自衛隊ニュース

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70周年記念桜植樹

写真:檜町桜と銘板の前で新年度へ意気込みを見せる中谷大臣(中央)をはじめとする防衛省・自衛隊最高幹部ら


 4月3日、昨年の防衛省70周年と今年の市ヶ谷移転25周年を記念して植樹された6本のソメイヨシノの披露イベントが、防衛省儀仗広場で行われた。植樹された苗木は、防衛庁があった六本木の東京ミッドタウンに隣接する檜町公園で育てられたもので、旧檜町庁舎にちなみ「檜町桜」と命名された。イベントには三井不動産と東京ミッドタウンマネジメントの関係者も参加した。中谷大臣は「市ヶ谷の地にしっかり根付いて、国防の歴史を継承するとともに、毎年満開の花を咲かせてもらいたい」と挨拶した。


統合運用 新たなる時代へ

呉基地で「自衛隊海上輸送群」編成完結式

統合部隊、輸送艦2艦陸自隊員中心に運用

写真:中谷大臣(左)から隊旗を手渡される馬場群司令=4月6日、呉基地で

   


 統合運用の将来を示す3自衛隊の共同部隊「自衛隊海上輸送群」の編成完結式が4月6日、海上自衛隊呉基地で行われた。陸自隊員が中心となって艦艇を運用、輸送能力を向上させ、南西地域の防衛に寄与する。


 初夏を思わせる強い日差しの下、新造された艦の横に新編された海上輸送群の隊員たちが整列した。
 編成完結式には中谷元防衛大臣、森下泰臣陸幕長、新原芳明呉市長、寺尾弘志内海造船社長ら関係者・来賓約120人が出席。
 大臣と寺尾社長との間で群隷下に編成された輸送艦「にほんばれ」の引渡書、受領書の授受が行われた。
 大臣から「にほんばれ」艦長の伊藤洋隆1海尉へ同艦の自衛艦旗が手渡され、艦尾へ移動した同1尉らによって、ポールへ高々と掲げられた。
 続いて、大臣から海上輸送群司令の馬場公世1陸佐へ同群の隊旗が授与され、同1佐が力強く編成完結を報告した。
 訓示で中谷大臣は、3月の統合作戦司令部発足にも触れ、「自衛隊の統合運用は新たなる時代に入った」と語った。
 さらに「陸上自衛官と海上自衛官が力を合わせて海上輸送にあたる部隊の新編は、歴史的に極めて重要な一歩だ。まさに新しい時代の統合運用の象徴となる。これからの自衛隊の先駆けゆえにさまざまな課題があろうかと思うが、あらゆる困難を乗り越え、国民からの大きな期待に応えてくれることを信じている」と力を込めた。
 また色紙に書いた「恕」の文字を示し、「(艦を動かすためには)部下、同僚、仲間への優しさや愛が必要である、ということを忘れないようにしてください」と求めた。
 新原呉市長は「呉基地に自衛隊海上輸送群を新たに設置していただいたことを20万人の呉市民を代表して心より歓迎致します。呉市は戦前は海軍、戦後は海上自衛隊と共に歩んで参りました。呉市で生活を始めていただく隊員・ご家族の皆様を新しい市民として歓迎し、笑顔でお暮せになられるよう、市民サービスを提供させていただきます」と祝辞を述べた。

群司令「海自部隊との連携に尽力」
 自衛隊海上輸送群は、6日に披露された輸送艦「にほんばれ」と5月就役予定の同「ようこう」の2艦で編成。
 隊員数はおよそ100人で9割は陸自隊員、1割が海自隊員。群司令は馬場公世1陸佐、「にほんばれ」艦長は伊藤洋隆1海尉が務める。
 6日、報道陣に公開された「にほんばれ」は民間の輸送艦も多く手掛ける内海造船が製造。小型の〝タンカー〟のようなへさきが丸いフォルムが特徴だ。
 有事の際は島しょ等の砂浜へビーチング(上陸)し艦首を左右に大きく開け、車両等を卸下させる。艦内には陸自車両十数両を搭載可能。
 陸自にはこれまでになかった「海上輸送」の任務にあたる海上輸送群。
 第6後方支援連隊(神町)輸送隊長等を務めてきた馬場群司令は、「船舶の運航に関する知識や経験、基盤等を含め、海上輸送任務を遂行する上では海上自衛隊との連携が不可欠になる。呉地方隊をはじめとする海自の関係部隊との連携に尽力している」と課題等を話した。
 さらに、「陸上自衛官として初めて船舶を運用する部隊の指揮官に就き大変光栄に感じ、併せて重責に身が引き締まる。期待される海上輸送任務にしっかりと対応できる強靭な部隊、隊員を育成していきたい」と意気込みを語った。

海自2術校で技術習得

写真:息子ほどの年齢の海自隊員のピストン内径計測を確認する藤原曹長(右)


 海自第2術科学校(田浦)に入校している自衛隊海上輸送群に所属する陸自隊員の技術・知識習得の様子が3月12日、同校で報道公開された。

 統合部隊の海上輸送群に配置される隊員(約100人)の割合は陸自隊員が約9割、海自隊員が約1割。陸自隊員にも操艦を学ぶことが求められている。

 公開されたのは、「海士ディーゼル課程」(教育期間約4カ月)と「海士電機課程」(同約6カ月)の実習・座学の様子。ディーゼル課程は学生18人のうち2人、電機課程は23人中3人が陸自隊員。

 エンジンの基本について学ぶディーゼル課程では、教官の説明の下、ピストン箇所の部品交換の要領等を実習した。

 年齢が離れた同期と学ぶ陸自歴約30年の藤原靖司陸曹長は、「覚えることがとても多い。シーマンシップ、海自センスを身に付けた陸自隊員になりたい」と決意を新たにしている。


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