自衛隊ニュース
機略縦横(75)
航空医学実験隊准曹士先任 准空尉 佐野秀樹
航空自衛隊(以下、「空自」という)に入隊して希望していた衛生(医療職域)隊員となり、准看護師や救急救命士の資格を空自の養成所で取得しました。
その後、部隊医務室等で勤務しながら部内外の病院研修や消防署での救急車同乗研修など現場経験を重ね、医療従事者としての自信を深めました。
更に3度の海外派遣や訓練、東日本大震災の災害派遣、コロナ禍の大規模接種センター支援や航空機動衛生隊勤務時の輸送機を使用した長距離患者搬送等に携わり自衛隊衛生員としてのプロ意識を高めることができました。
医療技術のみならず、人として、また社会人としてのあらゆる能力を形成することができましたことは、これまで部内外の多くの皆様から公私問わず頂いたご支援とご教授の賜物と感謝しかありません。
近年の我が国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ、一昨年、防衛3文書が策定され、その一つに「衛生機能の変革」が定められました。
衛生はこれまで自衛隊の壮健性の維持を重視してきましたが、持続性、強靭性の観点から、有事において危険を顧みずに任務を遂行する隊員の生命、身体を救う組織へと進化を続けています。
空自は、日本の空を守る唯一の組織であり、機能別に分かれ戦闘機等部隊を他部隊が支える組織体系で「掛け算の組織」とも言われています。それぞれの機能が発揮できれば1+1は3にも4にもなり得ますが、1つの機能でも欠ければ空自としての任務を果たすことができません。
空自の戦力を最大限発揮するべく組織人として自らの持ち場において役割を担い、この素晴らしい空と宇宙、そして日本を守り続けていきたいと思います。また、日本人に生まれ先祖から受け継いだ魂「日本の心」を守る任務に携われることを誇りに感じています。
入隊して31年が経ち、定年まで残り僅かとなりましたが、現在、自身の職務である准曹士先任として指揮官をお支えし、これまで多くの皆様から頂いた「恩」(学び、経験等)を後輩隊員へ「恩」送りをしていきたいと思います。
1術校ウェルカムデー
隊員家族・友人200名を招待
航空自衛隊第1術科学校(学校長・岩城公隆空将補(当時)=浜松)は3月9日、隊員の家族・友人らを招いて職場見学会「1術校ウェルカムデー」を開催した。本見学会は、空自と1術校の任務に対する理解を深めてもらうために実施しているもので、昨年6月に実施した第1回に続き2回目。今回は、自衛隊静岡地方協力本部の広報官が引率する入隊予定者らも参加した。
見学会は若手幹部が中心となって企画運営し、F15戦闘機やペトリオット展示のほか、航空機の通話装置を使った通話体験やレーダーの仕組みに関するミニ授業など、整備員を育成する術科学校ならではの催しが数多く行われ、訪れた約200名の参加者は楽しみながら1術校の任務に対する理解を深めていた。
富山県から訪れた家族は「息子が教官をしているなんて信じられなかったが授業を聞いてみて教え方が上手でびっくりした」と息子の教官としての姿に感激した様子であった。
また、隊員食堂で行われた体験喫食では、事前に申込んだ約150人が浜松基地ご当地メニュー「空自空上げ(三ケ日みかん味)」に舌鼓を打った。浜松市から参加した入隊予定の西岡さんは「美味しかった。入隊したら色んな基地の空上げも食べてみたい」と入隊への期待が膨らんだ様子であった。
新多用途ヘリUH2紹介行事
通称「ハヤブサ」3月に八尾に配備
中部方面航空隊(隊長・加賀澤俊樹1陸佐=八尾)は、全国の部隊に先駆けて八尾駐屯地に配備された新多用途ヘリコプター「UH2」の紹介行事を4月19日に八尾駐屯地(大阪府八尾市)で行った。
新多用途ヘリコプター「UH2(通称ハヤブサ)」の概要
本機は、民間向け最新型ヘリコプター「SUBARU BELL 412EPX」を共通プラットフォームに、陸上自衛隊向け仕様を織り込んだ機体であり、防衛警備、災害派遣任務などあらゆる場面において活躍することが期待されている。本機は、陸上自衛隊が保有する航空機の中で最大機数を占めるUH1の後継機であり、次世代の陸上航空の主力となる。
本行事において小林弘樹中部方面総監は、他方面隊に先駆けて中部方面隊に配備された事を踏まえ、中部方面航空隊の隊員へ「航空操縦士及び航空機整備員の養成を、引き続き推進する」旨示すとともに「航空安全確保の最後は隊員一人一人の意識にあり、決して慢心することなく練度向上に励むこと」を要望し締めくくった。中部方面航空隊は、引き続き、本機の戦力化を推進していく。
中部方面隊は、「引き続き、2府19県の皆様の信頼と期待に応えるため、より強靭な中部方面隊となるよう隊務に邁進していく所存です。これからも皆様からのご支援、ご協力をよろしくお願いします」としている。
富士学校で入校式
全国から500名を超える学生が集う
陸上自衛隊富士学校(学校長・中村裕亮陸将)は、令和6年の春の訪れとともに全国から500名を超える学生が、富士山の麓に集まり、入校式及び学校長訓話を皮切りに、普通科・特科・機甲科各職種部による各種課程教育を開始した。
当校は、標高約830メートルに位置し、普通科・特科・機甲科職種の主に幹部自衛官に対する教育及び相互協同に関する教育訓練を行う他、陸上自衛隊の諸職種協同の戦い方を研究し、他の職種学校を力強くけん引している。
本年度も、学校長要望事項である「諸職種協同による想像力の発揮」と「新たな時代に対応し得る人材の育成」を目標に、職員一同 "心を燃やして" 学生教育及び研究業務に邁進していく。