自衛隊ニュース
音楽隊に敬礼っ!!〈第2回〉
前陸上自衛隊中央音楽隊長 樋口孝博
学生時代の”赤い”エピソード
クリスマス時期にラッパを吹く学生時代の樋口隊長
演奏会の企画は、季節や客層といった地域の特性を考慮しながら決めていきます。最新曲の情報を集め聴衆目線でプログラムを組み立てるのはまさに〝作戦〟で、戦術的な思考が必要となります。
しかし、クリスマスシーズンとなると『クリスマスソング』が定番のため、進む道(企画)は1本です。どのコンサートでも《ジングルベル》や《赤鼻のトナカイ》などを演奏すれば、みなさんの表情が暖かくなってくるのが伝わります。赤や緑色に包まれたステージは美しく、サンタ姿の隊員に向ける聴衆の瞳は昭和も今も変わりません。
私は学生時代、東京近郊のネズミ王国でトランペットを吹いていました。
開園当時の12月、テレビからは「誰も知らないクリスマス」とのキャッチコピーが流れ、人々を魅了します。園内パレードでは、控え場所のお城のなかで、大きな赤い服を来た人が腰を掛けていました。顔をのぞくと、豊かな白いひげをたくわえた深く青い目のサンタクロースです。それはどう見てもホンモノ! 大人の私ですら「サンタって実在するんだ」と思えた驚きの瞬間でした。
さて、クリスマスシーズンの音楽隊は多くの趣向を凝らしてステージを迎えます。ステージ袖にDJブースを作って《そりすべり》などを深夜放送のように演出して演奏したこともありました。
そんな折、私に与えられた命題は「ステージ全員分のサンタ服を用意せよ!」との無茶話。
当時のサンタ服といえば、レンタルか高額な買取りが主流でしたから、50人の衣装なんて…。ネット情報のない時代、電話をかけまくって調べてもすべて予算オーバー。困り果てたその時にオープンしたのがあの100均チェーン店! すがる思いで店に入ると、あるわあるわサンタ衣装の一式が。赤い上着にズボン、帽子を購入しても大幅な予算削減です。ニコニコと上司の前に差し出すと、目を丸くするその顔が可笑しくもありました。
50人のサンタが登場して真っ赤にステージを染めたその瞬間は、まさにクリスマス・ファンタジー。今でもその光景が私の目に焼きついています。
トウチとさくら
矯正展でPR
〈立川〉
VRゴーグルの装着を手伝う女性自衛官
東京地方協力本部立川出張所(所長・星2陸尉)はこのほど、矯正研修所敷地内で開催された第4回昭島矯正展に参加した。
イベントは法務省が主唱する「社会を明るくする運動」の一環。今回は、第1後方支援連隊(練馬)から支援を受けて1/2トントラックが装備品展示され、会場の一角を飾った。
立川所のブースでは、来場者がVRゴーグルを体験し驚きと笑いの声が終始響き、また迷彩服を試着して背のうを背負ったり、防弾チョッキを着用して記念撮影したりと、幅広い年齢層の興味を引いていた。
また、来場者からは普段の生活や演習場での訓練の過酷さなどについて質問が後を絶たず、隊員には「訓練頑張ってください」と励ましの言葉が掛けられていた。視察に訪れた市長からも「いつもありがとう」とねぎらいの言葉を頂いた。
立川出張所は、今後も地域に根ざしたイベントに参加し関係部隊等とも連携を密にして、自衛隊への理解と関心を高めていく。
防衛省・自衛隊
地方協力本部
行進体験する中学生(栃木地本)
マイチャレンジ実施〈栃木〉
栃木地方協力本部大田原地域事務所(所長・高井1陸尉)は11月21日、那須塩原市鴫内山において、那須塩原市立黒磯北中学校及び那須町立那須中学校の生徒への「マイチャレンジ」を実施した。
「マイチャレンジ」(職業体験)とは、中学生が実際の職場にて3~5日間働くという体験をし、働くことの意義を学ぶことにより自身の将来像の形成やさまざまな職業に対する理解を目的としている学校行事。最終日(3日目)は、担当広報官の黒﨑3曹以下3名の引率で約2キロの鴫内山行進体験に挑戦してもらった。実際の隊員が背負う重さと紹介され、約15キロの背のうを交代で体験した学生たちは「重い」、「ありえない」と驚嘆の表情を浮かべていた。
一つの背のうを参加者7名で順番に回し完歩後、はやり切った表情とともに互いを讃え合っていた。
行進体験に付随し歩測も体験し、自分たちの歩いた距離を計算したり、熊と遭遇した時の対応など山登りに役立つ知識を学んだ。
参加者の一人は「こんな重いものを背負って40キロも歩くなんて信じられない。自衛隊員ってすごい」と実際の行進訓練概要を聞き、目を丸くしていた。また行進後、ドーラン体験を実施するとともに、林内でかくれんぼを行い、偽装の効果について体験することができた。
大田原地域事務所は、引き続き学校との連携及び信頼関係を強化し地域密着型の広報に邁進していく。
地本励ます会〈長野〉
長野地方協力本部(本部長・力久健1陸佐)は11月17日、「自衛隊長野地方協力本部を励ます会」(以下、励ます会)の航空自衛隊岐阜基地(岐阜航空祭)研修を支援した。
励ます会は、国土防衛に関する認識を高揚し、自衛隊と市民との相互理解を深めつつ、その輪を広げることを目的として昭和55年に設立された団体で、目的達成のため、各地の自衛隊研修を実施している。
本研修は、自衛隊の具体的な装備品等をより深く知るために毎年実施しているものであり、励ます会会長以下17名が参加した。
岐阜基地における研修は、当日に開催されていた岐阜航空祭を各人が自由に見学する形式で実施され、航空機の飛行展示や地上に展示された航空機の実物を見学した。
特に飛行展示では、轟音とともに空を舞う航空機に圧倒されるとともに、その練度の高さに驚いていた。本研修に合わせて岐阜基地に隣接する「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」も研修し、参加者は航空機の歴史を学ぶとともに実物の旅客機、災害用ヘリコプター等の模型等を見学し、理解を深めていた。
参加者からは「空自の精強さを確認できたが、そのような部隊を維持できているのも地本の活躍があってこそなのでこれからもがんばってほしい」、「ニュース等で自衛官の募集が厳しいと聞いているが、あきらめずに地道に頑張っていただきたい」等の地本への励ましの言葉があった。
長野地本は、自衛隊に対する理解を深め、隊員の募集をはじめ地本業務全般の基盤強化につながるよう、今後も引き続き各協力団体の部隊研修同行支援を実施していく。