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口永良部島噴火で災害派遣
人員約1400名、車両約50両、航空機約50機

〈8師団〉

 5月29日午前9時59分、鹿児島県屋久島町口永良部島の新岳(626m)で爆発的な噴火が発生した。噴煙は火口から9000m以上の高さまで到達、火山灰、噴石、火山ガスが一体となった火砕流は時速100㎞以上の速さで火口からあらゆる方向に流れ出し、島の2割をも覆った。口永良部島は屋久島の西方約12㎞に位置する長径12㎞、最大幅5㎞のひょうたん形の島で、噴火警戒レベルが3(入山規制)から最大の5(避難)に引上がった事で当時島にいた137人全員が島外へ避難した。

 午前10時30分頃に陸上自衛隊第8師団隷下第12普通科連隊(連隊長・若松純也1陸佐=国分)の連絡幹部(LO)以下2名が鹿児島県庁へ。10時40分、伊藤祐一郎鹿児島県知事から第8師団長・山之下哲郎陸将(=北熊本)に対して、航空機による避難支援・情報収集に係る災害派遣を要請、11時12分西部方面航空隊(隊長・佐々木博茂1陸佐=高遊原)のUH―60×1機とUH―1×2機が情報収集のため目達原駐屯地を離陸した。さらに11時15分、12普連のLO2名が搭乗した第8飛行隊UH―60×1機が高遊原駐屯地から屋久島町役場に向けて離陸、到着後は避難支援活動を実施する第8通信大隊・第8偵察隊所属の6名を輸送した。11時30分頃には、国分駐屯地において第12普通科連隊ファスト・フォース(初動対処部隊)が待機(人員約20名、車両4両)。12時45分頃、口永良部島の番屋ヶ峰の湯向集落に12普連隊員搭乗のUH―60が降着、隊員は避難支援や情報収集等にあたった。その後もCH―47が高遊原駐屯地から離陸し、情報収集等が行われた。

 翌30日、31日も引続きLOによる情報収集活動や、海上自衛隊第22航空群所属3機を含む計9機の航空機が各駐屯地・基地において即応体制で待機した。また、30日は政府調査団の空輸及び現地対応支援等も行われた。

 6月1日朝、噴火が小康状態であること、翌日からの梅雨入りによる土砂崩れ等のリスクが高まること等を考慮し、住民代表約30名による2時間の一時帰島が行われた。その間も緊急避難に備えて西部方面航空隊のUH―60とCH―47の合計4機が現地上空および屋久島で待機。午後からも鹿児島県知事や屋久島町長による上空視察支援、情報収集活動を継続。同日16時15分に撤収要請を受け、4日間に亘る活動を完了した。第8師団からは4日間で人員延べ約1400名、車両延べ約50両、航空機延べ約50機が出動した。

 6月8日現在、口永良部島は小康状態ではあるが、依然として火山活動が高まったままと見られ、噴火警戒レベルは5を維持しており、引き続き厳重な警戒が呼び掛けられている。

●海自・空自の派遣部隊

海自:第1航空群(鹿屋):P―3C

第22航空群(鹿屋):UH―60

空自:第5航空団(新田原):F―4

偵察航空隊(百里):RF―4