自衛隊ニュース

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日米防衛相会談
同盟関係引き続き強化

 12月7日午前、稲田朋美防衛相は防衛省で来日中のアシュトン・B・カーターアメリカ合衆国国防長官と会談し、日米同盟を引き続き強化していく事を確認した。

90式戦車日出生台で初射撃
2師団

長距離機動からの各種戦闘力発揮

 陸上自衛隊第2師団(師団長・高田克樹陸将)は、10月17日から11月15日までの間「平成28年度協同転地演習」に第2戦車戦闘団(第2戦車連隊基幹/上富良野)と第2後方支援連隊(旭川)が参加し、大分県の日出生台と十文字原両演習場で訓練を行った。2師団は今回で5度目、人員約620名、車両約250両(うち戦車28両)が参加した。

 訓練は、中期防衛力整備計画に基づき適切な防衛力の整備に努めることに着目し、統合運用のもと、部隊の迅速・柔軟な全国への展開と運用を可能とし、島嶼部に対する攻撃をはじめとする各種事態に即応できる部隊を練成するため、長距離機動からの各種戦闘力を発揮する一連の行動を演練して即応性の向上が目的だ。

 第2後方支援連隊(連隊長・鶴村和道1陸佐)は、前段訓練として西部方面隊が行う「鎮西28演習」に参加。島嶼を想定した師団段列を開設し、西部方面隊が構成する兵站・衛生組織と連携、部隊運用及び業務の運営要領を検証して実効性の向上を図った訓練は大きな成果を収めた。

 第2戦車戦闘団(第2戦車連隊・第3普通科連隊・第2特科連隊・第2後方支援連隊・第2施設大隊で編成)は、訓練前段として、中隊検閲、戦車射撃競技会を行い基礎的能力の向上を図った。

 戦車射撃競技会には、90式戦車・10式戦車が参加。90式戦車が日出生台演習場での射撃は初となった。戦車連隊長(河野淳司1陸佐)は、報道陣の取材に対し「戦車は射撃で敵を撃破する兵器。そのレベルが部隊の練度に大きく影響する。更に練度を上げて任務達成できるようにしたい」等とコメントした。

 訓練後段は、空挺団と協同して戦車戦闘団と第2後方支援連隊が連携し防御訓練を実施。空挺降下によるヘリボン攻撃に対処する戦闘展開を演練し訓練を終了した。

 訓練を通じ師団は、いかなる状況にも対応できる部隊を目指し、徹底した訓練を今後も積み上げることを確認し成功裏に終了した。


ブルーインパルス平城京跡上空を飛行

〈奈良基地開設60周年〉

 11月6日、奈良基地開設60周年(司令・荒木哲哉空将補)を迎え、その記念として、奈良市の平城京跡上空を航空自衛隊ブルーインパルスが飛行した。基地の解放はなかったものの、前日の予行も含め多くの県民や遠くから訪れたマニアたちが、空を見上げ歓喜の声をあげていた。

平成28年度中央観閲式 盛大に実施
人員約4千名、車両約280両、航空機約50機

 10月23日、平成28年中央観閲式が埼玉県朝霞市と新座市にまたがる陸上自衛隊朝霞訓練場で盛大に行われた。これは自衛隊記念日行事の一環で、去年は海上自衛隊の観艦式、一昨年は航空自衛隊の航空観閲式と3自衛隊が持回りで行っており、今年で63回目を迎えた。参加部隊数27個部隊・人数約4,000人・車両約280両・航空機約50機という錚々たるものだった。

 徒歩部隊としては、陸・海・空合同音楽隊、防衛大学校学生隊、防衛医科大学校学生隊・高等工科学校生徒隊・普通科部隊(1普連・32普連)・空挺部隊・海自部隊・空自部隊・女性自衛官部隊が参加。一糸乱れぬ整列は1時間以上も同じ姿勢を保つ事になる。

 観閲部隊指揮官である西浩徳第1師団長に続いて執行者である森山尚直東部方面総監が入場しそれぞれ栄誉礼を受ける。その後特別儀仗隊と国旗が入場し、観閲官である安倍晋三内閣総理大臣が臨場した時には、会場の空気が気持ちの良い緊張感と厳粛さに包まれていた。巡閲を終えた安倍首相は「世界に『平和の苗』を植える。その大きな志を持って、この、危険の伴う、自衛隊にしかできない責務を、立派に果たしてくれている諸君に、心から敬意を表します。今後も、諸君には、『積極的平和主義』の旗を高く掲げ、国際的な舞台で活躍してもらいたい。大いに期待しています」等と訓示をした。

 観閲行進に先立ち、空挺降下展示・XC-2試験飛行展示が行われた。3個のパラシュートが観閲台前に降りる迄観客は首を360度回して見守っていた。そして着地をすると割れんばかりの拍手が起こった。

 徒歩行進、観閲飛行、車両行進と続き会場内は高揚した空気が漂っていた。

 その後米海兵隊MV-22オスプレイの祝賀飛行、米陸軍ストライカーの祝賀行進と続き、最後は観閲式では初のブルーインパルスによる展示飛行と続いた。

 「陸上自衛隊だけでなく、米軍やブルーインパルスも見られるとは思わなかった」「若い隊員さんたち、頼もしいね」「朝早く起きた甲斐があった」など、様々な思いを口にしていた。地上装備品展示も趣向を凝らしており、「全く時間が足りない」と笑顔で走り回っている来場者たちが印象的だった。

2016国際航空宇宙展が開幕

10月12日から東京ビックサイトで「2016国際航空宇宙展」が開催されている。国際的な宇宙分野の展示会で数年に一度日本で開催されており、今年で14回目、35カ国以上が参加している。第1回目は昭和41年に入間基地で開催されたが、その時は日米2カ国の航空宇宙ショーであった。防衛省は第1回目から後援している。開会式では航空自衛隊中央音楽隊のファンファーレの中、杉山良行空幕長始め来賓によりテープカットが行われた。

台風10号災害派遣
希望の光を守るため密着支援を実施

〈岩手駐屯地〉

 8月30日、岩手県に観測史上初めて台風(10号)が上陸、沿岸各地に甚大な被害をもたらした。岩手駐屯地(司令・柳裕樹1陸佐)は8月30日19時55分、岩手県知事の災害派遣要請により釜石市及び岩泉町へ初動部隊(Fast Force)を派遣し、現地の状況を確認するとともに関係機関と連携して情報収集を開始した。31日、夜が明け明るくなるにつれその被害の大きさが明らかになり、第9特科連隊を基幹とした駐屯地の各部隊はもちろん、青森・秋田・宮城・山形等に駐屯する部隊も被害の大きい岩泉町・久慈市・釜石市へ駆けつけた。

 それぞれの部隊、隊員一人一人が気持ちを1つに活動し、住民の安否確認、孤立者の救助(延‥約160名)、患者搬送(延‥約200名)、道路啓開(延‥約30㎞)、給水支援(延‥約120t)、給食支援(延‥約7,000食)、入浴支援(延‥約1,300名)、物資輸送(延‥約18t)、警察及び消防と連携した行方不明者の捜索等にあたるなど献身的な派遣活動を実施した。

 東日本大震災からの復興途中にあって、明るい未来へ向け灯し続けてきた希望郷岩手の希望の光を守るため、地域住民の方々に密着した支援を実施した部隊は、9月16日21時00分、岩手県知事からの災害派遣撤収要請を受け活動を終了した。

「強い危機感」と「固い決意」を共有

 9月12日、防衛省市ヶ谷庁舎で「第50回自衛隊高級幹部会同」が開催された。防衛省・自衛隊の最高指揮官である安倍晋三内閣総理大臣を初め、稲田朋美防衛大臣ら各機関の長及び部隊の長等約180名が出席した。

 安倍首相は「めまぐるしく変化した『現実』をしっかり直視し、極めて厳しい状況に直面している我が国の『強い危機感』そして、我が国の領土、領海、領空を守り抜き、国民の命と平和なくらしを断固として守り抜く『固い決意』を諸官と共有している」「厳しい環境下での任務を全うする諸官の献身も忘れてはならず、私の誇りとするところである」「全ては国民を守るため、自衛隊と政治とのシームレスな関係を構築したい、それが時代の要請であると思う。そのことを肝に銘じ、内閣総理大臣と防衛省・自衛隊が一体となって事に当たることができるよう、常に心を砕いてほしい」等と訓示した。

演習部隊バックヤード見学ツアーを実施

 8月20日、富士学校は県内の募集対象者等に対し、自衛隊に対する理解を深めて貰おうと富士総合火力演習の演習部隊バックヤード見学ツアーを実施した。

 58名の参加者は、演習参加部隊の各宿営地等をバスで回り、火砲がズラリと並ぶ特科陣地、実際に使用される戦車の整備作業の状況、偵察用オートバイ等を間近で見学。さらに、隊員たちの食事を作る炊事場、演習期間中隊員たちが寝泊まりしているテントの内部等、普段あまり目にすることがない演習の裏側を終始興味津々で見学した。

新型移動式ラプコン運用開始
日本で唯一の部隊!移動管制隊

 8月1日、つい数分前までの大雨が嘘のように上がった百里基地(司令・柏瀬●静雄空将補)で、航空自衛隊 航空保安管制群(司令・太田久雄1空佐)隷下の移動管制隊(隊長・浪岡睦昌2空佐)の新型移動式ラプコン運用開始式が行われた。

 移動式ラプコン装置は、平成4年より運用を開始しており、今年で24年を迎えている。昨年9月28日に新型移動式ラプコンを受領して以来、様々な運用準備を行って来た。今年4月に航空保安管制群により行われた態勢点検の結果、移動管制隊は新型移動式ラプコンを十二分に運用し得る能力を有していることが確認された。新型移動式ラプコン装置は、連接機能の付加等、全国の多様な管制に対応した代替機能が向上した。今回、8~9月に百里において初の実運用となる。

 式典では航空保安管制群司令からの訓辞として、「航空自衛隊は、統合機動防衛力の構築及び航空優勢を確実に維持する態勢整備を行っており、航空支援集団においても統合機動防衛力発揮の根幹となる移動管制隊の存在意義は益々重要。これからも「我々管制部隊の最期の砦」という自信と誇りを持ち、「移動管制隊ここにあり」という存在感を示し続けて欲しい旨、披露された。

 移動管制隊は、管制施設が機能しなくなった場合に移動式の管制器材を輸送設置し、航空管制を隙間無く継続するための部隊である。東日本大震災時には松島基地で大活躍し、約3年間松島基地での航空管制を支えた。また、災害時だけでなく、基地の管制施設の整備等のため、管制施設が使用できない場合に、その基地へ輸送設置し、航空管制を継続させている。現在は、入間基地にも展開している。

※移動式ラプコン装置とは・・・捜索レーダー装置及び精測レーダー装置から得る飛行場周辺のレーダー情報を中央管制装置で処理し、管制官が必要とする航空機の情報をレーダースコープに表示する装置のこと。航空自衛隊と国土交通省が持っているが、新型移動式ラプコンは航空自衛隊だけが保有。

第43期レンジャー帰還式
33普連

手にした「レンジャーバッチ」

新たに16名が誕生

第33普通科連隊(連隊長・下本昭司1陸佐=久居)は6月27日、連隊本部前において、4月18日から6月27日の間で実施された第43期部隊集合教育「レンジャー」(以下、43期レンジャー)の帰還行事を実施した。

 レンジャー訓練は困難な状況を克服して任務を完遂できる技能及び精神力を養うことを目的に実施され、「陸上自衛隊の中で最も過酷な訓練」と表現されるほど厳しく、訓練間、学生達は身体的にも精神的にも局限まで追い込まれることになる。訓練期間は大きく基礎訓練と行動訓練で分けられ、前段は体向上運動、生存自活訓練、ロープ訓練など行動訓練を克服するための体力、技術及び精神力等を体得し、後段は主に山岳地で数日間の連続日程で各種任務(想定)を遂行するものである。途中の各訓練課目で検定が行われ、合格しなければレンジャー隊員への道が閉ざされるため、学生は仲間と助け合いながら必死の思いで各種関門を通過していく。

 帰還式は4夜5日の最終想定を乗り切った16名の学生(33普連14名、10特連2名)がレンジャー旗を先頭に駐屯地に進入すると、沿道に並んだ駐屯地の隊員達と故郷から駆けつけた家族が、割れんばかりの拍手と歓声で出迎えた。学生は過酷な訓練により疲労困憊であったが、大きなかけ声をかけながら気力を振り絞り連隊本部まで歩みを進めた。学生長鈴村3陸曹が連隊長への帰還報告の後、「勝利」の象徴である月桂冠に囲まれた「堅固な意志」の象徴であるダイヤモンドを意匠とするレンジャーき章が連隊長から学生一人一人に授与され、感きわまり涙を浮かべる者もおり、自らもレンジャー隊員である下本連隊長は感慨無量の様子で学生の左肩に手を添え、過酷な訓練を労った。

 連隊長は訓示で「ここまで良く頑張った。しかしながら、レンジャー隊員の道はこれで終わりではない。日々精進し、先輩のレンジャー隊員に追いつけるように努力していってもらいたい」(要旨)と述べ、訓練を乗り越えてきた学生に更なる技術向上を要望した。

 行事終了後、学生達は所属する中隊へ帰還報告を行ったほか、家族と対面し、久々の笑顔をこぼしながら訓練間の様子を語っていた。訓練間、鬼のような面持ちで学生達を指導してきた教官・助教達もこのときばかりは、表情が緩み感慨深げであった。

 今回、新たに16名のレンジャー隊員が誕生した。彼らは今後、経験を重ね技術を磨き、部隊の力強い戦力として国防の任にあたっていく。

陸自大改革へ揺るぎない決意「全身全霊を捧げる」

第35代陸上幕僚長 岡部俊哉陸将

 7月1日午後、第35代陸上幕僚長に岡部俊哉陸将の着任行事が防衛省市ヶ谷地区で行われた。

 着任の辞の中で新陸幕長は、現在進行中の陸自大改革実現へ向けた揺るぎない決意を表明。表現を変え幾度も同様の趣旨を語って、その口調、表情から大改革に懸ける思いの強さがヒシヒシと伝わってきた。

 また、「いついかなる任務が与えられようとも事態に即応し任務を完遂しうる強靭な陸上自衛隊の創造を本職の目標として(岩田前陸幕長から)引き継ぎ、全身全霊を捧げる」と自らが先頭に立つ覚悟とともに、眼前の陸幕勤務者に向け「(陸自大改革の端緒の今は)まさに生みの苦しみの最中。その状況の中、誇りある陸幕勤務者たる一人一人がその困難を克服してより強靭な陸上自衛隊を創造するための真の牽引役でならなくてはならない。このことを改めて自覚するとともに、これを誇りとして、陸自の大改革に立ち向かう強い意志と、必ず成し遂げるという執念を堅持して職務に取り組んでもらいたい」等と要望した。


未来に向かって羽ばたく北鎮師団

 陸上自衛隊第2師団(師団長・住田和明陸将=当時 旭川)は、第2師団創立66周年と旭川駐屯地開設64周年を迎える創立記念行事を6月19日、旭川駐屯地で行った。今年のテーマは「希望の翼」。陸上自衛隊の大改革と部隊実験推進など未来に向かって羽ばたく師団と、東日本大震災を乗り越え見事に復活したブルーインパルスの展示飛行が実現した。観閲式で師団長は、「わが国周辺の安全保障環境は厳しさと緊張感を増している。周辺国の動向に重大な関心を持ちつつ、道北防衛の任務を確実に果たすことが第2師団に与えられた最大の任務、使命」と式辞を述べ、隊員1200名と車両160台が威風堂々の行進を行い来場者から大きな拍手が送られた。今回、第一空挺団の隊員による空挺降下も行われ観衆を魅了。

 ブルーインパルスの展示飛行は雲の影響で実施が怪しまれたが、6機が一糸乱れぬ隊列飛行を行い大きな歓声が上がった。その後の訓練展示では、第2偵察隊によるオートバイドリル、第2特科連隊による99式自走155mmりゅう弾砲による砲塔ドリルで高度の操作性を披露。最後に第2戦車連隊による戦車三兄弟(74・90・10式)の機動展示を行い各々の特性を展示した。

 アトラクション会場では装備品展示、体験試乗、模擬売店、音楽演奏、広報コーナなど様々な催し物で来場者を楽しませた。ブルーインパルスのパイロットも広報コーナに参上しファンサービスを行い会場は盛り上がりを見せ成功裏に記念行事を終了した。

新編から9年、座間に移転して3年
中央即応集団=CRF

「誇りと使命感を堅持する」

 6月3日、中央即応集団(司令官・川又弘道 陸将=座間)9周年記念行事が行われた。CRF司令部儀じょう広場で行われた記念式典にはパスカット在日米陸軍司令官、CRF協力会会長、各座間協力会会長、歴代司令官等、多数の来賓を招き盛大に行われた。「我々は国防という崇高な任務に対する『誇り』と『使命感』を堅持し、『いつ、どこで、何が起きても即応できる態勢』を維持しつつ、厳しい訓練を通じて実力を養い、事に臨んでは危険を顧みず、与えられた任務を完遂し、『わが国の最後の砦』として国民の負託に応える」などと、川又司令官は式辞で述べた。また、来賓祝辞として在日米陸軍司令官ジェームスF・パスカレット准将は「今後もCRFとの同盟とパートナーシップを強化していくことを楽しみにしている」と述べた。

 その後、感謝状贈呈式、記念祝賀会と続いた。現在南スーダン及びジプチで任務を遂行中の約430名の活躍を祈りつつ和やかな雰囲気の中1日を締め括った。

遠洋練習航海部隊出国

 薄雲の合間から覗く初夏の漏れ日に純白の制服がよく映えた5月20日、平成28年度遠洋練習航海部隊(司令官・岩崎英俊海将補。練習艦「かしま」、練習艦「せとゆき」護衛艦「あさぎり」、第66期一般幹部候補生課程修了者約190名を含む総勢約750名で構成)出国行事が若宮健嗣防衛副大臣、黄川田仁志外務大臣政務官、武居智久海上幕僚長をはじめ約600名の見送りを受けて横須賀基地逸見岸壁で盛大に執り行われた。

 記念の60回目を迎えた今年度は東回りでの世界一周、約5カ月間で13カ国16寄港地(初訪問国はリトアニア。初寄港地は米国のジャクソンビル、ドイツのロストック、イタリアのチビタベッキア)を巡る。第一次世界大戦当時、英国や仏国の要請で物資輸送や商船護衛の任務に就いた先達の足跡(永田丸戦没100周年慰霊祭‥於・ブレスト:仏国、帝国海軍第二特務艦隊戦死者墓碑への献花‥於・バレッタ=マルタ共和国)を訪れる予定も組まれている。約100年前にも、今日アデン湾で海上自衛隊が取り組む商船護衛と同様、外洋を越え遥か異国で海上防衛に尽くした人々に想いを馳せる機会を得ることになる。

沖縄県副知事らが訪問

〈若宮副大臣〉

西普天間住屯地区跡地利用に関する要請受ける

 若宮健嗣防衛副大臣は5月10日、浦崎唯昭沖縄県副知事、佐喜眞淳宜野湾市長、大城肇琉球大学学長らの訪問を受け、西原町の琉球大学医学部と同附属病院の移転整備を含む「国際医療拠点形成」構想に関する要請書を受け取った。同構想は、昨年3月末に返還された米軍キャンプ瑞慶覧・西普天間住宅地区の跡地(約51ha)を利用するもので、駐留軍用地跡地利用の先行モデル地区。

 要請内容は、国の財政支援や周辺道路の整備及び、西普天間住宅地区に隣接する産業地区(インダストリアル・コリドー)南側部分の早期返還に関する協力など。

 昨年12月に現地を視察した若宮副大臣は「道路整備については工事着工に向け準備を進めています。インダストリアル・コリドー南側部分の返還も、米軍側と鋭意調整中です」などと回答した。

統合部隊2万6千人、全国から集結

熊本地震
人命救助・生活支援、懸命な活動続く

 4月14日、21時26分頃、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード6・5の地震(前震)が発生、益城町で震度7、熊本市等で震度6弱を観測した。続く16日1時25分頃には、同地方を震源とするマグニチュード7・3の地震(本震)が発生し熊本県から大分県にかけ甚大な被害をもたらした。

 14日22時40分に熊本県知事から陸上自衛隊第8師団長(北熊本)に対し、16日2時36分に大分県知事から陸上自衛隊西部方面特科隊長(湯布院)に対し人命に係る災害派遣要請が行われた。

 4月16日の本震後、西部方面総監を指揮官として、陸上自衛隊災害派遣部隊約13,000名、海自災害派遣部隊約1,000名、空自災害派遣部隊約1,000名からなるJTF(統合任務部隊)を編成し、人命救助活動を実施した。

 17日には中谷元防衛大臣が西部方面総監に対し「平成28年熊本地震に対する即応予備自衛官の災害等招集命令の実施及び出頭した即応予備自衛官の受入れに関する自衛隊行動命令」を発出。これは2011年東日本大震災以来2回目で、自衛隊OBから成る地元に精通した即応予備自衛官に対し招集命令書を交付、23日以降物資輸送や給水等生活支援活動にあたっている。

 4月23日現在の防衛省・自衛隊による派遣規模実績は人員約26,000名(延べ約179,200名)、航空機107機(延べ873機)、艦船15隻(延べ120隻)。派遣部隊は、西部方面隊:30部隊、北部方面隊:24部隊、東北方面隊:9部隊、東部方面隊:16部隊、中部方面隊:19部隊、その他:2部隊、海自から艦船含む20部隊、空自からは14部隊。また防衛省がPFI方式により契約している民間船舶「はくおう」が22日に八代港に到着、休養施設として約180名の被災者が利用した。そのうちの約30名が避難所から自衛隊車両により輸送された。 

 主な生活支援活動の実績は、人名救助・行方不明者捜索が南阿蘇村で11名、患者輸送は宇城市で約510名、安全確保のための人員輸送は約760名、瓦礫除去は13ヶ所で約9キロメートル。生活支援は物資輸送を115ヶ所に行い、毛布33,000枚、飲料水約638,000本、日用品約35,500箱、食料品約708,000食を運んだ。給食支援は熊本市帯山中学校等10市町村46ヶ所で約572,000食を提供、給水支援は熊本市アクアドームくまもと、宇城市豊小学校、大分県由布市総合運動公園等15市町村135ヶ所で約6,600トン、入浴支援は16ヶ所で約26,200名が利用、天幕支援は5ヶ所32張、医療支援は13ヶ所で約1,450名に対し実施した。

 熊本地震は25日現在、48人が死亡、2人が依然行方不明で、561ヶ所の避難所に約50,000人が避難を続けている。


合同入校式
陸上自衛隊幹部候補生学校

 陸上自衛隊幹部候補生学校(学校長・大庭秀昭陸将補=前川原)は、4月2日、第97期一般幹部候補生(BU・I(前段))課程、第52期医科歯科幹部候補生課程の計603名の合同入校行事を執行した。

 入校式には、岩田陸上幕僚長をはじめ、西部方面総監等多数の部内外来賓や候補生家族が出席。入校式に先立ち任命式を実施し、一般大学卒業候補生、薬剤科幹部候補生、歯科幹部候補生それぞれの代表候補生が陸幕長より幹部自衛官へ任命する辞令書を受領し、防衛大学校出身者、部内選抜者の候補生に見守られながら自衛官の誓いを大きな声で宣誓した。

 引き続き合同入校式が行われ大庭学校長は、式辞において『輝け!』を要望し、岩田陸上幕僚長からは、『幹部自衛官として覚悟を持て』『目的意識をもって修養せよ』との訓示を受けた。

 入校式を終え、それぞれの課程において決意を新たにした候補生達は、輝く幹部自衛官を目指し、日々の厳しい訓練へと挑戦する。

新気象レーダー装置の運用開始
飛行の陰に気象支援あり!

〈百里気象隊〉

平成30年度迄に全気象隊でドップラー化完了

 3月14日、航空自衛隊百里基地(司令・柏瀬静雄空将補)にある百里気象隊(隊長・柳田隆行3空佐)で新気象レーダー装置の運用開始式が航空支援集団司令官・小城真一空将、百里基地司令・柏瀬静雄空将補、航空気象群司令・塩田修弘1空佐他、多数の来賓を招いて行われた。

 式典で小城支援集団司令官は「首都圏防空の要である7空団をはじめとする多種多様の任務を百里基地は持っている。また平成8年以降7回を数える航空観閲式においては、空自を代表してその精強さを内外に誇示し多大な成果を収めて来た。百里気象隊が被支援部隊の任務遂行を的確に支援・貢献できたのは歴代隊長を核心とし隊員1人1人が自衛官として透徹した使命感と高いプロ意識を持って任務に当たってきた成果である」等と祝辞を述べた。

 気象レーダーの換装工事は、昨年9月末から今年2月末まで行われ、工事終了後の今年3月7日から同9日には、航空気象群による百里気象隊の新気象レーダーに関する運用態勢の確認がなされ、3月9日に正式な運用開始となった。また、工事実施の約7ヶ月間は、移動気象レーダーによる代替運用が行われた。

 新気象レーダーは、降水強度のみならず風の分布を観測できるドップラー機能を有し、航空機の離着陸に危険を及ぼす大気下層の風の急激な変化(ダウンバーストなど)を探知でき、その情報等を管制官経由で操縦者に伝達することで、航空機の安全運航に更に寄与できるようになった。

 航空気象群は、隷下の気象隊のうち13個気象隊が保有する気象レーダーのドップラー化を進めており、今回の換装は11番目。平成30年度には全ての気象レーダーのドップラー化が完了する予定である。


コブラ・ゴールド16
初の施設活動で屋外ホールを建設

 2月9日から19日までタイで行われた東アジア最大の多国間共同訓練「コブラ・ゴールド16」に自衛隊は約300名を派遣し、海賊対処に係る指揮所演習、初めて陸自の高機動車を投入した在外邦人等輸送訓練、人道支援や災害救援を想定した机上演習及び意見交換会、国際平和協力活動を想定した施設活動、海自艦艇初参加による海上親善訓練(護衛艦「まつゆき」)等を行った。

 コブラ・ゴールドにおける施設活動は初の試みで、開会式以前の1月19日から建設にとりかかり、自衛隊からは北部方面施設隊第105施設器材隊から約10名が参加した。米海兵隊工兵部隊及び、タイ海軍工兵部隊と共同して首都バンコク南東のバンチャンコーの学校施設内で「屋外ホール型式建設物」を設計から施工、工程管理の一連の施設作業を実施し、施設能力向上とともに、参加国との調整・共同連携強化を図った。落成式は2月18日に同地区の知事や各国将官、現地の住人等が集まり盛大に行われた。

統幕創設10周年迎える
更なる統合運用体制の強化目指す

 2月17日、防衛省で「統合幕僚監部創設10周年記念式典」が厳かな雰囲気の中開催された。来賓として第4代防衛大臣の石波茂衆議院議員をはじめ歴代の防衛大臣、副大臣、政務官、統合幕僚長等が多数参列し、また同盟国である米国から米太平洋軍司令官ハリー・B・ハリス海軍大将、在日米軍司令官ジョンL・ドーラン空軍中将も参列し、創設10周年を祝した。

 統合幕僚監部は前身の統合幕僚会議及び事務局の廃止に伴い平成18年3月27日に新設された。これまでの10年間で、統合部隊を運用したソマリア沖・アデン湾における海賊対処、東日本大震災への対応等、国内外問わず多岐かつ広範囲の任務を遂行しながら、統合運用体制の強化を図ってきた。また、日米新ガイドラインの改定や平和安全法制の成立にともない、昨年10月1日の防衛省組織改編で、統合幕僚監部へ部隊運用に関する業務が一元化される等、今後益々統合機動防衛力における核としての役割が期待される。

 河野克俊統合幕僚長は式辞の中で、①防衛省改革を踏まえた統合運用機能の一層の強化②日米防衛協力の実効性向上及び平和安全法制の施行に向けての着実な準備③安全保障協力の積極的な推進、を今後の決意として挙げた。そして「既成概念にとらわれず常に変革に取り組み、陸海空3自衛隊運用の最適化に努め、今後更なる安全・確実な任務遂行と統合運用の体制の更なる強化のために、本職自ら先頭に立ち、職務を全うする所存です」等と決意を表明した。

 続いて中谷元防衛大臣が、明治政権発足の際に布告された五箇条の御誓文の一文『万機公論に決すべし』を出し、「伝統や文化の違いによる障害は、議論を尽くして乗越えられる」等と訓示した。そして最後に「今後とも国民の期待と信頼、その付託に応えられる決意をあらたに、次の10年に向けて厳正な規律を維持しつつ一層任務に邁進してほしい」と統幕隊員に向けて要望した。

 統合幕僚監部はこれまでの10年の歴史を踏襲し、新たな一歩を踏み出した。

【ハリス米太平洋軍司令官が河野統幕長を表敬訪問】

 前日の16日、同式典に参加するために来日した米太平洋軍司令官・ハリー・B・ハリス海軍大将が河野統幕長を表敬訪問した。

 河野統幕長は、会談の中で先日の北朝鮮による弾道ミサイル発射の件に触れ「日米で協調して行動ができた事は新ガイドラインでの大きな成果だ」と述べると、ハリス司令官もこれに同意。日米の相互運用性の向上が日米同盟の抑止力及び対処力の強化にとって重要であると確認した。

第9航空団新編
南西地域における防空態勢さらに充実

S39・12・28 8空団以来の航空団新編

 1月31日、前日の雨が嘘の様な晴天の那覇基地(基地司令・川波清明空将補)で、第9航空団新編記念行事が盛大に挙行された。

 44年の輝かしい歴史を持つ第83航空隊を廃止し、第8航空団より第304飛行隊を迎え2個飛行隊となりF-15戦闘機の保有は約40機となり隊員数は約400名となる。航空団新編は、昭和39年の第8航空団以来51年振り。第9航空団新編行事には、若宮健嗣防衛副大臣、丸茂吉成空幕副長、荒木淳一南混団司令、森本政策参与、岩崎政策参与、真鍋整備計画局長、山田真史西空司令官、上尾秀樹15旅団長、畠野俊一5空群司令、山根寿一沖縄地本長、森田治男沖縄調整官、渡邊博史南混団副司令、沖縄県副知事、在沖米国総領事、5空軍副司令官、太平洋基地司令等多くの来賓が参加した。

 南西航空音楽隊の演奏により厳粛さを増した式典は、第83航空隊に対し記念品を添えて第1級賞状授与・第83航空隊編成解除申告・第83航空隊司令旗返還・第9航空団編成完結申告・第9航空団旗授与・「緊張感を持って任務に当たって欲しい」等との若宮副大臣訓示と続いた。

 式典後は、祝賀飛行が行われ、F-15・6機とT-4・3機による編隊飛行、ブルーインパルスによる曲技飛行が、おびただしい数の民航機・陸海空自衛隊機が使用する過密な那覇空港で行われた。

 川波団司令は「第83航空隊は44年でその歴史を閉じますが、第9航空団へと脈々と受け継がれていく伝統は、任務を遂行する気概と沖縄への愛着心ではないかと感じています」等とコメントしている。

 この日は、領空侵犯はなかったものの対馬海峡から日本海までを中国のY-9型情報収集機型とY-8早期警戒機型が飛行したことが確認された日でもあり、スクランブル機を確認する事が出来た。第9航空団を新編することにより、南西地域における防空態勢をさらに充実させ、南西地域の防衛体制強化を目に見える形で示す事ができる。

第7機甲師団年頭訓練
陸上自衛隊唯一無二の誇り堅持

 第7師団隷下の"鉄牛連隊"第71戦車連隊(連隊長・橋本賦1陸佐=北千歳)は、平成28年1月7日(木)、北海道大演習場(千歳地区)において年頭訓練を行った。

 連隊長の「隊員各個の技術を練磨するとともに、部隊一丸となって隊務にまい進しよう」との新年の訓示の後、連隊は隊列を組み、寒風が吹き抜ける雪原を走行し、平成28年の訓練をスタートさせた。

 訓練には連隊の他、第7後方支援連隊(第2整備大隊第1戦車直接支援中隊)も参加し、人員約200名、90式戦車をはじめとする車両33両をもって行われた。

 また同日、同じく第7師団隷下の"勝兜連隊"第73戦車連隊(連隊長・平松良一1陸佐=南恵庭)及び12日(火)、第7師団隷下の"白馬連隊"第72戦車連隊(連隊長・堀田秀成1陸佐=北恵庭)も年頭訓練を行った。

 第72戦車連隊は北海道大演習場の島松地区で人員約200名車両20両、第73戦車連隊も北海道大演習場の島松地区で人員約300名車両約50両をもって行った。

 堀田72戦車連隊長は「平成28年は、敵を圧倒撃滅できる「真に戦える戦車部隊」であることを示すため「連隊一統」となって任務完遂に邁進していこう」等と訓示をした。

 平松73戦車連隊長は「各中隊が切磋琢磨しつつ「和」をもって新たな連隊の伝統を築いていこう。」等と訓示した後、90式戦車を御神酒で清め、戦車の小隊戦闘射撃訓練を実施し、28年の訓練に初動を付けた。

 陸上自衛隊唯一の機甲師団は、今年も「我ら ここに励みて 国やすらかなり」を胸に「唯一無二の誇り」を堅持し進んでいく。

新年のメッセージ

防衛大臣 中谷 元
想定外の思わぬ事態には「基本」の徹底が必要不可欠

 2016年、明けましておめでとうございます。 

 自衛隊は、さまざまな場所で、国を守るための任務についてもらっています。年末年始にもかかわらず、自衛隊の各部隊においては、日夜、勤務を続けていただいており、本当にご苦労様です。

 国境付近の離島防衛。洋上での艦艇勤務。潜水艦の哨戒・監視。そして山の上で吹雪の吹きつける中でのレーダーサイトでの防空警戒。駐屯地や弾薬庫の雪の中での警衛歩哨。また、徹夜で情報を収集し、作戦・運用に活用するために分析をしている情報関係の隊員。医療、衛生、補給、通信、後方支援、地方協力本部、技術、研究分野や給与、事務、業務隊の皆さんも、地道に幅広い分野で任務を遂行していただいており、本当にありがとうございます。

 昨年、私は、陸海空の多くの部隊を訪問しましたが、そこで働いている隊員から、任務達成への熱い思いとひたむきさを感じることができました。自衛隊はプロの技術集団であり、一人一人の隊員が、多くの分野で責任を持って、持ち場を離れず、お互いに支援・協力してくれております。作業をしている誰ひとり、欠けてしまうと、自衛隊は、その使命を果たすことができなくなってしまいます。自衛隊を動かし支えているのが現場の隊員の皆さんなのです。

 昨年、国会で、平和安全法制が可決・成立しました。これは、我が国を取り巻く安全保障環境が大きく変化したことにより、あらゆる事態に対して切れ目のない対応を可能とするこの法律が必要となったからであります。我が国の抑止力と対処力を向上させ、国民の命と幸せな生活を守ることが目的であります。

 この抑止力とは何か。これは、相手が攻撃をしてきた場合、相手に損害を与える姿勢を示すことで、敵の攻撃そのものを思いとどまらせることであります。抑止力が機能するためには、抑止する側の防衛力が相手に正しく認識をされることが必要であり、そのためには、しっかりとした対処力を持っていなければなりません。

 防衛省・自衛隊は、様々な状況に臨機に即応できるように、防衛大綱・中期防に基づいて、より実効的な「統合機動防衛力」、この構築を進めておりますが、それをより効果的なものにしていく、このことが今年の第一の目標であります。

 第二に、昨年も、自然災害の多い1年でありましたが、自衛隊の災害への派遣では、各方面から感謝の声をいただきました。

 「ヘリでぼくとおばあちゃんをたすけてくれてありがとうございました」「ぼくは、大きくなったら、人をたすけるじえいたいになりたいと今でも思っています」

 関東・東北豪雨災害で救助に当たった第12ヘリコプター隊に、小学生の男の子からこう届いた手紙に書かれておりました。

 関東・東北豪雨災害では、延べ7,795名の隊員が、24時間態勢で、孤立者の救助やボートによる避難支援等に必死に当たってくれました。自らの危険を顧みず、人命救助に当たる隊員の姿は、多くの人々の心に刻まれており、地域の方々の心強い存在になっております。こうした相次ぐ自然災害や今後発生が懸念されている首都直下地震、南海トラフ地震といった大規模災害等への対応能力も着実に向上するよう、各種災害への対応をお願い致します。

 第三に、海外に目を向けますと、昨年は、シリア邦人殺害テロ事件やパリ同時多発テロ事件がありました。今や、一国・一地域で生じた混乱が、国際社会全体の課題となるリスクが高まっており、その対処に努めているところであります。

 自衛隊も「積極的平和主義」の旗の下、国際社会の中で顔の見える活動を行っております。アデン湾で民間船舶の護衛や警戒監視飛行を行う隊員、南スーダンで市民の生活に必要不可欠な道路の整備を行っている隊員、そして、これらの活動を様々な形で支援をする隊員。私も昨年現地で彼らを激励をいたしましたが、灼熱の太陽の下、遠く離れたアフリカの地において、汗と埃にまみれながらも、忍耐強く任務に励む彼らの姿が今でも目に焼き付いております。

 日本から遠く離れた厳しい環境の中で、日の丸を背負って、国際社会の平和と安定のために活動する自衛隊員は、まさに我が国の「顔」です。防衛省・自衛隊は、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処や南スーダンPKOへの協力を継続をするとともに、昨年大地震に見舞われたネパールでの医療活動のように、他国の求めがあれば、自衛隊の有する能力を活かした国際緊急援助活動にも積極的に取り組んでまいります。

 さて、防衛省・自衛隊は、本年も、引き続き様々な課題に取り組んでまいります。その際、何事も「原点回帰」、つまり、基本を忘れず、自分の立ち位置を失わず、基本の姿勢を保つ、このことが大切であります。自衛隊は、想定外の思わぬ事態に、緊急でとっさの対応が求められますが、その際、情報の「報告と連絡」、事故の防止、規律を守るといった「基本」の徹底が必要不可欠であります。

 2016年、今日が、今年の仕事始めとなります。今年も、今、皆さんが立っているこの場所で、原点からのスタートとなります。張り切っていきましょう。

 本年が、隊員諸君及び御家族の皆様にとって素晴らしい年になることをお祈りするとともに、隊員諸君の健康と、部隊の健全なる発展と、そして、地域の安定、我が国の平和と安全を心から祈念をいたしまして、年頭の挨拶といたします。

 本年も、よろしくお願いいたします。

  (平成28年1月4日)

第49回自衛隊高級幹部会同を開催

 12月16日、防衛省は、自衛隊最高指揮官・安倍晋三内閣総理大臣を迎え「第49回自衛隊最高幹部会同」を2年ぶりに開催した。本会同には、防衛省の政策方針を自衛隊の高級幹部に周知徹底させるとともに、当面する自衛隊の重要課題について意見交換する事を目的として、中谷元防衛大臣、若宮健嗣副大臣、藤丸敏・熊田裕通両政務官、岩崎茂・西正典両政策参与、黒江哲郎事務次官、渡辺秀明防衛装備庁長官、河野克俊統合幕僚長をはじめ各幕長、部隊・機関の長(将官)等役180名が出席した。

 会同では安倍首相、中谷防衛大臣の訓示に続き、黒江事務次官の説示、河野統幕長挨拶と続いた。次いでJR東海代表取締名誉会長・葛西敬之氏を招いての講演と今年5月にアフリカ・ソマリア沖の海賊対処を行う多国籍部隊において、自衛隊創設以来初の司令官を務めた海自第4護衛隊群司令・伊藤弘海将補による第151連合任務部隊司令部活動報告が行われた。(16面に続く)