2007年4月1日 の記事
ゴラン派遣隊員から
防大51期卒業生へ
防大51期卒業生に対して、現在、ゴラン高原で任務遂行中の第23次ゴラン高原派遣輸送隊長の豊田龍二3陸佐(38期)と、UNDOF(国連兵力引き離し監視隊)司令部副広報幕僚の篠田英一郎1陸尉(43期)の両先輩からメッセージが寄せられましたのでご紹介します。
ゴラン派遣輸送隊長 豊田 龍二
防大51期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。小原台での修練のときを終え、今まさに自衛官として新たな道を進もうとしている皆さんは意欲に満ち溢れた表情をしていることでしょう。
私は、第23次ゴラン高原派遣輸送隊長の豊田3佐です。日本から遠く離れた中東のゴラン高原で42名の隊員とともに、国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)の中で、自衛隊の代表として、中東の国際平和に少しでも貢献できるように勤務しているところです。UNDOFでは、主にオーストリア、ポーランド、インド、スロバキア等の国々から来た軍人たちと協同して活動しています。日本隊は気候も風土も文化も違うこの地で、UNDOF内の兵站大隊の一部として、生活物資等の輸送、道路整備、故障車の回収、除雪等を主要な任務としています。また、陸・海・空の各自衛隊から選抜された隊員で構成されていますが、各隊員が「任務完遂」という目標の下に一致団結しており、統合運用がうまく機能しているといえます。
日本隊がUNDOFに参加するようになって、現在12年目を迎えています。最近では日本でもUNDOFの活動について報道されることも少なくなり、あまり目立たなくなっていますが、日本隊は黙々とこの地で活動を続けてきました。私自身、こちらで任務を開始してからまだ1ヶ月ほどですが、活動しているとあちこちで「日本隊は他の部隊と比べても士気が高く、規律も守られ、仕事も一所懸命やってくれる」という評価を耳にします。これは、第1次隊からこれまでの先輩方が真摯に業務に取り組んできた証であると思いますが、話をよく聞いてみると、決して特別なことをしてきたわけではないと感じました。国内で自衛官として訓練してきた成果をそのままこの地で発揮していることが、他国や地元の人々から高い評価を得ているようです。自衛隊がこれまで実施してきた教育訓練の質の高さを改めて思い知らされている毎日です。
私自身が防大の学生の頃、自衛隊の海外への派遣が開始され、カンボジアやモザンビークへのPKOに自衛隊が参加するというニュースを聞き、任官したらいつかは自分も参加してみたいなという漠然とした思いを抱いたものでした。しかしながら、10数年のときが流れ、皆さんも承知のとおり時代は大きく変化しました。海外での自衛隊の活動が本来任務に認められ、自衛隊は世界を舞台に活躍することが国民からも求められる時代になったのです。
卒業生の皆様が4年間で身につけた知識や技能、経験等は、卒業後幹部候補生学校を経て配置されるそれぞれの部隊で、必ず役に立つはずです。そして、皆様の着隊を部隊の仲間は心待ちにしています。皆様の今後の活躍の場は、国内外あらゆるところに存在します。防大で学んだ幅広い視野と知識を卒業後もさらに養い、部隊で活躍されますことを、ゴラン高原の地から、ここで国際貢献のために汗を流している隊員たちとともに期待しております。
失敗を恐れず、積極的に挑戦を
篠田英一郎1尉
防衛大学校第51期生の皆さん、御卒業おめでとうございます。
今、私は、ゴラン高原に展開しているUNDOF(国連兵力引き離し監視隊)の司令部で副広報幕僚として勤務しています。UNDOFには、日本の他、インド、オーストリア、スロバキア、ポーランドなどから軍人及び文民が派遣されており、中東の安定のために彼らと一緒に勤務しています。
皆さんは、小原台での4年間の修学を通じ、多くの知識と技能を身につけ、様々な経験を積まれたことと思います。これから陸・海・空の各幹部候補生学校を経て部隊等に赴任されますが、当初は目新しい事だらけで不安を感じるかも知れません。しかしながら、それは諸先輩達も過ごしてきた道です。どうか失敗を恐れず、元気溌剌として様々な事に積極的に挑戦してもらいたいと思います。初級幹部時代における経験こそが、今後の自衛官勤務における大きな基盤となります。
皆さんの活躍の場は、国内・国外を問わず幅広くあります。近い将来、皆さんと一緒に勤務できることを楽しみにしています。