し、「隊員の幸福」「強靭な部隊」を統率方針に掲げ、「第9師団の隊員であることの誇りを胸にし、隊員一人一人が日々の隊務に邁進することを期待するとともに、いついかなる任務にも即応し、第9師団の育成に諸官とともに、日々精進することを誓う」と述べた。

 その後、記者会見では「任務を完遂する実力を備えた強靭な部隊をつくりあげ、国民と県民の信頼に応えたい」と抱負を述べた。第9師団は松永師団長の指揮統率の下、新たな一歩を踏み出した。


<北方航空隊>

ONE FOR ALL

ALL FOR ONE

 3月17日、第38代北部方面航空隊長兼ねて丘珠駐屯地司令として安達弘典1等陸佐が着任した。

 安達1佐は、島根県出身で、平成13年に防衛大学を卒業後、第3飛行隊(八尾)での勤務を皮切りに、輸送学校(朝霞)、幹部学校(目黒)、航空学校(明野)、陸上幕僚監部(市ヶ谷)、教育訓練研究本部(目黒)、東部方面総監部(朝霞)等において数々の要職を歴任し、この度、陸上幕僚監部装備計画部航空機課(市ヶ谷)を経て、着任した。

 北部方面航空隊長着任式において、安達1佐は、統率方針である「即動必遂」を実行するに当たり、「使命の自覚」「準備周到・柔軟対応」「団結・連携の強化」の3点を要望事項として掲げた。「活動基盤となる丘珠駐屯地、地域、そして家族の安定なくして『即動必遂』はなし得ない、団結・連携の骨格となる『ONE FOR ALL、ALL FOR ONE!』の精神を持ち、全身全霊を捧げる覚悟で職務に邁進する。共に頑張ろう」と所信を述べた。

 また、同年3月24日、駐屯地転入者紹介行事においては、駐屯地司令要望事項として「隊員相互、家族、地域との融和」「基盤の充実・強化」の2点を掲げ、駐屯地所在隊員に対して「隊員相互、家族、地域との「和」を大切にして、諸先輩方が築き上げてきた様々な成果の上に、更に向上させていこう」と述べた。

 安達1佐は、着任初日に、駐屯地の施設巡視を実施して、部隊の即動態勢及び隊舎の現状を確認した。春の訪れと共に、新たな北部方面航空隊及び丘珠駐屯地が始動する。

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