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新時代の海幹部、帰港
第48回遠洋練習航海
「おかえり」「ただいま」

古庄幸一海幕長が、東郷行紀司令官以下すべての乗員の帰還を称えた


 修練151日。手土産は親善の絆--。南北アメリカ8力国・12寄港地を歴訪した第48回遠洋練習艦隊(司令官・東郷行紀海将補)が万全の航海を終えて帰港した。9月17日午前の帰国行事には、浜田靖一防衛庁副長官、古庄幸一海幕長、山中昭栄防衛施設庁長官をはじめ防衛庁・自衛隊の高級幹部、各関係機関からの来賓、乗組員家族など約300人が列席。東京港晴海埠頭で艦隊を出迎えた。指導要員など総勢742名(女子16名)。うち、初級幹部168名(女子8名、タイ王国留学生2名)。波涛に鍛えぬかれ、専門知識と技能を体得し、泰然とした風格で上陸。家族と再会を祝った。訓示の中で古庄海幕長は、初級幹部に「無限の可能性」を鼓舞し、「一つの終わりは一つの始まりである。若さ溢れる諸君の部隊での活躍を待つ」。


練習艦から続々と上陸する初級幹部たち


 無事を祈った家族の思いが今、秋彼岸の晴天に届く。すでに検疫をすませた乗員を乗せて、艦隊はレインボーブリッジの下に船影を現した。練習艦「かしま」(艦長・林宏之1海佐)、護衛艦「はまぎり」(豊住太2海佐)、「うみぎり」(三浦昌伸2海佐)の順に手際よく接岸、埠頭に整列する乗員の下へ、古庄海幕長、浜田副長官が到着し、栄誉礼の後、記念式典が行われた。(写真=待ちわびた家族の出迎えに歓喜)

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 日米交流150年目の今回は、アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、メキシコ、パナマ、トリニダード・トバゴ、アメリカ、ウルグアイの南北アメリカ8カ国を歴訪。地球を1.3周、51,800キロの旅を予定通りの日程で達成した。

 リオデジャネイロとサントスでは艦隊が初めて分散寄港を経験。トバゴのポートオブ・スペインは初寄港となり、日本トバゴ友好40周年記念行事に参加した。

 また太平洋・大西洋上で10カ国17名の海軍若年士官が練習艦隊で乗艦実習を行ったほか、ブエノスアイレスで日露戦争100周年記念行事に参列するなど、各国で親善役を務めた。

 初級幹部168名は9月から各術科学校に入校し、新年から部隊で活躍する予定だ。

 【幹部としての誇りを】

 浜田副長官は訓示の中で、防衛の制度的基礎を確立すると同時に、運用面を検討する段階である現状を説明。実習幹部から初級幹部となったことを祝福しつつ「国民の期待が高まる中、幹部としての誇りを」と鞭撻した。

 「立派な成長は指導員のたまもの」と述べ、東郷司令以下全隊員を労うとともに、来賓には今後の支援協力を呼びかけた。

 【スマートさとユーモアを】

 古庄海幕長は「東郷司令以下、白い制服姿で立派に帰国し、喜びにたえない」と述べ、訪問国との親善、世界の海軍士宮との交流で国際感覚を養い、また精強な姿で国民の期待に応えた乗組員たちを激励した。

 さらに、年末に新しい「防衛計画の大綱」が策定され、安全保障政策の抜本的な見直しが進む現在、今次隊員は文字通り「新時代の幹部」であることを強調。

 「地球の4分の3をしめる海で活躍し、無限の可能性に挑む諸君に幹部として要求すること」それは「スマートさとユーモア」であると教示した。

 「1つの終わりは1つの始まりである」「自分で考え、各人のスマートさユーモアを確立し、部隊で若さ溢れる諸君の活躍を待つ」と締めくくった。