自衛隊ニュース

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イラク派遣を終えて シリーズ
米空軍と信頼関係築く

空自第1輸送航空隊 整備補給群検査隊 1空尉 清田謙三

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 私は、第16期イラク派遣輸送航空隊整備隊整備小隊長として派遣されました。酷暑真っ盛りの7月にクウェートへ到着してから、あっという間に4ヶ月が過ぎていった感じがします。派遣中には、50℃という気温を体験したり、朝3時から出勤したり、2日続けて夜通しで作業したりと、いろいろな経験をしましたが、日本国内での勤務との一番の違いは、他国軍と交流を持ちながら勤務したことだと感じています。

 派遣中には他国軍、特にアメリカ空軍との交流を持つ機会が多くありました。展開地での運用では限られた資器材しか保有していないため、航空機の修復に必要な航空機部品や器材がない場合には、米軍から借用して任務可能機の確保に努めています。逆に、こちらからアメリカ空軍へ貸し出すこともあります。こういった貸し借りの際には、実際の状況を確認するために、お互いの職場へ顔を出すことになります。私の英語能力は微々たるものですが、隊員の不安を少しでも和らげられればと一緒に行くようにしました。片言英語に図面やボディランゲージを駆使して意思疎通を図ると、いつも快く対応してくれました。それまでの作業を中断し、私達が要求した部品を必死になって探してくれたり、組上がった予備エンジンからわざわざ部品をはずして持ってきたりと、献身的に対応してくれたことに強く感銘を受けました。もちろん、私達もアメリカ空軍からの依頼事項に対しては、全力で対応したつもりです。そのようなやり取りの中、お互いの強い仲間意識を感じることができました。そして、業務のみならず、スポーツや食事会等、交流をもつ機会も増え、より強い信頼関係を築けたような感じがします。

 そのほか、日米整備交流として、お互いの整備業務について研修する機会を設け、私自身も一日アメリカ空軍を研修するとともに、アメリカ空軍の整備幹部の受け入れもしました。この交流を通じ、お互いの共通点や相違点を認識することができ、より深く相互理解ができたと感じています。また、その研修の中で、アメリカ空軍の隊員に航空自衛隊の航空機を見学させたところ、「Excellent!」「Unbelievable!」と連発し、航空機のきれいさに驚いていました。これは、他国軍に負けない航空自衛隊の整備の質の高さ、愛機心の強さの現れであり、それをしっかりと見せつけてくれた整備隊の隊員を誇らしく思えました。

 ここで述べたのは、私が経験した交流の一部ですが、本派遣での他国との交流を通じて、改めて国際貢献活動の重要性を私なりに感じることができました。共に汗を流し活動することで、他国から認められ、国際社会における日本の地位を守ることができるのです。私自身も今回の派遣で終わりではなく、今後も国際貢献活動の機会があれば参加していきたいと思います。また、そのような要員に選ばれるよう英語の勉強にも励んでいこうと思います。

 最後に本派遣任務を通じて、貴重な経験を積む機会を頂けた事及び、原隊、関係部隊、機関の多大なご支援に感謝するとともに、本派遣に理解を示し快く送り出してくれて、4ヶ月間幼い子供たちの世話を一人で乗り切ってくれた妻に感謝致します。ありがとうございました。

防衛ホーム 俳句コーナー

髭の先まで塩を噴き飾海老 岩崎清子

着ぶくれて独りよがりの論を張る 小長谷敦子

手袋を脱ぎ恋人と手をつなぐ ジョンズ美加子

闇汁会教育論に及びきし 友国博子

信念の賀状は筆と墨を磨る 晴山雅之

風邪声をして断りを言ふて来し 松本弘道

昨日一つ今日もひとつと年用意 山内瑞江

落葉掃くいと仕合せな音たてて 米田ふさゑ

数へ日の傘立にある父の杖 田中雅巳

仏壇へ冬菊金の蕊こぼす 福満千登世

園児らの声聞え来る蜜柑山 飯田昌也

公園の遊具を外し冬を待つ 土谷貞坊

桐の鳴る青梅の径は嵯峨に似て 鶴間俊子

値引き札重ねて貼られ年の市 益子千翠

源流を訪へば水仙二三輪 宮崎 薫

ネクタイの三代揃ひ七五三 關由紀夫

夕紅葉心の隙へ散りにけり 疇谷白濤

大好きな兄の忌にして漱石忌 齋藤利恵

  選者吟

がさ市へ羽子板市の客流れ 成川雅夫

(「栃の芽」誌提供)

「栃の芽」誌をご希望の方は〈栃の芽会連絡先=畠中草史氏042・796・0961〉へご連絡下さい。

HOME's English Class (防衛ホーム英語教室)

We'll have a good look at it!

ウィル バヴ ア グッド ルック アット イット

前向きに検討致します!

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 Hi! How are you doing? 皆さん、お元気でしょうか。大変寒くなってきました。木枯らしの季節ですね。冬物はしっかりと準備できましたでしょうか。色とりどりの枯葉を踏みしめながら散歩を楽しんで見ました。ひんやりとした空気が気持ちよく、汗ばむ程度に体を動かしてみると、若い頃のがむしゃらな運動とは違うさわやかさを実感しました。季節も人生も同じよう過ぎていくんですね。

 さて、今回の表現は、“We'll have a good look at it!"「前向きに検討いたします!」です。ちゃんと見てみるというような感じでしょうか。積極性が伝わってきます。ただ、日本語とのギャップは否めません。日本人がどのような意味で使うかによります。前向きに検討するといって、まったく検討しないという逆の意味で使うときには、この表現では言い表すことができません。英語では、まったく逆なことを言わなければ通じません。こういった玉虫色に変化してしまう日本語の表現は、通訳泣かせですね。英語は、論理的な言語であるので、矛盾することは表現がしにくくなっています。日本人が英語の勉強でつまづくのもそういった文化的背景が原因になることもあります。

 関東では、夕方の4時半を過ぎると暗くなってきます。パソコンに向かっていると、太陽を拝まないままに夜になってしまうこともあります。これから先、寒さも厳しくなってきますね。お風邪など召さないように、健康にご留意ください。日々、陽気でストレスの溜まらない生活をお楽しみください。

 それでは、皆さん。See Ya! 〈スワタケル〉

スポーツよもやま話
根岸直樹

目を見張る埼玉西武の快進撃
リーグV、日本一、アジアリーグ制す

 「次は野球殿堂入りだね」と話し掛けられて“なべちゃん"は「そんな…。おそれおおい」と尻込みしてしまった。プロ入りしたときから「夢はでっかく」といい続けてきただけに、今回の08年正力松太郎賞受賞は、渡辺久信・埼玉西武ライオンズ監督(43)にとってみれば「この上ないプレゼント」だったに違いない。

 就任一年目にリーグV、セの巨人を倒しての日本一、勢いをかってアジアシリーズまで制した男にふさわしいプロ野球最高の賞だったはずなのだが“なべちゃん"はどこまでも謙虚。「オレがもらったんじゃない。後押ししてくれた関係者、選手全員の努力のたまもの」と感謝感激の態だ。

 それにしても、この一年の埼玉西武の快進撃は、目を見張らせるものがあった。前年、リーグ5位に終わり、再出発の意味をも含めて渡辺新監督の下「出直し」を期したとき、監督本人も「最低3年はかけて地盤固めをしたい」と話していたのに、開幕直後の4月下旬に首位に立つと、そのままリーグ制覇だ。

 カブレラ、和田の“大砲"2門を欠いた打線、若手中心の戦力を見れば、渡辺監督でなくても「2、3年は…」と計算するはずだ。それが、あれよあれよという間に頂点に昇りつめてしまったのだから驚いてしまう。

 「選手には“こんなチャンスはめったにないんだ。お前達が自分達の手で伝統を築き上げてくれ、オレも一緒にやる。ライオンズ黄金時代への幕開けだと思え"とハッパをかけた。オレもコーチ陣も必死だった。コーチ、選手を信じてやってきて、これでよかったんだ、と痛感した。この地盤の上に立って、ゆるぎなき西武王国を築き上げていければ、と思う。カッコよくいわせてもらうなら、2008年は埼玉西武ライオンズの改革元年だ」

 群馬・前橋工高から83年D1指名で西武入団。現役15年で125勝(110敗27セーブ、防御率3・67、最多勝3、最優秀勝率、同防御率、ベスト9、ゴールデングラブ賞各1回など)した。ヤクルト―台湾プロ野球・勇士と移籍。勇士では兼任コーチも務めた。

 西武に戻って、昨季までの2軍コーチ、監督時代は選手と一緒に汗を流し、打撃練習の投手役も務めた。「この一年、あまり動かなかったので、こんなになっちゃったよ」と、せり出してきた腹をポンポンとたたいてみせたりもする。

 SK戦(韓国)で誤審をした台湾の審判に、勇士時代に習い覚えた台湾語を駆使、激しく抗議したのも、いま振り返ってみれば「楽しいひと幕」だ。11月23日、地元・所沢(埼玉)でのVパレードを終えた渡辺監督はいま、就任2年目の来季に向け「正月返上」を宣言。強化練習と取っ組んでいる。


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