自衛隊ニュース

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高等工科学校卒業式

第68期生314名が巣立つ

写真:萬納寺生徒による答辞


 陸上自衛隊高等工科学校(学校長・篠村和也陸将補)は、3月20日、中谷元防衛大臣立会の下、森下泰臣陸上幕僚長が臨席し、第68期生(314名)の卒業式を挙行した。また、この日を楽しみにしていた卒業生家族約800名が全国から駆けつけ、晴れやかな瞬間を見守った。

 卒業生の門出にあたり、石破内閣総理大臣より、「厳しい訓練を経て仲間とともに成長し、今日の卒業を迎えたことを称賛するとともに、本校で磨きあげた人格、学んだ知識・技術を活かし、更なる人間としての成長を続け、次のステージに向かって大きく飛躍されることを強く望む」との訓示を、ビデオメッセージが贈られた。また防衛大臣は、『磨塼』と御自筆された禅の言葉を披露され、「陸上自衛官として新たな一歩を踏み出すに当たり、本校で学んだことを活かしつつ、鍛錬を怠らず、心の鏡を磨いて本物の意味のリーダーになってほしい」と訓示した。

 学校長は式辞で、「人生や新たな門出を航海に例え、道標、即ち目的・目標を『星』、目標を達成するために必要な人間力やモチベーションアップにつながる推進力『風』が大切な要素であると説き、進んで難局に当たり、着実にこれを乗り越えられるように努力してもらいたい」との言葉を餞として贈った。

 その後、在校生代表の藤田連生徒による送辞、卒業生代表萬納寺凪斗生徒による答辞では、卒業する先輩へ、最高学年となる後輩へそれぞれが感謝とエールを送りあい、卒業生・在校生ともに涙を浮かべる場面が印象的であった。引き続き、学校グラウンドにおいて、本校出身者の操縦による祝賀飛行及び在校生による送別パレードが披露され、晴れの門出に花を添えた。

 卒業生は、4月1日付で陸士長に任官し、生徒陸曹候補生課程(各陸曹教育隊)に進み、陸上自衛官としての第一歩を踏み出すことになる。なお、一部の生徒は防衛大学校、海上自衛隊・航空自衛隊の航空学生に進み、新しいステージに向けて、それぞれの道を歩み始める。

中央病院職業能力開発センター修了式

写真:鈴木病院長(前列右から6人目)と半田災害補償室長(同左から6人目)、第69期入所生9名(3列目)


 公務又は通勤災害による負傷や疾病で障害を負った隊員の円滑な部隊勤務や社会復帰に向けた更生指導業務を実施する自衛隊中央病院(三宿)職業能力開発センター(センター長・齋藤信明)で3月6日、第69期入所生9名(陸自7名、海自1名、空自1名)の修了式が行われた。

 修了式は、来賓として防衛省人事教育局給与課長代理・半田災害補償室長をはじめ、3幕関係者を招いて開催された。

 国歌斉唱、センター長からの修了証書授与後、学生長がセンターでの研修修了を申告した。

 続いて、執行者の鈴木智史病院長が登壇。「障害の種類や程度が様々な隊員が集まる中、それぞれが努力を重ねたことは勿論、同期生が互いに協力・支援し合い、全員が前向きに研修に励んだことに敬意を表する」と労い、「本研修によって得られた成果も、これからの諸官の生き方いかんによって、より輝きを増し、また、より強く生きてゆく力となる」と激励した。

 来賓祝辞では、防衛省人事教育局給与課の半田剛災害補償室長が登壇し「職能センターで習得された知識・技能をもって、我が国のため、自衛隊のため、そして御自身のために存分に実力を発揮して欲しい」と今後の活躍へ期待を述べた。

 入所生は、部隊に復帰する者と引き続き研修を継続する者とそれぞれの道を進むことになる。

 職業能力開発センターでは、「部隊に復帰する者については、当センターで新たに習得した知識・技能を最大限に発揮し、自衛隊の任務遂行の一翼を担い貢献することを期待する」としている。


阪神病院准看護学院
第48期生卒業式

写真:卒業生代表による答辞


 自衛隊阪神病院(病院長・内藤智子陸将補)は、3月6日、中部方面音楽隊(隊長・伊東札記2陸佐)の支援を得て、准看護学院第48期生の卒業式を挙行した。式典には、名越亮川西自衛隊協力会長、中部方面総監部医務官をはじめ、部内外からの来賓が参列し、卒業生の旅立ちを祝福した。

 病院長は式辞において、「准看護師資格の取得は通過点。真に隊員の身体と生命を守る准看護師として、技術や能力の向上に努めつつ、仲間の痛みのわかる心を育みながら成長し続けて欲しい」と卒業生への期待を述べた。

 また、卒業生を代表して澤本瑞樹3陸曹(現・第13後支衛生隊)が、「それぞれの任地で衛生救護陸曹として困難に直面した時は、准看護師になるきっかけとなった『人々を助けたい』という気持ちに立ち返り、自分の任務と役割を考え実行し、部隊に貢献していきたいと思います」と力強く答辞を述べた。

 卒業生のうち21名は全国の部隊に、8名は救急救命士課程(三宿)へと旅立った。自衛隊阪神病院は、准看護師たる陸曹の育成を通じて、引き続き衛生機能強化に取り組む所存である。


任期満了による除隊式
<第34普通科連隊>

写真:任期満了証書を受けとる隊員


 第34普通科連隊(連隊長・兜智之1陸佐=板妻)は3月27日、板妻駐屯地において陸士隊員の任期満了に伴う除隊式を実施した。

 今回は12名が令和6年度末で任期満了することとなり、訓練場において各中隊が参列する中、連隊長から一人一人に任期満了証書が授与された。

 その後、代表者による挨拶に続いて連隊長が除隊者の今後の活躍を祈念して訓示を行った。

 最後は正門に続く道路上に花道を作って盛大な見送りを行い、除隊者は大勢の先輩、同期、後輩隊員と敬礼や握手を交わしながら気持ち新たに第2の人生に向け駐屯地を後にした。


ノーサイド
北原巖男

 今年の春は、ことのほか寒暖差が激しい日が続いています。多くの自衛隊員の皆さん・ご家族、読者の皆さんも、体調管理には気を付けてください。

 そんな中、ふっくりと盛り上がり、まるで大きな綿菓子のように、満開を迎えた桜たち。年に一度、この時期だけ、一斉に、力いっぱい開花し、人々に感動を与えてくれます。見る人全てを、温かく迎えてくれます。今年、皆さんは、お花見をなされましたでしょうか。

 僕は、近所の公園や川沿いの桜たちに3回会いに行きました。暗い冷気の中で、ライトアップされた姿は、昼間からは想像できない幻想的で魅力溢れるものでした。水流おだやかで磨き上げられた鏡のような川面には、まるで本物の桜たちが優美に咲いていました。

 今年の桜たちは、急降下した気温を踏まえ、桜吹雪・花筏の開始は、少し先延ばしすることを決めているようです・・・待ちに待った開花から満開へ・・・そして潔くハラハラと散って行く・・・。

 ふと歌手竹内まりやさんの「人生の扉」の一節が浮かんで来ました。「信じられない速さで時は過ぎ去ると知ってしまったら どんな小さなことも覚えていたいと心が言ったよ」「満開の桜や色づく山の紅葉を この先いったい何度見ることになるだろう」。

 今月は、各地で入学式が行われています。自衛隊員・ご家族の皆さん、読者の皆さんの中にも、ピッカピカの子女の皆さんの入学式に参加された方が多いことと思います。僕は、孫娘が女子大に入学しました。入学式当日は晴天に恵まれ、沢山の桜たちも満開となって新入生を歓迎・祝福しているかのようでした。卒業式や入学式には、桜の鮮やかなピンクが似合いますね。ただ、新入生たちはみんな一様に、白いブラウスに黒いツーピース、黒い靴姿でした。僕の孫も同じでした。女子大とのことで、少しカラフルな華やかさを勝手にイメージしていた僕は間違っていました。今は、そういう時代なのでしょう。

 ところで、いくら寒い日が続いても、花たちには分かるんですね。わが家の狭い花壇でも、「春だ。さあ行くぞ!」とばかりに、地中で冬を越したそれぞれが、固く冷たい土を押しのけて小さな芽を出して来ました。ワクワクします。もうかなり茎が伸びているものもいます。いつ、どんな姿を見せてくれるのでしょうか。

 他方、生きているか死んでいるか見当もつかなかったり、自分としては、ほとんどだめだろうと諦めていた花たちが、その芽らしき小さな緑色を地表すれすれに現した姿を発見した時は、その逞しさに興奮すると共に、花への申し訳ない謝罪の気持ちでいっぱいになりました。小さな芽は、「そう簡単に見損なってもらっては困る!」とばかりに僕を睨みつけているようです。ドキッといたしました。

 花を巡っては、現職時代こんなこともありました。

 谷村 裕(元 大蔵事務次官)さんから言われました。

 「花は、人々から綺麗だねと言われようと思って咲いているんじゃないと思います。花は花としての生涯を、ただひたすら、目いっぱい生きていると思うんです。あなたも、これからいろいろなポストで働くことになると思いますが、自分はどう思われているだろうかなど、そんな邪(よこしま)なことは考えなくていい。自分としてやるべきことを、目いっぱい、ひたすら真っ直ぐにやって行ったらいい。それだけでいいんじゃないですか。思い邪無し(思無邪)です。」

 また、長野県伊那市高遠町の山村生まれ僕が、沖縄に赴任して驚いたことがあります。それは、冬でも年間を通じて様々な花が咲き誇っていることでした。冬は灰色で何の花もない世界に育った僕には信じられ現実でした。

 直ぐに、林芙美子さんの、女性を花にたとえた有名な言葉、「花の命は短くて・・・」は、そんなことはない、間違いだと思いました。

 そして、僕たち人間は、一人の例外もなく、かけがえのない、それぞれオンリーワンの人生のお花を、生涯を通じて現在進行形で活き活きと咲かせていくことが大切であり、それは出来ると思いました。10代、20代、30代、40代、50代、60代、70代、80代、そして90代。他との比較など求めない、それぞれの年齢に応じた自分自身の人生のお花。

 Yes,今、です。


北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事

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