自衛隊ニュース
近代五種男子個人
佐藤2曹、果敢に
「歴史を変えられるよう死ぬ気で戦ってくる」と語った佐藤2曹が、その言葉通りに "任務" を完遂した。
佐藤2曹はフェンシングのランキングラウンド(総当たり戦)を21勝14敗と勝ち越し、今回が五輪を含む全ての大会で最後の実施となる馬術(障害飛越)(※)もペナルティーなく終え300点の満点を獲得した。
(※馬術に代わり障害走「オブスタクル」が今後、全大会・カテゴリーで導入される)
水泳(200メートル自由形)は、決勝進出者18人中12位(2分04秒21)で泳ぎ、最後の種目へ。
レーザー銃射撃(5発的中)をランニング(600メートル走、5周計3千メートル)間に行うレーザーランは、3種目の合計点の高い順にタイム差を付けてスタートが切られ、佐藤2曹は4番目にコースへ。
東京五輪銅メダリストの実力者で「リスペクトしている」韓国人選手との2位争いは、大きな見せ場に。
「ランニングでわざと追い付かせ、得意の射撃で引き離す」心理戦を駆使し、最後の1周で一気に抜き去り2位でゴールに駆け込んだ。
中学、高校と水泳を続けた佐藤2曹。2012年4月、「海上自衛隊が大好きで入隊した」。横須賀教育隊、護衛艦「むらさめ」勤務(船務要員=電測)を経て、体校第2教育課近代五種班へ。
近代五種で日本人初、また海上自衛官としても初となる五輪メダル獲得の快挙を達成した今大会を、感謝の思いとともに振り返った。
「プレッシャーに押し潰されそうになったときもあったが、やってきたことは間違いでないと信じ、日本からの声援も糧にして最後まで戦い抜くことができた」
海幕長たたえる
海上自衛隊での艦艇勤務を経て体校に入校、得意の水泳を生かして近代五種競技を始め、努力を結実させた佐藤2曹。
8月27日の木原大臣への帰国申告に先立つ同26日、各幕僚長を表敬した佐藤2曹らを海幕では、齋藤聡海幕長、北口武史海自先任伍長らが出迎え、慰労し、海自の歴史に残る成果をたたえた。
また、齋藤海幕長は定例記者会見で五輪の近代五種競技で日本人選手として初めて、海上自衛官としても初めて、メダルを獲得した快挙に触れ、「佐藤2曹の活躍は、われわれに大きな感動を湧き起こすとともに、同じ海上自衛官としてこの上ない喜びを味わわせてもらいました。大きな功績をたたえ、その成果を海上自衛隊全体の力に変えることで、引き続き精強及び誠実を追求しつつ、任務に邁進していきたいと考えております」と語った。
ご声援ありがとうございました
石黒2曹も健闘7位
石黒隼士2陸曹は、強豪そろうレスリング重量級のフリースタイル86キロ級で堂々7位に入賞した。
アルジェリア人選手との1回戦。タックルからダウンさせバックを取ってローリング(回転)させるなど、10点以上の差を付けテクニカルフォール勝ち(11-0)した。続く準々決勝は、世界ランキング1位の米国人選手に苦戦。続けて得点を許し、テクニカルフォール負け(1-11)を喫した。
近代五種・女子個人の内田美咲3陸曹はフェンシングランキングラウンド(総当たり戦)を30位で終え、準決勝Bへ。
水泳は2位に約7秒差をつける圧巻の泳ぎを見せて1位で終え、「勢い付けてくれた。負けていられないと思った」(佐藤2曹)と男子決勝に臨む佐藤2曹を "後押し" した。12位で終え、上位9人計18人による決勝には進めなかった。全体成績は23位だった。
セーヌ川の周回コース(2・5キロ×4周)を会場としたマラソンスイミング・女子10キロに出場した蝦名愛梨2陸曹は前半、先頭集団につける力泳を見せた。後半に引き離されたが13位で終ぎ切った。
女子7人制ラグビーで「サクラセブンズ」の一員(ポジションはフォワード)として戦った梶木真凜3陸曹は、日本の5試合17個のトライ中、5個のトライを挙げた。
強豪国南アフリカとの順位(9~12位)決定戦では試合最終盤、日本を逆転勝利(15-12)に導く右サイド、さらに左サイドへの連続トライを挙げ、「ワンダフル・トライ!」(実況)と世界に「KAJIKI」の名を轟かせた。
<選手の横顔・成績・感謝の声>
梶木真凜(かじき・まりん)3陸曹 福岡県出身、福岡工業大大城東高卒。24歳。女子7人制ラグビー9位(日本)。
「東京オリンピックは12位、今回は9位と、少しずつではありますが強化できていることを実感できました。4年後はもっといい順位を取れるよう練習していきます」
蝦名愛梨(えびな・あいり)2陸曹 北海道出身、日本体育大卒。22歳。マラソンスイミング女子10キロ13位。
「川(セーヌ)で10キロを泳ぐのは初めてでとても不安や緊張がありましたが皆様の熱い応援、ご支援のお陰で自分史上最高のパフォーマンスを発揮できました」
内田美咲(うちだ・みさき)3陸曹 埼玉県出身、春日部共栄高卒。26歳。近代五種女子個人23位。
「温かいご支援、ご声援が力となり、最後まで戦い抜くことができました。同じ種目(近代五種個人)で銀メダルを獲得する瞬間を見ることができ(佐藤2曹に)感謝します」
佐藤大宗(さとう・たいしゅう)2海曹 青森県出身、青森山田高卒。30歳。近代五種男子個人2位。
「熱い応援、サポートのお陰で銀メダルを獲得できました。共に戦ってくれた(日本チームスタッフで体校所属の)石川(公文)監督、津山(論将)コーチをはじめ一人一人に心から感謝を申し上げます」
新添左季(にいぞえ・さき)2陸尉 奈良県出身、山梨学院大卒。27歳。柔道女子70キロ級7位、混合団体2位。
「たくさんの応援ありがとうございました。個人、団体ともに目指していた結果ではありませんでしたが、憧れの(五輪の)舞台で戦えたことを誇りに思います」
石黒隼士(いしぐろ・はやと)2陸曹 東京都出身、日本大卒。24歳。レスリングフリースタイル86キロ級7位。
「皆さんの応援の力を感じることができました。今回は悔しい結果に終わってしまいましたが、4年後は最後に笑って終われるように、また頑張りたい」
高谷大地(たかたに・だいち)1陸尉 京都府出身、拓殖大卒。29歳。レスリングフリースタイル74キロ級2位。
「多大なるご支援、応援により銀メダルを獲得することができました。このメダルは自分一人の力で取ったのではなく皆さんと一緒に取ったものと思っております」