自衛隊ニュース
同盟国・同志国との連携強化進む
日英伊次期戦闘機共同開発が加速
12月14日、防衛省で木原稔防衛大臣、シャップス・イギリス国防大臣、クロセット・イタリア国防大臣が会談を行い、次期戦闘機共同開発を効率的に進めるための政府間機関「GIGO(GCAP International Government Organisation)を設立することで合意、同日条約に署名した。
2022年12月に、日英伊首脳が「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」を発表してから1年、2035年までの開発・初号機配備の実現に向けてまた一歩前進した。
GIGOは3カ国の代表による「運営委員会」と実務を担当する「実施機関」から構成され、2024年度中にイギリスに本部が設置される。実施機関の初代トップには日本人が、3カ国の企業でなる共同事業体制のトップにはイタリア人が就任することも決まり、3カ国間でのバランスをとった。
木原防衛大臣は条約署名後の共同記者発表で「抑止力の根幹をなす航空優性を確保し続けていくことは、必ず成し遂げなければならない重大な挑戦だ。今やどの国も一国では自国の安全を守れない」等と述べ、「GCAPは日英伊という同志国が優れた技術を持ち寄り、コストとリスクを分担し合う事を可能とする歴史的なプログラムだ」と共同開発の意義を強調した。
ランド・フォーシーズ・サミット初開催
日米豪比の陸軍種トップが市ケ谷に集結
12月12日から14日まで、陸上自衛隊は米太平洋陸軍と共に、「第1回ランド・フォーシーズ・サミット(LFS)」を市ヶ谷駐屯地で開催した。
これは、昨年12月に行われた日米比陸軍種におけるハイレベル懇談での合意を受けたもので、初開催となる今回は、森下陸上幕僚長、フリン米太平洋陸軍司令官、ジャーニー米太平洋海兵隊司令官、スチュアート豪陸軍本部長、ガリード比陸軍司令官、ロハス比海兵隊司令官の各国陸軍種トップが一堂に会した。
期間中、2国間懇談や日米豪比4カ国会談、日米豪韓4カ国会談(韓国はパク陸軍参謀総長がVTCで参加)、日米比3カ国会談等が行われ、インド太平洋地域における抑止・対処能力の確立のためには、同志国・同盟国間の陸軍種ネットワークを重層的に構築していくことが重要だとの認識をあらためて共有した。また次年度以降の開催も決まった。
森下陸幕長は12月13日の開催の挨拶で「NATOのような集団防衛の体制がないこのインド太平洋地域において、日・米・オーストラリア・フィリピンのトップが定期的に直接会って枠組みを構築していくこと、そして2カ国、3カ国、4カ国、さらに増やしてネットワークを構築していくことが非常に大事だ」とLFS開催の拡大についても期待感を示した。
陸軍種司令官会同
12月13日には、朝霞駐屯地で陸軍種司令官会同(LFCM)が初めて開催され、日米豪英の陸軍種司令官が、多国間連携の強化や共同訓練の重要性について認識を一致させた。
ハイレベル懇談 精力的に
吉田統幕長
12月13日、吉田圭秀統合幕僚長はアニル・チョーハン・インド国防参謀長を防衛省に公式招待した。同国参謀長の公式招待は初めて。吉田統幕長は日印防衛協力が陸海空各軍種間の共同訓練を通じて強固になっていることに加え、今年9月に初めて行われた統合幕僚協議について「我々統幕とインド統合参謀本部とのパートナーシップが確立された」と歓迎した。チョーハン参謀長も「この数年間に2国間の軍種間交流が数倍に拡大している」と同意し、「新たな領域、宇宙・サイバー分野での協力を進めていくことも重要だ」とさらなる関係強化に期待感を示した。
12月18日は、米輸送軍のヴァン・オヴォスト司令官と防衛省で会談を行った。同軍司令官の来訪は約11年ぶり。冒頭、吉田統幕長は11月末に発生した米軍オスプレイ墜落事故について、犠牲者と家族への哀悼の意を表した。吉田統幕長は「国際安全保障の重心がインド太平洋地域に移ってきている」と述べ、「我々にとって最大の焦点は、我が国周辺地域においてウクライナと同様な深刻な事態を抑止することだ。このため我が国の防衛力を抜本的に強化すると共に日米同盟の抑止力・対処力の強化が喫緊の課題だ」と強調した。オヴォスト司令官も「この地域における平和と安定、繁栄をしっかりと確保していくために必要なのが日米同盟だ」と同調した。