防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1053号 (2021年6月15日発行)
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雪月花
 国土交通省の統計調査によると日本には1千万戸の空き家があるらしい、日本にある住宅の7軒に1軒にあたるとか。特に地方では顕著、筆者の故郷では一軒置きに無人の家や屋敷跡が見える。以前は中国で理想の家庭と言われる「働く人の声」「赤ちゃんの泣き声」「書を読む人の声」が村中に鳴り響いていたものだ。農林業の衰退で山村では働く場がなくなった若い人たちは日本の高度成長期に都会に出た、一度都会に出ると地元に帰ってこなくなる。後継者のいなくなった家は朽ちるに任す。テレビで「ポツンと一軒家」と言う番組を見た。昔は村の中心だったようだが今は殆どの家は無人になり一人の高齢者だけが集落に残っている、インタビューを受けるこの人のバックには何軒もの空き家が映し出されている。こんな風景は日本中にいっぱいあるのだろう。子孫のために美田を残したつもりが逆に重荷になっているのかもしれない、山林の手入れはできず田畑も耕作放棄地になっている。よみうり川柳に「田をただで貰ってもらう世の流れ」とあった。住民同士の絆の強い山村部でもこんな状況だが町部の方でも崩壊が進んでいる。大資本で進出してきた大型店に対抗して雨にも濡れないようにと鳴り物入りで取り付けた商店街の銀屋根も今は無用の長物化、維持管理するのも難しくなり撤去することにしたがその費用を捻出するのにも四苦八苦する状態である。アーケードが町にできた時には都会らしくなったと誰もが喜んだ。だが今はこの銀屋根も解体され商店のほとんどが茶褐色に錆びたシャッターを下ろしてゴーストタウンとなっている。町に村に賑わいの戻ってくることはあるだろうか。地方自治体では復興を諦めているのではないか、空き家を解体するために予算を多く割いているところを見るとそのように窺える。政府が打ち出した生活の2拠点化やテレワークシステムがどのくらい効果を上げるのかを期待したい。しかし一番の責任は故郷を離れた筆者のような昔の若者にあるのかもしれない。

医科歯科幹部候補生課程、看護科幹部候補生課程卒業行事
<陸自幹部候補生学校>
 5月26日、第57期医科歯科幹部候補生課程51名及び第4期看護科幹部候補生課程58名の卒業式が陸上自衛隊幹部候補生学校(学校長・藤岡史生陸将補=前川原)剛健大講堂にて挙行された。
 卒業式には福岡病院長・川口雅久陸将補、第4師団長代理医務官・松尾2佐が臨席して、学校職員の見守る中、厳粛に執り行われた。
 式では藤岡学校長から候補生1人1人に力強く卒業証書が授与され、卒業生はこれを堂々溌溂と受け取っていた。藤岡学校長は式辞において109名全員の卒業を祝福した後に、「諸官らはこの2カ月間で間違いなく成長している、卒業後に待ち受けている現場は決して安易な現場ではない、そんな時こそ本校で学んだことを生かし敢然と困難に立ち向かってもらいたい」と餞の言葉を贈った。続いて、映像による陸上幕僚長訓示において、「プロフェッショナルとしての矜持を持て」「弛むことなく研鑽せよ」の2点が要望され、「まさにこの瞬間も諸官らの先輩である医官、歯科医官、看護官が病院での診療や大規模接種センターにおけるワクチン接種業務に奮闘し、活躍しているところである、諸官らも率先して職務の遂行にあたり、一人ひとりが強靭な陸上自衛隊の創造の実現の一翼を担うことを切に希望する」と餞の言葉が贈られた。
 卒業式後に行われた医科歯科幹部候補生の任官式では、入校間の様々な困難を乗り越えてきた候補生の思いをのせて代表の安田候補生による気迫溢れる宣誓が大講堂に響き渡った。
 最後の行事、学校中央道で行われた卒業生見送りにおいて候補生達は学校職員に見送られながら新たな気持ちを胸に新緑に染まる幹部候補生学校を後にした。

各種国際任務に係る総合訓練「駆け付け警護」等演練
<中央即応連隊>

【総隊直轄部隊演習
(PKO等先遣隊)】
 本演習は、5月14日から16日に北富士演習場において、PKO等先遣隊要員の練度確認を目的として行われ、演習場内に仮宿営地を構築し新型コロナウイルス感染拡大防止の対策を講じつつ、宿営地の警備要領、他国軍との「宿営地の共同防護」そして「駆け付け警護」要領等を演練し、あらゆる状況下においても任務を完遂し得る態勢を確立した。
 また、本演習では本部管理中隊の通信小隊と衛生小隊の訓練検閲を行い練度を評価するとともに任務遂行能力の向上を図った。

【RJNO(在外邦人等保護措置)連隊練成訓練】
 本訓練は、5月17日から20日に北富士演習場及び東富士演習場において、6月に実施される検閲(総隊直轄部隊演習)に向け、陸上総隊司令部及び関係部隊の指定要員を含め現地における在外邦人等の保護に係る一連の行動について演練することを目的に行われた。本訓練で連隊は更なる実効性向上のための貴重な成果及び教訓を得た。

【総隊直轄部隊演習(#16DGPE)】
 本演習は、5月21日から23日に北富士演習場において、第16次派遣海賊対処行動支援隊(以下「#16DGPE」という)の任務遂行能力を確認評価し派遣準備に万全を期すために行われた。
 演習に先立ち統裁官(中央即応連隊連隊長・山田憲和1陸佐)から、適切な状況判断(「マンネリ」・「慣れ」の排除)及び安全管理・健康管理(新型コロナウイルス感染対策の徹底)の2点が要望事項として示された。
 演習では活動拠点の警備要領や各種事態対処等を演練するとともに、隊員及び現地役務の新型コロナウイルス感染疑いの対処要領なども演練し、あらゆる状況下においても任務を完遂し得る態勢を確立した。
 また、本演習には女性自衛官の穴澤1陸曹が警衛小隊要員として参加しており、陸上総隊司令部幕僚長(牛嶋築陸将)による現地指導時に、「警衛小隊として女性が参加するのは初めてで不安と緊張があるが一生懸命任務を完遂したい」と力強く語ってくれた。
 #16DGPE要員は7月に出国予定であり中央即応連隊として延べ15回目の派遣となる。


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