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防衛省版サラ川 防衛大臣賞決まる

えんごしろ 射撃じゃなくて 再就職

写真:防衛大臣賞の大﨑陸幕厚生課長(中央)


 防衛省・自衛隊ならではの部隊や家庭の日常風景を切り取った「第一生命 2024年防衛省版サラっと一句!わたしの川柳コンクール」の入賞作品が決定した。

 防衛大臣賞には、陸上幕僚監部人事教育部の大﨑厚生課長の作品が選ばれ、3月14日、森下陸上幕僚長から防衛大臣賞賞状と記念品が渡された。大﨑厚生課長は「地方協力本部勤務時代、採用も大変だが援護も大変なんだと飲みながら先輩方が語っていた言葉を思い出しながら句にした。川柳は日本語ならではのユーモアが楽しめ、日頃から職場のコミュニケーションにも使っている。今日は人生で一番サプライズなホワイトデーでした」と語った。

 森下陸上幕僚長は「現在、防衛省・自衛隊として取り組んでいる人的基盤の強化について、受賞者は更にこれらを後押しする思いで、この川柳を詠んでくれたことと思います。引き続き皆で各種施策の強化を推進して行きましょう」との感想を述べた。

 応募総数は5379句で、応募数の多かった高等工科学校、陸上自衛隊幹部候補生学校、都城駐屯地が団体賞を受賞した。

 自衛隊員がお気に入りの句を投票できる「いいね!」投票の仕組みが導入され、その投票結果をもとに第一生命にて最終選考が実施された。防衛大臣賞1、優秀賞2、輝け!女性隊員賞2、優良賞5、良好賞20の計30句が選ばれた。各賞は次の通り。


《防衛大臣賞》

 えんごしろ 射撃じゃなくて 再就職(定年前老兵)


《優秀賞》

 新隊員 姉が来るとは 聞いてない

(詠み人知らず)

 陸海空 親子で達成 JTF

(統合任務家族司令官)


《輝け!女性隊員賞》

 ウェイクアップ ラッパとともに メイキャップ    

(ポンピング千葉ピンポン)

 八か月 第4ほふくの 愛娘

(育休人事)


How to fightからHow to Winへ
SS活用要員集合訓練<教育訓練研究本部>

写真:全師旅団から集った


 3月3日から7日の間、陸上自衛隊教育訓練研究本部(本部長・廣惠次郎陸将)では「令和6年度SS活用要員集合訓練(試行)」を行なった。これは、全国の15師旅団の第2部及び第3部の情報・運用担当者、各方面総監部・陸上総隊司令部の運用担当者、富士学校・武器学校・化学学校の教官及び研究員合計41名に対して、SS(陸自クローズ系クラウドシステム内の指揮統制サービス・シミュレーション機能)の具体的な活用要領を演練し、部隊における運用解析の活用促進を図るものである。

 SSは、汎用性が高く、環境が整っていれば一人でも操作が可能なため簡単に戦況推移をシミュレーションできる上、偶然の要素や思い込みを排除し、第三者的視点から定量的に分析・評価を行う事ができる。今回の訓練は、単なるSSの操作訓練に留まらず、さらに一歩踏み込んで、オペレーションズ・リサーチ(OR‥運用解析)の考え方に基づき、如何にして指揮幕僚活動にシミュレーションを取り入れられるか、その考え方等を学び、部隊がシミュレーションを有効に活用できる能力を身につけることを目的としている。

 本訓練はまず、SSを活用するためのデータ設定の重要性を理解。そして「どの段階で」「何を」「どの範囲で」そして「何をアウトプットに」するか、シミュレーションで定量的に評価分析することで「解決したいことは何か」をしっかり明らかにすることが重要であることを理解させようという内容。これをうけ訓練は、操作要領を習得する基礎訓練に続き、参加者を10グループに分け、図上戦術想定のシナリオに基づき戦況推移をシミュレートし部隊運用の適否を分析・評価する実践訓練、グループで立案した作戦計画をシミュレートして討論結果を発表する応用訓練の3段階で行なった。

 応用訓練後のグループ発表を通じ、訓練参加者は、立案した作戦をシミュレーションして問題点等を明らかにし、それらを克服し得る検討を更に重ねて、より高いレベルでの作戦や、根拠に裏付けられた妥当性ある作戦計画を立案する事が重要だと理解していた。SSの活用を通じ、部隊がOR(運用解析)を用いた定量的評価・分析を行う能力を向上させることで、今後部隊の指揮幕僚活動は「戦って勝てる指揮幕僚活動(How to fightからHow to Win)」へ進化・発展していくだろう。

 教育訓練研究本部でSSの活用を研究する善家大輔2陸佐は、「これまで運用解析の一分野であるシミュレーションを指揮幕僚活動でいかに有効に活用するかを研究してきた。それらを指揮幕僚課程の教育で実践し、そこで得た知見等を一般化し、第一線部隊へ訓練を通じて普及する機会を得ることが出来た。今回の訓練は部隊における運用解析の活用に繋がる良い機会になったと思う。現場の経験や知識を研究のプロセスに融合させ、新たな知を生み出すことは、教育訓練研究本部にしかできない。今後も部隊が運用解析を更に活用できるよう、本取組みを継続・発展させていきたい」と語った。


22DGPEが帰国
現地でWPS普及も

写真:帰国報告をする近藤2佐


 3月6日、第22次派遣海賊対処行動支援隊(22DGPE)の近藤昭二2陸佐(主席幕僚)以下5名が森下泰臣陸上幕僚長に帰国報告を行った。

 22DGPEは約半年間、ソマリア沖アデン湾で海賊対処行動を行う自衛隊の活動拠点があるジブチ国際空港で警備や施設の維持管理等の任務を行い、今年の2月に無事帰国した。

 近藤2佐は「任務が完遂できたことを誇りに思う。今後、『笑顔と感謝』を忘れず、『前向き』に頑張っていきたい」と抱負を述べた。

 また、今派遣では警衛隊要員として初めて女性2名が参加し、「女性・平和・安全保障(WPS)」の普及にも取り組み、各国軍の隊員たちと意見交換を行った。警衛隊無線通信手の吉田あずさ2曹(写真右列前から2人目)は「WPSの先駆けとして他国軍との交流や意見交換会に参加し、取り組みに関する知識を得る事ができた。防衛省としての取り組みであるので、この経験を普及していきたい」と述べた。警衛隊小銃手の濱田安也子3曹(同3人目)は「派遣前はとても不安な気持ちもあったが、警備班の雰囲気も良く、無事に約半年間の任務を遂行することが出来た。また、生活環境の点においては、今後の各施設の改善のために要望を上げ拠点の資とすることが出来た」と述べた。


新多用途ヘリ
UHー2紹介行事
<東部方面航空隊>

写真:祝辞を述べる冨樫総監


 1月24日に東部方面航空隊(隊長・佐藤健1等陸佐=立川)に配備された新型多用途ヘリコプター「UH2」(45162号機)の紹介行事が、2月28日に立川駐屯地で行われた。行事には東部方面総監の冨樫勇一陸将、駐屯地司令懇話会会長、立川市・昭島市・日野市防衛協会、家族会三多摩地区協議会、隊友会立川支部、および開発元の株式会社スバルを代表して齋藤義弘航空宇宙カンパニープレジデントらが来賓として参加した。UH2は、陸自が保有する航空機の中で最大数を誇るUH1の後継機として、各部隊に配備が進められている。

「進化した航空隊へ」

 佐藤航空隊長は「UH2の運用開始で、東部方面航空隊は我が国の防衛はもとより、災害対応をはじめとする公共の秩序の維持等、各種の任務を従前以上に効果的に遂行する、進化した航空隊へと飛躍していく」と式辞を述べた。続いて冨樫総監は祝辞で「UH1から飛躍的に機体性能が向上しており、方面隊の首都防衛任務の遂行に大きく貢献するものと、心強く感じている」と期待感を示した。

愛称は「ハヤブサ」

 UH2は、スバルと米国ベル・ヘリコプター社が共同開発した民間機がベースとなっている。先代UH1との違いでまず目にとまったのがメインローターのブレード数が2枚から4枚に増えたことと、エンジンが単発から双発になったことだ。コックピットはアナログ計器から視認性の高い電子パネルに更新された。また、自動操縦装置の導入や、最高速度・航続距離の向上等、機体の大きさはほぼ同じだが、中身は全くの別物に進化した。

 UH2は、2022年に量産機を導入して以降、現在は航空学校(明野・霞ケ浦駐屯地)、中部方面航空隊(八尾駐屯地)、西部方面航空隊(目達原駐屯地)で運用されている。愛称は「ハヤブサ」。



空自第1術科学校創設70周年

写真:70周年人文字(下段1TSは、第1術科学校(1st TechnicalSchoolの略)


 航空自衛隊第1術科学校(学校長・中澤省吾空将補(当時))は、前身の整備学校及び通信学校(のちに第2術科学校、令和2年に1術校に統合)が昭和29年9月1日に創設されてから令和6年で70周年の節目を迎えたことを記念し一連の行事を実施した。

 まず令和6年9月6日、浜松基地において記念式典を開催し中澤学校長は「創設70周年を迎えることができたのは歴代学校長をはじめとする諸先輩方の指導と尽力の賜である。(中略)これからも共に情熱・創意・模範の気持ちで未来を築いていこう」と決意を新たにした。式典後は全隊員で人文字を作り、溝口瑠夏3空曹がデザインした70周年記念マークが装着された航空機及び高射器材とともに記念撮影を行った。記念マーク付きの装備品等は10月27日の浜松基地航空祭で一般公開され、来場者の人気を博した。

 令和7年1月25日には、浜松市内ホテルにおいて感謝状贈呈式及び祝賀会を開催した。学生教育に支援協力を続けてきた企業へ感謝状を贈呈するとともに歴代の学校長及び学校准曹士先任を前に、教育のプロとしてデジタル技術を駆使した技法を創意する等、新しい教育の在り方を開拓して、あらゆる事態に対しても勝利にこだわる隊員を育成し、空自の模範たる教育機関であり続けることを誓った。(なお、中澤空将補は3月24日付で飛行開発実験団司令に異動した)


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