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大野長官『年頭の辞』
「新しい時代に挑戦し、大活躍を」

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大野大臣が年頭にあたって高級幹部を前に訓示

(1月4日、防衛庁A棟講堂で)


 大野功統防衛庁長官は1月4日、防衛庁A棟講堂で防衛庁・自衛隊の高級幹部約1000名を前に「年頭の辞」を分りやすい言葉で述べた。内容は全国各地の隊員に向けても放送された。大野長官は酉年にちなんで「鶏鳴暁を告ぐ」ように心を合わせ「新時代へ向けて第一歩を踏み出そう」と呼びかけた。年頭の辞の要旨は次のとおり。


 明けましておめでとうございます。新しい年を皆様にはお元気でお迎え頂いたことと存じます。

 昨年は自衛隊の諸君におきましては、イラクの人道復興支援活動、そしてテロ特措法に基づくインド洋での活動、さらに南極観測船の「しらせ」での活躍、それから年末押し迫って急にスマトラ沖の地震がありました。急遽、テロ特措法の業務を終えて帰国途中の海上自衛隊の皆様に大活躍をしていただきました。実は昨日の夕方でございますけども、タイの国防大臣サン・ポン将軍から私のところへ直接電話がありまして、自衛隊、海上自衛隊の活動に対し、大きな大きな賞賛と感謝の言葉がございました。そして、私の方から、自衛隊は国際協力のために頑張っていくんだ、こういう話を致しました。電話の向こうからは、本当に弾んだ声が聞こえて参りました。

 また、長い間ゴラン高原でも活動いただいております。世界各国で駐在武官がいろいろな意味で活躍をしてくれています。そういう意味で、本当に自衛隊員の活動は国際的に大きく大きく評価されておる次第でございます。

 国内では、新潟県中越地方で災害派遣を致しました。それから台風被害地に災害派遣を致しております。国内からも、自衛隊の皆さんありがとう、こういう声がわき起ってきておるところであります。

 政策的に言いましても、新しい時代を先取りするような新しい防衛大綱を作成致しました。その他数々の仕事を政策面で新しい時代に向けて頑張ってくれております。私は今、新しい時代へ向けての第一歩を踏み出しているんだな、こんな感じで皆様と一緒に仕事をさせていただいていることを誇りに思っている次第であります。今年はご存じのように干支で言いますと酉年であります。酉年と言いますと、ときの声をあげる、こういうことが言われます。鶏鳴暁を告げる、こういうことも言われております。ときの声をあげる、頑張ろうという意味であります。鶏鳴暁を告ぐ、この言葉は、暗闇を破って、そして朝日を呼び起こそう、こういう意味でございます。どうぞ皆さん、心を合わせて新しい時代に挑戦していこうではありませんか。

 また、いろんな意味で総合性が大事であります。統合性と言っていいかもしれません。あるいは即応性、弾力性ということも大事であります。簡単に申し上げますけれども、今あらゆる意味で仕事の境界線が無くなってきているんではないか。外交と防衛の境界線も無くなってきております。そして自衛隊と警察、あるいは海上保安庁との境界線も次第に無くなりつつあります。どうか皆さん、セクショナリズムを廃していこうではありませんか。いろんな意味で考え直すべき点は考え直していかなくてはいけません。我々は新しい時代のシステムを基本的に長期的にそして国際的視野の中で考え直す、これが新しい時代を迎える新しい夜明けを迎える今年の我々の重大な責務ではないか、私はこのように思っておる次第であります。

 新しい年の課題はたくさんございます。どうか力を合わせて頑張って参りましょう。特に今申しあげましたような、新しい防衛大綱の下での防衛力作り、そしてまた今年はトランスフォーメーションの問題もあります。それから、国際協力業務の本来任務化というシステムを作っていかなければなりません。あるいはBMDの問題もこれからきちっとその手続きを論じていかなければなりません。シビリアンコントロールをきちっと守りながら、この即応性、弾力性、こういうことをかんがえなければなりません。そして、我々が長年期待し願望しておりました、いよいよ省昇格、防衛庁ではなくて防衛省としての昇格問題も出て参ります。今年は先程申し上げましたとおり、酉年であります。この酉がですね、大きな声で、変えようではないか防衛省に、こういうふうに鳴いてくれることを期待しておるものでございます。今年もどうぞ自衛隊の諸官、そして防衛庁の諸君、皆様心を合わせて新しい時代に挑戦する、そしてどうか今年は皆様にとりまして幸多き年となりますように、またご健康に十分注意をされて大活躍をされますように、心からお祈りする次第でございます。



隊員の安全や健勝を願って「大だるま」に目入れする大野大臣