自衛隊ニュース
防衛大学校
3月23日、神奈川県横須賀市にある「防衛大学校」で本科第68期学生401名(うち留学生18名)と理工学研究科前期課程第61期学生56名(うち留学生5名)、理工学研究科後期課程第21期学生(うち留学生4名、民間1名)、理工学研究科後期課程第22期学生及び総合安全保障研究科前期課程第26期学生13名(うち官公庁1名、留学生1名)の卒業式が盛大に行われた。
岸田文雄内閣総理大臣・木原稔防衛大臣らをはじめとする多くの来賓が入場する前の記念講堂は、外の小雨を吹き飛ばすような熱気と厳粛な雰囲気に包まれていた。内閣総理大臣に栄誉礼、開式の辞、国歌斉唱に続く卒業証書授与では、名前を呼ばれ力強く返事をする学生一人一人に久保文明学校長が目を見ながら卒業証書を授与。
岸田総理は「防衛力の抜本的強化を目指しており、三文書に掲げた目標の実現に向け、政府を挙げて取り組んでいく」「国民に期待され、信頼される自衛官に相応(ふさわ)しい高い規律をもって、任務に当たってほしい」などと訓示をした。休憩を挟んで、任命・宣誓式が行われ新たに陸上自衛官177名、海上自衛官82名、航空自衛官88名が誕生した。防衛大学校を卒業すると曹長として任官するが、陸上自衛官の制服は幹部用で、海上自衛官は細い線が腕に付く。
女子1・2期生の姿も
この日、卒業生の父兄の中に防大第40期生であり女子第1期生の金野浩子1空佐(航空気象群司令兼府中基地司令)の顔が見えた。また、来賓として神奈川地方協力本部長・大谷三穂1海佐を確認することもできた。大谷地本長もここの卒業生、第40期生であり女子第1期生である。壇上には防大第40期生・女子第1期生である防大訓練部長の東良子海将補の姿も見えた。更に来賓の中には、東京地方協力本部長・横田紀子陸将補を見つけることができた。横田本部長は防大第41期生であり女子第2期生である。今回461名の卒業生のうち、女子は49名を数えた。防衛省が推進しているWPS(女性・平和・安全保障)、そして長い間の女性活躍推進にかかる取り組みらが功を奏しているのではないかと思わせられた一日だった。
式後に金野1空佐、大谷1海佐、横田陸将補からコメントが寄せられたのでご紹介します。
金野1空佐「親として長女の卒業式に臨み、自分が防大に入ってからこれまでの様々な出来事が頭に浮かんできて、涙が溢れてきました。同期や後輩たちが今日まで繋いできてくれたことに感謝です」
大谷1海佐「防大で苦楽をともにした仲間とそれぞれの立場で、また学舎で会えるなんて感慨深いです」
横田陸将補「防衛大学校入校からこれまで約30年間育成されてきた一人の幹部自衛官として、これから希望と可能性に満ちた卒業生の姿を目の前にし、心が熱くなりました」
高等工科学校
陸上自衛隊高等工科学校(学校長・今井俊夫陸将補=武山)は、3月20日、木原稔防衛大臣立会の下、森下泰臣陸上幕僚長が臨席して、第67期生(312名)の卒業式を挙行した。5年ぶりに感染症対策による参列者の制限のない卒業式となり、自衛隊部内外の多くの来賓が参列した。加えて、この日を楽しみにしていた卒業生家族約800名が全国から駆けつけ、コロナ禍を乗り越えた卒業生の晴れの日を会場で見守ることができた。
卒業生の門出にあたり岸田内閣総理大臣がビデオメッセージで、「最後まで頑張り抜いた自らの努力に自信と誇りを持ち、堂々と胸を張って巣立っていってほしい。そして、本校で磨きあげた不屈の精神力と、学んだ知識・技術を活かし、更なる学びを続け、将来の自衛隊を背負って立つ存在となってくれることを強く望む」と訓示した。
学校長は式辞で、「ともに卒業を迎えることができた同期との『縁』、支えてくれた家族や学校職員などへの『恩』を忘れず、常に感謝の心を持ち続けてほしい。そして、今の感動と新たな志を忘れず、部隊で活躍してくれること、ひいては近い将来、本校で後進の育成に携わることを心から期待する」との言葉を餞として贈った。
また防衛大臣からは、「陸上自衛官として新たな一歩を踏み出すに当たり、本校で学んだことを活かしつつ、鍛錬を怠らず、生徒の誇りを胸に深く刻み、国防の最前線で活躍できる人材として成長してくれることを期待している」との訓示を頂いた。
その後、在校生代表作田雄飛生徒による送辞、卒業生代表小林蓮太郎生徒による答辞、仰げば尊し・校歌斉唱と続いた。答辞では、在校間の思い出、後輩へのエールに加え、在校中に亡くなった同期生にも触れ、卒業生・在校生ともに涙をうかべ、本校で過ごした3年間が充実したものであったことを印象づけた。引き続き、学校グラウンドにおいて、在校生による送別パレード及び本校出身者の操縦による祝賀飛行が披露され、晴れの門出に花を添えた。
卒業生は、4月1日付で陸士長に任官し、生徒陸曹候補生課程(各陸曹教育隊)に進み、陸上自衛官としての第1歩を踏み出すことになる。なお、一部の生徒は防衛大学校、海上自衛隊・航空自衛隊の航空学生に進む。
職業能力開発センター
公務又は通勤災害による負傷や疾病で障害を負った隊員の円滑な部隊勤務や社会復帰に向けた更生指導業務を実施する自衛隊中央病院(三宿)職業能力開発センター(センター長・大堀健)で3月1日、第68期入所生8名(陸自7名、空自1名)の修了式が行われた。
修了式は、来賓として防衛省人事教育局斎藤敏幸給与課長をはじめ、3幕関係者を招いて開催された。
国歌演奏、センター長からの修了証書授与後、学生長がセンターでの研修修了を申告した。
続いて、執行者の福島功二病院長=当時=が登壇。「障害の種類や程度が様々な隊員が集まる中、それぞれが努力を重ねたことは勿論、同期生が互いに協力・支援し合い、全員が前向きに研修に励んだことに敬意を表する」と労ったほか、「これからが、これまでを、決める」の言葉を例として、「本研修によって得られた成果も、これからの諸官の生き方いかんによって、より輝きを増し、また、より強く生きてゆく力となる」と激励した。
来賓祝辞では、防衛省人事教育局齋藤敏幸給与課長が登壇し「職能センターで習得された知識・技能をもって、我が国のため、自衛隊のため、そして御自身のために存分に実力を発揮して欲しい」と今後の活躍へ期待を述べた。
入所生は、部隊に復帰する者と引き続き研修を継続する者とそれぞれの道を進むことになる。
職業能力開発センターでは、「部隊に復帰する者については、当センターで新たに習得した知識・技能を最大限に発揮し、自衛隊の任務遂行の一翼を担い貢献することを期待する」としている。
防衛医科大学校
172名の学生が卒業
3月9日、「防衛医科大学校医学科第45期学生・看護学科第7期学生卒業式典」が本校新体育館で挙行され、医学科66名、看護学科自衛官候補看護学生70名、技官候補看護学生36名、計172名の学生が卒業した。
式典には、木原防衛大臣をはじめ部内外の来賓と学生家族等約700名が出席した。
四ノ宮学校長=当時=は、「防衛医科大学校の卒業生であるという誇りを持ち、母校の発展を願い、そして、『思いやりの心』豊かな医師、看護師、保健師となるよう努めて欲しいと願っています」と式辞で述べた。
また、内閣総理大臣からもメッセージがあり、松本防衛大臣政務官が代読。能登半島地震や新型コロナウイルスといった事態について触れ、「一般の医療従事者とは異なり厳しく過酷な勤務が求められることも多々あるでしょう。この困難な任務に自らの意思で進まれる諸君は、まさに日本の誇りです」と卒業生を鼓舞した。
木原防衛大臣は、自衛隊衛生の重要性について訓示し、「諸君は医療従事者であるとともに、危険を顧みずに任務を遂行する隊員の生命・身体を救う、唯一無二の存在です」と述べた。
任命・宣誓式では、森下陸上幕僚長、酒井海上幕僚長、内倉航空幕僚長からそれぞれ自衛官としての任命を受けた卒業生の代表が木原防衛大臣に服務の宣誓を行い、医官・看護官として第一歩を踏み出した。人事発令伝達式では、技官候補看護の卒業生が、四ノ宮学校長より人事発令を受けた。
卒業生による帽子投げも行われ、全員が走りながら、華々しく退場した。
防衛医科大学校は、「防衛医科大学校で学んだこの期間が卒業生たちの今後の人生にとって大きな糧となることを職員一同願っております。卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます」としている。