自衛隊ニュース

ゲッキーのイラスト

3年ぶり日米共同統合演習始まる!!

 陸海空3自衛隊と米軍(陸軍・海軍・空軍・海兵隊)による日米共同統合演習が3日午前、日本全国の自衛隊関連施設及び周辺海・空域で開始された。この演習は実動訓練としては平成19年度以来、3年ぶりの実施であり、今回で10回目となる。演習への参加規模は、自衛隊側が約3万4千人、米軍側が約1万人、日米艦艇約60隻、日米航空機約400機。米軍側は、先の米韓合同演習にも参加していた原子力空母ジョージ・ワシントンも参加する。 わが国防衛のための日米共同対処に必要な自衛隊・米軍及び自衛隊相互間の連携要領を実動により演練し、共同統合運用能力の維持・向上を図ることを目的として、弾道ミサイル対処を含む航空諸作戦を主に、10日までの8日間にわたり演練する。

自衛隊音楽まつり 日本武道館
観客と一体に「WAになっておどろう」大合唱

日米安保改定50周年スペシャルセレモニーも

 平成22年度自衛隊音楽まつりが11月19、20の両日、「繋がる想い、絆の共鳴」をメインテーマに日本武道館で開催された。この音楽まつりには、陸海空自衛隊音楽隊、第302保安警務中隊、自衛太鼓、防大儀仗隊、在日米陸軍軍楽隊、在沖縄米海兵隊音楽隊、シンガポール軍楽隊など、総勢約1000名が出演。それぞれ高度な音楽演奏や華やかなドリルを披露した。

 招待公演を含め計6回の公演に約3万7000人が日本武道館を訪れ演奏を堪能した。19日の招待公演には北澤俊美防衛大臣をはじめ防衛省・自衛隊の高級幹部も会場を訪れた。北澤大臣は「我々は音楽演奏を通じて任務達成のために粘り強く最後まで諦めない自衛隊、そして絆で結ばれた一枚岩の自衛隊の姿を表現する。このような自衛隊の姿から、自衛隊が日本を守る確かな存在であるという安心感を感じてもらいたい。その想いをこのテーマに託した」と挨拶した。

 今年度は「序」「破」「急」の3章に「日米安保改定50周年記念:スペシャルセレモニー」を加えて構成された。陸海空自衛隊音楽隊による「木星」等が開幕に演奏され、第1章「序」では東部方面音楽隊、西部方面音楽隊の単独ドリル演奏に続き、方面音楽隊合同でドリル演奏を行った。第2章「破」は防大儀仗隊、シンガポール軍楽隊、在日米陸軍軍楽隊、在沖縄米海兵隊音楽隊によるドリル演奏。第3章「急」では自衛太鼓、三宅由佳莉海士長による独唱、陸自中央音楽隊・第302保安警務中隊の合同ドリル演奏、航空中央音楽隊、海自東京音楽隊によるドリル演奏が披露された。「日米安保改定50周年記念:スペシャルセレモニー」では米陸軍軍楽隊デブラ L・マクギャリティ最先任上級曹長がクラリネット奏者として参加。陸海空自衛隊音楽隊・在日米陸軍軍楽隊・在沖縄米海兵隊音楽隊が米陸軍軍楽隊隊長トーマス ロタンディJr.大佐の指揮で「スターウォーズ」を演奏、次曲では自衛太鼓も加わり迫力の演奏を響かせた。

 終幕では全出演部隊が観客と共に「WAになっておどろう」を大合唱。会場内全員で「繋がり」と「絆」を共有した。

世界一周の航海終え帰国

海自遠航部隊
156日間、11カ国15寄港地を歴訪し親善深める

 平成22年度遠洋練習航海部隊が10月28日、東京・晴海埠頭に帰国した。実習幹部約190名を含む総員約730名は、156日間にわたって約5万3000キロを航海し、11ヶ国、15寄港地を歴訪した。


 午前8時過ぎ、練習艦「かしま」「やまぎり」、護衛艦「さわゆき」は晴海埠頭HK岸壁に接岸。雨天のため、帰国行事は旅客ターミナルで行われ、安住淳防衛副大臣、杉本正彦海幕長、高嶋博横須賀地方総監をはじめ、来賓や乗員家族らが出迎えた。10時半から開始した帰国行事では、練習艦隊司令官の徳丸伸一海将補が「156日間の世界一周の遠洋練習航海を終え、ただいま帰国いたしました」と帰国報告。これを受けた安住副大臣は、訓示で実習幹部に対し「(この遠洋練習航海で)様々な国々で多くの人々と出会い、視野を広げる絶好の機会を得たと思う。遠洋練習航海部隊の寄港そのものが各国に伝えたメッセージは、きわめて重要であった」と評価するとともに、「諸官は今後、海上自衛隊はもとより、防衛省・自衛隊の核心となる人材である。諸官に対する期待は大きく、このたびの経験を生かし、本日を新たな出発点として、より一層自分自身に磨きをかけていくことを期待する」と述べた。続いて杉本海幕長が訓示に立ち、「その若さをもって失敗を恐れず、真っ直ぐ正直に『行き脚のある』初級幹部として、何事にも積極的に挑戦し、精進を続けてもらいたい」と実習幹部を激励した。


各寄港地で交流も

 遠洋練習航海は、昭和32年から毎年行われ、今年で54回目。初級幹部としての基礎的な知識・技能の習得、シーマンシップの育成などを目的とし、同時に訪問国との親善を深めることで国際的視野を養う。  今回の遠航部隊は、太平洋からパナマ運河を抜け、太平洋、地中海、インド洋を通る世界一周の航海を行った。寄港地では、日米安全保障条約締結50周年、メキシコとの交流400周年、ポルトガルでは修好150周年、トルコではエルトゥールル号の遭難120年など各地で節目の年を迎え、遠航部隊は様々な行事に参加して現地との交流が図られた。


寄港地(訪問順)

パールハーバー(アメリカ) サンフランシスコ(アメリカ) サンディエゴ(アメリカ) アカプルコ(メキシコ) チアパス(メキシコ) サントドミンゴ(ドミニカ共和国) ボルチモア(アメリカ) リスボン(ポルトガル) ナポリ(イタリア) アレキサンドリア(エジプト) メルシン(トルコ) ジブチ(ジブチ) マスカット(オマーン) ジャカルタ(インドネシア) 釜山(韓国)

観閲官に菅首相
威風堂々「観閲パレード」

自衛隊観閲式
日米安保改定50周年を記念して米軍が初参加

 平成22年度自衛隊記念日記念行事「自衛隊観閲式」が10月24日、自衛隊最高指揮官の菅直人首相を迎え、朝霞駐屯地で行われた。また、前日には、同中央行事の一環として、防衛省慰霊碑地区で「自衛隊殉職隊員追悼式」が、グランドヒル市ヶ谷では「防衛大臣感謝状贈呈式」が行われた。(関連記事2面)


 24日午前10時半、観閲部隊の中川義章1師団長以下約3800隊員が朝霞訓練場に整列する中、菅首相と北澤俊美防衛大臣が到着、第302保安警務中隊、1師団ラッパによる特別儀仗を受けた。引き続き、観閲台に上がった菅首相に対し全隊員が栄誉礼を行った。

 国旗掲揚に続き菅首相が中川1師団長を伴い、オープンカーで、整列した全部隊を巡閲。来場者は拍手や日の丸の小旗を振って祝賀した。次いで、菅首相が観閲官訓示(全文は2面に掲載)で「自らの任務に関する知識と技量を十分持て」「自らが自衛官であることを常に自覚せよ」「真の勇気の持ち主であれ」と要望した。

 全隊員と車両が順次、観閲行進態勢に移動したあと、徒歩部隊を先頭に観閲パレードが開始された。最初に陸海空合同音楽隊が「凱旋」を演奏しながら入場。続いて国旗を掲げた観閲部隊本部、防大学生隊、防医大学生隊、今年3月に少工校から改編した高等工科学校学生隊、普通科部隊、中央即応集団隷下の空挺部隊、海自部隊、空自部隊、高等看護学院学生隊、陸海空各女性自衛官部隊が順次、一糸乱れぬ行進を披露した。

 徒歩部隊に続き、約240両が参加した迫力の車両部隊パレード。中央即応連隊、今年3月に職種化された情報科部隊(初参加)、ハイチ派遣部隊(初参加)、空自ペトリオット部隊、偵察部隊、普通科部隊、全国から集まった予備自衛官部隊、施設科部隊、化学科部隊、衛生科部隊、需品科部隊、高射特科部隊、野戦特科部隊、戦車部隊の順に、各種装備品を展示しながら轟音を響かせ行進した。パレードの最後にはAH―1、US―1、F―15など、約60機の陸海空航空部隊が式場上空を順次飛行。ラストに日米安保改定50周年を記念して米軍機F―16、UH―60が祝賀飛行を行った。

 この日は各種音楽演奏や、新戦車(初展示)、新無人偵察機システム(初展示)をはじめとする装備品展示なども行われ、式典来場者の注目を集めていた。

初の写真コンテスト

全自陸上競技会で
応募作品43点から各賞選ぶ

 9月8日、朝霞駐屯地自衛隊体育学校で開催された第14回全自衛隊陸上競技大会の中で行われた写真コンテストの結果、43点の応募作がありその中から厳正に審査した結果、金賞には荒谷道郎技官(通信学校)、銀賞には町田康行1陸曹(中央即応連隊)が選ばれた。

 また、それ以外の佳作には河合秀紀3陸曹(第10通信大隊)、大島章陸曹長(第1教育団)、清水卓貴2陸曹(第1通信大隊)、槇野剛3陸曹(第10通信大隊)、村松寿樹1陸曹(第2普通科連隊)、坂口俊3陸曹(第36普通科連隊)、鈴木康平3陸曹(東部方面通信群)が選ばれた。

 選者のJOCオフィシャルフォトチーム水谷豊氏(アフロ・スポーツ)は、金賞作品については「大会当日の豪雨の様子が見事に表現されています。あの日の状況を『伝える』という意味でも非常に分かりやすい1枚だと思います。ただ、もっとコントラストをつけてプリントすればさらに良くなると思います」とのことであり、銀賞作品については「いわゆる『流し撮り』という手法です。少しシャッタースピードを遅くすることで跳躍感を出しつつ選手の表情をしっかり捉えています。非常に完成度の高い1枚です」と評価した。

 写真コンテストは、初めての試みだったが非常にレベルの高い作品が集まり、作品を見るだけで全自衛隊陸上競技大会への関心を呼び起こすことのできる力強いものも多く、この事業を通じた体育振興の目的を達成した。選ばれた作品は自衛隊体育学校校内および陸上自衛隊広報センターで展示する予定。

防災の日
防衛省、各機関一体に

初めて東海・東南海・南海連動大地震を想定
1600隊員、車両400両など参加

 「防災の日」の9月1日、政府は東海地震と東南海・南海地震が連動して発生した場合を初めて想定(▽発生日時【9月1日午前7時頃】▽震源地【和歌山県南方沖】▽地震規模【M8・7】▽最大震度【震度7】)し、菅直人首相以下全閣僚が参加して地震災害応急対策の実施体制を確保するための訓練を静岡県伊東市や千葉県君津市などで実施した。

 防衛省・自衛隊は、防災週間(8月30日~9月5日)に際し、この訓練に参加、各機関と連携しながら被災者の救出・救助活動や救援物資の輸送などに当たった。また、地方公共団体などが行う総合防災訓練に参加して、地方公共団体などとの連携の維持・強化を図った。


統合防災演習

 平成22年度自衛隊統合防災演習(実動演習)が、8月29日から8月31日まで(機能別訓練)と、8月31日から9月1日まで(総合訓練)の2区分にわたって、折木良一統幕長を統裁官に市ヶ谷駐屯地や参加部隊の所在地、静岡県総合防災訓練各現地会場などで行われた。これは、東海地震発生時における自衛隊の統合運用による対処要領を関係機関と共同して実践的に演練し、自衛隊の災害対処能力の維持・向上を図ることを目的としたもので、統幕、陸海空自衛隊等人員約1600名、車両約400両、艦船4隻、航空機17機が参加した。

精強な防衛省・自衛隊構築」へ

菅首相迎え高級幹部会同開催
防衛施策方針周知徹底図る

 9月8日、自衛隊最高指揮官の菅直人首相を迎え、第46回自衛隊高級幹部会同が開かれた。これは、防衛省の政策方針を自衛隊の高級幹部に周知徹底させるとともに当面する自衛隊の重要課題について意見交換することを目的としたもので、式には北澤俊美防衛大臣、榛葉賀津也副大臣、長島昭久、楠田大蔵両政務官、西元徹也補佐官、中江公人事務次官、折木良一統幕長をはじめ各幕僚長、部隊・機関の長ら約170名が出席した。菅首相は防衛省A棟前で特別儀仗を受けたあと、2階講堂で高級幹部を前に「有事に備えることだけではなく、国民の安全のため、国際社会の平和と安定のために常日頃から目に見える活動を行うよう」と訓示した。次いで、北澤大臣は訓示の中で「シビリアンコントロールに基づき、一層精強な防衛省・自衛隊を構築するよう」要望した。引き続き、事務次官説示、統幕長挨拶、羽生善治将棋名人の講演、防衛研究所・陸上自衛隊・防衛監察本部の各発表などが順次行われた。

緊急航空援助隊
パキスタンへ

陸海空530隊員順次出発
楠田政務官「高い士気をもって任務に精励し、無事帰国を」
福岡駐屯地で隊旗授与式

 7月下旬からパキスタン各地で始まった記録的な豪雨により、約1600人以上が死亡し、1380万人が被災を受ける未曾有の被害が発生、現在も被災民は不自由な生活を続けている。

 防衛省は外務省とともに現地に調査団を派遣して治安状況などを検討した結果、「自衛隊の活動は可能」と判断した。北澤俊美防衛大臣は8月19日、国際緊急援助隊派遣法に基づく準備命令を発出。同日夕、先遣隊約20名が防衛省で見送り行事を行ったあと、成田空港から現地へ向け出発した。次いで、北澤大臣は翌20日夕、陸自ヘリ部隊などに正式に派遣命令を発出。これを受けて、翌21日、福岡駐屯地で隊旗授与式が行われた。

 式では、第4師団司令部前に整列した「パキスタン国際緊急航空援助隊」の第1次隊50名を前に、楠田大蔵防衛大臣政務官が石崎敦士隊長に力強く隊旗を授与した。楠田政務官は訓示の中で、「国民の代表として、これまで平素の訓練や国内の災害派遣で培った技術と国連PKOでの経験を活かし、パキスタンの救済に貢献するよう」、また「高い士気をもって任務に精励し、派遣隊の全員が一致団結して、この名誉ある任務を終えて無事帰国するよう」激励した。引き続き、第1次派遣隊員50名は駐屯地隊員や留守家族の見送りを受け、福岡空港を出発。翌22日夜、活動拠点とするパキスタン中部ムルタンに到着した。

 緊急航空援助隊は第4師団を基幹に石崎隊長以下人員約200名、UH-1・CH-47ヘリ各3機で編成。また、海自が人員160名、輸送艦「しもきた」、空自が人員150名、C-130輸送機をもって、装備品の輸送にあたっている。

長距離機動、射撃訓練など実施

《中部方面隊・東北方面隊》
陸海空共同で即応能力向上図る

 陸上自衛隊は平成22年度協同転地演習を実施した。これは、国内においてあらゆる事態に有効に対応するため、主として輸送の場を活用した海上自衛隊と航空自衛隊との協同連携要領を演練して、各方面隊の即応性の向上を図ることを目的としたもので、昭和48年に「他方面区演習」として始まり、昭和52年から「北方機動特別演習」、平成17年から「協同転地演習」と称している。

 この演習は、師団等転地と連隊等転地の二つの区分に分かれており、師団等転地は、6月21日から8月8日までの間、角南俊彦中方総監を担任官に第14旅団基幹の部隊(人員約2700名、車両約700両、火砲10門、戦車7両、陸自航空機約10機)が北部方面区までの長距離機動、長射程射撃訓練等を浜大樹訓練場や矢臼別演習場などで実施した。

 また、連隊等転地は6月26日から7月16日までの間、君塚栄治東北方総監を担任官に第6師団第22普通科連隊基幹の部隊(人員約2000名、車両約700両、火砲24門、戦車14両、陸自航空機約10機)が東部方面区まで機動し、総合戦闘射撃、陣地攻撃等を東富士演習場などで実施した。

 なお、この演習には海上自衛隊から輸送艦1隻、航空自衛隊から戦闘機等延べ約20機が参加、陸海空一体となって部隊の即応性の向上を図った。


西日本集中豪雨被害で災派

陸海部隊が行方不明者捜索・給水支援活動など実施
群馬、岐阜、島根、広島で死者・不明者15人

 7月14日から17日にかけて、梅雨末期の梅雨前線が活発化、西日本を中心に局地的豪雨に見舞われた。土砂崩れや川の氾濫などで死者・行方不明者は、群馬、岐阜、島根、広島の各県で15人となっている。

 15日午前8時、山口県知事から災害派遣要請を受けた海自小月教育航空群司令はすぐさま同群の人員、車両を下関地区に派遣、孤立住民の捜索・救助(土砂・瓦礫の除去)にあたった。また、山陽小野田地区では陸自17普連とともに断水した住民のために給水支援を行った。

 18日の撤収までに給水した量は200トン以上に達した。

 翌16日午前5時10分、岐阜県八百津(やおつ)町の行方不明者捜索のため、岐阜県知事が第10師団長に災害派遣を要請した。同師団35普連隊員はすぐさま守山駐屯地を出発、連日の大雨による土砂崩れで家屋が倒壊した現場に到着した。約210名の隊員が24時間体制で捜索活動を継続した結果、午後9時7分、行方不明者の遺体が発見され、部隊は撤収した。

 同16日、広島県庄原市で、豪雨のため複数箇所の家屋が土石流で倒壊、住民が孤立化し、避難が必要となったため、午後7時10分、広島県知事が第13旅団長に人命救助に係わる災害派遣を要請した。同旅団46普連(海田市)・13飛隊(防府)はすぐさま駐屯地を出発、翌17日早朝から捜索活動を開始した。19日午後5時の撤収までの派遣規模は、人員延べ約390名、車両約90両、航空機約4機にのぼった。

自衛隊、米軍、NGO一体に

ベトナム カンボジア
パシフィックパートナーシップ2010開催

LCACから陸自医療用車両を揚陸(カンボジアのレアム海軍基地で)


歯科医官が現地の子供を丁寧に診察(ベトナムで)


 米軍主催の「パシフィック・パートナーシップ2010」が5月23日から7月15日までの約2カ月間にわたってベトナム、カンボジアで開催された。防衛省・自衛隊から海自輸送艦「くにさき」(乗員等約160名)1隻と陸海空3自衛隊混成医療支援チーム(医官、歯科医官、薬剤官、看護官、衛生員等約40名)、民間協力団体(NGO)から医療系団体、災害救援系団体の4団体22名など総勢約220名が参加した。

 輸送艦「くにさき」は5月23日、呉基地を出港、同31日、ベトナムのクイニョンに入港したあと、派遣隊員は米海軍省主催の開会式に臨んだ。翌6月1日、ビンディン省人民委員会副委員長への表敬を皮切りに2日から5日まで、7日から10日までの間、ニョンビン、ハイカン両中学校で医療活動を実施した。8日間で、自衛隊が1296人(内科715、歯科581)、NGOは435人(内科)の計1731人の患者を診療した。また、この間、人員・物資の輸送(医療活動用テントなど)、剣道や折り紙などの文化交流、サッカーなどのスポーツ交歓、米海軍病院船「マーシー」の見学なども行われた。11日、米海軍省主催による閉会式が行われたあと、輸送艦「くにさき」は翌12日、次の寄港地カンボジアへ向け、クイニョンを出港した。

 15日、輸送艦「くにさき」がカンボジアのシアヌークビルに入港したあと、派遣隊員一同は州知事やレアム海軍基地司令を表敬した。翌16日、開会式に続いてシアヌーク州立病院で医療活動を開始した。医療活動は、米海軍病院船「マーシー」やアンドン・トゥーモ小学校でも行われ、自衛隊で1645人(内科1154、歯科491)、NGOが1076人(内科945、歯科131)の計2721人の患者を診療した。また、チア・シム小学校やサクラ学園で現地の子供たちに剣道、日本語教室、折り紙などを通じて日本文化を紹介した。

 27日、各国関係者多数が出席して盛大に閉会式が行われたあと、翌28日、輸送艦「くにさき」はシアヌークビルを出港、シンガポールを経て7月15日、呉基地に帰国する。


優秀地本表彰
東京、岡山、沖縄に1級賞状

2級は大阪など10コ地本が受賞

北澤防衛大臣(右)から1級賞状を授与される森山東京地本長(6月14日、大臣室で)


 平成21年度優秀自衛隊地方協力本部表彰が6月14日、防衛省(市ヶ谷駐屯地・基地)で実施された。これは、全国50コ地本の中から、募集、援護、予備自衛官などの活動が、この一年間で特に好成績を収めた地本を選び表彰するもので、第1級賞状は北澤俊美防衛大臣が3コ地本長に、第2級賞状は火箱芳文陸幕長が10コ地本長に、それぞれ賞状及び副賞を授与した。

 第1級表彰は午前11時から大臣室で始まり、榛葉賀津也副大臣、長島昭久政務官、中江公人事務次官、火箱陸幕長、河村克則海幕副長(海幕長代理)、外薗健一朗空幕長、上瀧守内局人教局長が陪席する中、北澤大臣が東京(本部長・森山尚直陸将補)、岡山(本部長・吉永幸男1陸佐)、沖縄(本部長・山下裕貴陸将補)の3コ地本長に、それぞれ1級賞状と記念品を授与した。次いで、北澤大臣は陪席者とともに3コ地本長と親しく懇談、日頃の労をねぎらった。3コ地本長は「現場の地道な努力が花開いた」(東京)、「諸先輩の汗と努力の成果の積み重ねのお陰」(岡山)、「全部員が自衛隊と国民の架け橋となるよう努力してきた成果」(沖縄)など、受賞の喜びを語っていた。

 また、第2級表彰は午後3時から陸幕長室で、荒川龍一郎陸幕副長、岩田清文陸幕人事部長、鮒田英一海幕人教部長、廣中雅之空幕人教部長、山内大輔陸幕募集・援護課長が陪席する中、火箱陸幕長が旭川(本部長・川原光雄1陸佐)、青森(本部長・竹本三保1海佐)、千葉(本部長・伊藤元万1海佐)、神奈川(本部長・五島浩司1海佐)、石川(本部長・古垣吏一1空佐)、三重(本部長・藤田穣1陸佐)、京都(本部長・石田裕1陸佐)、大阪(本部長・江口直也陸将補)、山口(本部長・澄川浩1空佐)、大分(本部長・高木新二1陸佐)の10コ地本長一人ひとりにねぎらいの言葉をかけながら2級賞状と記念の楯を授与した。

156日間、12カ国16寄港地訪問

《遠航部隊》
「海上武人としての素養高める」

帽振れの中、最初の寄港地ハワイへ向け出港する「かしま」


力強く出国報告する徳丸司令官以下派遣隊員


 平成22年度海自遠洋練習航海部隊の出港行事が5月26日、防衛省・自衛隊の高級幹部、衆参国会議員、各国大使、協力団体、乗組員の家族ら関係者多数が出席して東京・晴海埠頭HK岸岸で行われた。

 派遣部隊は、練習艦隊司令官の徳丸伸一海将補を指揮官に第60期一般幹部候補生課程修了者約190名(うちタイ王国留学生1名)を含む約730名で、艦艇は練習艦「かしま」「やまぎり」、護衛艦「さわゆき」の3艦。156日間にわたって約5万3000kmを航行し、米国、欧州、地中海、東アジアの12カ国(16寄港地)を親善訪問する。

 午前9時すぎ、榛葉賀津也防衛副大臣が会場に到着、栄誉礼を受け、巡閲したあと、出国行事が始まり、整列した派遣隊員を前に、榛葉副大臣が「訪問国の人々との交流を通じて豊かな国際感覚と物事を多面的に捉えるバランス感覚を身につけるよう」訓示した。来賓を代表して吉良外務大臣政務官が「訪問国との絆をより一層強化することに尽力を」と祝辞。次いで、赤星慶治海幕長が壮行の辞の中で「各訪問国での研修やレセプション等の機会を通じた各国軍人等との交流により、国家と軍というものについて肌で感じてきてもらいたい」、また「諸君が航行する海域は、古来、貿易により我が国の発展と繁栄を支えてきた海の道、シーレーンであるとともに、帝国海軍が先の2回の大戦において数多くの戦を繰り広げた海域でもある。諸君は、我が国の発展を支えた先人の偉業と尊い犠牲を偲びつつ、この航海を海上武人としての素養を更に高める良き機会として研鑽に励んでもらいたい」と激励した。

 水交会、父兄会、隊友会など協力団体から練艦隊司令官、各艦長、実習幹部等各代表に花束が贈られ、徳丸司令官が榛葉副大臣に「遠洋練習航海に出発します」と力強く挨拶し、壮行会が終了。引き続き、徳丸司令官を先頭に乗組員が一列になって「かしま」「やまぎり」「さわゆき」に乗艦、甲板等に整列した。午前10時、帽振れの中、来賓、家族ら大勢の関係者に見送られながら、3艦は最初の寄港地ハワイへ向け出港した。


宮下4師団長以下6隊員に米国勲章

YS59
西方総監部で授与式

 4月22日、日米共同方面隊指揮所演習(YS―59)第1回機能別訓練(IPC)が実施されている西部方面総監部(健軍駐屯地)で、在日米陸軍主催の米国勲章授与式が行われた。

 日本側からは西部方面総監・木崎俊造陸将をはじめ多数の立会のもと、在日米陸軍司令官ワーシンスキー陸軍少将から第4師団長・宮下寿広陸将、西部方面総監部幕僚長・久納雄二陸将補及び自衛隊福岡病院長・千先康二陸将補の3名に勲功勲章を、自衛隊沖縄地方協力本部長・山下裕貴陸将補及び西部方面航空隊長・沖邑佳彦1陸佐の2名に功績勲章を、第43普通科連隊長・九鬼東一1陸佐に陸軍功労章を、詳細な功績の紹介の後、一人ひとり胸に米国勲章を装着され、勲記が手渡された。また、受章者からは、受章に至った部下、関係者への謝意、今後の日米親善、日米共同訓練への積極的な取り組みなどの抱負が述べられ、式は終始和やかな雰囲気の中で行われた。

 西部方面隊としては、6名同時となる多数の受章は初めてで、YS―59の第1回訓練であるIPCにおいて授与式が行われたこともあって、日米共同のすばらしい幕開けとなった。

着実に任務遂行中
《ハイチPKO》
住民と文化交流も

 ハイチ派遣国際救援隊第2次隊(隊長・福永正之1陸佐以下約350名=第5旅団主力)はこれまでに、ポルトープランス周辺で、「デルマス避難民キャンプの土留め・排水施設」の構築、「MINUSTAH兵站施設拡張地域」の造成、ペルー隊コンテナ設置支援などの活動を終え、今なお、「ドミニカ国境道」の補修や「市内道路の瓦礫」の除去などの任務を継続している。また、派遣隊員は5月8日午前、ドミニカへ通じる国境道地域のマルパセ付近(神の谷集落)で、現地住民に対して日本の文化(柔道、少林寺拳法、書道など)を紹介すると、住民からは、感謝のスピーチや歌が披露されるなど、積極的に文化交流の役割も果たしている。(写真は排水施設の構築作業)

作間1曹、平田士長に防衛協会が感謝状

 第2航空団(司令・尾上定正空将補)所属の作間均1空曹と平田晃子空士長の2人は3月16日、千歳地方防衛協会(会長・山口幸太郎千歳市長)から感謝状を贈呈された。

 この感謝状は、市内で自衛隊広報部門に2年以上携わり、自衛隊行事の広報や地域イベントの支援調整などに寄与した担当者に贈られるもので、市民と自衛隊の架け橋として活躍した千歳市内の基地及び駐屯地などに所属する自衛隊の広報担当者9人に贈られた。山口会長は、「市民と自衛隊の良好な関係には皆さんの力が不可欠でした。本当にお世話になりました」と謝辞を述べ、その後、感謝状を受けた隊員達と所属期間中の思い出話などについて懇談した。


満開の桜も祝服
防大58期入校式

本科538名、幹部自衛官の道目指す

 防衛大学校(神奈川県横須賀市)の本科第58期学生、理工学研究科前期課程第49期、同後期課程第10期、総合安全保障研究科前期課程第14期、同後期課程第2期学生の入校式が4月5日、満開の桜に迎えられ同校記念講堂で行われた。今期入校者数は、本科538名(理工学432、人文・社会科学106、うち女子40)、留学生23名、理工学研究科前期課程56名(自衛官48、事務官等5、留学生3)、同後期課程9名(自衛官4、非常勤職員3、留学生2)、総合安全保障研究科前期課程16名(自衛官10、海上保安庁1、非常勤職員2、留学生3)、同後期課程7名(自衛官4、非常勤職員3)。


大勢の来賓、関係者が見守る中、五百籏頭校長に入校生代表が宣誓書を託す


力強く宣誓書を読み上げ、幹部自衛官への道を誓う入校生



午前10時、防衛省・自衛隊の高級幹部、各国駐在武官、来賓、父兄ら多数が出席する中、榛葉賀津也防衛副大臣が臨場、同校儀仗隊による栄誉礼を受けた。全員で国歌を斉唱したあと、五百籏頭眞(いおきべ・まこと)校長が登壇、本科・各研究科課程の学生をそれぞれ任命した。これに対して、各代表学生が力強く宣誓、申告した。

 五百籏頭校長は式辞の中で、日本を取り巻く厳しい国際情勢の中で幹部自衛官の道を選んだ入校生を称えながら「高き者の責務(ノーブレス・オブリージ)を持つよう」また「防大教育の日々の課題に真直に立ち向かい、それを越えることを喜びとするよう」要望、そして「先輩たちに続いて国防への志を新たにし、21世紀の困難な安全保障をその全身をもって立派に担うことを確信する」と激励した。次いで、榛葉副大臣が防大教育訓練の方針である「広い視野」「科学的な思考力」「豊かな人間性」について触れ、「先輩たちの志を受け継いで、深く考え更に努力する国防の担い手になるよう」要望した。最後に、来賓を代表して高嶋博視統幕副長が「統合幕僚監部」の組織を説明しながら、「この4年間に、刻々と変化する科学技術の進展や世界情勢の中で、幅広い見識と柔軟な思考力を養うよう」また、「日々心身を鍛え、文献に接し、一人ひとりが在るべきリーダー像を模索するよう」、後輩に対して心温まる祝辞を述べ、式を終了した。引き続き、学生食堂に場所を移して午餐会が催され、満開の桜とともに入校生の新たな門出を出席者全員で祝った。(写真=榛葉副大臣が「実り多き学生生活を」と訓辞)


幹部自衛官の道へ
防大54期卒業式

鳩山首相「卒業生は国の宝」と称える

恒例の帽子投げで卒業の喜びを全身で表わす(3月22日、防大講堂で)


北澤防衛大臣を観閲官に迎え、在校生がパレード

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 防衛大学校(神奈川県横須賀市)の本科54期学生、理工学研究科前期課程47期学生、理工学研究科後期課程7期学生及び総合安全保障研究科12期学生の卒業式が3月22日、自衛隊最高指揮官の鳩山由紀夫首相を迎え同校記念講堂で行われた。

 午前10時すぎ、壇上に北澤俊美防衛大臣をはじめ防衛者・自衛隊の高級幹部、衆参国会議員、各国駐在武官、来賓多数が陪席する中、鳩山首相が臨場、防大儀仗隊による栄誉礼を受けた。全員で国歌を斉唱したあと、五百籏頭眞(いおきべ・まこと)校長が本科54期学生375名(うち女子26、留学生11)と研究科各学生計78名一人ひとりに卒業証書を授与した。

 学位記授与に続いて五百籏頭校長が「任務が多様化する自衛隊の幹部としての道を歩む諸君は、武人であるとともに外交官でもなければなりません。そして何よりも、力あるが故にこそ苦しむ人々をやさしく支えることができる立派な日本人でなければなりません。どのような任務を課せられようと、小原台で培った正面から立ち向かっていく『持ち場を捨てるな』の精神をもって、試練を一つひとつ越えていくよう」式辞した。次いで、鳩山首相が訓示の中で、日本を取り巻く世界情勢や防衛省・自衛隊の現況について触れながら「若く溌剌とした諸君は自衛隊の最大の財産であり、国の宝である」と称え、激励した。また、北澤防衛大臣が「本校で培った『ノブレス・オブリージュ』を忘れることなく、今後も不断の努力精進を重ね、様々な課題に取り組み、自らの責任と役割を果たし、国民により一層信頼される精強な自衛隊を作り上げていくよう」訓示した。来賓を代表して山下泰裕東海大学教授が自らの柔道体験について触れ、「日本人としての誇りを持って、日本、世界の平和のためにお互い頑張っていきましょう」と祝辞を述べたあと、五百籏頭校長に対して卒業生代表が力強く答辞。最後に学生全員で声高らかに学生歌を斉唱し卒業式を終えた。

 引き続き、一般幹部候補生任命・宣誓が行われ、火箱芳文陸幕長が陸上要員171名(うち女子11)、赤星慶治海幕長が海上要員82名(同7)、外薗健一朗空幕長が航空要員78名(同7)をそれぞれ任命、陸海空各代表が力強く宣誓したあと、壇上の鳩山首相に宣誓書を託し、固く握手を交わした。式典終了後、恒例の帽子投げが行われ、卒業生は全身で喜びを表わしていた。次いで、穏やかな春の日差しに恵まれ、桜の花もほころびかけた陸上競技場に場所を移して、観閲式が行われた。陸海空18機種による祝賀飛行や在校生の観閲パレードなどが華やかに繰り広げられ、卒業生の門出を祝った。

米海兵隊と実動訓練
《西部方面隊》

12普連基幹に離島侵攻への対処図る
最新の戦闘要領を演練

海上を走航するLCAC


キャンプ・ペンデルトンで米軍LCACから陸自車両を揚陸する派遣隊員


訓練場に上陸して射撃を開始する12普連隊員


 陸上自衛隊は1月19日から2月25日までの間、米国カリフォルニア州キャンプ・ペンデルトンなどで米海兵隊との実動訓練を実施した。

 これは、多様な事態に即応する能力を高めるため、効果的な訓練施設等を有する米国に部隊を派遣し、経験豊富な米国から知識や技能を吸収するとともに、相互連携要領を実行動により演練し、特に島嶼部に対する侵略への対応のための戦術・戦闘能力等の向上を図ることを目的としたもので、担任官は西部方面総監・用田和仁陸将。実施部隊は、陸自が第12普通科連隊(連隊長・前田忠男1陸佐)=国分=の連隊本部、1コ普通科中隊基幹と西部方面普通科連隊の一部計約180名で、また、米軍からは、第1海兵機動展開部隊が参加した。

 派遣部隊は、89式5・56mm小銃、5・56mm機関銃MINIMIなどの火器、指揮通信車、軽装甲機動車などの車両を使用しながら、離島侵攻対処のための行動を総合的に訓練する総合訓練、その訓練に必要な知識や技能を練成する機能別訓練、総合訓練での行動を日米で調整する指揮機関訓練などを実施した。米海兵隊は、実戦経験に裏付けられた「島嶼部に対する侵略への対応」に関する戦術能力と教育能力を有しているため、効率的かつ効果的な訓練が可能となった。

 日本国内には、この種の訓練を効果的に行う訓練施設がなく、知識や技能を有する米国内の訓練場を活用することが必要であり、これまでに米国における実動訓練は、今回で13回目。特に、島嶼部への侵略等に対処するための訓練は今回が5回目となる。

 陸上自衛隊では、実戦経験に裏付けされた最新の戦闘要領、より実際的な状況付与要領や訓練評価要領などを学ぶ大変貴重な訓練機会であり、来年度以降も継続したいとしている。

ハイチPKO2次隊350名派遣準備完了

榛葉副大臣「ハイチ復興、国連の活動に貢献を」
1次隊は整地作業開始


関係団体、留守家族ら大勢の見送りを受け、福永隊長を先頭に帯広駐屯地を出発


バケットローザで砂利を敷きつめる(国連管理用地で)


 ハイチ派遣国際救援隊第2次隊(隊長・福永正之1陸佐以下約350名=第5旅団主力)の壮行行事が2月18日、帯広駐屯地で行われた。行事には、榛葉賀津也防衛副大臣、酒井健北方総監、荒川一郎陸幕副長をはじめ防衛省・自衛隊の高級幹部、地方自治体の長、派遣隊員と留守家族ら約550名が参加した。

 午前10時半、駐屯地体育館に整列する派遣隊員を代表して福永隊長が市田信行5旅団長に派遣準備完了を力強く報告した。これに対して市田旅団長は「厳しい環境の中で、一致団結、任務の完遂を」と激励した。また、榛葉副大臣は訓示の中で「使命感に満ちあふれる派遣隊員に接し、誠に心強く感じる。これまでの経験を活かし、ハイチの復興と国連の活動に大いに貢献することを期待する」と述べた。引き続き、壮行会食や見送り行事などが順次行われた。福永隊長は記者会見の中で「国連平和維持活動に日本の代表として参加できることは大変名誉なこと。『油断せず、助け合って、真心支援』で、ハイチの被災者のため、現地の人々の目線に立った、きめ細かい支援により任務を完遂していく」と抱負を語った。

 一方、2月6日から順次日本を出発、ハイチ入りした1次隊(隊長・山本雅治1陸佐以下約200名=中央即応集団主力)は、16日午前10時(現地時間)、世界最大の輸送機アントノフで空輸された装備品(バケットローザ、油圧シャベル、軽装甲機動車、大型ダンプなど)を使用しながら国連管理用地(首都ポルトープランス空港地区)で砂利敷きなどの整地作業を開始した。

 また、空自空輸援助隊C―130も引き続き、マイアミ、ハイチ間で物資や人員の輸送を続けている。

ハイチPKO1陣160名出発

鳩山首相「『命を守る国・日本』の気概示せ
国緊隊は連日180人を超える患者診療続ける


北澤防衛大臣が山本隊長に隊旗を授与(2月6日、防衛省A棟講堂で)


派遣隊員の見送り行事で、鳩山首相が山本隊長と固く握手を交わしながら激励した(防衛省正面玄関前で)


 政府は2月5日の閣議で、国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH・ミヌスタ)に国際平和協力法に基づき、自衛隊員約350名を今年11月30日までの間、派遣することを決定した。これを受けて、北澤俊美防衛大臣は「瓦礫の除去、道路補修、軽易な施設建設等を実施するハイチ派遣国際救援隊」「人員・装備等を輸送するための海上自衛隊及び航空自衛隊の部隊」の派遣命令を発出した。

 翌6日、ハイチ派遣国際救援隊(隊長・山本雅治1陸佐以下約200名=中央即応集団主力)の隊旗授与式が、自衛隊最高指揮官の鳩山由紀夫首相を迎え、防衛省A棟講堂で行われた。

 式では、防衛省・自衛隊の高級幹部や留守家族らが陪席する中、北澤防衛大臣が登壇、派遣隊員約200名を前に壇上で、山本隊長に隊旗を授与した。山本隊長の出国報告に続いて、鳩山首相が「困った人がいれば助けるのが人の世のあるべき姿。『命を守る国・日本まさにここにあり』を世界に示してもらいたい。困難な仕事をやり遂げ、誇りを胸に笑顔で無事帰国を」と訓示した。また、北澤防衛大臣は訓示の中で「米国や他のPKO派遣国と緊密に協力しながら任務を完遂するよう」激励した。引き続き、派遣隊員はA棟前儀仗広場で、鳩山首相、北澤大臣をはじめ高級幹部、留守家族らの見送りを受け、防衛省を出発。同日夜、羽田と成田の両空港から政専機などで米国マイアミへ向け出国した。マイアミからは空自の空輸援助隊C―130に搭乗、8日未明、首都ポルトープランスに到着した。

 一方、1月23日からレオガン市で活動を続けている「国際緊急医療援助隊」は2月3日までに計1359人の負傷した患者を診療している。また、空輸援助隊C―130がハイチ、マイアミ間で医療物資や人員の空輸を続けている。

ハイチでM7大地震発生
国緊隊100名出発、C-130も被災者ら空輸

死者15万人を超える

カリブ海に浮かぶハイチ共和国で1月12日午後4時50分(日本時間13日午前6時50分)すぎ、マグニチュード(M)7・0の大地震が発生、首都ポルトープランスを中心に多数の建物が崩壊、死者数が15万人を超える大災害となった。




ハイチ政府からの自衛隊部隊の派遣要請を受け、外務省とも協議した結果、北澤俊美防衛大臣は15日、統幕長と支集団司令官に対し、国際緊急援助隊に係る準備指示・命令を発出した。これに伴い、米国アリゾナ州で訓練のため派遣されていたC―130輸送機1機が帰国を中止し、マイアミの米空軍基地へ向かった。同機は17日、北澤大臣の輸送命令を受け、山下隆康1空佐ら自衛隊調査団やJICAなどの医療チーム、器材をハイチに空輸するとともに、帰路はハイチで被災した米国人らをマイアミへ緊急空輸した。(写真=米国で訓練中のC―130がマイアミ、ハイチ間で国緊隊員や被災民の空輸にあたった)



20日、北澤大臣は国際緊急医療援助隊の派遣命令を発出。これを受けて同日、陸自海田市駐屯地で「ハイチ国際緊急医療援助隊」(隊長・白川誠1陸佐以下約100名=医官14名を含む医療関係者約40名=)の編成完結式が行われた。式では、幹部や留守家族多数が見守る中、駐屯地グランドに派遣隊員が入場、整列したあと、壇上で平野治征旅団長が白川隊長に色鮮やかな隊旗を授与した。次いで、白川隊長が平野旅団長に編成完結を報告。これに対して平野旅団長は「自信、誇り、安全の三つの言葉を胸に任務を完遂するよう」訓示した。派遣部隊は翌21日、成田空港に到着。火箱芳文陸幕長をはじめ高級幹部、家族多数の見送りの中、白川隊長は「被災者の方々の目線に立って、真心のこもった支援を行って少しでもハイチで苦しんでいる方々のお役に立ちたい」と抱負を語り、民航機でハイチへ向け出発した。(写真=家族や関係者の見送りを受け、成田空港を出発(1月21日)

 また、空自「ハイチ国際緊急援助空輸隊」のC―130輸送機の交代機が21日、小牧基地を出発、引き続き、米国フロリダ州とハイチ間の人員、物資輸送にあたる。

伝統の「空挺降下訓練始め」
《習志野》

最精鋭400隊員が落下傘降着戦闘繰り広げる



写真=習志野演習場に1万人の市民が訪れ、隊員のパラシュート降下を見学した(1月10日)


第1空挺団(団長・永井昌弘陸将補)の平成22年「降下訓練始め」が日本晴れの天候に恵まれた1月10日、千葉県・習志野演習場(習武台)で行われた。訓練は人員約400名、航空機20機、車両53両が参加。また、空自航空支援集団、陸自第1ヘリコプター団、第1師団、東部方面航空隊、富士教導団、中央即応連隊が支援した。


写真=北澤大臣(中央)をはじめ高級幹部が観閲台から迫真の戦闘訓練を視察


午前11時前、演習場上空にCHー47ヘリが飛来、高度約340メートルから永井団長(団長として2年連続の降下は歴代初の快挙)以下青木伸一特戦群長ら各指揮官、最先任上級曹長、最年少隊員が次々に落下傘降下し、青空に大輪の花が咲いた。引き続き、北澤俊美防衛大臣をはじめ防衛省・自衛隊の高級幹部、国会議員、一般市民ら約1万人が見守る中、降着戦闘が始まり、ヘリからの航空攻撃、Cー1、Cー130輸送機から主力部隊の空挺降下、地上部隊の迫撃砲攻撃などが実戦さながらに繰り広げられた。

 訓練終了後、ラッパ吹奏(自衛隊と旧軍との比較)に続いて、北澤大臣が全参加隊員を前に訓示に立ち「諸先輩が築いた空挺団の大いなる力を更に磨き、国民の信頼と期待に応えるよう」激励した。





新年のメッセージ
「今日に即応し、明日に備える」体制を維持

統合幕僚長 折木良一 陸将


 読者の皆様、国内外の各地で勤務している隊員諸官、新年あけましておめでとうございます。

 さて、国際社会では、テロとの闘い、大量破壊兵器の拡散、海賊対処等が共通の課題と認識されている他、地球温暖化等も安全保障に影響を及ぼしています。我が国周辺では、依然として領土問題、資源問題や北朝鮮の核を巡る問題等が未解決のまま存在しています。

 このような中、自衛隊は、平素から我が国及び周辺の警戒監視や情報収集、対領空侵犯措置などを不断に行っています。また、昨年4月の北朝鮮ミサイル発射への対応、夏場の豪雨災害対応をはじめ各種の災害派遣等を行いました。

 一方、国外では、昨年3月に海上警備行動、7月以降は海賊対処法に基づきソマリア沖・アデン湾における海賊対処活動を行っています。10月にはインドネシア西スマトラ州パダン沖地震に際し、国際緊急医療援助活動を行いました。また、本年1月15日に法律の終了期限を迎えるインド洋における補給支援活動の他、ゴラン高原派遣輸送隊、ネパール軍事監視要員、スーダン司令部要員等の派遣を継続しているところです。

 これらに加えて、様々なレベルにおける防衛交流・安全保障対話等を積極的に推進して参りました。

 このように、自衛隊は、安全保障環境の変化に応じ、「我が国の平和と独立を守る」という任務とともに世界平和への貢献をはじめ様々な幅広い活動を行っているところです。これらの活動は、自衛隊に対する国民の信頼の上に成り立つものであり、隊員諸官と一丸となってこの信頼に応え得るよう努力していく所存です。

 本年も隊員諸官とともに「今日に即応し、明日に備える」態勢を維持し、与えられた任務の達成に邁進することをお誓いし、新年のご挨拶とします。