自衛隊ニュース

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部隊新編準備を加速

16MCV入魂式

<第9師団>

 第9師団(師団長・田尻祐介陸将)は、16式機動戦闘車の納入に伴い、早期戦力化及び安全を祈願するため、8月9日岩手駐屯地において「16式機動戦闘車入魂式」を実施した。

 令和5年度末の第9戦車大隊及び第9偵察隊の廃止に伴い新編される第9偵察戦闘大隊は、16式機動戦闘車(16MCV)を主要装備として運用する予定であり、その16式機動戦闘車1両目が7月27日第9戦車大隊に納入された。

 入魂式には、部外より三菱重工業顧問、菱重特殊車両サービス取締役、部内より第9師団長、第9戦車大隊OB会長等が招待され、安全を祈念する意味を込め、師団長による陸上自衛隊の標識への筆入れを実施した。

 第9戦車大隊長は、「16式機動戦闘車の納入により、第9偵察戦闘大隊新編準備が加速された。機甲科部隊の伝統を継承しつつ、あらゆる任務に即応しうる実力と自信をつけ、1日も早く機動戦闘車を戦力化できるよう精進していこう」と今後への意気込みを述べ、早期戦力化を誓った。

第2師団、北演で奮闘

 第2師団(師団長・井土川一友陸将)は、8月17日から30日の間実施された、令和5年度北部方面隊総合戦闘力演習(05北演)に、人員約3500名、車両約1300両をもって参加した。

 05北演は、北部方面隊隷下の各部隊が参加し、北海道大演習場、矢臼別演習場を含む北海道内の各演習場等を使用して実施した方面隊挙げての大規模演習であり、この中で第2師団は、主力を各駐屯地から北海道大演習場に機動展開させた後、対着上陸作戦を実施した。

 上陸する敵に対し、師団主力を実際に演習場に展開して防御戦闘するという大規模の実動訓練であったが、参加した隊員達は、折からの酷暑にも負けず、出動準備、機動展開、防御準備から防御戦闘まで、1週間以上にわたる厳しい任務を完遂した。

第2回ドローンサミットに出展

アジャイル×イノベーション×無人航空機

<航空開発実験集団>

 航空自衛隊航空開発実験集団(司令官・柿原国治空将)は、9月7日及び8日に長崎県で実施された第2回ドローンサミット(主催:国土交通省、経済産業省、長崎県)に出展した。ブース展示では、「アジャイル×イノベーション×無人航空機」をテーマとして、無人航空機のアジャイル型研究開発活動について展示した。

 アジャイル型研究開発とは、我が国を取り巻く著しい安全保障環境の変化に対応するために、これまでの研究開発で培われた技術やノウハウ、現有装備品に適用されている基盤技術及び民生品に採用された優れた先進技術を組み合わせて、必要な機能を速やかに補完する活動である。航空開発実験集団では、その最初の取り組みとして民間無人航空機を活用した飛行実証を約2年前から実施している。

 ブースには約350人の企業、大学、公的研究機関及び官公庁等の入場者が訪れ、大きな注目を集める盛況ぶりであった。


産学官意見交換会を同時開催

 また、9月8日は、ドローンサミットに併せて、「第5回無人航空機活用に係る産学官意見交換会」を現地で開催した。これは、航空開発実験集団における無人航空機活用に係る取り組みの一環であり、産学官共通の課題解決を目指した意見交換会として、令和4年6月より定期的に開催している。第5回は、長崎県の協力を得て、ドローンサミットに併せて実施することとし、離島が多く海上交通網が発達している長崎県の特性を踏まえ、「海上における無人航空機の活用」をテーマとした。

 柿原航空開発実験集団司令官の「5年先の技術をアジャイルに実現、そのためにも私達と一緒に課題を解決していきましょう」という力強い挨拶を皮切りに、企業、大学、航空開発実験集団からの話題提供を基にしたワークショップを行い、参加者間の専門的知見を踏まえ、様々な観点から熱い議論が交わされた。

 なお、本活動について、意見交換会の参加者から高い満足度を得ており、航空開発実験集団としては、今後も産学官連携の深化を図り、来年2月に新たなる実証実験を実施する所存である。

亀田射場改修工事 着々と遂行中

<第11施設隊>

 第11施設隊(隊長・佐々木幸太郎2陸佐)は令和5年4月から令和6年12月までの間、北海道函館市にある亀田射場の改修工事を担任・実施している。本工事は、普通科連隊等の各個戦闘射撃能力向上に必要な訓練基盤の充実を図ることを目的とし、第1期工事から第5期工事に区分して2ヵ年計画で射場を改修するものであり、隊員が横隊に展開して前進しながら射撃が実施できるように射場全体の地面を平坦に整地するとともに、跳弾を防止するための側堤を射場の左右に構築することが主要な工事内容となる。

 隊は、第10即応機動連隊、第18普通科連隊、第28普通科連隊、第11後方支援隊等、旅団隷下各部隊の人員・装備の差し出しを受けて整備隊を編成し、4月3日から25日まで実施した第1期工事において、亀田射場から駒ケ岳演習場の間の約50キロの道のりを延べ370往復し、射場で発生した不要な伐採木等を運搬して工事の基盤を整えた。

 そして、5月8日から7月26日まで実施した第2期工事において、射場の正面幅を拡げる上で最大の障害物となっていた小河川を約300mの暗渠(地面に埋設した水路)に改修するという難工事を概成させるとともに、左右の側堤(高さ6m)を延伸させた。

 今後は、8月17日から開始した第3期工事において、11月末を目途に左右の側堤を完成させるとともに、来春の第4期工事に備えた排水設備の構築等を実施する。

【第11施設隊交通小隊長・白岩加帆2陸尉の所見】

 第1期工事及び第2期工事の整備隊長の指名を受け、約4ヶ月間にわたり工事を指揮させていただきました。

 工事開始後、現在の射場を構築した際に埋設されたと思われる排水管の発見による新たな整備所要の発生、暗渠及び側堤部の設計変更、湧水及び降雨による工程の遅延、集成部隊特有の問題等、様々な困難に直面しましたが、その都度、整備隊本部と現場の器材班長、分隊長、各支援部隊の長と知恵を出し合うとともに、施設隊本部の指導を受けつつ対処し、何とか第2期工事までの整備項目を予定どおり完了することができたことに安堵しています。

 また、民生品を活用した暗渠の構築等による分隊の施設技術の向上、大量の切土、盛土、運土による器材班の施設機械操作能力の向上、そして、私自身も工事管理能力を向上できたことを実感しています。

 最後に、旅団隷下部隊、函館駐屯地業務隊をはじめ、第1期工事及び第2期工事に携わった方々に感謝申し上げます。


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