自衛隊ニュース

ゲッキーのイラスト

雪月花

 牧野富太郎植物学博士を主人公のモデルにしたNHK朝の連続テレビ小説「らんまん」の放送が4月3日から始まった。博士が高知県出身ということで昨年から高知県中が期待に沸き返っている。過去の朝ドラで舞台になった所はどこも知名度が上がり観光客が増加している。高知県ではかなり前になるが大河ドラマ「竜馬伝」で効果を味わっており2匹目のどじょうを狙っている。地元紙高知新聞では毎日のように関連記事を掲載、NHKでも1日に何本もお知らせを入れて主演の神木隆之介さんらが呼びかける。関係者の努力に応えるように4月3日の初回放送の高知地区視聴率は25・9%と好調の滑り出しとなった。放送初日は県下各地で鑑賞会が開かれ博士が生まれた佐川町では集落センターに約30人が集まり放送の開始時間へのカウントダウンもおこなわれた。また高知駅前の旅広場ではNHKが用意した特別モニターで、出演者の松坂慶子さん、中村里帆さんと一緒に約200人が視聴し、それぞれに「土佐弁が心地よくどうゆう展開になっていくのか楽しみだ」などと話していた。この日の高知新聞の見出しは特大活字で横にドカーンと、らんまん初回 拍手・涙「感無量」とあった。高知県内による牧野効果はもうすでに広がっている。1954年ごろ牧野博士が愛した「百合羊羹」はもともと高知竜馬空港で販売する人気商品だったが牧野博士との関係が伝わると注文が殺到し2~3か月待ちの状況だと言う。また牧野関連本も続々と登場しており国立科学博物館の田中伸幸さんの「牧野富太郎の植物学」「別冊太陽 牧野富太郎 雑草と言う草はない」などの専門書のほか直木賞作家の朝井まかてさんの「ポタニカ」故大原富枝さんの「草を褥に」などもロングセラーになっていると言う。コロナの終焉とともに今年の大型連休には大勢の観光客が押し寄せており放映1か月で朝ドラ効果が予想以上に早く発揮されている。路面電車やJRの車両にも主人公万太郎がラッピングされており牧野博士の名前を聞かない日はない日が当分の間続くことになりそうだ。(本稿は高知新聞を資料にしました)

駅伝協力

<20普連>

 第20普通科連隊(連隊長・荒木貴志1陸佐)は4月27日から同29日までの3日間、県内全域で行われた「第67回山形県縦断駅伝競走大会」に協力隊長・土田2尉(第3中隊)以下25名、車両14両で協力した。

 山形新聞、山形放送、山形県陸上競技協会などが主催。県内11地区のチームが3日間にわたり、北の遊佐町をスタートし各市町村を経由して南の米沢市まで縦断、山形市のゴールを目指す山形県の春の風物詩と言える大会(全29区間、総距離307キロ)で、連隊は昭和50年代から大会に協力している。

 協力隊は26日、神町駐屯地で大会役員と対面式を行った後、開会式が行われる酒田市に移動。同日、協力隊長が開会式に参加するとともに、協力隊員は協力準備を万全に行い、本番に備えた。協力隊は大会期間を通じて役員の輸送、通信連絡等に従事し大会運営に協力した。

 また、連隊から斎藤3曹(第3中隊)が1区及び23区を選手として出走。県内を駆け抜け、北村山チームの活躍に貢献した。

短艇競う

<防大>

 防衛大学校(神奈川県横須賀市)は4月25日、観音崎公園沖でカッター(短艇)競技会を実施した。同競技会は第2学年の体力・気力及び同期の団結心を育成するとともに、指導に携わる第3・4学年の指導力・企画力の向上を図ることを狙いとして春に実施している。

 使用するカッターは、全長約9メートル、重量約1・5トン。元々は軍艦等に搭載された救助艇で、1艇(クルー)は艇長、艇指揮及び漕ぎ手12名で編成され、漕ぎ手は艇指揮の掛け声に合わせて長さ約4メートル、重さ約9キロのオールを操る。第2学年は、それぞれの中隊、大隊の威信をかけて、4月始めから約3週間にわたり、優勝を目指し猛練習に励んだ。

 全16艇が順位を争う午前の予選レースは、晴天に恵まれたものの時折強風が吹く中行われ、43、34、42、23各クルーが決勝へ。

 午後の決勝レースは時間とともに雲が広がる中、激しい接戦が繰り広げられ、クルー対抗の部は、23クルーが平成14年度以降で最速を記録し見事優勝。大隊対抗は4大隊が団結力の強さを見せ制した。

野田3尉(体校)日本新

日本陸上35キロ競歩で

 石川県輪島市で4月16日、世界陸上選手権(ブダペスト)と杭州アジア大会の日本代表選考会を兼ねて「第107回日本陸上競技選手権35キロ競歩」が開催され、自衛隊体育学校陸上班から勝木隼人2陸尉、野田明宏3陸尉、河添香織3陸尉の3名が出場。野田3尉が優勝、勝木2尉と河添3尉(女子)が4位の成績を収めた。

 時折小雨がぱらつく肌寒い天候の下、男子18名、女子10名が競った。

 男子は野田3尉と世界選手権銀メダリストで日本記録を持つ川野将虎選手(旭化成)ら3人がデッドヒートを繰り広げた。

 25キロ手前で野田3尉がペースを上げて抜け出し、2人を一気に引き放した。野田3尉のスピードは落ちず、そのままガッツポーズでゴールテープを切り、日本新記録となる2時間23分13秒で優勝。3度目の世界選手権代表内定を勝ち取った。

 ゴール後のインタビューで野田3尉は、「最後は、落ち着いて安定して歩くことを意識しながらゴールすることができた。昨年の世界選手権では先頭の選手と全然勝負させてもらえず、すごく悔しい思いをした。今回は先頭でメダル争いができるようしっかり準備して挑む」と力強く語った。

機略縦横(54)

高射学校最先任上級曹長 准陸尉 野村郁雄

背景への意識

 「背景への意識」の習慣化は、我々最先任・先任上級曹長にとって、隊員育成と今後の任務遂行のためにも重要な役割であり、上級曹長制度ができた意義の一つだと思います。

 全ての事象には背景があり、見えているものだけが全てではなく、見えていない部分が多く、むしろそこが重要な場合があります。

 「そもそも何が理由で事が起きたのか、指示をされたのか」等の背景への意識が、物事の本質への道であり、すべき事を幅広く考え、効果的な取り組みに資するはずです。

 これからも限られた人・物・時間等の環境が予測される中では、特に任務遂行には必要不可欠になるでしょう。

 若い頃は、変化の表面的な事に対して一喜一憂していましたが、今だからこそ物事や人を理解する上で「背景への意識」は重要と感じており、少しでも多くの後輩隊員へ伝え、本質への足掛かりとしてもらいたい。そして、これを主体的に為すべきなのはまさに最先任・先任上級曹長であり、上級曹長制度の意義の一つと思えます。

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