防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
spacer
防衛ホーム
spacer
home
spacer
news
spacer
購読
spacer
2021 2023
2022年 INDEX
12月1日 12月15日
11月1日 11月15日
10月1日 10月15日
9月1日 9月15日
8月1日 8月15日
7月1日 7月15日
6月1日 6月15日
5月1日 5月15日
4月1日 4月15日
3月1日 3月15日
2月1日 2月15日
1月1日 1月15日

-

スペーサー
自衛隊ニュース   1079号 (2022年7月15日発行)
-
1面 2面 3面 4面 5面 6-7面(PDF) 9面 10面 11面 12面

ノーサイド
北原巖男
前へ!
 7月8日、参議院議員選挙の応援演説中、背後から発射された凶弾に倒れた安倍晋三元首相。戦後、首相経験者が暴力によって命を奪われた初めての大事件です。
 この暴挙に強い衝撃と憤りを抑えることが出来ません。
 加えて、犯人は元自衛官とのこと。そんな報道に接する現職隊員やOB隊員の皆さんの気持ちは、察するに余りありものがあります。
 安倍晋三元首相のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
 「<政治家は、自らの目標を達成させるためには淡泊であってはならない>ーーー父から学んだ大切な教訓である」
 「わたしが政治家を志したのは、ほかでもない、わたしがこうありたいと願う国をつくるためにこの道を選んだのだ。政治家は実現したいと思う政策と実行力がすべてである。確たる信念に裏打ちされているなら、批判はもとより覚悟のうえだ」
 「古今東西の政治家のなかで、わたしがもっとも決断力に富んでいたと思うのは、英国の首相チャーチルである。・・・チャーチルは若い頃から、すぐれた伝統と文化をもつ大英帝国の力を維持するには、国民生活の安定が不可欠だと考え、社会保障の充実を唱えてきた。安全保障と社会保障ーーーじつはこれこそが政治家としてのわたしのテーマなのである。
 確たる信念をもち、たじろがず、批判を覚悟で臨む」
 「私たちの国日本は、・・・まだまだ大いなる可能性を秘めている。この可能性を引き出すことができるのは、わたしたちの勇気と英知と努力だと思う。日本人であることを卑下するより、誇りに思い、未来を切り拓くために汗を流すべきではないだろうか。
 ・・・日本の明日のために何をなすべきかを語り合おうではないか」
 「この国を自信と誇りの持てる国にしたいという気持ちを、少しでも若い世代に伝えたかった・・・
 政治は未来のためにあるーーーわたしの政治家としての根っこにある想い」
 これらの安倍元首相の記述は、2006年9月に戦後最年少の52歳・初の戦後生まれとして首相に就任された直前に、自らの著書(「美しい国へ」2006年7月文春新書刊)で述べている言葉です。
 以来、2度首相を務め、在職期間は連続2822日、通算3188日。いずれも憲政史上最長を更新されました。
 歴代最長政権を築かれた間、安倍首相は、集団的自衛権の限定行使容認を閣議決定・安全保障関連法整備・国家安全保障会議(NSC)創設・特定秘密保護法整備・オバマ米現職大統領の広島訪問実現・「自由で開かれたインド太平洋」の提唱・アベノミクス(金融緩和・財政拡大)を主導・消費税率の8%から10%への引き上げ等々、まさに実現したいと思う政策を卓越された実行力をもってして実現して来られました。そして、退陣してからも政策実現への強い意欲は変わりませんでした。
 安全な国と言われてきた日本で、安倍元首相は演説中に銃撃されて亡くなりました。
 残念でなりません。
 世界中から、非業の死を悼む声が続いています。
 東ティモールからも、ホルタ大統領、ルアク首相、グスマン初代大統領・イリディオ駐日大使等が哀悼の意を寄せています。更にグスマン初代大統領は、昭恵夫人宛に丁重なお悔やみの手紙を届けています。
 今回の犯行の動機や背景については、捜査当局による徹底的な解明が待たれます。しかし、言論を暴力で封じる蛮行は、絶対に許してはなりません。
 「戦前はテロ事件を契機に社会が混迷して変質し、軍部が台頭する契機になった。暴力で言論を排除する行為は、社会の不安と恐怖をあおり、不安定化させる。
 暴力に言論で対抗できなければ、私たちの手で民主主義を葬り去ることになりかねない」(2022年7月9日付け信濃毎日新聞社説より)
 7月10日に行われた参議院議員選挙の結果は、安定政権によって憲法や外交・安全保障、経済、エネルギー、新型コロナウイルス対策等に係る喫緊かつ重要な諸政策を前に進め、実現を求めていることを、多くの国民が示したものと思います。
 今回の惨劇は、突然他人の凶行によって、生きている真っ只中の自分の命が奪われてしまいました。そうした中、生きることを真摯に扱った映画に出会いました。少子高齢化が一段と進む未来の日本で、75歳以上の人が死を希望したら、国の支援の下で安らかな最期を迎えられる社会制度を取り上げた映画「PLAN75」(早川千絵監督 倍賞千恵子主演)です。いわゆる安楽死。申し込めば、最期の日まで自由に使える10万円が国から給付されるという。
 日曜日の午後、都心の大きな映画館。予想通りの中高年の皆さんもさることながら、僕が驚いたのは、沢山の若い方々、それも若い女性の皆さんが多く、ほぼ満席だったことでした。
 超高齢化問題の糸口になることが期待されるという「PLAN75」のPRシーンも流れ、まるで実社会のどこにでもあるようなストーリーの展開に、僕自身違和感なく引き込まれて行くようでした。
 涙は出ませんでしたが、それだけに重く考えさせられる映画だと思います。
 「PLAN75」のような制度の導入は全く絵空事だとして否定できるだろうか・・・
 コメント映像で倍賞千恵子さんが語っています。
 「皆さんもこの映画を観て、自分の生き方とか、命の大切さとか、愛とか、そういうことを一緒に観ながら考えていただけるといいなと思います」
 倍賞千恵子さん演じる角谷ミチさんが、職場の友達とカラオケで歌う「林檎の樹の下で」がいい。
  "林檎の樹の下で
 明日また会いましょう・・・"
 
北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事

うちの子は自衛官

-
満開の桜を見ながら歴史に触れた見学会
 5月13日のよく晴れた日、ちょうど桜が満開となった陸上自衛隊真駒内駐屯地見学会に札幌家族会東区支部の9人の会員と共に参加しました。
 駐屯地広報の片寄1陸曹のご案内でまず昭和12年に建てられたという古いレンガ造りのサイロ館を見学しました。米軍の進駐時にも使われていたそうで、現在は「さっぽろ雪まつり」や昭和47年の「札幌冬季オリンピック」の資料が展示されていました。
 続いて見学したのはやはり古いレンガ作りの同じ建物が3つ並んでいる1号館〜3号館でした。1号館は第11師団時代の史料や現代の活動等が、2号館は北海道を開拓した屯田兵の史料が、3号館は旧陸軍時代の史料が展示されていました。
 どれも初めて見るもので興味深く、特に3号館のある史料の前では思わず足が止まりました。私は東区の家族会に所属していますが豊平区月寒に住んでいたことがあり、その月寒地区に遺っている旧陸軍歩兵第25連隊に関連するものだったからです。
自宅から歩いて行ける距離にある「つきさっぷ郷土史料館」は北部軍司令官官邸跡、近くのパン屋の前には一本の「営門の松」、そして他にもいろいろな史跡が残っています。自宅の近いところに歴史があったのにほとんどよく知らずに10年も生活していたのはとても勿体無く残念に思いました。
 一緒に見学した家族会のメンバーの中には自衛隊を定年で退官された方もおり、昔勤務されていた司令部の建物を指差しながら他の方に説明していらっしゃいました。私の長男が自衛隊に入隊したのも、旧軍にゆかりのある地に住んでいるのも何かのご縁ですので、自分の住んでいる地域の歴史はもっとよく学んでみようと思いました。
 真駒内駐屯地はたくさんの桜の木があるとても綺麗な場所で、家族会の方々もそれぞれ印象深い見学会になったように思いました。
(札幌自衛隊家族会東区支部 今藤亜矢子)

雪月花
 牧野富太郎さんの知名度はどのくらいのものだろうか? 世界的に名前の知れた植物学者と答えられる人は全国で何人いるだろう? 筆者の郷里高知県では今やどこに行っても牧野博士の話題で持ちきりである。来年4月からのNHK朝ドラが高知県佐川町出身の牧野博士が主人公になる「らんまん」に決定したからだ。博士の発見した植物の数はそれこそ数知れず世界中で採取している。中には奥さんの名前を付けた「寿衛子笹」というのもある。高知市内にある牧野植物園は約18haという広大なもので連日市民が押し寄せ、牧野博士の生涯を描いた朝井まかてさんの「ボタニカ」は地元書店では何週間もベストセラートップを続けた。ウイルス禍での観光客の落ち込みを朝ドラで起爆剤に一気に挽回しようと県も関係者も懸命である。6月県議会ではこのための補正予算約6億円を計上するほど、さらに県下各地からのロケ地の売り込みも段々と激しくなっているとか。昭和30年代、ペギー葉山さんの「南国土佐を後にして」の大ヒットで観光高知を売り出したがその再現を期待している。関係者によると朝ドラ実現のために10年以上前から県を中心に県下34の自治体が協力体制を組み、受け入れの土壌作りを進めていた。さらに東京のNHKの会長室には県選出の国会議員をはじめ知事や県議、市町村長が陳情の波状攻撃を行ったらしい。以前、「男はつらいよ」の高知版で「寅次郎花へんろ」として脚本まで出来上がっていたが渥美清さんの死去でお流れになった。その結果、寅さんの足を踏み入れなかった数少ない県になったこともあり、秋のクランクインそして来年4月のオンエアまで関係者には気がかりな毎日が続くことだろう。

自衛官にとっての「人生100年時代」(11)
趣味」が自分の『未来』を創る

ドラマ「オールドルーキー」

 元サッカー日本代表の引退後のセカンドキャリアをドラマ化した「オールドルーキー」が始まった(TBS、毎週日曜日午後9時放映)。
 6月末時点でまだ1話だけだが、主人公は、37年間、サッカーに打ち込み、サッカー以外に何も知らないまま社会人デビューしてドン底を味わった。だがそれも束の間、アスリートの経験が徐々に頭角を現していく。毎回、様々なドラマが展開され、最後はハッピ-エンドに終わる物語であると予測する。
 何気なくこのドラマを観ているうちに、主人公の姿が、30数年間の人生を国防に捧げ、定年退職後、右も左もわからないまま社会人デビューする多くの自衛官と被った。同時に、自衛官達もドラマのようにそれまでの経験が活かされ、退職後の人生がハッピ-になるだろうかと考え込んでしまった。

「趣味」を持たない自衛官

 毎回の業務管理教育の経験から、「資格」を持っている自衛官が少ないことについてはすでに触れたが、調査をすると、意外にも「趣味」を持っている自衛官もごくわずかだ。これらの現状を知ると、「自衛隊の人材育成は間違っていたのではないだろうか」とOBの一人として自責の念さえ沸いてくる。
 確かに、自衛官の経験や資質を活かして「オールドルーキー」としてデビューし、充実したセカンドそしてサードキャリアを積む元自衛官が存在するのは事実である。しかし、元自衛官の多くは、退職後に階級を外してしばらく過ぎた頃、本当の「自分」を知り、やがて職探しに奔走し、悩み、戸惑い、反省することだろう。本シリーズでも繰り返し述べてきたが、「その時では遅い」のである。

「成長」は時間を忘れて熱中する時に

 業務管理教育では、「人生100年時代」を生き延びるため、「資格やスキルの取得」以外、「意識改革」や「見識の再構築」を強調している。世間に通じる魅力的な「オールドルーキー」に一朝一夕でなれる者など一人としていないのであり、魅力や人間性などと言われるものは、意識の継続と努力の量に比例すると考えるからだ。
 退職までまだ年数がある自衛官達には、忙しい勤務の中にあっても、日々、自衛隊以外の様々な事に関心を持ち、見聞し、蓄積することを勧めたいが、中でも、様々なことにチャレンジできるような「趣味」を持ってもらいたいものだ。「趣味」には、ことさら意識しなくとも、また楽しみながら努力を継続できるという効用がある。
 そして、自衛官以外の仲間をつくり、広く交流してほしい。最近はSNSの発達により仲間は時空を超える。そのような日常の繰り返しの中で、話題も豊富になり、コミュニケーション能力も向上し、人間性も豊かになる。「趣味」を通じて、貴重な人脈が出来たり、退職後に民間人と話がはずみ、相手を惹きつける手段にもなる。
 「人生に無駄なことはひとつもない」といわれるが、「趣味」はその典型であり、「趣味が自分の『未来』を創る」と言って過言でないのである。
 「人生100年時代」、平均3万日あまりである。「趣味」のように、時間を忘れて熱中する時こそが自らの成長に繋がる価値ある時間でもある。若い時から "熱い時間" を増やすことを心がけて実践してもらいたいものだ。

 「退職自衛官の再就職を応援する会」詳細と問い合わせ、本シリーズのバックナンバーはこちら。https://www.saishushoku-ouen.com/


NEXT →
(ヘルプ)
-
shop
-
マスク
-
日本の機甲100年
通販部
10
Copyright (C) 2001-2022 Boueihome Shinbun Inc