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台風被害で災害派遣
人命救助、行方不明者の捜索、物資輸送など実施

 8月25日にマリアナ諸島で発生した大型の台風12号は、9月3日、高知県東部に上陸し四国縦断後、岡山県南部に再上陸して北上を続け、この影響で近畿、中国地方を中心に各地で記録的な豪雨をもたらし、相次ぐ土砂崩れや河川の氾濫など大きな被害が発生した。

 和歌山県では、熊野川が氾濫し、新宮市の市街地が一時水没、那智勝浦町では、JR紀勢線の鉄橋が流出するほか田辺市伏菟野(ふどの)では土砂崩れが発生した。これに伴い、9月3日午後10時58分、第37普通科連隊(連隊長・古庄信二1陸佐)は、和歌山県知事からの災害派遣要請を受理、非常勤務態勢に移行し、初動派遣部隊を速やかに派遣するとともに、翌日、午前9時から新宮市熊野川町で孤立住民救助及び行方不明者の捜索を開始した。また、第304水際障害中隊約20名も当初、伏菟野地区において行方不明者の捜索を開始した。第3施設大隊約30名も孤立化した地域への通路開設のため、道路の啓開作業を実施した。

 9月12日、行方不明者が多い那智勝浦町に第7普通科連隊(連隊長・篠原啓一郎1陸佐)約70名を派遣し、行方不明者の捜索を強化したほか、第3師団隷下の各部隊から集成した給水支援隊により、水タンク車4両、水トレーラー約20両で新宮市及び那智勝浦町を中心に給水支援を行った。

 一方、奈良県では、五條市、十津川村などで20人以上が行方不明となり、9月4日午前4時20分、第4施設団(団長・岩谷要陸将補)は、奈良県知事からの災害派遣要請を受理、第7施設群(群長・米津浩幸1陸佐)約400名が五條市、十津川村へ派遣、人命救助及び行方不明者の捜索、道路啓開、物資輸送、給水支援等の災害派遣活動を実施した。9月6日には、第36普通科連隊(連隊長・足立寧達1陸佐)の佐伯副連隊長以下140名が孤立化している十津川村に第3飛行隊(隊長・田代2佐)の航空機(UH-1)で進入し、直ちに行方不明者の捜索活動を開始した。

 27日現在の活動地域は、和歌山県(新宮市、那智勝浦町)、奈良県(五條市、十津川村)であり、第3師団及び第4施設団から派遣された隊員は、延べ2万人以上にのぼる。