自衛隊ニュース

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即応能力を発揮!
災害派遣活動

鳥インフルエンザ対処 24時間体制で任務を完遂(30普連)


 

鳥インフルエンザ対処〈30普連〉

 第30普通科連隊(連隊長・郡山伸衛1陸佐=新発田)は11月6日、新潟県胎内市の養鶏場で発生した鳥インフルエンザ対処のため、新潟県知事からの鶏の殺処分に係る災害派遣要請を受理した。

 約35万羽の内、自衛隊側は約14万羽を担当し、同日午前8時から約180名による24時間態勢で活動を開始した。

 自治体から受領したタイベックに着替え、感染防止対策を徹底した上で作業を行い、3個グループが昼夜交代で活動した。

 派遣活動を終え一時駐屯地に帰隊した隊員達は、解除ミーティング(メンタルヘルスチェック)等を実施し個人の抱える精神的負担を確認しつつ、じ後の活動に万全を期した。

 8日午後9時に自衛隊が受け持った約14万羽の殺処分が完了したことを受け、新潟県知事より撤収要請を受理して災害派遣活動は終了した。

 昨年連隊は、県内で発生した鳥インフルエンザ対処に係る災害派遣を経験しており、蓄積したノウハウを生かしつつ、感染拡大を防ぐために困難な作業を懸命に行い任務達成に尽力した。

 連隊は引き続き災害派遣をはじめ、あらゆる事態に即応し使命を果たしていく。


土砂災害 1名を発見〈43普連〉

 第43普通科連隊(連隊長・石岡直樹1陸佐=都城)は、10月23日から26日までの間、宮崎県延岡市において発生した土砂災害に伴う災害派遣活動を実施した。

 今回の災害は、10月23日未明、宮崎県延岡市において、線状降水帯による大雨の影響に伴い家屋1棟を巻き込む土砂崩れが発生し、住民1名が行方不明となったものである。

 宮崎県知事から第43普通科連隊長に対し要救助者の救助に係る災害派遣の要請を受け、第2中隊長(塚脇3陸佐)以下約150名の隊員が派遣された。

 活動場所は、降り続いた雨の影響により地盤が弱体化し、2次災害の恐れがあったが、隊員らは一刻も早く要救助者を救助しなければならないという強い使命感の下、警察・消防と連携してひたむきに24時間態勢で約3日間に亘る懸命な捜索・救助活動を実施し、要救助者を発見した。

 災害派遣活動終了後、宮崎県知事及び延岡市長より「自衛隊の皆様の力がなければ、要救助者を見つけることはできなかった。迅速・的確に対応してくれて本当にありがとうございました」と感謝の言葉を頂いた。

 今回の災害派遣を通して、改めて第43普通科連隊の有事の際の即応能力及び任務完遂能力の高さが発揮された。


みちのくALERT2024
〈第9師団〉

~1人でも多くの命を救うために~

医療搬送拠点を関係機関と協力して運営


 第9師団(師団長・藤岡史生陸将=青森)は、11月15日から24日までの間、東北方面総監部が計画する「みちのくALERT2024(実動訓練)」に参加した。

 本訓練は、自治体、関係機関及び自衛隊が連携した演習を実施し、東北地区の災害対応能力向上を目的に実施した。

 15日、岩手県沖でマグニチュード9・1の地震が発生した想定で訓練が開始され、当初、師団司令部、各部隊と県庁、関係機関等でSIP4D(基盤的防災情報流通ネットワーク)等を使用し、発災当初における初動対応、迅速な情報収集態勢を確立して、連携要領等を確認した。

 青森県、岩手県及び秋田県の各地においては、医療搬送拠点、広域・地域医療搬送、民間企業との燃料連携、孤立者救助、住民避難等の訓練を実施して、各関係機関・地域住民との連携強化、信頼関係の醸成を図ることができた。

 師団は、本訓練における成果・教訓を糧とし、これからもいざという時に、1人でも多くの命を救うために官民一体となって日々任務に邁進していく。

 なお、大規模実動演習は、平成30年からの新型コロナウイルス蔓延の影響により、6年ぶりの実施となった。

航空学校宇都宮校で
民間力導入検証開始

エアロファシリティー(株)による検証準備室を開所

表札を設置する航空学校宇都宮校整備課長・丸山3佐(左)とエアロファシリティー(株)・八木航空機事業部長代理(右)


 11月28日、陸上自衛隊航空学校宇都宮校(分校長・古賀幹徳1陸佐=北宇都宮)で、「エアロファシリティー株式会社民間力導入検証宇都宮準備室」が開所した。今年7月18日以降、エアロファシリティー社による航空機整備業務に関する民間力導入検証の準備が進められ、10月1日の明野準備室開所に引き続き、この度、宇都宮校における検証が開始されることとなった。
 今後、エアロファシリティー社職員が北宇都宮駐屯地に常駐し、練習ヘリTH480B整備の民間委託に必要な検証業務を段階的に進めていく。

ノーサイド
北原 巖男

新しい年に向けて

 2024年も残り僅かとなり、自衛隊員の皆さん・ご家族の皆さん、本紙読者の皆さんには、何かと気ぜわしい毎日をお過ごしのことと思います。

 自分なりにめいっぱい頑張ったと自分を誉めてあげたいあの時の自分。今も忘れない嬉しさと喜びに興奮したあの日の出来事。時間が止まったように長く辛かった苦しみの日々も。

 ・・・そんな2024年もすでに過去になろうとしています。過去を追うべからず。

 あなたにとって巳年の2025年は?

 秘めたる思いや、公言してはばからない希望や夢、スタートもあることと思います。きっと、いろいろな出会いが待ち受けていることでしょう。もちろん、いいことばかりではありません。当然、試練も降りかかって来ることは織り込み済み。そんなときの、とっておきの「おまじない」は、「Yes,I can!」「Keep on My Smiling!」

 プラス志向で行きましょう!あれこれ、思い悩むのは、ただ疲れるだけ。「やるべきことをやったら、もうそれでいいじゃないですか!」そんなあなたに、心から力いっぱいのエールを送ります。前へ!

 では、世界や我が国を取り巻く来年は?

 全ての人が、これまでになく厳しい年になることは必定と考えておられると思います。

 特に12月3日夜、最も身近な国、韓国では信じられないことが起きました。一昨年の大統領就任以来、2025年の日韓国交正常化60周年も見据え、懸命に日韓関係の正常化に尽力され、日米韓の連携強化にも多大の貢献をされて来られたユン・ソンニョル韓国大統領。あろうことか、予算案に合意しない野党側の対応などを反国家的行為として、唐突に45年振りの非常戒厳令を発令しました。報道で承知する限り、民主主義国家韓国にあるまじき、最高権力者・大統領の暴挙と言わざるを得ません。韓国国民が猛反発するのは当然です。

 しかも、国会が非常戒厳令の解除を可決するや、ユン大統領は6時間後には非常戒厳令を解除しています。自ら、国民の信頼を一気に失ったユン大統領。韓国の政治・外交の機能不全は、避けられません。

 石破首相は、記者団に次のように語っています。「他国の内政について、あれこれ申し上げる立場にはございません。しかしながら、昨晩の戒厳令発出以来、私どもとして、特段の、かつ重大な関心を持って、注視を致しておるところであります。」(12月4日、首相官邸HP)

 多くの懸案事項を抱えながらも、繰り返し、繰り返し汗を流しながら、正に一歩前進半歩後退を繰り返しながら進めてきた、まるでガラス細工にも似た日韓関係です。

 翌日、12月5日の衆議院予算委員会での石破首相答弁は、一歩踏み込んだものです。曰く、「日韓は、今、予断を許さない。しかし、韓国がどうなっていくか、国内的には非常な批判や反発があっても、ユン大統領が日韓関係の改善を進めてきた。そうした努力を損なうようなことが、かりそめにもあってはならない。」

 ロシアとの軍事協力を強め、核やミサイル開発に邁進し、韓国を主敵と位置付けている北朝鮮は、この事態をどう受け止めているのでしょうか。

 更に、力による一方的な現状変更を狙い、覇権的行動を加速している中国は、隙あらば日米韓3か国の間にくさびを打ち込む機会を虎視眈々と狙っています。日米・米韓同盟関係を基軸とする日米韓の揺るぎない同盟国・同志国としての信頼関係に、いささかの悪影響を及ぼしてはなりません。

 先行き予断を許さない韓国情勢。であるが故の、決してTOO LATEに陥ることの無い、したたかな日本外交の展開が求められます。

 思えば、9月15日付け本紙・本欄にて、後に大統領になり光州事件を武力弾圧したチョン・ドゥフアン将軍の軍事クーデターを扱った「ソウルの春」を取り上げました。「隣国韓国と日本、今、考えさせられる作品の一つではないかと思いました。」と書いたばかりであり、残念でなりません。

 こうした中、1月20日には、「Make America Great Again(MAGA)」を掲げ、大統領選に圧勝したトランプ大統領が復帰・就任されます。

 韓国のみならず、我が国に対しても、関税や防衛費・駐留経費負担等について、強烈なディールを突き付けてくる可能性もあります。

 その際、最も重要なことは、我々自身のかけがえのない首相であり、自衛隊最高指揮官である石破茂首相を盛り立て、石破首相の元に総力を結集し、用意周到、堂々と対峙して行くことです。いわゆる孤独な首相にしては絶対になりません。石破首相と私達国民は、強固な相互信頼で結ばれた一体でなければなりません。そのための首相の努力は言うまでもありません。そして私達も。言い換えれば、「時には、私達国民が首相を守る!」そんな気持ちの共有です。


北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


  


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