2018年7月1日 の記事
タイ国軍にPKO分野の能力構築支援
需品学校で浄水装置操作伝授
陸上自衛隊は、6月12日から15日の間、タイ国軍に対するPKO分野の能力構築支援事業を松戸駐屯地に所在する需品学校及び防衛省本省で実施した。日本国内においてタイに対する能力構築支援は初めて。これは3月にタイでの、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)に派遣予定のタイ国軍要員に対するセミナーを実施した際に、タイ側から要望があり実現したもの。タイ国軍は日本隊が使用していた宿営地を引き継ぎ、日本隊が撤収時に国連に譲与した浄水装置を使用する予定だ。13日・14日の2日間は需品学校で陸自教官がその維持・管理要領を伝授した。翌15日は防衛省本省でUNMISS派遣経験のある陸幕勤務者が、タイ国軍訪問団と意見交換を行った。
13日、陸上自衛隊需品学校(学校長・上田和幹陸将補=松戸)を訪れた派遣要員を含むタイ陸軍訪問団7名は、学校長表敬の後、座学及び実機を前にした浄水装置操作の教育を受けた。今回教育のために使用した浄水装置は、南スーダンにあるものとほぼ同型。教官は、イラク派遣時に操作経験のある需品学校の隊員が務めた。
訪問団は、南スーダンの厳しい環境を考慮した丁寧な説明内容に感心していた。そして、装置ひとつひとつの説明に熱心に耳を傾け、多くの質問をし、休憩時間を惜しんで装置を確認する等、少しでも多くの知識を吸収しようとする姿勢に教官側の説明も熱を帯びていった。
汗ばむ天気の中で行われた約2時間の屋外研修の終盤には、実際に浄水処理済みの水を全員で試飲。無味無臭で水道水より安全と言われる水で乾杯すると自然に笑みがこぼれていた。翌14日、訪問団は教えられながら実際に装置を操作した。
13日の研修後、訪問団長・ティーラチャイ陸軍大佐は、謝意を表すとともに「今日の成果を活かして大いに役立て、今後もタイと日本の友好関係を広げていきたい」と述べ、現地で施設隊長を担うブリン中佐は、「現地視察の際に日本の宿営地が一番整っていたので、その施設に入ることができて嬉しい」と満足そうだった。上田学校長は「本事業・能力構築支援事業全般を通じて、国際社会、ASEAN地域の平和と安定に寄与できることをうれしく思う」とコメントした。
15日は、第3次派遣隊長を務めた持田将貴1陸佐(現陸幕人事教育部援護班長)らUNMISS経験者8名を含む陸幕勤務者9名と意見交換を行い、南スーダンでの成果や教訓を共有し、友好関係を更に広げることができた。