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船岡猛攻で「V20」達成
習志野に快勝

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ディフェンスを振り切る船岡選手(中央)


 「第64回全自衛隊ラグビー大会」が11月25日から12月4日まで、朝霞など3駐屯地・基地などで行われ、Aブロック決勝は陸自船岡と同習志野の自衛隊の“両雄”が相まみえ、船岡が65‐3で快勝。大会史に残る20連覇を達成した。


 決勝会場の東京・秩父宮ラグビー場。実業団東日本リーグ「トップイーストリーグ」でもしのぎを削ってきた両チームの対戦は、手に汗握る攻防となった。

 国際防衛ラグビー競技会(W杯に合わせ4年に一度開催される軍人ラグビー)では、「ディフェンス・ブロッサムズ」として自衛隊代表チームを組み、各国軍に立ち向かった〝戦友〟だが、全自の舞台では雌雄を決する好敵手だ。

 フォワードの突進と走り抜けようとするバックスを互いのディフェンスが阻止する。力と力、技術と技術のぶつかり合い。

 前半中盤、均衡を破って船岡が先制トライ。終盤にはCTB(センター)倉元颯士陸士長が右へ駆け抜けトライ、さらに自らゴールキックも決め、22‐3と点差を広げた。

 後半に入ると、地力で上回る船岡が猛攻でトライを重ねた。終盤にFB(フルバック)伊藤圭哉3陸曹が中央を突破しポスト下へ飛び込むなど、合わせて7個のトライを奪った。

 古豪習志野も試合終了の笛が鳴るまで攻め続けたが船岡の厚い防御に阻まれ、得点は前半のSO(スタンドオフ)垂水鉄平3陸曹のゴールキックのみに抑えられた。

 金字塔の「V20」を成し遂げた船岡チーム。けがで欠場した主将、高屋敷拓也2陸曹に代わりゲームリーダーを務めた小野賢蔵3陸曹は、「攻撃は表裏をつくって深みのあるアタックを、ディフェンスは詰めるところは詰め流すところは流し、確実に相手に点を取らせないことを目指した」と勝因を挙げた。

 かつて選手として連勝に貢献した監督の安藤貴樹2陸尉は、「ここまで(20連覇)来ると負けられない、という意識がチーム全体にあった。最初は緊張していたが途中から緊張がほぐれ得点を重ねられた。(トップイーストの)リーグ戦の途中でディフェンスの弱さを感じ、練習を積み重ね、ディフェンス力を高めた」と語った。


 Aブロック決勝後に行われた閉会式には大会会長の増田和夫事務次官、同副会長の南雲憲一朗統幕副長、大会委員長の尾崎義典情報本部長らも出席。

 増田事務次官は式に先立って船岡フィフティーンに声を掛け「力強いプレー、前人未到のV20の達成に感動しました。さらにV30、V40を目指して頑張っていただきたい」とねぎらい、激励した。


Bブロックは国分・北熊本

 大会はA~C3ブロックに分けて競われ全11(A2、B6、C3)チームが出場した。

 結果は次の通り。◇Aブロック優勝=船岡◇Bブロック優勝=国分・北熊本、準優勝=善通寺、3位=練馬・松戸・朝霞・市ヶ谷・霞ヶ浦・富士・八尾◇Cブロック優勝=浜松・岐阜・小松・静浜・小牧、準優勝=千歳・東千歳




砕氷艦「しらせ」南極へ

しらせ

出港するしらせ(横須賀基地逸見岸壁で)


 第66次南極地域観測協力を行う海自砕氷艦「しらせ」(艦長・齋藤一城1海佐以下乗員約180人、排水量1万2650トン、横須賀地方隊所属)が11月20日、多くの家族や隊員らに見送られ、横須賀基地から出港した。

観測隊協力担う
 出港に先立ち、基地体育館で行われた出国行事には約700人が出席。
 吉田圭秀統幕長の訓示が代読された後、齋藤聡海幕長が「南極観測の成功はその基盤を構築する『しらせ』にかかっていると言っても過言ではない。環境変動が地球規模の問題となっている現在、『しらせ』が支援する昭和基地周辺やトッテン氷河沖での各種観測は、温暖化などの環境変動のメカニズムを解明し将来につなげる重要な観測として、全世界から注目されており、諸官の任務は他の誰にもなしえない」と壮行の辞を述べた。
 次いで野木義史国立極地研究所長が来賓を代表してあいさつ。齋藤艦長が海幕長へ出国報告を行った。
 しらせは、国立極地研究所の南極地域観測隊への協力を任務とし、人員、物資の輸送を行うほか、支援作業(艦上観測、野外観測、基地設営)にあたる。
 今次協力では、観測隊員を往路(フリーマントル~昭和基地)で65人、復路(フリーマントル~昭和基地)で79人、物資は往路で約1110トン、復路で約276トンを輸送する。
 来年4月22日の横須賀基地への帰港を予定し、総行動日数は154日(うち南極圏は92日)、総航程は2万1600マイル。


日韓防衛協力さらなる強化を
韓国海軍合同巡航訓練戦団が来日

6年ぶり 横須賀へ

 韓国海軍の合同巡航訓練戦団が11月7日、横須賀港に入港し同日、中谷元・防衛大臣も出席し歓迎行事が開かれた。大臣は「日韓防衛協力の重要性は増している」とあいさつし、さらなる交流・協力の強化に期待を寄せた。同戦団の来日は2018年11月に佐世保港に入港して以来、6年ぶり。


中谷大臣 歓迎行事で

 海自音楽隊が歓迎の演奏で出迎える中、横須賀基地の逸見岸壁に接岸した韓国海軍強襲揚陸艦「マラド」の乗員たちが右舷に等間隔に直立し、敬意を示した。

 来日したのは、韓国陸海空軍の士官候補生らが乗る「マラド」、揚陸艦「チョンジャボン」、補給艦「テチョン」の3隻。7月に行われた日韓防衛相会談で、自衛隊と韓国軍の部隊間交流の活性化などが合意されていた。

 歓迎行事には中谷大臣、齋藤聡海幕長、パク・チョヒル韓国大使、海自隊員、巡航訓練戦団の士官候補生ら約150人が出席。

 真殿知彦横須賀地方総監は、かつて大学院で学んだという流ちょうな韓国語を用い、「日韓両国が地域の安全保障とそれぞれの国益のために協力することは、地域の平和と安定に大きく寄与することになると確信しています」とあいさつ。

 キム・ハクミン戦団長は「親善行事等を通して、日本の文化を理解する機会となることを期待します」と応えた。

 中谷大臣は「韓国は我が国にとって大変大切なパートナー国です。北朝鮮による弾道ミサイル発射をはじめ、地域の厳しい安全保障環境、グローバルな課題に対し、日韓の安全保障、防衛協力はこれまで以上に重要性を増してきています。さらに日本に対する理解を深め、日韓防衛協力のためにご尽力していただくことを心から期待しています」と述べた。

 沢田俊彦第1護衛隊群司令とキム戦団長との間で、記念品の交換も行われた。戦団は10日、横須賀を出港した。


中谷大臣 横須賀、横田を視察
 中谷大臣は、韓国海軍合同巡航訓練戦団の入港歓迎行事出席後、横須賀基地で最新鋭護衛艦「もがみ」(第11護衛隊=横須賀=所属)を視察した。
 視察後、大臣は同基地で勤務する隊員たちに対し、「(前回、防衛大臣を務めたころから10年経ち)世界は地政学的に大きく変化し、わが国を取り巻く安全保障環境はより一層厳しさを増している」と訓示。
 「護衛艦もがみをはじめ数々の新たな装備品が導入され、能力が向上しているが、こうした装備を動かし使ってこの国を守ることができるのはあなた方しかいません。防衛力の中核は自衛隊員。だからこそ、働きやすい環境をつくり、優秀な人材を確保することは待ったなしの課題。防衛大臣として、規律を維持し精強な部隊をつくるためにも隊員の生活、勤務環境の改善に全力を挙げて取り組んでいく」と述べた。
◇    ◇
 11月1日は「強固な日米同盟を体現する場所」と位置付ける横田基地を視察し、航空総隊司の隊員に対して訓示を行った。
 大臣はまず、在日米軍司令官のスティーブン・F・ジョスト中将を表敬。前日の北朝鮮による弾道ミサイル発射を受け、日米同盟の抑止力・対処力の強化は不可欠であるとの認識を共有した。また、日米の活動を効率よく行うために設置された日米共同情報分析組織(BIAC)を視察した。航空総隊司令部においては、北朝鮮の弾道ミサイル発射への対応や中国・ロシア機に対するスクランブル対応等、多岐にわたる任務について報告を受けた。
 大臣は訓示で「極めて重要な任務を担っており、皆さんの日々の働きに心から敬意と感謝を申します」と激励。また、自衛官の処遇改善についても言及し、年内に取りまとめの公表を目指す関係閣僚会議等を通じて「働きやすい、生活しやすい、隊員の皆さんに喜んでもらえるような環境の整備、隊員の生活・勤務環境の改善に全力を挙げて取り組みたい」との姿勢を示した。そして「先頭に立って道を切り開き、皆さんと共に努力して国を守るという崇高な使命を共に果たす覚悟だ」と決意を述べた。



陸自車両部隊、機動整斉と

西方隷下70両 大分から横浜へ

 陸上自衛隊は10月17日、「令和6年度陸上自衛隊演習(06陸演)」の一環の車両部隊の海路による長距離機動展開を神奈川県の港湾施設、横浜ノース・ドックで報道公開した。

「陸演」一環として
PFI船舶ナッチャン用い
 大きな船体が近付いてきた。防衛省がPFI(民間資金等活用事業)で運用する民間高速フェリー「ナッチャンWorld」。船体横の恐竜などの絵がほほえましさを感じさせる。
 一転、これが訓練であることを思い出させた。船体後部のハッチが開かれ、岸壁の隊員らに誘導され車両が次々と下り始めた。
 令和3年以来、3年ぶりに実施されている陸演(9月2日~11月下旬)。森下泰臣陸幕長を統裁官、廣惠次郎教育訓練研究本部長を統裁本部長に、陸自全部隊等が参加し任務遂行能力、運用の実効性の向上が図られている。
 訓練の一環として西部方面隊(司令部・健軍)隷下各部隊の軽装甲機動車やトラックなど車両約70両、隊員約200人がおよそ1日かけ、大分港から横浜へ展開した。
 訓練には、元海上自衛官も〝協力〟した。「ナッチャンWorld」の船長、内藤裕之さん(元1海佐)は補給艦「ときわ」の艦長などを務め、今回の運航を「極めて順調に進んだ」と振り返った。
 森下陸幕長をはじめとする陸自高官らも途中、視察に訪れた。陸幕長は「あらゆる港湾を活用した訓練を行うことは運用の実効性を向上する上で意義がある。国内で生起するあらゆる事態に即応し所要の対応を実施できるよう、引き続き任務遂行能力および運用の実効性向上を図っていく」と述べた。
 岸壁に目を転じた。整斉と並んだ車両群が目的地、東富士演習場への出発を待っていた。


52年かけ処理4万件到達

第101不発弾処理隊(那覇)

県民守り抜く

 昭和47年(1972年)以来、沖縄県における不発弾の処理を担ってきた那覇駐屯地に所在する第101不発弾処理隊は8月23日、那覇市泊で発見された米国製5インチ艦砲弾の回収をもって通算4万件(累計1184トン)に到達した。

 4万件にあたり第101処理隊長は、隊員を前に次のように訓示した。

 「4万件はゴールではなく一通過点に過ぎない。ただし、諸先輩方が築いてきた安全を第一とする部隊の伝統と、不発弾処理に必要なノウハウをしっかりと継承してきたこと、さらに、自治体・関係行政機関等との緊密な協力があって到達できたのである。部隊が任務を開始して約50年が経ち、処理隊は4万件に達したものの、不発弾の脅威はいまだに県民の生活の身近なところに存在している現況にある。引き続き安全確実を第一に処理活動を行い、不発弾の脅威から沖縄県民を守り抜くという務めを果たしていこう」

 第101不発弾処理隊は52年にわたり着実な処理を積み重ね、無事故でこの日を迎えることができた。引き続き「沖縄県の皆様の安全・安心」のために務めを果たしていく。

旭川市総合防災訓練

<2師団>

 第2師団(師団長・井土川一友陸将)は、8月31日に旭川市で開催された「令和6年度旭川市総合防災訓練」に参加した。

 旭川市総合防災訓練は、地域における防災意識の高揚と関係機関との連携強化を目的として毎年実施されており、第2特科連隊(連隊長・井上靖也1陸佐=旭川)のほか、旭川開発建設部、旭川地方気象台、北海道警察、旭川市消防本部等が参加した。

 本訓練において師団は、室内会場での令和6年能登半島地震における災害派遣状況の動画上映や写真の展示、野外における自衛隊車両、救命用ボート等の人命救助に使用する装備品展示実施した。

 また、避難訓練の参加者に、野外炊事車で温めたアルファ化米を試食してもらうなど、訓練を通じて市民と交流を深めて一緒に防災意識を高めることができた。

日フィンランド防衛相会談

防衛協力・交流深化に向けて一層連携

 9月12日、木原稔防衛大臣は、防衛省でアンティ・ハッカネン・フィンランド国防大臣と会談を行った。日フィンランド防衛相会談は2年振り。木原大臣は、フィンランドがロシアによるウクライナ侵攻を踏まえて、2023年4月、北大西洋条約機構(NATO)に加盟したことに対して支持を表明した。また、2019年に署名した「日フィンランド防衛協力・交流に関する覚書」に基づいて防衛協力・交流が進展していることを歓迎するとともに、「防衛装備移転及び情報保護の枠組み構築に向けた検討を進めるために協力していくことを確認し、今後の両国の防衛協力・交流に弾みをつけたい」と述べた。「防衛装備品・技術移転」協定が締結されれば、北欧諸国とはスウェーデンに続いて2国目となる。

 ハッカネン大臣は「両国は、安全保障環境でも共有できる部分がある。NATOの新しい加盟国として、アジア諸国や日本との防衛協力・交流を深めていきたい」と述べ、両大臣は、防衛協力・交流の更なる深化に向け、一層緊密に連携していくことで一致した。

子どもたちが元気に訪問

霞が関見学デーin防衛省

 8月7日と8日に「こども霞が関見学デー」が各府省庁で行われ、防衛省では小中学生と保護者が各日で40名ずつ参加した。装備品見学、儀仗訓練見学等を体験し、子供たちは普段はなかなか入ることができない省内で特別な夏休みの1日を過ごした。

 「よく来てくれました」。笑顔の木原大臣が出迎えて一人ひとりと握手。職員や報道陣がいっぱいの大臣室で目を丸くする子供たちと、それ以上に固い表情の保護者たち。大臣の優しい語り口調で緊張もほぐれ、質問タイムでは積極的に手が挙がった。「航空宇宙自衛隊の任務内容は?」、「北朝鮮からミサイルを撃たれた時は緊張しますか?」といったものから、「何で自衛隊はシマシマの服(迷彩服)を着ているのですか?」「どうして防衛大臣になったのですか?」といった素朴なものまで、どれも分かりやすく丁寧に答えていた。

 約20分間の "大臣表敬" はあっという間に過ぎ、最後は全員が笑顔で記念写真に収まった



災派・不発弾処理等実績を公表

統合幕僚監部はこのほど、令和5年度における自衛隊の災害派遣及び不発弾等処理の実績を公表した。

 沖縄県や茨城県で被害をもたらした台風6号および13号、九州北部や秋田県における大雨災害、北海道や群馬県で発生した鳥インフルエンザ、佐賀県で発生した豚熱、長野県等数県で発生した山林火災等、昨年度も多くの災害派遣に出動した。中でも、今年元旦に最大震度7を記録した能登半島地震に係る災害派遣は、8月5日時点でも活動を継続している。


【災害派遣】


 令和5年度の災害派遣件数は387件で、直近3年間ではほぼ同じ数だ(表参照)。なお、令和2年度に530件を超える高い水準なのは、新型コロナ関連活動を含むため。5年度内訳では全体の9割が急患輸送で352件、その中で南西諸島や長崎の離島、小笠原諸島が大半を占める。消火活動は9件で過去5年間では令和元年度の46件を最多に減少傾向にある。捜索救助活動は9件で例年と同程度。最後に、活動人員についてだが、5年度は1万3000人で計上している。少なく感じるかもしれないが、これは能登半島地震が活動中で含まれていないためだ。参考までに、東日本大震災があった平成23年度は1074万人、熊本地震があった平成28年度は85万人だった。


【不発弾処理】


 陸上で発見された不発弾等処理件数は全国で2348件で処理重量は約37・5トンだった。そのうち沖縄県は441件、約19・7トンで重量は全体の約53%を占めた。海上では3年振りに機雷処理が行われ2個処理した。また、魚雷・爆雷・爆弾・砲弾等は195個で過去5年間で最大の約4・1トンを処理した。

V22「オスプレイ」17機そろう
陸自ヘリ団(木更津)で納入完了式

「厳しい任務を完遂するための飽くなき練度向上と人材育成を」ーー。島しょ侵攻等各種事態での高い機動性が期待される陸自の新輸送機V22「オスプレイ」の計画されていた17機の第1ヘリコプター団(団長・廣瀬敏彦将補)への配備が完了し7月11日、千葉・木更津駐屯地で納入完了式が行われた。


  「飽くなき練度向上を」団長

  

 木更津駐屯地の滑走路や格納庫内に多くのオスプレイを見掛け、陸自の新たな輸送戦力となる同機の配備が完了したことを印象付けた。

 納入完了式には、オスプレイを配備する1ヘリ団隷下の輸送航空隊隊員をはじめ、防衛省内局・陸自関係者、米軍・米企業関係者ら約200人が出席。

 整列した隊長・姫野智一1陸佐以下の輸送航空隊隊員に対し、廣瀬団長は訓示で、力強く方針を示した。

 団長は、ロシアのウクライナ侵攻など国内外の情勢が厳しくなっていることを踏まえ、「政府は与えられた任務を完遂することとができる強靭な陸上自衛隊の創造に取り組んでいるところであり、ヘリコプター団としても各種事態における統合・共同の作戦運用の実効性向上を主眼として輸送航空隊の戦力化、移駐等の体制移行等に取り組んでいる」と述べた。

 また「従来の航空機にない革新的なティルト・ロータ‐機構を持ち唯一無二の性能を有するV22を装備する輸送航空隊は、陸上防衛力における機動展開能力の一翼を担い、平素から有事に至るまでの各種事態に即応し任務を完遂することが求められている」とし、「今後、水陸機動団等と連携し、島しょ侵攻事態等の各種事態における機動展開や国民保護、第規模災害における人命救助、住民の避難等、さまざまな場面での活躍が期待される」と語った。

 さらに、「各種事態等への抑止及び対処の実効性向上のため、V22の戦力化を引き続き推進し、厳しい任務を完遂するための飽くなき練度向上と人材育成を行っていかなければならない」と強調。「いついかなる状況においても確実に任務を完遂し得る『国民から信頼され愛される強靭な輸送航空隊の育成』のため、姫野航空隊長を核心として、隊員一丸となって全身全霊職務に邁進することを要望する」と求めた。

 納入完了式終了後、滑走路に目を転じた。訓練飛行を終えたオスプレイが「任務を果たさん」と声を発するかのように、真っ直ぐ、力強く迫ってきた。


  巡航速度はCHの1・7倍


 米軍輸送機V22は、2014年に日本への導入が決まった。

 2020年3月、1ヘリ団隷下に輸送航空隊が新編され同7月、1機目を受領、今年6月、17機目を受領した。17機は第107、第108両飛行隊に配備された。

 巡航速度は現在の主力輸送ヘリコプター、CH47「チヌーク」の1・7倍(時速約465キロ)、航続距離は2・5倍(約2600キロ=機内増槽タンク有)。機内搭載重量はCHと同じ約9100キロ。

 固定翼機(双発機)と回転翼機(ヘリ)を合体させたような独特なフォルムが特徴。離着陸時は機体双方のナセル(エンジン部、プロペラ装着)を垂直にして上昇、下降し、飛行時は水平にして飛ぶ。

 オスプレイの愛称は、急降下して魚などを取るミサゴを意味する。

自衛艦隊創設70周年記念式典
海上作戦センター内部を初公開

 自衛艦隊(司令官・齋藤聡海将)は、創設70周年を迎えた7月1日、横須賀基地に停泊中の護衛艦「いずも」の格納庫において記念式典を行った。自衛艦隊は、護衛艦隊、航空集団、潜水艦隊、掃海隊群、海洋業務・対潜支援群、開発隊群、艦隊情報群を隷下に持つ海上自衛隊最大の部隊。水上艦艇約80隻、航空機約190機、潜水艦約20隻を保有し、海自隊員全体の3分の2にあたる約2万8000人が所属する。式典は、海上幕僚副長(海幕長代理)、米第7艦隊副司令官(司令官代理)、横須賀市長、OB等、部内外から約150名が参列した。

 齋藤司令官は式辞で「『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けて、同盟国、同志国と共同して平和と安定に寄与して参ります」と述べた。海幕長祝辞は真殿知彦海幕副長が代読し、「隊員諸官においては、海上自衛隊の作戦の中枢にいるという強い責任感のもと、引き続き高い勤務意欲を維持し、与えられた任務に真摯に取り組み、その使命を確実に遂行することを期待します」と述べた。また、同じ横須賀に所在する米第7艦隊の司令官式辞はエイミー・バウアンシュミット副司令官が代読し、「日米同盟は今後も繁栄し続け、ともに前途の難局を乗り越え、両国のみならずこの地域の全ての国々の方々の安全と繁栄を確保するため、日米の力を発揮していきたい」と述べた。


百数十名収容可能な第1作戦室


 6月27日には、作戦行動を指揮する「海上作戦センター」の内部が報道陣に初めて公開された。自衛艦隊司令部以下6つの主要な司令部を集約し、2020年10月から運用を開始。庁舎は地上6階、地下2階構造で、地上に比べて2倍の広さがある地下には、約1000平方mの「第1作戦室」がある。正面の大小十数個のモニターには、作戦状況が一目でわかるような図面等が映し出される。モニター前にはV時型のテーブル、その後方にはイスやテーブルが多く並べられており、事態発生時には24時間態勢で百数十名が任務に就くことができるという。


意思疎通わかりやすく


 記者会見を行った齋藤司令官は「同じ建物に集約したことで、各司令官や各幕僚同士の意思の疎通がわかりやすくなった」と述べ、それが早い意思決定に繋がっていると説明した。今後は、大規模または長期間の作戦に対応するために、宿泊施設や食堂等を拡充していく予定も明かした。また今年度末に創設予定の、陸海空を一元的に指揮する「統合作戦司令部」との連携についての質問には、これまでに演習等で調整を行って来ているとし、「設立までに課題を一つひとつ潰すことで良い関係を築きたい」と答えた。

胸に輝くダイヤモンド 14旅団

最強戦士に成長

レンジャー帰還式

第14旅団(旅団長・大場剛陸将補)は、6月17日、善通寺駐屯地(香川県)において、旅団集合教育「レンジャー」の帰還式を実施した。
 厳しい基礎訓練間に行われる特別の体力評価に合格し、行動訓練へと駒を進めた隊員たちは、行動訓練開始式において教育隊長(富田祐樹1陸尉)から「(1)自分に負けるな」「(2)チームとして成長せよ」「(3)自分の安全は自分で守れ」の3点の教えを受け、過酷な行動訓練に臨んだ。
 数次にわたって行われる行動訓練は、任務遂行中はもとより、駐屯地で次の任務に向けた整備や準備をしている時すべてが緊張の連続の中で行われます、回を重ねるにつれ厳しくなる任務内容から食事・睡眠が制限され、体力・気力が限界を迎える極限状態の中、見事最終想定を終えた隊員は、歴代受け継がれるレンジャー旗を掲げ善通寺駐屯地へ帰還した。帰還報告を行った戦闘隊は、大場旅団長より最終想定の状況終了宣言を受け、晴れてレンジャー徽章を授与された。
 旅団長は、新たに誕生したレンジャー隊員に対し3カ月の苦労や努力を労うとともにこれからもより一層の飛躍を期待し「旅団レンジャー隊員としての誇りを堅持し、練成を継続せよ。部隊長をはじめ部隊隊員、同期及びご家族に感謝せよ」を要望した。
 陸上自衛隊で最も過酷な訓練といわれる「レンジャー訓練」を自ら志願し、肉体的・精神的に厳しい訓練を乗り越え、憧れのレンジャー隊員となった各隊員は様々な現場において、最も困難な任務に投入される。レンジャー隊員としてのスタートを切った隊員は、期待される任務に結果を出せるよう練磨を続ける。

自分の限界知るために志願

 レンジャー隊員に憧れがあり、自分自身のスキルアップ、自分の限界を知るために志願しました。レンジャー集合教育では、レンジャー隊員に必要な各種戦闘戦技訓練、特に山地潜入、水路潜入、空路潜入など実戦的な訓練をしました。また、食事や睡眠がほとんど取れない中での長距離の行動訓練においては何度も限界を感じました。その中でも数時間にわたり任務(Mission)に必要な装備を背負い暗夜の山の中を歩き続ける苦しさがいつまで続くのか見通しがつかなかった時が一番苦しかったです。それでも、同期と力を合わせて何とかこの日を迎えることができ、今となっては本当に耐えてよかったと思っています。教育を通じて自分の限界、弱さを知ることができました。まだまだ未熟な為、さらに磨きをかけて成長していきたいと思います。
(第15即応機動連隊 本馬場天空3陸曹)


成長した我が子に涙

25キロ徒歩行進訓練

<第34普通科連隊>

第34普通科連隊(連隊長・兜智之1陸佐=板妻)の自衛官候補生課程教育隊は6月3日、東富士演習場において約25キロの徒歩行進訓練を実施し、徒歩行進能力の向上を図った。
 当日、候補生達は背のうを背負い小銃を携行した重装備で、起伏ある演習場内の経路を行進規律を厳守し力強い足取りで黙々と行進した。
 終盤では遅れる者もいたが、班長の声掛けや同期と励まし合いながら歯を食いしばって目的地を目指し、無事の完歩を果たした。
 行進終了地点では兜連隊長をはじめ候補生の家族、自衛隊家族会及び3・4月に自衛官候補生を板妻駐屯地へ送り届けた地方協力本部地域募集事務所の所員等が出迎え、激励を受けた候補生たちは疲れを吹き飛ばし清々しい笑顔を見せていた。
 到着後は石田教育隊長に対する終了報告の後、家族会会長からの激励品の贈呈、最後に兜連隊長が訓示し激励の言葉を述べた。また、久しぶりに会った家族は、目を潤ませながら逞しく成長した候補生の労をねぎらっていた。

遠洋練習航海部隊が出国

西周りで世界一周 11カ国12寄港地

幹部自衛官としての船出

5月20日、令和6年度遠洋練習航海部隊(司令官・西山高広海将補)の練習艦「かしま」「しまかぜ」に乗り込んだ初級幹部約190名を含む約570名が、約6カ月にわたる世界一周の航海に出た。出国行事が行われた東京・晴海ふ頭には鬼木誠防衛副大臣、増田和夫防衛事務次官、酒井良海上幕僚長、穂坂泰外務政務官、国会議員ら部内外の多くの来賓を迎え、隊員家族・友人らを合わせた約550名が詰め掛けた。前夜からの雨は、幹部自衛官としての新たな船出を祝うかのように行事前にぴたりとやんだ。
 鬼木副大臣は訓示で「将来、海上自衛隊の中枢を担う幹部自衛官としての素地をこの航海で確立すること」「国際感覚を養い広い視野を身につけるとともに、日本の代表として訪問国との更なる友好親善を増進すること」を要望した。
 その後、穂坂外務政務官の祝辞等が続き、西山司令官が鬼木副大臣に出国報告を行った。実習幹部らは会場を囲むようにして見守っていた来賓や家族の前を敬礼しながら回った後、「かしま」のタラップを一歩一歩登っていった。正午ごろ「しまかぜ」「かしま」の順に離岸、「いってらっしゃい!」「がんばってこいよ!」等激励を受けながら帽振れで見送られた実習幹部。覚悟を決めてまっすぐ前を見つめる者、不安で涙を浮かべる者、笑顔の者、その表情は様々だったが、半年後は誰もが一人前の幹部自衛官としての自覚を胸に、精悍な顔つきで再びこの日本の地を踏むことになるのだろう。
 遠洋練習航海は、江田島の幹部候補生学校を卒業した初級幹部に対して行われるもので、昭和32年以降毎年実施されており、今回で68回目。今年度は西回りで世界を一周し、遠洋練習航海部隊としては50年振りに南アフリカ喜望峰を経由する。175日間で11カ国12寄港地を巡り総航程は約6万5000キロ、帰国は11月11日を予定している。

ー大空とその先へー
航空自衛隊70周年記念式典

4月25日、防衛省講堂において「航空自衛隊70周年記念式典」が行われた。式典には防衛大臣をはじめ防衛省・自衛隊の高級幹部、JAXA理事長、各国駐在武官等を来賓として迎え、航空自衛隊主要部隊の指揮官や東京近郊部隊の幹部らが参列した。冒頭、約300名の参列者は1954年の創設以来の殉職隊員437柱と、先般の海自ヘリ衝突事故の犠牲者に対して黙祷を捧げた。
 式辞で内倉浩昭航空幕僚長は70年の歴史を振り返り、「航空自衛隊はその時代時代において求められる役割を果たしてきた」と述べ、「今後宇宙領域における作戦を航空作戦と並び立つ主要な任務と位置づけ、『航空自衛隊』という名称を『航空宇宙自衛隊』と改称することを予定している。その名に相応しい組織となれるよう引き続き『空の守り』と『宇宙空間の安定利用』に寄与する任務を実直に遂行していく」と誓った。木原稔防衛大臣も訓示で「諸官の日々の努力が新たな航空自衛隊の歴史を刻んでいく」と激励した(18面に関連記事)。

防衛大学校615名が入校

4月5日、防衛大学校(久保文明学校長=横須賀市)は、鬼木誠防衛副大臣出席の下、令和6年度入校式を記念講堂にて行った。今年は女子学生94人を含む本科第72期生518名、本科留学生22名及び留学生を含む研究科学生75名の計615名が入校した。
 式典のなかで鬼木防衛副大臣は、防衛省・自衛隊は防衛力を抜本的に強化し、国民の命と平和な暮らしを守り抜く重責を担っていること等に触れ、「防衛力の中核となる存在として国民から高く期待されています」と入校生を激励するとともに、「ハラスメント防止を率先できるリーダーの資質をしっかり身に着けて下さい」と要望する等の訓示を述べた。
 また、久保学校長は、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境の中、「自衛隊に対する期待は高まっていますが、同時に責任も増しています。ぜひともこの期待に応えるべく、精進して頂ければと思います」と式辞を述べた。さらに、来賓代表として南雲憲一郎統合幕僚副長の代理として登壇した南川信隆統合幕僚監部防衛計画部長が、防衛大学校は「戦略的リーダーシップ」の素地を学ぶ我が国唯一の学校であることを踏まえ、「防衛大学校時代に「MVP(エム・ブイ・ピー)」すなわち「Mission(使命感)」、「Vision(構想力)」、「Passion(情熱)」という3つのリーダーシップの要素を磨いてもらいたい」と吉田圭秀統合幕僚長の祝辞を代読した。
 その後、校内の陸上競技場において在校生による観閲式、儀仗隊によるドリル演技が行われ、新入生の晴れの門出を祝した。


防衛医科大学校 203名が入校

防衛医科大学校(福島功二学校長=所沢市)で4月8日、医学科第51期、看護学科第11期の入校式典が挙行された。
 令和6年度は、医学科83名、看護学科(自衛官候補看護学生)75名、看護学科(技官候補看護学生名簿)45名の計203名が防衛医科大学校に入校。
 本年度の入校式では、増田防衛事務次官、上田陸幕副長、真殿海幕副長、小笠原空幕副長、今井統幕首席後方補給官(統幕長代理)、小川防衛監察監、鈴木自衛隊中央病院長、針田衛生監といった省内来賓が出席した。省外来賓では、芳賀国立障害者リハビリテーションセンター総長、小村西埼玉中央病院長、赤津所沢市医師会会長、長谷防衛医学振興会会長などが参加した。
 福島学校長による学生への任命の後、代表学生が「防衛医科大学校生たるの名誉と責任を自覚し、日本国憲法、法令及び校則を遵守し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、知識をかん養し、政治的活動に関与せず、全力を尽して学業に励むことを誓います」と宣誓した。
 福島学校長の式辞、増田防衛事務次官の訓示、今井統幕首席後方補給官(統幕長代理)の祝辞を、新入生たちは緊張した面持ちで、真剣に聞いていた。
 入校生と在校生の連帯感の醸成のために、今年度から新たに在校生代表歓迎の辞、入校生代表挨拶も行われ、新入生が入校した実感をより一層得られる一日となった。
 厳粛な雰囲気の中、入校式は最後まで無事に執り行われた。

「国民の信頼あってこそ」入省式

週末の陽気で、待ち侘びた桜の蕾が一気に開き始めた4月1日、期待と不安に胸を膨らませた若者たちが人生の新たな一歩を踏み出した。防衛省では661名が入省し、全国の機関等で入省式が行われた。それぞれが決意を胸に社会人としてのスタートを切った。

 4月1日、防衛省市ヶ谷庁舎講堂で事務官等の入省式が行われ、本省採用73名(男性44名、女性29名)が参加した。
 国歌斉唱に続き、辞令の交付および服務の宣誓を代表者が行った。式開始前から緊張の面持ちだった新規採用者たちも、服務の宣誓を行う時には引き締まった表情となっていた。防衛大臣訓示は、三宅政務官が代読。「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、防衛省を選んだ皆さんの覚悟に心から敬意を表します」と述べ、「防衛省自衛隊は国民の信頼があってこそ活動ができるということを忘れない」「気概を持って常に新たなことにチャレンジしてほしい」「自分の心身を大切にし、仲間と助け合ってほしい」等と要望。最後は「どんな業務も国を守ることに繋がっている」と述べ「その享受を胸に秘め常に謙虚な姿勢を忘れずに全力で業務に臨んでほしい」と激励した。
 式後は、代表して2名が報道陣からのインタビューに答えた。住田慶太郎さん(防衛政策局運用基盤課)は「職責を全うする熱意を持って、国民のため最大限の努力をしていきたい」と抱負を述べ、伏見比那子さん(防衛装備庁装備政策部装備政策課)は「外交面の努力だけではなくて、自国の安全を自ら保障する必要があると思ったので志望した」と入省の動機を語ってくれた。
 今年度の防衛省全体の事務官等の採用者数は661名で、本省以外での採用者については全国約150カ所の機関や部隊でそれぞれ入省式が行われた。

陸自中音は演奏を

陸上自衛隊中央音楽隊(隊長・志賀亨1陸佐=朝霞)は3月17、18の両日、能登半島地震被災地の石川県輪島、珠洲両市を訪れ、7カ所の避難所で音楽演奏を実施。復興を支援した。
 演奏を行ったのは指揮官で副隊長の柴田昌宜2陸佐、ボーカルの鶫真衣3陸曹ら13人。各会場でそれぞれ約40分間の演奏を行い、被災者を励ました。
 輪島市では河合小学校など、珠洲では正院小学校などで演奏。市民ら約500人が聴き入った。市民からは「地震以来一度も泣けなかったけど、今日は涙がいっぱい流れました。心が浄化されたように感じます。今日は来て下さってありがとうございました。感謝しております」と記された手紙も届けられた。
 3月18日には、空自ブルーインパルスも能登上空を飛行した。

北方、東北方部隊 支援に全力

雪まつりで大雪像制作

名寄

地域と連携


 名寄駐屯地(司令・藤田明大1陸佐)は1月29日~2月11日の間、北海道下川町で開催された「第50回しもかわアイスキャンドルミュージアム」に協力。第3即応機動連隊第4普通科中隊(中隊長・遊佐崇1陸尉)がメインオブジェを製作した。

 約2週間の製作期間中、常時氷点下10度を下回る寒さの中、1日約10名が設計図に基づき寸法を確認しつつ重機で集めた雪をチェーンソーやスコップで削り、全力で製作にあたった。

 入口には来場者を出迎えるウェルカムアーチを、メインステージ上にはスノーブロックを積み上げ、独創性あふれる雪のオブジェを製作した。メインオブジェは、中央部に映像を投影する雪のスクリーンを、両脇には階段を製作して、上部から会場と街の景色を一望できる高さ10メートルの雪像を完成させた。

 開催当日のメイン会場では、約3500個の氷でできたアイスキャンドルを丁寧に配置し、夜の訪れとともに次々に火がともされた。

 キラキラとともる琥珀色の柔らかな光に包まれる中、引渡し式が行なわれ、遊佐中隊長から下川町長へ製作した各種雪像が引き渡された。

 会場には多くの町民や観光客が訪れ、幻想的な雰囲気の中、雪のスクリーンに映し出されたオーロラの放映、数多く立ち並ぶ出店やアイスキャンドルの火付け体験などを楽しんだ。

 雪像製作の作業隊長を務めた刈田友和1陸曹は「作業の進ちょくが心配であったが、灯りがともり完成した会場を見て、大きな達成感を得た」と安どの表情を浮かべた。

 2日目のフィナーレでは、冬の澄み切った夜空に色とりどりの花火が打ち上げられ、街一帯がアイスキャンドルの柔らかな光に包まれた。


遠軽

 

 第25普通科連隊(連隊長・谷口慎1陸佐=遠軽)は2月10日、第61回もんべつ流氷まつりのメイン氷像「ノートルダム大聖堂(フランス・パリ)」を制作し、紋別市に引き渡した。

 氷像制作は2年ぶり。紋別市内の池で作られた天然氷を積み重ねたものをノミやチェーンソーで削り、建物の細部や装飾を精巧に再現、高さ14メートルと見上げるような大きさとなった。

 氷像の前には氷のステージを制作し、歌謡ショーをはじめとした各種イベントが開催できるようにした。ノートルダム大聖堂が今年のモデルに選ばれたのは平和の祭典であるオリンピックが今年の夏にパリで開催されることから。

 もんべつ流氷まつりは流氷が海を埋め尽くした2月10日から12日の3日間開催され、各種イベントのほか、夜間には氷像のライトアップも行われ、多くの市民や観光客でにぎわった。

 

20連はスキーW杯で


 第20普通科連隊(連隊長・武田宜則1陸佐)は1月13日から22日までの間、山形市の蔵王ジャンプ台、アリオンテック蔵王シャンツェにおいて開催された「FIS女子スキージャンプワールドカップ2024蔵王大会」を支援した。

 本支援は支援隊長(本部管理中隊長・深瀬3佐)以下37名が参加し支援内容は飛距離判定、スタート補助、競技会場及びコースの整備・維持、応急救護、気象計測と多岐にわたった。

 支援隊は大会役員と綿密な調整を実施し、順調に作業を進めた。特に急斜面での作業を行う際、互いに声を掛け合いながら安全管理に留意しつつ、確実に作業を進めた。

 初めて支援に参加した本部管理中隊・有路1士は、「初めてのジャンプ支援で分からないことが多く戸惑いましたが、先輩の助けもあり安心して作業することができました。自分たちが整備したジャンプ台で国際大会が行われていることに感動しました」と支援を振り返った。

 支援隊は、急変する山の天候に対応し献身的な支援を行って、大会の安全かつ円滑な大会運営に寄与した。


(雪まつり等支援は4面にも掲載)

スキー指導官訓練担任

高田2普連

 第2普通科連隊(連隊長・末本紀彦1陸佐)は1月28日から2月12日までの間、関山演習場及び新潟県杉ノ原スキー場において、令和5年度東部方面部隊スキー指導官養成集合訓練を担任した。

 本教育は東部方面管内の各部隊から選抜され、かつ素養試験に合格した49名の隊員が参加し、12名の教官班による充実した指導体制の下、訓練が行われた。

 学生たちは斜面技術を始め、遭難者救助要領、スキー行進、宿営等、各科目及び学科における本質の理解と指導要領を約2週間に渡って学び認定試験に臨んだ。

 2月12日に行われた徽章授与式において、指導官として必要な識能を満たした合格者に対し、担任官(=連隊長)より徽章が授与され、44名の部隊スキー指導官が誕生した。

フィジー軍へ能力構築支援

野外衛生訓練の教官を育成

 2月12日から26日まで、自衛隊中央病院の医官等4名がフィジー共和国軍のブラックロック基地で衛生分野の能力構築支援を行う。フィジー軍の要請によるもので令和4年に続いて2回目。今回の目的は、現地において国連PKO派遣要員に対する野外衛生訓練の教官を育成することにあり、あわせて太平洋島嶼国では初めて、女性が紛争予防や平和構築に参画するWPS(女性・平和・安全保障)の観点からセミナーを実施する。

 8日には派遣要員の田中雄也1陸佐(中央病院)、黒木裕道1陸曹(衛生学校)、松沢朝子インド太平洋地域協力企画官WPS国際連携調整官、新田大道インド太平洋地域参事官付らが鬼木副大臣に対して出国報告を行った。鬼木副大臣は「諸官の経験に基づくプロフェッショナルな知見を共有して来てほしい」と激励した。

大雪で立ち往生した640台を救出

 1月23日からの大雪のため、名神高速道路の岐阜県関ケ原ICから滋賀県堺付近で約5キロ、車両約1200台が立ち往生。24日午後3時に岐阜県知事から第10師団長に対して災害派遣の要請がされた。速やかに部隊を派遣し、午後5時45分には第35普通科連隊の初動対処部隊(ファスト・フォース)35名を含む約300名が関ケ原IC付近で活動を開始した。人力による除雪、乗員に対する水や食料等の配布を行い、民間車両640台を救出。夜通しの活動により、翌25日午前4時、滞留が解消されたことから撤収要請を受け、活動を終えた。

陸海空自衛隊 JTF(1万人態勢)編成し災派

石川・能登半島地震

 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする最大震度7(マグニチュード7・6、深さ約16キロ)の地震が発生。防衛省は陸自中部方面総監(伊丹)を長とする統合任務部隊(JTF、陸海空自衛隊約1万人態勢)を編成し、凍てつく寒風の中、全力で災害派遣にあたっている。


救助、啓開、各種支援


 1日午後4時45分、石川県知事から陸自第10師団長(守山)へ、また4日午前9時には富山県知事から同師団長へそれぞれ災害派遣が要請された。

 要請を受け、陸海空3自衛隊が各種活動にあたっている。主な活動では、空自輪島分屯基地へ住民最大約千人を受け入れた。護衛艦「ありあけ」搭載のSH60ヘリが妊婦1人を含む4人を搬送。陸自中部方面航空隊(八尾)のUH1ヘリ、空自小松救難隊のUH60ヘリが患者、孤立者を搬送。陸自35普連(守山)、14普連(金沢)が患者、避難者の搬送を実施した。空自の捜索犬も現地に入り、高齢女性の救出に貢献した。

 9、10日には即応予備自衛官、予備自衛官が活動に加わった。中部方面区の21府県から医師、看護師の予備自衛官など最大約100人が招集されている。

 木原防衛大臣は5日の臨時記者会見で、「引き続き要救助者の方々のために全力を尽くし、被災者の方々に寄り添ったきめ細やかな生活支援活動を関係省庁や自治体と連携して迅速かつ強力に推進してまいります」と語った。

 活動態勢(11日現在)は隊員が約6300人。艦艇9隻。航空機約40機。

 活動実績(同現在、延べ)は以下の通り。【人命救助】498人【衛生支援】診療約420人、患者輸送約470人【輸送支援】糧食約48万1千食、飲料水約41万7000本、毛布約1万3700枚、燃料1万7700リットル等【給食支援】約1万5600食【給水支援】約1130トン【入浴支援】入浴約8300人【道路啓開】県道1、6、52、57,266,285,249各号の一部区間。

ハイレベル懇談 精力的に

吉田統幕長

 12月13日、吉田圭秀統合幕僚長はアニル・チョーハン・インド国防参謀長を防衛省に公式招待した。同国参謀長の公式招待は初めて。吉田統幕長は日印防衛協力が陸海空各軍種間の共同訓練を通じて強固になっていることに加え、今年9月に初めて行われた統合幕僚協議について「我々統幕とインド統合参謀本部とのパートナーシップが確立された」と歓迎した。チョーハン参謀長も「この数年間に2国間の軍種間交流が数倍に拡大している」と同意し、「新たな領域、宇宙・サイバー分野での協力を進めていくことも重要だ」とさらなる関係強化に期待感を示した。


 12月18日は、米輸送軍のヴァン・オヴォスト司令官と防衛省で会談を行った。同軍司令官の来訪は約11年ぶり。冒頭、吉田統幕長は11月末に発生した米軍オスプレイ墜落事故について、犠牲者と家族への哀悼の意を表した。吉田統幕長は「国際安全保障の重心がインド太平洋地域に移ってきている」と述べ、「我々にとって最大の焦点は、我が国周辺地域においてウクライナと同様な深刻な事態を抑止することだ。このため我が国の防衛力を抜本的に強化すると共に日米同盟の抑止力・対処力の強化が喫緊の課題だ」と強調した。オヴォスト司令官も「この地域における平和と安定、繁栄をしっかりと確保していくために必要なのが日米同盟だ」と同調した。