自衛隊ニュース

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先任としてあるべき姿を見せる

管理小隊 輸送班 輸送班先任空曹 澁谷亮太1空曹
輸送員 照屋清太2空曹
輸送員 柴田 椿空士長

 輸送班で先任空曹を務める澁谷1曹は、面倒見の良い兄貴的存在だ。航空支援集団副司令官の専属ドライバーを務める照屋2曹と、車両の記録業務とドライバー支援を担当する柴田士長は「相談にも乗ってくれて優しいです」と頼りにしているようだ。澁谷1曹も「普段から先任空曹としてあるべき姿を見せていれば、付いて来てくれるはず」と背中を見せて後輩を育てている。

 今後の目標について聞くと澁谷1曹は「職場として事故を起こさず、焦らず丁寧に仕事を進めたい」、照屋2曹は「中堅どころとして後輩の育成をしっかりやっていきたい」、柴田士長は「来年の3曹への昇任試験に向けてがんばりたい」とそれぞれ意気込みを語ってくれた。

体調の小さな変化も見逃さない

管理小隊 小隊長 日高直人1空尉

 管理小隊は官用車の運行等を行う「輸送班」と基地全体の警備等を行う「警備班」からなる。一見異なる業務だが、管理小隊長の日1尉は、「輸送と警備の両方を見ていますが、目が行き届かない部分は、部下である警備班長、上司である基地業務隊長や航空気象群本部からフォローアップを組織的にしっかりいただけているので安心です」と話す。日高1尉の職種は「輸送」だ。限られた人員でヒト・モノを安全に運ばなければならない。とりわけ操縦手の体調管理には目を配る。日頃から隊員とコミュニケーションを取り、体調の小さな変化も見逃さない。そして出発前には必ず「気を付けて」とひと声かける。安全意識の低下は許されない。「明るく仕事が出来る職場にしたいですね」。日高1尉は、今後も小隊がより一致団結できるような体制(態勢)作りに取り組んで行く。

「見てもらっている」がモチベーションに

管理小隊 警備班 班長 川下和敏1空尉

「警備」の仕事と言えば基地の各門での入出門管理、基地内の巡察、武器の管理等がすぐに思いつくが、その他に基地所属部隊に対する警備訓練も行っている。警備班長の川下1尉は「府中基地は滑走路がなく敷地が狭いが、所在する人員は多い。基地業務についても広大な滑走路を有する航空団と仕事量は大きく変わらないものの、組織の規模が「群」ではなく「隊」であるため、基地業務に携わる人員は少ない。やり方を工夫しないと仕事が円滑に回りません」と話す。警備班も少数であり実任務と裏方業務に追われ、自らを鍛える時間の確保が難しい。そこで、警備班員の練成とは別に特技が「警備」以外の隊員に対して訓練を行うことで、基地全体の警備に関わる質の維持向上に取り組んでいる。年に3・4回、その内容も本職さながらのハードなものだという。

 また、警備の仕事のひとつにVIPへの対応がある。9月に米宇宙軍作戦部長のソルツマン大将が来基した日は大雨だった。降りしきる雨の中、ラッパを演奏した警備班隊員に対し、随行した内倉空幕長が「ナイスラッパ!」と目の前を通過する際に労ってくれた。「部下から報告を受けた時はすごく嬉しかったですね。上の方が見てくれている、と実感することで隊員たちのモチベーションが上がります」。川下1尉は我が事のように笑顔でそのエピソードを披露してくれた。

余裕を持ち、チャレンジし、変化に対応

衛生小隊 小隊長 村原中3空佐

 話を聞いた小隊長室には物が無く、カレンダーは着任した6月からめくられていない。「普段は皆と同じ事務所にいます。その方が仕事を円滑に進められますから。それと『部下』ではなく『同僚』だと思っています」と話す小隊長がいる事務所はいつも明るい。

 衛生小隊の1日は忙しい。午前中は体調不良等の隊員等へ「診療」を行い、午後は各種の「身体検査」を行っている。医師の村原3佐をはじめ看護師、救急救命士、薬剤師等がそろっているが決して余裕のある人員構成ではない。その中で、4・5月は診療と身体検査に加え「定期健康診断」を行ったというから驚きだ。だからこそ指導方針に「余裕を持つ」を掲げている。業務や心身に余裕を持つことでミスが減る。休暇もしっかりとらせる。仕事については「人の生死に関わらない事ならどんどん失敗して覚えてほしい。自分で考え、悩んで欲しい」とある程度委任してチャレンジできる環境づくりを心掛けてつくり、隊員たちの成長に期待を寄せている。

 また、「航空自衛隊クラウドシステム」の導入に伴い、電子カルテや患者情報の共有等デジタル化に対応した体制作りも始まっている。「今、新しく変わっていく時期なので、乗り遅れないように進めていきたいです。と同時に、これまで対面で培われてきた、アナログ部分のノウハウも大事に継承していきたいですね」。変化の対応にも抜かりがない村原3佐だ。

コンプライアンスを常に意識

会計小隊 会計班長 大磯智廣1空尉

 3つの班のうちのひとつ「会計班」の班長を務める大磯1尉は、高射整備員として自衛官人生をスタート。幹部に任官して「会計」に職種変更したが、最初の2年間は各種法令規則を覚えるのに四苦八苦したそうだ。今では班長として「自衛隊のものだけではなく、各種関係省庁の規則も含めて、コンプライアンス(法令遵守)の知識がないと違反行為に繋がる恐れがあります。周りから常に、航空自衛官・会計職員・幹部自衛官として見られていると自覚することで、コンプライアンスへの意識を維持しています」と班員に指導する立場だ。

 第3術科学校(芦屋基地)で「調達・会計」の知識を叩きこまれるが、「会計」職種となるための資格は特に必要ない。「『会計』を命ぜられたのは計算が得意だったからですかね」、と笑って話す大磯班長。若い隊員の目標になれるように日々任務に励んでいる。

変化へ柔軟に対応

会計小隊 小隊長 高橋宏樹1空尉

 会計小隊の仕事は大きく分けて3つ。各種物品・役務工事等の契約業務を行う「契約」。隊員の俸給・各種手当の計算や認定補助を行う「給与」。それらを包括して代金の支払いや実際に金銭を扱う「会計」。お金に関わる分野で部隊や基地を支えている。「給料や旅費の支払いは隊員の生活に直結しているので、間違いや遅れは許されません」。小隊長の高橋1尉は、いつも正確かつ速い対応を心掛けている。

 そのために小隊長方針として「公私の充実と変化への対応」を掲げる。「プライベートが充実しないと仕事も上手くいきません。逆も然りです」と言うように、今では残業がほぼない職場となった。また、「前例主義が多い仕事ですが、そこに拘りすぎると進化はありません。コロナ禍で仕事のやり方が変わったのが良い例です」と変化へ柔軟に対応することの大切さを認識している。

 最後に「群司令の指導方針のとおり、我々が隊員さんを支えているんだ、という『誇り』を持って今後も実直に業務を遂行していきたいですね」と笑顔で抱負を語ってくれた。

少数精鋭でやっています

補給小隊 小隊長 藤元孝敏1空尉

 「基地にある物品は基本的には全てここを経由します。宇宙関係の器材もです」。ボールペンから車両まで、基地のあらゆる物品の管理・補給を担っているのが補給小隊だ。小隊長の藤元1尉は、幹部任官前は警戒管制レーダーの整備員だった。部品を補給隊に請求する側だったからこそ、「補給がなければ成り立たない」と説得力を持って話すことができる。「この物品が一体何で、送った先でどう役に立つのかを知ることも大切です」と強調する。「よくわからないものをどこかに送っている、では補給という仕事にやりがいを感じないのでは」と、若い隊員には部隊研修もさせている。

 現職に着任直後に感心したのが、隊員がどのポジションもこなせるということだ。ユーティリティープレーヤーの集まりだった。1000名以上いる基地の補給業務を10名弱の隊員でさばく。「少ないがゆえに、助け合ってきた補給小隊の特性なのでしょう。私が口を出すまでもなく隊員同士で仕事をカバーし合っている。自慢の小隊員ですよ」。今日も頼もしい仲間と共に少数精鋭で府中基地を支えている。

航空気象群基地業務隊 その3

 最終回となる第3回目は、基地のあらゆる物品を管理補給する「補給小隊」、官用車の運行や基地全体の警備等を行う「管理小隊(輸送班・警備班)」、給与支払い等お金に係る業務を担う「会計小隊」、基地のお医者さん「衛生小隊」をご紹介します。

 多忙な中、快く取材を受けて下さった基地業務隊長をはじめ各小隊長、班長、隊員の皆さま、企画段階からお世話になった航空気象群本部監理部の皆さまに感謝申し上げます。

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