自衛隊ニュース

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一般海曹候補生課程入隊式

<佐世保教育隊>

 10月2日、佐世保教育隊(司令・井上貴嗣1海佐)は宮島大典佐世保市長及び佐世保地方総監(俵千城海将)をはじめとした部内外の来賓御臨席の下、第22期一般海曹候補生課程の入隊式を挙行した。

 一般海曹候補生53名は真新しい制服に袖を通し、凛とした姿で入隊式に臨み、心を一つにして、溌剌とした声で「服務の宣誓」を行い、全力で教育訓練に臨む決意をした。佐世保教育隊司令は、「諸官は仲間を思いやり、共に乗り越えて『同期の絆』を深めてほしい、この崎辺の地には諸官の成長のための機会に溢れている」と式辞を述べた。

 また、佐世保地方総監は、「『我が国周辺海域の防衛』そして『海上交通の安全確保』のため多くの海上自衛官達がまさに今この時もはるか洋上で警戒監視や各種訓練等に邁進している。そして修業後は諸官一人一人がその一翼を担うことを念頭に『謙虚に学べ』、『同期との絆を大切にせよ』」と訓示した。

 学生は、将来の海上自衛隊を担う我が国の宝である。約4カ月後には、立派に部隊勤務に臨める隊員となるよう佐世保教育隊職員一同、心血を注ぎ教育していく。


スマート倉庫が落成

<舞鶴造修補給所>

 7月19日、舞鶴造修補給所(所長・鈴木伸輔1海佐)で、舞鶴地方総監をはじめとした来賓を招き新設倉庫の落成式が実施された。本倉庫は明治時代以降に建設された赤レンガ倉庫4棟等をはじめとした老朽化が著しいこれまでの倉庫群を1棟に集約させ、最新機材を導入して省人力化、効率化を促す狙いで建設されたものである。

 今後は年末に向けて、各種機材の搬入、棚の設置、スマート倉庫としての機器据付け等を行い、倉庫として完成する予定である。その後、年明けには、旧倉庫等から物品の移送作業を本格的に行い、来年4月から運用を開始する予定である。

 本倉庫がスマート倉庫として特筆すべき点は、「自動ピッキングシステム」である。これは、格子状に組まれたレールの中に約1万6000個のコンテナボックスが積載され、コンピューター制御により、レール上のロボットがコンテナの中身を自動で判別し、手元まで届けるシステムである。

 これまで多くの人の手が介在した出入庫業務を集約できるだけでなく、倉庫の狭小化を解決しつつ迅速に物品の出納ができ、将来的には海自ロジスティクス基盤システム(通称:LoDi)との連接による更なる効率的な倉庫運用が期待されている。


空自創設70周年
百里基地音楽祭

中部航空音楽隊が観衆を魅了


 航空自衛隊百里基地(司令・松浦知寛空将補)は、9月14日に百里基地周辺市町協力会との共催で、航空自衛隊創設70周年記念第24回百里基地音楽祭を小美玉市小川文化センター「アピオス」で行った。

 演奏は2部構成で行われ、第1部では、茨城県警察音楽隊が子供に親しみやすく防犯を学べる演奏を隊員が工夫を凝らして披露し、特に、カラー・ガード隊による演技の際には会場が大いに盛り上がった。

 第2部は、中部航空音楽隊による演奏で、迫力とリズミカルなテンポ、更には時折、笑いを交えつつ、あっという間にプログラムが進んだ。

 プログラム終盤では、花束贈呈を受けた中部航空音楽隊と茨城県警音楽隊の指揮者による挨拶の後、アンコールが演奏され音楽祭の幕を閉じた。

 百里基地は「暑い中、ご来場された地域の皆様、支援いただいた航空懇話会の皆様、そして一緒に演奏していただいた茨城県警察音楽隊の皆様に感謝申し上げます」としている。


ノーサイド
北原巖男

ご 縁

 隊員の皆さん・ご家族の皆さん、そして本紙読者の皆さんには、本年もそれぞれの生活や出会いの中で、不思議なご縁だなぁと、ホンワカするような気持ちになられた経験が多々あることと思います。

 僕も、つい最近、ふるさとの関係で2回続きました。
 その一。
 僕のふるさとは、長野県伊那市高遠町荊口北垣外。ハザードマップで、全域地滑り危険地帯に指定。標高約1200mのV字谷に戸数7軒が一列に並びます。家の前後が山のため、空が狭く太陽が半日しか当たらない半日集落。昔からズット住んでおられ、地域のことは何でも知っているご夫婦は一組一軒だけ。生活や活動拠点が東京の僕は、普段留守にしている実家のことなどを始め、何から何までご夫婦にお世話になり、助けられて来ています。
 かつては茅葺屋根だった残痕も散見される板葺き屋根の上にトタンをかぶせたのは、もう半世紀も前の父の代。あれから一部を張り替えたり、ペンキを塗り替えて今に至っている小さなわが家。
 このところ帰省する度に、僕の顔を見た家が「早く屋根のペンキを塗り替えてくれ」と咎めているようにも感じるため、塗装は誰に頼んだらよいかご夫婦に相談しました。開口一番、推薦を受けたのは、一人で一生懸命頑張っているという若い女性塗装師。「エッ、若い女性・・・」
 彼女は、僕たちの集落からそう遠くない文字通り太陽が燦燦と当たる日向(ひなた)という集落出身の方。姓は、僕と同じ。もっとも、この谷一帯は、もともと多くが北原姓。これまで知らない方でした。伊那市が地区集会所の屋根の塗装を依頼したところ、大変丁寧に取り組まれ、市役所はじめ地域の皆さんからも高く評価されている方とのこと。
 彼女にお願いすることに致しました。
 感動しました!その仕事ぶりは丁寧かつ誠実そのもの。彼女は、いわゆる「報連相」を徹底され、ときに現場での詳細な説明も透明性を以て実施。彼女の塗装作業や一連の行動から感じるプロ塗装師としての矜持と逞しい責任感、依頼者の立場に寄り添おうとされている気持ちは、僕をして彼女に全幅の信頼を寄せるまでに時間を要しませんでした。若い女性で大丈夫だろうか、そんな気持ちを一瞬抱いた自分に赤面し、心の中で彼女に謝罪しました。
 作業期間中、こんなこともありました。彼女と雑談しているときに、僕が「最近、○○がありました。嬉しいです。」と話すや否や、彼女は、「よかったですね!私の親方は、いつも言っているんですよ。塗装作業を行っている長い期間には、何かが起こるものだ。依頼者の方にとって嬉しいことは、我々塗装師にとっても嬉しいことなんだ、と。私も嬉しいです!」僕は、一層嬉しくなりました。
 そして、彼女曰く「父は、航空自衛隊に勤めていました。」
 驚きました!何と、お父さんは、長年自衛隊員として航空自衛隊浜松基地等で頑張って来られた僕たちの仲間、防衛省・自衛隊のOB。早速お会いしました。今は、愛娘の徹底した仕事ぶりに目を細め、声援を送りながら、日向で農作業に精を出されています。
 いつも親身に背中を押してくれているご夫婦とのご縁、蜂の襲撃をとても怖がりながらもペンキだらけになってプロに徹する一人塗装師の娘さんとのご縁、そして常に国民と共にある国民の自衛隊を担って来られた元自衛隊員のお父さんとのご縁。
 その二。
 11月9日、伊那市のJR伊那北駅周辺の賑わいを生み出そうという目標で、有志の高校生が学校を超えて実行委員になり、大人がサポートし、半年かけて企画して来た初の催し「17(イナ)とりどり祭~高校生がやったらこうなった!」が行われました。多くの若者や家族連れが訪れました。
 イベントに協力をした市役所の担当官の方は、おっしゃっています。「当日の賑わいも大事ですが、悩み、奮闘しながら取り組んだ経緯も、とても大事だと思います。活動をしながらお互いを知り、意見を聞き、新たなものを創り上げていくことが、これからのまちづくりにもつながって来るからです。」「高校生たちは、学校、部活がある中で、本当に頑張りました。」
 そして、つぎの言葉に驚きました!「今回、さくら国際高校の生徒さんも参加していました。「自分を変えたい」と実行委員となり、務め上げました!悩みながらも、取り組み続ける姿、皆さん素敵でした。とびっきりの笑顔。」
 とても嬉しい話です。すぐに高校時代のクラスメート荒井裕司くんの顔が浮かんで来ました。高校時代の彼について、学業成績は横に置いておいて、何かとても大きなことをやるのではないか、やばいのではないか、クラスのみんなが一致していました。正にその通りの凄いことを彼はやっているのです。
 読者の皆さんの中には、彼や彼が創設し学園長を務めているさくら国際高校(長野県上田市の本校と東京校)のことをご存知の方もおられることと思います。彼は、かけがえのない子供たちの一生に係るとてつもなく重要で困難な人材育成を天賦の使命として、ライフワークとして、真っ向取り組んでいるのです。既に半世紀にわたって、不登校や引きこもりの子供達と関わり、いつでも全国どこにでも飛んで行って直接対面し、相談し、寄り添い、救いの手を伸べ、彼らと信頼し合い、生き抜く力を懸命に育成し続けている「24時間先生」とは、彼のことです。「親の夢を子どもの肩に載せてはいけない。子どもが自分の夢に向かい、やりたいことをやる人生が何より幸せな生き方。」このことを忘れないで欲しい。そう訴え続ける熱血漢。
 いつも入学式で彼が一人ひとりにプレゼントする自分自身のさくらの苗木は、今回の「17(イナ)とりどり祭~高校生がやったらこうなった!」での活躍からも見られるように、それぞれが自分のペースで、自立して行く、生長を続けているのですね。
 彼とのご縁で、僕は、さくら国際高校東京校の入学式と卒業式に参加して来ています。
 担当官の方に彼やさくら国際高校とのご縁を伝えると、「私も驚きました。世間は狭いということなのか、それとも、縁がある方とは、別のところでもつながりがあるというのか。不思議ですね。・・・何か引き寄せるものがあったかもしれないですね。別の機会でも何かご一緒にできたらなとも考えています。」そんな返事が返ってきました。
 今年も早や12月を迎えました。この拙稿をご覧いただいているあなたが、ご自身の様々なご縁に改めて思いを馳せられ、師走の大変お忙しい中、ちょっとでもホンワカされるようなきっかけになれば幸いです。

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事

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