自衛隊ニュース

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ノーサイド
北原 巖男

Ready to Go Forward!

 2025年(令和7年)の幕開けです。

 全国各地で、また異国の地で、それぞれの任務遂行中に新年を迎えられた自衛隊員の皆さんも多いことと思います。

 自衛隊員の皆さんには、いつも最も身近に在って応援してくれているご家族がいらっしゃいます。皆さんにとって、かけがえのない大切な宝。そんなご家族の為にも、本年も、まずは皆さん自身が心身共に健康であってください。そして任務中、いかなる事故にも巻き込まれることが無いよう、くれぐれも気を付けてください。

 ご家族の皆さんは、あなたがいつも元気な父親であり母親であり、夫であり妻であり、息子であり娘であることをひたすら願っておられます。ご家族が笑顔で喜ぶような事柄は、いつでも無限大に大歓迎ですが、悲しませるような事態は、何としても生起させない。

 そして、これからも良き社会人として、誇りと謙虚さを併せ有する常に国民の皆さんと共に在る国民の自衛隊員として過ごして行ってください。Ready to Go Forward!

 ところで僕は、公益財団法人古岡奨学会で理事の一人を務めています。同奨学会は、向上心をもって勉学にいそしもうとする志操堅固な母子家庭の高校生で、経済的理由により修業が困難と認められる生徒に対し、在学中の学費の一部を返還を求めない奨学金として給与しています。

 この度、来たる3月に高校卒業を迎える全国353名の奨学生の卒業文集が発行されました。(「奨学」第43号 古岡奨学会第43期生・文集 公益財団法人古岡奨学会 令和7年1月1日発行)

 彼らには、お父さんはいません。お母さんが女手一つで懸命に育てて来られています。そうした中、迷いながらも自らの人生を考え、選択し、挑戦して行こうとしている、そんな生長の一端を18歳の奨学生二人の一文を通じて紹介させていただきたいと思います。(筆者抜粋)

 「私は自衛官を目指している。父が自衛官であったため、幼いころ自衛官のイベントへ参加したことがある。そこで、私は初めてブルーインパルスの展示飛行を見た。その飛行がとてもきれいで強く印象に残っている。それから私は自衛隊、特に航空自衛隊に興味を持つようになった。

 最初は、やはりパイロットで航空機を操縦したいという思いが強かった。しかし私がいま目指しているのは、整備などの後方の職種だ。・・・私が興味を持った点は後方支援の、特に整備であれば様々な航空機に関わることができるという点だ。また航空自衛隊には警察権の行使として行われているスクランブルというものがあり、国防の最前線を担っている。

 航空自衛隊では自分の好きな航空機に関わることができ、同時に国防という業務を担うことができる。私は航空自衛隊で、あこがれを仕事にしたい。」(タイトル「あこがれから」青森県出身)

 「・・・高校2年生の夏、私は通信制高校に転校した。長い長い時間をかけ努力し続けてきた勉強をやめ自分の憧れを手放した。私は失敗してしまった、人生は終わってしまったとさえ思ったし、これから何をすべきなのか分からなくなった。しばらくは何もせずただぼんやりと生きた。将来への不安や焦燥感は日々加速するばかりだったが、それでも私は生活することができている、ということに気がついた。何もなくても生きていくことはでき、一日一日は進んで行く。自分が選んだ選択をどれだけ後悔しても時間によって後悔は薄められていき、そしてまた新しい選択をすることができるのだ。

 私は今やりたいことを見つけ、それに向かって準備を進めている。転校という選択をしなかったら恐らく選ばなかった道だ。一度は間違いだと、失敗したと思われた道も進んでいくと新たな道を生む。そうして人生というものが作られていくのだろう。

 私はこれからも何度も選択をし、そして何度も後悔すると思う。けれど私はただその時を生き新しい道を作っていきたい。」(タイトル「選択」長野県出身)

 彼らをはじめ、学び舎を巣立つ全国の若者の皆さん、そして、お母さんたちに、心から力いっぱいのエールを贈りたいと思います。

 この拙稿を最後まで読

んでくださったあなたにも。Ready to Go Forward!

 Ready to Go Forward!

  

 北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


住民の安全守る
警察と共同訓練

緊急走行前の相互調整(第15即応機動連隊)


【第15即応機動連隊】

 第15即応機動連隊(連隊長・徳淵文雄1陸佐=善通寺)は、11月29日、徳島県警察及び香川県警察と共同し、施設や区域の警戒防護を実施するとともに、治安を侵害する勢力の鎮圧要領について訓練した。これまでは各県の警察ごとに訓練を行ってきたが、今年は徳島県警察、香川県警察、第15即応機動連隊が協力して初めて合同共同訓練を行った。

 本訓練は、これまで図上で検討した内容を実際に部隊を動かして確認することで、警察と陸上自衛隊が緊密に連携して事態に対処するため態勢を構築することを目的に行われた。

 当初、香川県警察学校で訓練開始式を行った後、緊急走行訓練として香川県警察のパトカーを先頭に訓練地域まで展開し、共同対処として香川県、徳島県の警察の協力のもと自衛隊が鎮圧し武装工作員を警察へ引き渡し、地域を安全化するまでの一連を行動を訓練した。

 一般の警察力では、治安を維持することができない事態が発生した場合、警察と自衛隊が連携し、速やかな治安の回復と地域住民の安全を確保できるよう、今後も共同対処能力の向上に努めていく。


【第20普通科連隊】

 12月5日と6日の両日、神町駐屯地において山形県警察との共同訓練が行われ、自衛隊側から統裁官として第20普通科連隊長(武田宜則1陸佐)、訓練部隊として第1中隊(中隊長・藤原1陸尉)が参加した。

 訓練開始式において、統裁官は「共同連携」「安全管理」の2点を要望し「山形県の郷土部隊である第20普通科連隊と県民の安心・安全を守る山形県警察の共同対処能力の更なる向上を期待する」と訓示を述べた。

 訓練は、治安出動時における20連隊と県警察との緊密な連携と共同対処能力の向上を図ることを目的として行われ、警察車両が自衛隊車両の先導を行う緊急輸送訓練、共同調整所における情報収集・情報共有要領及び武装工作員の鎮圧に係る警察との連携を演練した。その他、第一線救護、小部隊戦術等の技術交流、装備品の説明等を実施して相互理解を深めた。

 訓練終了後の研究会では、各状況を振り返り、自衛隊・警察との連携、成果及び教訓について認識を共有するとともに相互に意見を交換し、今後の訓練の資とした。

陸演でDX技術を積極導入

リアリティある実動訓練で対処力強化

〈第3施設団〉

DXの推進 マシンコントロール付油圧ショベルを活用した掘削


 第3施設団(団長・鹿子島洋陸将補=南恵庭)は、9月2日から同年12月2日までの間、陸上自衛隊としての国土防衛作戦に係る作戦準備段階から作戦段階までの一連の行動を演練する大規模演習、令和6年度陸上自衛隊演習に参加した。

 演習間、出動準備訓練、機動展開前の協同訓練、機動展開訓練、施設防護訓練等を実施した。また、施設科部隊として特有の施設技術の練度向上を効果的に図るための作戦準備間の練成訓練として団統制訓練を実施した。各施設群が参加した92式地雷原処理車投射訓練は上富良野演習場において実施し、ドローンを活用した偵察・測量による投射位置の決定、ロケット組み立て・装填・投射までの一連の行動を演練して障害処理能力を向上させた。

 第105施設器材隊は、みちのくALERT2024において北上川(宮城県石巻市)及び広瀬川(宮城県仙台市)の生地で、第1施設団及び第2施設団との協同による浮橋等架設訓練を実施し、単独では架設困難な河川幅約210メートルの92式浮橋の架設要領及び約50メートルのパネル橋MGB架設要領を演練して協同架設能力の向上を図るとともに、滑走路被害復旧訓練を北海道大演習場東千歳地区において実施し、現在まで練成して来た被害復旧要領を団隷下部隊へ普及するとともに、ドローンを使用した被害状況等の解明及び遠隔操作器材の使用について検証した。なお、全訓練で、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に関する技術の積極的な導入を図り、DX化施設団に向けたフロントランナーとしての挑戦を継続した。

 第3施設団は、引き続き、所命を完遂する強靭な施設団の創造にまい進する。

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