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自衛隊ニュース   1078号 (2022年7月1日発行)
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1面 2面 3面 4面 5面 6-7面(PDF) 9面 10面 11面 12面

3年ぶりの定期総会
<高知県防衛協会>
 高知県防衛協会の令和4年度定期総会が6月7日高知市内のホテル三翠園で開催された。
 当日は、来賓に県選出国会議員の全員(代理含む)や濱田省司高知県知事をはじめ県防災指導監の武林秀幸氏、第14旅団副団長・福元洋一1陸佐らを迎えロシアのウクライナ侵略という時局柄、会員も大勢が出席し盛況だった。
 国歌斉唱に引き続き黙とうの後、山本文明会長(四国銀行頭取)の挨拶があった。その中で会長は「3年ぶりの開催にこぎつけてくれた関係者に感謝し、現下のウクライナ状況を見るにつけ、防衛協会の役割を改めて認識して活動を続けていきたい」などと述べた。続いて来賓を代表して濱田知事と福元副旅団長の祝辞があった。
 議事では令和3年度の事業報告、収支決算報告が問題なく承認され、令和4年度の事業計画(案)や収支予算(案)も承認された。
 第2部では全国防衛協会連合会常任理事で元中部方面総監の岸川公彦氏による講演が行われた。テーマは「ロシアのハイブリッド戦について」。ロシアのハイブリッド戦は成功か失敗か。ウクライナの戦術・戦法の創意工夫など、1時間にわたる貴重な話しだった。まさにロシアとウクライナの攻防が続いている今、タイムリーな議題に出席者はテレビとは違う専門家の生の解説にメモを取りながら熱心に聞き入っていた。

知恩報恩 <9>
富国生命 主席参与 西 浩徳

 2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻して4カ月が経過した。侵攻前には多くの有識者らがロシアの侵攻には必要性も必然性も大義もなく、あり得ないと主張していた。しかし実際には、ロシアは西側の言う大義ではなく、ロシアの大義を押し立てて侵略した。
 予測が外れたことを非難、嘲笑しているのではない。かつて平沼騏一郎首相はナチスドイツがソ連と不可侵条約を締結したことを受けて「欧州の天地は複雑怪奇」と言って総辞職したように、予想もしないことが起こり得ることを理解しておくべきと言いたいだけだ。
 歴史的・文化的に関係が深いウクライナのNATOへの加盟要求は、旧ソ連構成国を自国の勢力圏と考えるロシアにとっては裏切り行為であり、NATOと国境と海洋への出口を接することはロシアの死活的国益に対する脅威そのものであった。
 『全ロシア将校の会』のイワショフ退役大将が1月末、「戦場では、ロシア軍はウクライナ軍だけでなく、NATO諸国の軍人、兵器と対峙し、NATOはロシアに宣戦布告するだろう。さらに、ロシアは世界の平和を脅かす国とされ、きわめて深刻な経済制裁を科され、国際社会の除け者となろう」と、ウクライナ侵攻に反対する声明文を発表した。この声明は、ロシアでは完全に黙殺され日本の有識者達も無視していたが、退役将校達が身の危険を冒してまで声明を出したことは、ロシアの侵攻準備を事前に承知していたからと理解し、もう少し注目すべきであった。
 ロシアは、キーフを数日で攻略しゼレンスキー大統領を排除して親ロシア派の傀儡政権を樹立させることは容易にできると考えていたようだ。実際には、ウクライナの抵抗により、現在も激しい戦闘が繰り広げられている。ロシアがウクライナの防衛態勢を過小評価し、ロシア軍を精強だと過大評価して情勢判断を誤ったためだ。
 戦闘を通じ、ロシアは耐え難い損害を被り、この記事が読まれる頃にはプーチンの失脚という話も流れているかもしれない。しかし、ウクライナは地政学的に東西交流の要点であり、ロシアの海洋への出口を制する場所にあるため、将来にわたりロシアの領土的野心から逃れることはできず、引き続き国の安全と主権を守るための努力が必要で、荒廃した国の復興と併せて苦難の道は続くと思われる。ゼレンスキー大統領は我が国に対し、軍事支援よりも戦後の復興支援を要望したが、我が国が国際社会で名誉ある地位を占めることができるかを試される時がいずれ来るであろう。
 さてこうした状況はウクライナとその国民には大変申し訳ないが、ロシアのウクライナ侵攻は、我が国の今後の安全保障戦略や防衛戦略、陸海空自衛隊の統合戦略や各軍種の戦略・戦術の研究に必要な教訓の宝庫となった。
 教訓事項については、現時点では明らかにされず何年もたって史実が明らかになることもあれば、事態が生起している段階で観察することで収集できるものもある。開戦に向けたプーチンの真意などは、ある程度時間を経ても明らかにならないだろうが、現在第一線で生起している事象については、インターネット等を通じて相当知ることができるようになった。イギリスの情報機関は惜しげもなく情報を提供しているが、これらの中には供給資料がちりばめられている。改めて安全保障にかかわる方々には、成功事例、失敗事例を丹念に収集し、あらゆる角度から研究を進めてもらいたい。
 何故ロシアを抑止できなかったのか、ロシアのプーチンの戦争指導は何故上手くいかなかったのかといった安全保障の根幹をなすテーマから、目標の確立や集中、機動といった戦いの原則事項、あるいは人事や兵站運用、統合・連合、戦術・戦法上の教訓まで、国家戦略から小部隊の戦術戦法にいたるありとあらゆる教訓をしっかりと拾い上げ、我が国が侵略されないように、万が一侵略がされても勝利できるように活かさなければならない。
 今回のロシアのウクライナ侵攻は、国連神話を信ずる人に国連の安保理がまったく意味をなさないこと、外交努力だけでは戦争は回避できないこと、平和を愛する公正と信義を持たない諸国民もいること、憲法9条をお題目のように唱えても平和を守れない可能性があることを教えてくれた。更に、経済制裁だけでは戦争を終結させられないことや祖国を脅かす敵に対して国民が断固として戦えば、同盟国等に助けてもらえる可能性があることを改めて教えてくれた。
 我が国への侵略に対し、国民をいかに安全に避難させるか、自衛隊の継戦能力をいかに高めるかなど、今までおざなりにされていた諸問題を真剣に考える時期に来ている。情報戦やサイバー戦などなおざりにしている分野にも早急に手を打つ必要性がある。こうした課題に対する検討にも今回の教訓事項をしっかりと活かし真に戦える態勢にすべきである。
 ロシアが現在やっていることは決して許せないことであるが、平和ボケした日本人を多少覚醒させた点で非常に得難い教訓を残してくれたと思う。

(著者略歴)
 防大28期生、第10普通科連隊長(滝川)、中央即応集団副司令官、北方幕僚副長(札幌)、第13旅団長(海田市)、第1師団長(練馬)、陸上自衛隊幹部学校長(目黒)などを歴任


読史随感
神田淳
<第104回>

英米人のフェアネスについて

 英米人はフェアネス(=公正)の精神を極度に尊重する。
 少年時代を米国で過ごした元ブラジル大使島内憲氏は、「フェアネスを至上の価値とする米国」と題する一文で述べている。「ーーー米国の包容力の源泉の一つはフェアネス精神である。米国人はフェア(公正)であることを至上の価値とし、フェアでないと思うことがあれば黙っていない。ーーーー最近帰国子女の女性から、ヨーロッパのインターナショナルスクールでいじめにあった時、他の子供が見て見ぬふりをする中で、米国人のクラスメートが一人体を張って守ってくれた、という話を聞いた。このような正義感は親が子にいちいち教えるわけではなく、多くの米国人のDNAの中に受け継がれ、米国を米国たらしめているのだと考える。ーーーー民主、共和両党対立の激化が懸念されるが、今後もフェアネスを重んじる米国が根幹から揺らぐことはなく、世界中の人々を引きつける国であり続け、他の国がそういう米国にとって代わることはないと確信する」と。
 また、私の存じ上げる元運輸省関東運輸局長・野崎敦夫さんは、在米中の思い出として、米国人のもつFair(フェア)という言葉の重みに関し、「在米中、現地の小学校に通い始めた息子が覚えた単語はFairで、子供相互の喧嘩でも、この単語が錦の御旗でした。子供の間でも、守るべき大事なイデオロギーみたいでした」と述べていた。
 また、戦前在日英国大使館に勤務し、戦後BBCの日本語部長を務めた知日派英国人の故トレバー・レゲット氏は、著書『紳士道と武士道』でイギリスのフェアプレーの精神について述べている。「基本的な原則の一つは、強くても弱くても、器用でも不器用でも、年長であれ年少であれ、いかなる者も公正な待遇を受ける権利があるということである。子供たちが遊んでいるのを見ていると、驚くほど頻繁にそんなことをするのはフェアじゃないよとか、フェアに順番を回さなければだめじゃないかと言うのが聞こえる。こうした言い方は、幼い頃両親にたたき込まれたスローガンである」、「ダウンしている者を打つな、という原則も広く確立されている。ダウンしている者を打つことはフェアプレーの原則に反する」等。
 英米人が尊重し、その道徳や正義感の根底にあるフェアネスの感覚は、英米人の美学ないし美意識ではないかと私は思う。「公正な」という意味のFairには「美しい」という意味もある。そして、「美しい」がFairのもとの意味で、それが16世紀末〜17世紀初に現在の「公正な」という意味で使われるようになったという。つまり、「美しい」と感じることがフェア(公正)なのである。
 これは日本と同じである。日本人が是非善悪や正義を、論理的命題ではなく、美しいか汚いかで捉える顕著な傾向をもつことは、よく言われることである。日本に存在するこうした「美の道徳感覚」は日本だけのものではないと私は思っているが、Fairness(美、公正)尊重の英米に同じ感覚を見いだすのである。ただし、何を美しい(公正)と感じるかは、英米人と日本人とで微妙な違いがあるだろう。
 近代世界、現代世界をリードしてきたのは英米であることは、ほとんどの国の人が肯定するだろう。英語が世界共通語となっているのはその結果である。世界には多くの国があり、人に人柄があるように国にも国柄がある。私は英米の国柄に概して良いイメージをもっているが、その理由にフェアネスを尊重する国だとの私の認識がある。
(令和4年7月1日)

神田 淳(かんだすなお)
 元高知工科大学客員教授。著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』などがある。


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