防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1056号 (2021年8月1日発行)
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米戦略軍司令官リチャード海軍大将が来省
拡大抑止を保証 日米抑止力を一層強化
 7月12日、核兵器戦略の統合運用を担う米戦略軍の司令官 チャールズ・リチャード海軍大将が防衛省を訪れ、岸信夫防衛大臣、山崎幸二統合幕僚長とそれぞれ会談を行った。リチャード司令官にとって日本が、2019年11月の就任以来初めての外遊先となる。
 岸大臣は「我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、さらに強固な日米同盟が不可欠だ。とりわけ米戦略軍の任務である、核抑止やミサイル防衛での作戦に関しては、我が国としても極めて重視している」と述べた。リチャード司令官は「日米同盟はこの地域、そして世界の平和と安定の礎だと捉えている。私どもの任務である、拡大抑止を提供しそれを保証することについて、私共は日々真剣に取り組んでいる」と述べ、今後も日米の抑止力強化に努めていくことを確認した。
 先立って行われた山崎統幕長との会談では「米国が日本に対して拡大抑止を提供してくれていることを大変心強く感じている。我が国にとって戦略軍の存在は大変重要だ」と山崎統幕長が述べると、リチャード司令官は「我々は、拡大抑止にコミットし、しっかりと保証する。そしてそのことを真剣に受け止めて取り組んでいる」と強調した。
※「拡大抑止」とは自国以外の同盟国等が攻撃を受けた際に、反撃の意図を示すことで同盟国への攻撃を思い止まらせること。

雪月花
 ハイチの大統領が暗殺されるというショッキングなニュースが飛び込んできた。ハイチ共和国はカリブ海に浮かぶイスハニョール島にドミニカ共和国と東西に隣り合わせている。ドミニカは米大リーグへの野球選手を多く送り出しており、2013年にはワールドベースボールクラシックで優勝しているほどの裕福な国である。一方のハイチは日本と同じように地震多発国で2010年のM7・0の大地震では甚大な被害を出した。日本からも救援隊として自衛隊が8次に亘り派遣され、1回350人規模だから合計約3千人に上った。2012年、筆者は第7次隊(隊長・菅野隆1佐)が派遣されたとき取材に同行した。被災後まだ2年の首都ポルトープランスでは瓦礫の山が道路を塞いでおり壊れた建物もそのままのものが多く治安面でもまだまだ危うかった。筆者が車の窓から身を乗り出して写真を撮ろうとしたが「カメラを取られるから止めなさい」と同乗の現地の人に注意を受けるほどだった。その辺りには10歳前後の子どもたちが露店を出していた。その一つで自分が描いたという絵を小さい子どもが売っていた。白いハットと白いガウンを羽織り真っ黒に灼けた4人の子どもの絵に引き付けられた。値段を聞くと約千円、冷やかし気分で値切ってみたら幼い売り手は何も言わずに約5百円にしてくれた。その絵があれから我が家に飾られておりハイチでの仕事の記録になっている。しかし同時に苦い思い出の材料にもなってしまった。あの時の子どもたちは震災で孤児になっていたのではなかったか、家族を背負って働いていたのではなかったか、売り上げにノルマがあったのではないか。筆者は日本の露店と同じような感覚で子供に安くさせてしまった。日本の感覚では5百円はそんなに高額とは感じない、しかしハイチでは間違いなく生活費に充てられる価値があったようだ。はじめの値段で買っても筆者にはそんなに困る金額ではなかったのに残酷なことをしてしまった。今でも後悔しきりである。大統領暗殺でまたまた国内が治安崩壊にならないように、そしてあの子どもたちに平和でゆとりのある生活が1日でも早く訪れることを願っている。

令和3年度第1回陸上総隊・方面隊等最先任上級曹長会同
 陸上自衛隊最先任上級曹長の根本和男准陸尉はこのほど、「令和3年度第1回陸上総隊・方面隊等最先任上級曹長会同」をテレビ会議方式により開催した。
 会同には各方面隊などの将官付最先任上級曹長約75名が参加、吉田圭秀陸上幕僚長訓話をはじめ、パネルディスカッション、各部隊からの情報発信等、上級曹長業務系統による指揮官補佐や隊員育成の強化などを目的に行われた。
 吉田陸上幕僚長は訓話で「特技・戦技は陸曹の専売特許、戦士育成の核心はCSM(最先任上級曹長)である。隊員への愛情、任務への情熱を持ち、分隊長を育て次世代の先任、最先任を育成していくことが必要」と要望した。
 パネルディスカッションにおいては、「分隊長の育成」をテーマに、求められる能力、育成上の問題点、着意事項及び具体的な手段について、5人の師旅団最先任上級曹長が発表したのち、活発な意見交換が実施された。また、ゲストとして在日米海兵隊キャンプ富士最先任のパズSGM(上級曹長)が参加し討議するなど、日米下士官相互の交流も深めた。
 根本陸自最先任上級曹長は「陸曹が陸曹を育てること、特に状況判断できる分隊長を育成し、次のリーダーを育てていくことは我々最先任に課せられた任務である、この任務を達成するために上級曹長制度の充実・定着のため更なる努力を続けなければならない」と各最先任に対し説示を述べた。
 この会同が強靭な陸上自衛隊の創造における、「変革の加速」、「実力の進化」、「信頼の増進」に繋がると確信している。

日本最大の特科連隊 矢臼別で火を噴く5コ大隊の全火砲
第1次矢臼別転地訓練
<第2特科連隊>
 第2特科連隊(連隊長・丸山徳一1陸佐=旭川)は、6月18日から27日までの間、矢臼別演習場おいて「令和3年度連隊第1次矢臼別転地訓練」を実施した。第2特科連隊は、日本で唯一5コ大隊で編成され、99式155mm自走榴弾砲を装備する日本最大の特科連隊である。
 本訓練には、約900名の隊員が参加し、部隊の実射練度を評価・判定して、進歩・向上を促すとともに、部隊の団結の強化・隊員の士気高揚を図ることを目的として、大隊実射訓練検閲(兼ねて実射競技会)及び師団特科隊実射練成訓練が実施された。
 検閲(競技会)当日は、晴れ渡った矢臼別の原野で、各大隊長を核心として、通信・測量・観測・射撃指揮・射撃の各機能に携わる全隊員が有機的に連携するとともに、旺盛な士気をもって弾先に総力を結集し、「一射絶命」の精神で与えられた任務を達成した。なお、第2大隊が連隊内で最も精度、速度良好な射撃により、競技会「優勝」の栄誉を獲得した。
 引き続き行われた師団特科隊実射練成訓練は、各種修正射、試射、広地域射撃及び同時2任務射撃を実施し、最後に、特科連隊5コ大隊の全火砲が一斉に射撃を行う緊急火力集中で締めくくった。
 また、第3普通科連隊の協力のもと、野戦特科部隊では初の試みであるUAVを活用した射撃の修正(火力の誘導)を行い、その実効性を確認した。
 UAV観測は、スカイレンジャーを使用した偏差法による修正射及びアナフィーを使用した級梯射の2項目とした。スカイレンジャー及びアナフィーともに、所望の精度で射撃の要求及び観測が実施できることを確認した。本訓練は、UAVを使用して将来における野戦特科の運用の可能性を見出す多くの成果を得るものとなった。

創隊68周年記念日
常に儀表たる誇りを堅持
<警務隊>
 警務隊(隊長・吉田幸一陸将補)は、6月15日、警務隊創隊68周年を迎え、記念行事を実施した。昭和28年6月15日、当時の第400警務大隊の所属隊員のうち109名が警務官に任命され、全国24カ所の駐屯地に分遣隊を設置して司法警察職務を開始したことから、同日を警務隊創隊記念日としたものである。
 コロナ禍における行事のため、感染予防に配慮して、各方面警務隊、中央警務隊、各地区警務隊等に対するリモートによる警務隊長訓示、市ヶ谷駐屯地慰霊碑における警務隊の殉職隊員8名の慰霊・追悼の他、隊務優秀部隊として中部方面警務隊130地区警務隊(守山)及び西部方面警務隊第303保安警務中隊(健軍)の表彰を実施した。
 また全国各警務隊においても精神教育や、警務隊員の職務遂行に必要な姿勢、態度、装具等の着用及び諸動作について点検する警務点検を実施して、強固な団結、厳正な規律及び士気の高揚を促した。
 警務隊長は、部内秩序の維持に専従する警務隊、警務官として自らの使命を改めて自覚する一年で最も重要な日であり、警務官として常に儀表たる誇りを堅持して、それぞれの職務に邁進することを期待すると訓示した。

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