2006年4月1日 の記事
イラク派遣隊員から防大50期卒業生へ
防大50期卒業生に対して、今なおイラクで活動を続ける第9次復興支援群長の小野寺靖1陸佐(25期)と、第5次復興業務支援隊の西村修2陸佐(35期)の両先輩からメッセージが寄せられましたのでご紹介します。
イラク復興支援群長 小野寺 靖
ご卒業おめでとうございます。第9次イラク復興支援群長の1等陸佐小野寺靖です。
ここイラクでは3月21日はナウルーズとよばれ、日本の「春分の日」にあたります。気温も上がってきましたが、湿度が低くすごしやすい今日この頃です。私たちが所在するサマーワ宿営地周辺では緑も多く見られ、羊が草を食べる風景は平穏そのものです。サマーワはイラク国内でも比較的治安が安定しており、いたるところで住宅が建設され、復興の息吹を感じます。
私たち第9次復興支援群は、サマーワを中心とするムサンナ県において医療支援、学校等公共施設の復旧・整備を実施しています。特に外務省との密接な連携のもと、住民の皆様から要望の高い水、電気、雇用問題を焦点として取り組んでいます。
活動にあたっては、「献身・友情・誠実」をスローガンに掲げています。「献身」とはイラクの人々の視点に立ち、現地に根ざした支援を尽くすこと、「友情」とは、イラクの人々に敬意を表し、これまで築かれた信頼関係を深めること、そして、「誠実」とはイラクの人々と礼節を持って接し、日本人の心を伝えることを意味しています。単に施設を建設・補修するだけではなく、日本の善意を伝えイラクの方々に受け入れられながら復興を支援する我々のやり方は、ムサンナ県で広く支持され、多国籍軍からも高く評価されています。私たちの活動はイラクの復興や中東の安定に貢献するばかりでなく、世界に日本の真摯な姿を示し、もって日本を取り巻く良好な環境を醸成するため寄与していると考えています。何よりも、イラクの子供達の純粋な笑顔に接するとき、一人の人間として、復興支援活動の意義と重要性を強く感じます。
ここ数年、世界情勢の変化はめまぐるしく、自衛隊も急速に変化しています。国内においては弾道ミサイル防衛、ゲリラコマンドウ対処、国民保護など幅広く現実的な役割が自衛隊に課される一方、国際的な安全保障環境を改善するための積極的な取り組みとして自衛隊が海外で活動する場面も多くなってきました。イラク復興支援群やゴラン高原のPKOといった陸上自衛隊の活動はもちろん、クウェートに展開する航空自衛隊、インド洋で活動する海上自衛隊など、各自衛隊が中東の安定に貢献しています。
防大卒業生の皆様は、4年間の修学を通じて多くの知識・技術を身につけ様々な経験を積まれたことと思います。今後は幹部候補生学校を経て各部隊に赴任し、活躍されることでしょうが、これからも、幅広い知識と国際感覚を養い、陸・海・空の絆を大切にして、国内外の幅広い分野で活躍されることを期待しております。
部隊の中で鍛える 西村 修2陸佐
防衛大学校50期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんは防大卒業後、陸海空それぞれの初級幹部として第一歩を踏み出すことになります。初級幹部時代の原隊における経験は、じ後の自衛隊勤務における柱となるべき重要な時期でもあります。新進気鋭の小隊長として、元気溌剌として陣頭に立ち、失敗することを恐れず、いろいろな経験を積んで部隊の中で鍛えられることが重要であると思います。
皆さんの部隊への着任を今から楽しみにしております