自衛隊ニュース
防衛ホームスポーツ部
父の鏡1曹と娘で金メダリストの優翔さん
モルック大会で優勝
フィンランドの伝統的スポーツ
帯広サークルが成果
第5旅団司令部に所属する山口1尉は今年6月、帯広駐屯地所在隊員を対象に「帯広駐屯地モルックサークル」を創設し、20名の部員で活動している。
モルックはフィンランドの伝統的なスポーツ。地面に立て並べられた12本のスキットルという木のピンをモルックと呼ばれる木の棒を投げて倒し、獲得した点数を競い合う。老若男女を問わず誰でも楽しめる。
ルールは簡単だが、試合の運び方には戦略的な要素が必要でとても奥が深い。8月には世界大会が日本で初めて、函館市で開催された。
山口1尉は、知人から勧められてモルックを知り、実際にやってみるととても楽しく、競技の歴史や日本での現状、大会などにますます興味が沸いていった。職場の昼休みに部隊の垣根を越えて楽しみたいという思いも強まり、サークルを創設した。
創設後のサークルは昼休みを活用して毎日練習し、8月17日には札内川園地(中札内村)で行われた十勝大会に2チーム5名が出場。練習で培った冷静さと綿密な戦略により、初めての大会出場ながら1チームが「優勝」、もう1チームが「準優勝」と上位を独占した。
モルックサークルは、練習や大会を通じて経験と技術力を蓄積し地域だけでなく国内の主要な大会や世界大会に参加していくとともに、全国の自衛隊に普及していけたら、と夢を描いている。
12施群が持続走
第12施設群(群長・山下1佐)は9月21日、岩見沢駐屯地において、令和6年度群持続走競技会を実施した。
本競技会は、岩見沢駐屯地内のコース(3キロ)を疾走し、体力検定に準じて個人のタイムを点数化し、中隊の平均点により順位を決定する要領で実施した。
各中隊は日々の訓練や業務がある中、零細時間や課業外を活用し、優勝を目指して中隊一丸となり持続走の練成に励んできた。
当日は、駐屯地モニター及び隊員家族に応援していただき、「隊員たちが頑張っている姿にとても勇気づけられました」と感銘を受けられていた。
結果は優勝が第399施設中隊、準優勝が本部管理中隊。個人総合は1位に第399施設中隊の高沢2曹、2位に第398施設中隊の茨木士長、3位に同じく岩井3曹が入った。
群は、今回培った気力・体力を引き続き維持・向上させ、任務遂行のための団結力と士気をさらに高揚させていく。
川内大綱引で審判務む
岩﨑歳樹2陸曹
(第8後方支援連隊=川内)
9月22日、鹿児島県薩摩川内市で「川内大綱引き」が開催されました。
大綱引きは商売繁盛、五穀豊穣を記念して行われる行事で、その歴史は古く、関ケ原の戦いで士気を高めるために島津義弘公が始めたとされています。今年3月には、国の重要無形民俗文化財に指定されました。
川内大綱引きは、長さ365メートル、直径40センチ、重さ7トンの練られた綱で行われます。上方と下方に別れ、それぞれに綱を引く「引き隊」と、相手陣営に突撃し相手の「引き隊」を妨害する「押し隊」に別れて競技します。綱の中央を定められた時間内に自陣地に引き込んだ方が勝ちとなります。
一番の見どころは「押し隊」同士の激しいぶつかり合い、「引き隊」の掛け声に合わせて綱を引く力強さと団結力、そしてその姿に沸き立つ観客です。
私は、今回初めて川内大綱引きに「審判」として参加し、下方で綱の中央から80メートルの位置を担当しました。
太鼓の合図とともに「押し隊」が相手陣営に突撃し、相手方の「押し隊」とぶつかります。さまざまな怒号が響く中、「引き隊」の掛け声とともに綱は下方に引かれていきました。しばらくするとこう着状態となり、その状態を崩すため「押し隊」が再度突撃します。綱は徐々に下方へ引き込まれていきました。
このようなやり取りを1時間半も繰り返しながら、最終的に下方の勝利で幕を閉じました。私は審判としての仕事をしながらも、川内大綱引きを間近に見ることができて、とても感動しました。
後世に残したい伝統行事であり、積極的に参加して地元住民とのつながりを強くすることが大事だと思いました。
これからも機会があれば行事等に参加して隊員、地元住民とのつながりを強固にしていきたいです。
娘は五輪金メダリスト
鏡 師博1陸曹(32普連=大宮)
レスリング女子最重量級制す
第1師団の第32普通科連隊で勤務する鏡1曹の娘さん、鏡優翔(かがみ・ゆうか)さん=サントリー所属=が今夏行われたパリ五輪のレスリング・女子76キロ級で金メダルを獲得した。女子最重量級での日本人選手の金メダル獲得は初めて。その喜びとアスリートを育成した教育法について、部隊は鏡1曹に聞いてみた。
ーー率直に今の感想を。
単純に本当にうれしい。女子最重力級で先輩方が成し遂げられなかった階級で世界に通用させることができた。
ーー現地パリで娘さんに掛けた言葉は?
8月7日に渡仏して10日の第1回戦から現地で応援していた。初戦に向かう優翔に「楽しんで来い」と声を掛けると「雰囲気を楽しんでくる」と笑顔で答えてくれた。不安なく、いつものようにやり遂げるんだという意志を感じた。
ーーひまわりをつけての応援はどんな意味があったのですか?
必ず太陽の方を向いて咲く花。前向きでポジティブになれる。スポーツの祭典なので楽しんでほしいし、親としても全力で楽しみたかった。自衛隊のノリというか、日本人としてのプレゼンスを発揮したかった。
ーー金メダリストの父・自衛官として部隊での人材育成のコツは?
自分の娘のように指導をすれば、現実的に考えれば批判されるでしょう。あえて生かすのであれば「適時適切な命令を与えてその行動を律し」細かく指導した後に手放す「自主裁量の余地」です。これに限ると思います。
今後も娘さんを見守っていく、と話す鏡1曹からの続報を待っている。