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ノーサイド
北原巖男

東ティモール、若者達の働き場所

 先月2月2日~9日、東ティモールに行って来ました。

 沖縄県の宮古島の真南約5,000㎞。岩手県ほどの全国土面積に約135万人の人口。平均年齢20歳。日本とは時差の無い、平和な常夏の島。

 今年は1975年の独立宣言から50年。その後のインドネシアによる厳しい併合を経て、2002年5月に独立を回復。21世紀最初の独立国。アジアで一番新しい国とはいうものの、既に23年を迎えます。

 対外的には、したたかな全方位外交を展開する中、正式にASEAN加盟を申請した2011年から早や14年、本年こそ正式メンバー入りを実現すべく取り組んでいます。議長国はマレーシア。5月或いは10月にも実現するのではないかとの見方もあります。

 他方、国内的には、資源依存経済からの脱却を目指して努力はしているものの、日本と真逆な人口増を続ける若年層を取り込めるだけの国内産業・職場はありません。その不足は深刻です。若者の働き場所が無いのです。雇用問題は、東ティモール最大の懸案事項になっています。

 こうした状況を踏まえ、東ティモール政府は、職業訓練・雇用担当国務長官を先頭に、海外のいわゆる出稼ぎ先の開拓に力を注いでいます。

 日本に対しては、以前から「技能実習生」の受け入れを要請して来ました。東ティモールの場合、「技能実習生」の「送りだし機関」は、民間の組織ではありません。職業訓練雇用担当国務長官をトップとする政府組織そのものです。東ティモール政府が国内各地に開設した職業訓練校や日本語教育センター、更にはNGOのCQR日本語教室等にて勉強している人たちの中から選抜されて、日本に向かうことになります。

 したがって東ティモールについては、巷間言われるような、「技能実習生」が、莫大な借金を背負って来日し、その返還に追われるといったことはありません。

 日本で初めて「東ティモールからの技能実習生」7名(農業)を受け入れてくれたのは高知県です。高知県に「技能実習生」を派遣するに至るまでには、長年にわたって「日本・東ティモール友好議員連盟」の会長を務めてくださっておられる中谷 元 衆議院議員(現 防衛大臣)はじめ高知県ご当局・「監理団体」の皆さん等の大変温かいご理解とご尽力があります。中谷 元 会長は、公務ご多忙にもかかわらず、高知県で頑張る「技能実習生」の皆さんを直接激励もしてくださっています。

 グスマン首相を始め東ティモール政府は、深甚なる感謝を表明しています。

 2024年10月、日本は東ティモール政府との間で技能実習に係るMOU(了解覚書)を締結しました。このアンブレラの下、今日までに、職業訓練・雇用担当国務長官は、日本国内のいくつかの「監理団体」とMOC(協力覚書)を結んで来ています。現在、日本には約50名の「技能実習生」が、高知県を始め、広島県、茨城県等で頑張っています。

 今後、更に信頼できる「監理団体」との間でMOCを締結し、「技能実習生」の派遣・受け入れの増加に努めて行くことが期待されます。

 筆者の今回の東ティモール訪問では、首都近郊と地方の職業訓練校や日本語教育センター及びNGOのCQR等4か所を訪問し、そこで学ぶ皆さん達と親しく懇談等して参りました。

 そこで直接触れたのは、東ティモールの若者の皆さん、更には中高年の皆さんも含めて、日本に「技能実習生」として働きに行きたいとの、強く、真剣な姿でした。

 今回、東ティモール唯一のショッピングセンターの広いメインロビー階の一角で見たのは、20人ほどいたでしょうか、多くの皆さんが、海外に出稼ぎに行っている親族からの送金受け取りのため、椅子に座って待っている光景でした。一昨年は、上階の廊下にて数人が並んでいた程度でしたが、今やメインロビーで行われているのです。

 国内に仕事がないというのは、こういうことなのかと、切羽詰まった皆さんの眼・思い・送金に頼る家族の姿に接し、震撼するのを禁じ得ませんでした。

 今、筆者に出来ることは、全国に約4000も存在すると言われている「監理団体」の中から、筆者が信頼する方が紹介してくださる「監理団体」に伺い、未だ馴染みの薄い東ティモールについてご説明申し上げ、東ティモールからの「技能実習生」受け入れを検討して頂けるよう「監理団体」そして同団体から、同団体の組合員である「受け入れ団体」に働きかけて頂くことを置いてないとの思いに至りました。

 東ティモールは、同国が間もなく参加するASEANの中で、UNDP(国連開発計画)が発表している生活の質や発展度合いを示すHDP(人間開発指数‥長寿で健康な生活・成年識字率と総就学率・一人当たりのGDP)を見ると、残念ながら最下位に留まっています。

 東ティモールでは、国父グスマン首相を先頭に、国内投資の呼び込み・国内産業の発展に最大限の努力を続けています。

 そうした努力に併せて、特に、今を生きる東ティモールの将来を担う若者の皆さんの能力向上・収入源の確保と少子高齢化著しく人手不足の軽減・解消が焦眉の急である我が国とは、正にウインウインの関係にあると言っても過言ではありません。

 僅か7人から始まった東ティモールの「技能実習生」。

 突飛なことと笑われるかもしれませんが、ふと、1969年7月にアポロ11号の船長として初めて月に降り立ったアームストロング船長の言葉が、筆者に浮かんで来ました。

 「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ。」

 皆さんのご理解・ご協力を賜りながら、東ティモールの皆さんとの連携を密にして、しっかり頑張って参りたいと思います。


北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事

担架班を演練<34普連>

写真:柔軟性に優れた軽量担架・フォックストロットリッターで負傷者を搬送


 第34普通科連隊(連隊長・兜智之1陸佐=板妻)は1月21日から「令和6年度補助担架員(養成)集合教育」を実施している。

 本教育は衛生小隊が担任し、各中隊から選抜された隊員が参加して救急処置をはじめ、傷病者の搬送、第一線救護など日々教育に励んでいる。

 2月6日は、東富士演習場において4名1組よる担架班の行動について演練し、戦闘間に負傷者が発生したとの情報を基に、林内において敵の脅威がある中で対敵行動をとりつつ捜索し、負傷者を発見すると各人の役職に応じて協力・連携して救急処置、次いで搬送を実施し、安全な場所まで搬送を行った。

 訓練終了後は研究会を実施し、教訓事項等について各隊員の共有を図り、じ後の資を得て訓練を終了した。


国際任務完遂のためあらゆる
環境に対応<中即連>

写真:蛇腹鉄条網を構築


 中央即応連隊(連隊長・堀口大助1陸佐=宇都宮)は、1月24日から1月31日までの間、新潟県の関山演習場において「積雪寒冷地における訓練」を実施した。

 本訓練は、積雪寒冷地における国際任務完遂のため必要となる編成・装備及び能力について案出するとともに、その成果を連隊に共有して任務遂行能力向上に寄与することを目的に行われた。

 当初、駐屯地において訓練の全般説明や積雪寒冷地における注意事項について教育を実施、衛生科隊員は、凍傷及び低体温症の対策・処置について教育を行うなど安全管理に万全を期した。関山演習場では「スキー機動」「車両走行性能の検証」「宿営地の構築」などの訓練と検証を実施して各人の能力及び技術の向上を図るとともに、積雪寒冷地における装備品や宿営地構築要領などを検証した。

 2月5日に実施された本訓練の研究会において、訓練担任官である施設中隊長は「あらゆる環境下で任務を完遂するためには、冬季の知識や技術についても練度向上を図る必要がある。訓練については、まだ不十分な部分もあるので、訓練場所の選定等も含めて必要な訓練を実施して練度の維持・向上に努めていかなければならない」と述べた。


31名のスキー指導官が誕生<2普連>

写真:認定試験の様子


 第2普通科連隊(連隊長・末本紀彦1陸佐=高田)は1月26日から2月10日までの間、関山演習場及び新潟県杉ノ原スキー場において、令和6年度東部方面部隊スキー指導官養成集合訓練を担任した。

 本教育は東部方面管内の各部隊から選抜され、かつ素養試験に合格した39名の隊員が参加し、10名の教官班による充実した指導体制の下、訓練が行われた。

 選抜された隊員は斜面技術をはじめ、遭難者救助法、スキー行進、宿営等、各実科及び学科における本質的事項と指導要領を約2週間にわたって学び認定試験に臨んだ。

 2月10日に行われた徽章授与式において、指導官として必要な識能を満たした合格者に対し、担任官の連隊長より徽章が授与され、31名の部隊スキー指導官が誕生した。

 教育に参加した山本3曹は「2週間という短い期間であったが、教官の的確な指導の下に練成し、無事合格する事ができた。今後は指導者として本教育で培った知識と技術を普及し、後輩育成等にも貢献できるような指導者を目指したい」と語った。

 また、1月30日に副旅団長が視察し、学生たちを激励した。


ノース・ウインドで中隊を検閲<12施群>

写真:車装を変換する隊員


 第12施設群(群長・山下拓路1陸佐=岩見沢)は2月6日~8日までの間、北海道大演習場において、第400施設中隊(中隊長・中山1尉)に対し、米陸軍との積雪地における実動訓練であるノース・ウインド25の場を活用し、「第18普通科連隊に配属された施設中隊の行動」について訓練検閲を実施した。

 訓練検閲開始にあたり統裁官(群長)として「任務の完遂」・「安全管理の徹底」の2点を要望した。隊容検査では、隊員の任務の理解度、防護マスクの装脱面、12・7ミリ重機関銃、84ミリ無反動砲、5・56ミリ機関銃射撃、至近距離射撃、野外衛生、背のう入れ組品及び車両等の検閲準備状況を確認した。

 状況開始後は、北海道大演習場へ前進し、車装変換を実施後、アップダウンの激しい約10キロの経路をスキーにより行進した。目的地到着後、集結地を占領して、指揮所の開設を実施し、普通科連隊との調整を綿密に行い、障害処理、交通作業等の施設支援を実施し、普通科連隊の任務達成に大きく寄与した。

 今検閲間は、今シーズン最強寒波が押し寄せ、氷点下10度以下の厳しい寒さになる中、第400施設中隊は、一件の事故も無く無事に駐屯地及び家族のもとに帰還し、任務を達成する事ができた。今後も諸職種協同における施設支援能力を向上すべく日々錬磨していく。


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