自衛隊ニュース
遠洋練習航海部隊が帰国
家族らとの再開に笑顔がこぼれる
海幕副長に対して敬礼を行う遠洋練習艦隊部隊
11月9日、約半年にわたる世界一周の長い航海を終えた令和6年度遠洋練習航海部隊(司令官・西山高広海将補、司令部約55名、実習幹部約190名)が帰国、練習艦「かしま」が午前9時に、同「しまかぜ」が9時30分にそれぞれ横須賀港逸見岸壁に接岸した。
11日に横須賀総監部の体育館で行われた帰国行事には、外務大臣政務官、横須賀市長等多数の部内外来賓と乗員家族約450名が参列した。日焼けした精悍な顔つきで次々と入場する実習幹部。凛々しく歩く娘を潤んだ瞳で追う父親の姿もあった。
過去最長の175日間
西山司令官の帰国報告に続き、八木浩二海上幕僚副長が齋藤聡海上幕僚長の訓示を代読した。「諸官は将来の海上自衛隊を担う人材であり、諸官の袖に巻かれた金線はその証だ。幹部自衛官である事に誇りと自信を持ち日々研鑽に励み同期・同僚・仲間や家族を大切にすることを忘れずに誠実に勤務してほしい」と要望した。
長期の洋上生活を通じて初級幹部を育成する遠洋練習航海は、今年度は過去最長となる175日間だった。東京晴海を出港して西回りに11カ国13寄港地を回り、要衝となるパナマ運河や南アフリカの喜望峰を通過した。寄港地では親善訓練等を通じて国際感覚を養うとともに訪問国との友好関係増進にも寄与した。
スターリンク導入で艦内の通信環境が大幅に改善
また今回からスペースX社が提供する通信サービス「スターリンクMARITIME」を試験導入した。各艦の食堂にルータを設置し、勤務時間外、食堂内であればWi‐Fiは自由に使えるようにしたことで、家族や友人との連絡、動画視聴等の娯楽における通信環境が飛躍的に改善した。今後は各居住区でも使えるように増設していくとのことだ。
UNTPP施設分野
日韓豪で連携
国際貢献で「日本の心」伝える
出国報告を行う山下2佐(右手前)以下4名
防衛省・自衛隊は11月18日から12月20日までカンボジアのPKO訓練校で行われる「国連三角パートナーシップ・プログラム(UNTPP)」の重機操作訓練に教官団を派遣した。UNTPPとはアジア・アフリカ諸国等のPKO派遣予定要員に対して、国連・日本等の支援国・要員派遣国が協力して訓練を行う枠組みだ。
今回は近年PKOミッションで喫緊の脅威となっている即席爆発装置(IED)に対応するため、初めて多国間で連携、実践的な活動を狙ったものとなる。具体的には日本がこれまで行ってきた重機操作訓練と、韓国とオーストラリアが行うIED対処訓練および負傷者野外救護訓練を共同で行う事により総合的に訓練を行う。日本からは教官団として陸上自衛官20名が参加する。
11月8日、団長の山下秀寿2陸佐(第305施設隊)以下4名が森下泰臣陸上幕僚長に対して出国報告を行った。
森下陸幕長は陸自の誇るべき施設能力に奢ることなく「教育者と被教育者との心の繋がりがいずれ国同士の繋がりになる。ぜひ日本の代表として心を伝えて来てほしい」と要望した。
◆派遣隊員コメント
・アジア地域における安定的な安全保障環境の構築に寄与できるよう努力します(山下2陸佐)
・我々の教育を受ける各国が、胸を張って国連PKOに従事できるようしっかりとした教育を実施します(迫2陸尉)
・全員で協力して任務を完遂し無事に帰国します
(武田陸曹長)
・施設科魂見せてきます
(佐々木3陸曹)
衛生分野では4回目の派遣
ウガンダで教官養成訓練
出国報告を行う野村3佐
11月15日、国連三角パートナーシップ・プログラム(UNTPP)の一環で、ウガンダ共和国において衛生分野の教官として派遣される野村和希3陸佐(衛生学校)が、森下泰臣陸上幕僚長に対して出国報告を行った。野村3佐は同国の国連エンテベ地域支援センターで、各国・地域から集まった訓練生に対して、国連野外衛生救護補助コース(UNFMAC)の教官養成訓練を行う。派遣期間は11月25日から12月10日まで。
森下陸幕長は「訓練生の練度や語学能力に差があって教育は難しいと思うが、効果的に訓練ができるようにがんばってほしい」と激励した。野村3佐は「防衛省・自衛隊を代表して、衛生を通じて国際平和に貢献できることを誇りに思います。訓練生が自信をもって各々の任務に当たれるように、これまでの勤務で培ったスキルを存分に発揮して応急救護の教育に臨みます」と意気込みを語った。
UNFMACの教官養成訓練への陸上自衛官派遣は、2019年に始まり、今回で4回目。
第53回太平洋地域
後方補給セミナー本会議に参加
〈統幕首度後方補給官〉
左から7人目が今井将補
9月23日から25日の間、統合幕僚監部首席後方補給官の今井俊夫陸将補は、豪州ブリスベンで開催された第53回太平洋地域後方補給セミナー(PASOLS53)本会議へ参加した。
PASOLS53本会議は、太平洋地域約30カ国の統合軍等の後方主務者(将官級)との意見交換を通じて、相互理解の増進及び信頼醸成を図るものであり、米インド太平洋軍とホスト国の共催により、毎年開催されている。統合幕僚監部では、平成18年以降、首席後方補給官が参加しており、今回は19回目の参加である。
今年のテーマは、「多国間後方オペレーションにおける持続性及び強靭性」であり、参加各国の取組みに関して議論し相互理解を深めた。さらに、首席後方補給官は米インド太平洋軍第4部長等と個別会談を通じ、より一層の信頼醸成を図った。