自衛隊ニュース

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育休中のリスキリングで得たもの

援護課 宮下智美事務官

<沖縄>

 「リスキリング(学びなおし)」という言葉をご存知でしょうか。首相の「育休中のリスキリングを後押しする」という発言で一気に広まりました。私も資格取得を通してリスキリングに励む1人です。

 きっかけは3年前、ファイナンシャルプランナーという国家資格への挑戦です。当時、会計課勤務10年目に差し掛かっていた私は、そのプライドをかけて最難関の1級に挑みました。想定外だったのは、受験を決意した直後の第3子妊娠です。仕事・育児に加え妊娠中という制約の中で勉強生活が始まりました。産前はつわり、産後は寝不足で精神的にも体力的にもハードな時期でした。しかし、絶対に受かるという強い意志で勉強を続けた結果、産後2カ月の学科試験と半年後の実技試験を経て、念願の合格を果たしました。


復帰後スムーズに仕事モードに切り替えられた

 育休中のリスキリングは辛いだけでなく、メリットもありました。机に向かう習慣のおかげで復帰後もスムーズに仕事モードへ切り替えられたこと、勉強時間確保のための様々な時短術が、復帰後の生活でも役立ったことなどです。また、幼い子供がいる母親でもやればできるという自信がつき、物怖じせずに積極的に仕事を取りにいくようになりました。上司から資産運用の普及教育を任せてもらえたときは嬉しかったです。


次の資格に挑戦

 資格試験の虜となった私は、次に行政書士試験に挑みました。1年目は500時間費やしたものの結果は惨敗。次年度に向けて勉強を再開しようとした矢先、第4子を授かりました。試験日はなんと出産予定日からわずか1カ月後。「やれるだけやってみよう」と前向きな気持ちで挑むことにした一方、異動すぐの産休で職場に対する申し訳なさや保育園が決まらない焦りで、メンタルが不安定でした。

 そんな中、気持ちを切り替える手段としても勉強は大いに役立ちました。そして産後1カ月で臨んだ試験、結果は奇跡の合格でした。

 2度にわたる育休中のリスキリングはかけがえのない経験となり、今ではすっかり娯楽の1つとなりました。今も新たな資格取得に向けて勉強しています。今後も自分らしいリスキリングを続けていこうと思います。


予備自永年勤続者を表彰

9年間の勤務を満了

<岐阜>

 岐阜地方協力本部(本部長・井口裕康1空佐)は、6月30日から同年7月4日の間、航空自衛隊岐阜基地にて今年度2回目の予備自衛官5日間招集訓練を実施した。その訓練において、長年にわたり訓練に参加し勤務された予備自衛官に対し、予備自衛官永年勤続者表彰式を行った。

 任期満了前最後の5日間訓練にのぞみ、顕彰を受賞した谷本浩彦予備1陸尉は「定年退職した9年前は現役の延長線上にあり、体力も気力も漲っておりましたが8年、9年経ちますと徐々に衰え、維持するのが大変でした。ですが、9年間出頭し続けられたこと、そして無事に予備自衛官の勤務を満了することができて本当に良かったです」と予備自衛官として勤務を満了したことへの喜びを語ってくれた。

 岐阜地本長は、「顕彰受賞おめでとうございます。長年にわたり予備自衛官としての勤務ありがとうございました。これからも、自衛隊のよき理解者として、地域社会と自衛隊との架け橋としてご活躍お願いします」と訓示した。

就職援助の基盤拡充へ

各機関と意見交換

<鳥取>

 鳥取地方協力本部(本部長・村田晶洋1空佐)は7月26日、鳥取市において令和5年度自衛隊退職予定隊員就職連絡会議を実施した。

 鳥取地本援護課員、美保基地援護室員及び援護協会広島支部員、並びに鳥取労働局、鳥取・倉吉・米子の各職業安定所、鳥取県立鳥取ハローワークの各担当者が参加し、自衛隊と各機関との相互理解を図り就職情報を交換した。

 冒頭の挨拶で鳥取地本の坂本援護課長は「退職自衛官の就職の援助を担当する我々にとって、県内の雇用情勢・就職事情に関する知識を持つことは重要であり、各機関との情報を共有し、本会議を通じて更なる連携を図りたい」と述べた。

 会議では援護協会広島支部が協会の組織と活動を説明し、鳥取地本及び美保基地援護室は自衛隊退職者の再就職状況及び就職の援助業務について説明した。

 鳥取労働局は県内の労働市場について、「令和5年5月の鳥取県有効求人倍率は1・44倍であり、同新規求人倍率は2・47倍となった。また、正社員の有効求人倍率は1・11倍と前年同月を0・02ポイント上回っており、業種によって明暗が分かれている状態にある」と報告したのをはじめ、県内各職業安定所は所掌する管内の雇用状況を説明した。また、鳥取県立鳥取ハローワークは県として実施している就業支援施策を紹介した。

 質疑応答では、コロナ禍後の県内企業の求人状況、それぞれの機関の求職者に対する対応状況等について質問があり、活発な意見交換が行われた。

 鳥取地本は本会議で得られた多くの就職情報で就職援助の基盤を拡充し、退職自衛官の希望する職業紹介に役立てていく。

高校生3名が一日艦長

「のしろ」一般公開

<秋田>

 秋田地方協力本部(本部長・上村宗顕1空佐)は、7月1日、2日の両日、「のしろみなと祭り」行事と連携して、第13護衛隊(司令・小林卓雄1海佐)所属、護衛艦のしろ(艦長・渡邊真史2海佐)の支援を受け、艦名由来の地である能代港において、母港佐世保基地以外では初めてとなる艦艇広報を行った。時折、雨に見舞われる天候となったものの、みなと祭りイベント会場と併せ2日間で約2万人が来場し、艦艇の見学や乗員とのふれあいで大いに賑わった。

 艦艇一般公開では、両日で5241名が見学、337名の募集対象者とその家族に対する特別公開や平成26年以来となる護衛艦体験航海を実施した。併せてみなと祭りメイン会場においては広報ブースを展開し、約4000人の来場者に対し、陸上自衛隊車両の展示、ミニ制服を試着しての記念撮影や広報グッズ配布等を実施した。これらを通じ、防衛省・自衛隊の各種活動を積極的に紹介し、来場した募集対象者を含む多くの地域の皆様に効果的な採用広報活動を行うことができた。

 また、艦艇公開期間中3名の県内高校生が「1日艦長」に任命され、護衛艦のしろ広報係士官の案内により艦橋から食堂、隊員居住区等艦内全域の「艦内巡視」を実施し、隊員に対する質問等を通じ海上自衛隊に対する理解を深めていた。

 秋田地本は、今後も艦艇広報活動の機会を捉え、広く県民、地域住民等の皆さんに海上自衛隊の魅力を伝え、防衛省・自衛隊に対する理解の深化と自衛官募集の促進を図る。


10年ぶりの演奏

<島根>

 島根地方協力本部(本部長・中畑晶広1陸佐)は、7月15日、隠岐の島町が主催する「隠岐の島町うみまちコンサート2023」を支援した。隠岐の島町に音楽隊が派遣されるのは2013年以来10年ぶりであり、より多くの人に鑑賞してもらいたいという思いから午前、午後の2回に分けて行われた。第1回公演は町内の中学校、高校を対象に、第2回公演は一般市民を対象に開催され、客席(600席)はいずれの回もほぼ満席となった。

 海上自衛隊呉音楽隊(隊長・真道友樹3海佐)は、アップテンポで夏らしい曲に加え、昭和のヒット曲や流行のポップソングをイントロクイズにするなどして会場を沸かせた。また、ホワイエには広報ブースを設置し、島根地本がPR活動を行った。

 来場した生徒からは、「島ではなかなか見る事が無い音楽隊の姿を見れて嬉しかった」「かっこよかったし、勉強になった」(吹奏楽部員)などといった声が聞かれた他、隠岐の島町長や教育長等の関係者からも本格的な演奏が聴ける貴重な機会であり、自衛隊に感謝しているとのお言葉をいただいた。

 島根地本としては、今後も音楽隊の派遣演奏活動を通じて、一般市民に対し自衛隊への理解と関心を深めるとともに、このような機会を最大限活用して自衛官志願者の獲得に繋げていきたい。

東京都・東村山市

合同防災総合訓練

<東京>

 東京地方協力本部(本部長・山下博二陸将補)と一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA、理事長・鈴木真二)は9月3日、東村山市で行われた「東京都・東村山市合同防災総合訓練」で防災パネル展示を実施した。東京地本ブース近傍では、航空自衛隊府中基地のブース展示、陸上自衛隊第1後方支援連隊の野外入浴セット体験及び特殊車両展示なども行われたほか、救出救助訓練に参加する陸自ヘリがブース上空を飛行するなど、災害発生時の防衛省・自衛隊の役割を来場者に効果的に広報していた。

 今回、JUIDAは東京地本の協力依頼を受け、陸上自衛隊に対して行っている災害派遣時の支援、平素の合同訓練及びドローン操縦教育支援に関するパネル展示を行い、東京地本が災害時に果たす部外連絡上の役割についても、来場者の理解を深めて頂くことができた。

 また、ブースには家族連れからお年寄りまで幅広い年齢層が来場したほか、東京都の吉田義美消防総監や陸上自衛隊第1師団の吉田幸一副師団長などの高官も来場した。JUIDAの嶋本学参与(陸自OB)は、吉田消防総監と防衛大学校時代の同期生だったことから、久しぶりの再会を喜び合い、旧交を温める場面もあった。

 本ブースを視察した東京地本の北橋副本部長は、「このような大規模イベントを通じ、更なる募集情報の獲得を図ることが重要」と述べるとともに、「JUIDAのような部外団体や東京都のような自治体、また嶋本参与や自治体の防災監のような防衛省・自衛隊OBなどとも引き続き連携を密にし、東京地本の災害対応上の役割を強化していくとともに、これらネットワークを活用した援護情報の獲得にも着意することが必要」と述べ、本ブース運営の主力となって活動した国分寺募集案内所(所長・久保田3空佐)の所員らに期待感を示した。

防衛省・自衛隊 地方協力本部

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