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第18回国際士官候補生会議

防衛大学校

 防衛大学校主催の第18回国際士官候補生会議(ICC)が2月28日~3月7日まで、19ヵ国の士官候補生を同校に招いて開かれた。防大生は招へい士官候補生との発表・討議を通じ相互理解と信頼関係の促進を図った。

 会議は平成10年(1998年)から毎年行われており、今回は米英仏独加をはじめタイ、ミャンマー、インド、チュニジア、ブラジル、アルゼンチン(初)などから30人を招へい。

 今回から複数年の統一テーマ「近未来~私たちが指揮官になるとき~」を設定。第1回目は合同テーマ「我々を待ち受ける試練—将来のリーダーシップ—」について合同で討議をし、更に「リーダーシップを取り巻く環境の変化:過去・現在・未来」、「軍隊におけるリーダーシップ 理論と実践(理想と現実)」、「情報化された戦場とリーダーシップ」の3つのセッションに分かれ、各国の学校や軍隊の違いを踏まえ、同校の本科学生約2000人と英語で活発な議論を交わした。討議に先立ち、2日には防衛大学校防衛学教育学群長の引田淳空将補が基調講演を行った。

 また、5日には鎌倉、横浜及び東京を巡る文化研修、6日には防大生と招へい士官候補生との親睦を深めるためスポーツ大会(縄取り)が行われた。

 2日の開会式には、有識者や各国在京駐在武官等を招き、防衛大学校の国際交流をアピールした。


【第18回国際士官候補生会議参加学生の感想】

実行委員長 清水ダニエル学生

 今年度の国際士官候補生会議の実行委員長を努めさせて頂きましたが、私のこれまでの人生で最も大変だった仕事であると同時に、最もやりがいを感じた仕事でもありました。毎年防衛大学校で開催していますこの国際士官候補生会議は世界で唯一無二の国際会議です。そもそも全六大州(アジア・ヨーロッパ・アフリカ・北アメリカ・南アメリカ・オセアニア)から約20カ国、陸海空の三軍種から約30人の士官候補生が同じ場所に集まって、一週間の間、食住を共にしながらリーダーシップや各国の変化や課題、情報化社会への課題について話しあうというのは他ではありません。この一週間、我々は討議内容に関して各国の意見を聞くことで国際的視野を広げることが出来ただけでなく、各国の将来の士官と強い関係を築くことが出来ました。世界は広いようで、似た組織にいますと、実は狭いものです。彼ら、あるいは彼らのことを知っている同国の軍人とは今後一緒に任務をすることが高い確率であります。そういった時もきっとこの一週間の国際士官候補生会議の時に築いた強い絆と視野が活かされることを確信しています。

【招へい士官候補生の感想】

○アルゼンチン

Nicolas Manuel Salvadores

Argentina, Colegio Militar de la Nacion

世界中の異なるスタイルのリーダーシップやリーダーのあり方について知ることが出来た。食事も美味しく、エスコートのシステムも良いものだったが、睡眠時間が厳しいと感じた。スポーツ大会も、サッカーのようにとても楽しい物だった。

○ドイツ

Lisa Braun

Germany, HSU Hamburg

トピックは非常に興味深いものであり特に他の国のリーダーシップ教育について聞くことが出来たことが良かった。学生舎はたくさんの人々が家族のように居住しているという雰囲気がとても良かった。この会議は忘れられないものになりそうです。

○韓国

Yoonseong Hwang

Korea Air Force Academy

多くの海外士官候補生と私の考えを交換でき、多くの異なった考えを持っているということに気づくことが出来たということが、とてもいい経験になった。

エスコートの学生には本当に感謝している。

○中国

Yue Tong

China PLAUST

他国のリーダーシップ教育について聞くことが出来、私自身の視野を広げることが出来た。校外研修においてみんなで制服で外出したことはとても良かった。多くのことを楽しみ、多くのことを学んだこのICCは良いスタッフに恵まれ、今後更に良くなっていくと思う。

○アメリカ

Eoghan Matthews

USA, USMA

他国の世界各国の視点や考えを知ることが出来、とても良かったと思う。また、各国の軍隊の姿勢を知ることができたことはとても嬉しかった。

ここで得られたことは、ほんとうに良い経験になったと思う。

車座ふるさとトークin香川県善通寺市

〈左藤防衛副大臣〉

 3月16日、左藤防衛副大臣は、香川県善通寺市で開催した「車座ふるさとトーク」に出席し、地域住民15人と対話した。

 「車座ふるさとトーク」は、安倍内閣として、大臣・副大臣・政務官が地域に赴き、地域住民と少人数で車座の対話を行い、生の声をつぶさに聴いて政策に生かそうという取組。今回は、「南海トラフ巨大地震への備え、自衛隊に期待するもの」をテーマに、市役所や自治会、学校関係者、自衛官募集相談員など自衛隊と関わりのある人々と意見交換を行った。

 参加者からは、防災に関して、「自主防災組織の取組及び重要性」や「災害時の問題点」についての意見交換や「救助に必要となる装備」や「派遣隊員の個人装備」についての話があった。

 また、自衛隊に対しては、「地元の被害情報を自治体に提供して欲しい」、「女性隊員の仕事を参考にしたい」、「災害派遣時の自衛隊の活動がわからないので、もっと大々的に広報して欲しい」、「災害派遣から帰ってきた地元隊員を市民がもっと称えてあげたい」などの意見があった。

 左藤防衛副大臣は、トークにおいて「災害は、ある日突然、予告なしで来るもの。普段から地元の方々と連携し、災害時に情報を共有できるよう、また、被害が最小限になるよう協力し、地域と共に歩んでいきたいと思います」と、災害時における自衛隊と地域との連携の重要性について述べた。

 防衛省では、「今回いただいた様々な御意見も参考に今後の取組を進めていきます」としている。

日仏2+2、相次いで防衛相会談

〈中谷防衛大臣〉

日仏2+2

 中谷元防衛大臣は3月13、14日、ファビウス仏外務・国際開発大臣及びル・ドリアン仏国防大臣の来日に伴い、都内で相次いで行われた日仏外務・防衛閣僚会合(日仏2+2)、日仏防衛相会談に出席した。

 岸田文雄外務大臣とともに中谷大臣が出席し、外務省飯倉公館で行われた13日の日仏2+2では、冒頭、日仏双方の安全保障政策が説明され、安全保障法制の整備を含む日本の積極的平和主義に基づく取り組みをフランス側が歓迎した。続いて「日仏防衛装備品協力・技術移転協定」に合意し、会合後には4大臣が署名。昨年4月の防衛装備品移転三原則の策定後、同種の協定が結ばれるのは日豪、日英に続き3カ国目となる。

 同協定の締結を踏まえ、協力案件策定に向けた作業を加速させ、輸出管理についても緊密に意見交換を行うことが確認された。日本がCTF—151、フランスがアタランタ作戦に参加しているソマリア沖アデン湾における海賊対処行動を念頭に、燃料や輸送業務を提供し合う「物品役務相互提供協定(ACSA。日本は現状、日米・日豪間で同種の協定を結んでいる)」締結に向け検討を開始することも明らかにされた。

 そのほか、2+2では、今年に入って日仏両国が共に犠牲者を出した国際テロに関連した中東・アフリカ情勢、東シナ海・南シナ海情勢、核不拡散、北朝鮮やウクライナ問題なども話し合われた。これらについては今後より一層緊密に情報交換を実施していくという。


日仏防衛相会談

 翌14日の日仏防衛相会談は防衛省で行われ、前日の2+2で合意・確認された事項などについて更に細部の話し合いが持たれた。会談後の臨時大臣会見の中で中谷大臣は、日仏ACSA締結について、「具体的な締結時期の目処は立っていないが、フランスは太平洋に領土を有しているので人道支援・災害救援の協力を行う機会もあるだろうし、アフリカでのPKOなどでも協力関係を強化すべきで、締結を見据えた議論は有意義との(双方の)認識があった」とし、自衛隊・仏軍双方が海外で今後より一層の協力を進めていく流れの中でACSA締結に向け議論する意向を示した。また、「日仏防衛装備品協力・技術移転協定」に基づく協力案件についても、「水中の捜索・監視などに係る無人システムが日仏双方の関心であり今日も議論が行われた」と具体的な分野を特定し調整を進めているとした。


日—コロンビア 日—東ティモール

 中谷大臣は13日午前にはピンソン・コロンビア国防大臣と、20日夜にはクリストバウン・東ティモール国防大臣と、防衛省で相次いで防衛相会談を行った。

 両国との間で相互の防衛政策、地域情勢認識について有意義な話し合いが持たれたほか、今後の防衛交流については、防衛省・自衛隊とより深い関係を築こうと望むコロンビアからHA/DR(人道支援・災害救助)、サイバー、教育交流、対テロの各分野における協力促進、防衛駐在官—駐在武官の相互派遣の実現について提案があった。また、これらを含めた各分野での防衛交流に関する覚書の署名について、今年5月のシャングリラ会合で合意、署名を目指すことで一致した。

 22日に行われた防衛大学校卒業式に出席するため来日したクリストバウン大臣とは、今後も引き続き、建国10数年足らずの若い国家である東ティモールの礎を築く上で欠かせない、防大への留学生の受け入れを含む教育交流、能力構築支援の各分野で交流を継続することを確認した。

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